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Vol.139

雨に足許をすくわれたマルケスが転倒、ペドロサは5位でチェッカー

第12戦イギリスGPがシルバーストーン・サーキットで開催されました。当地のレースは不安定な天候になることも多く、過去には大雨の中で決勝レースが開催されたこともありました。2015年のレースウイークは、金曜と土曜のプラクティスこそドライコンディションを維持しましたが、日曜日はやはり朝から雨模様の天候になりました。MotoGPの決勝前に一度は雨が上がって、路面もドライになりましたが、レーススタート直前のサイティングラップで雨が降り始めたために全選手がピットへ戻って、改めてウエットタイヤでグリッドにつき、レース進行が仕切り直しになりました。
ウエット宣言が出されて始まった全20周のレースで、Repsol Honda Teamのマルク・マルケス選手はスタートを決めてレース序盤からトップグループを走行しました。周回ごとに激しさを増してくる雨の中で、マルケス選手は先頭を走る選手の背後でチャンスを伺いながら2番手につけて、着々と走行を続けました。しかし、13周目に運悪く転倒を喫し、残念ながらリタイアとなってしまいました。
フロントロー3番グリッドスタートのダニ・ペドロサ選手は、粘り強い走りでこの難しいコンディションのレースを乗り切り、20周のレースを終えて5位でチェッカーフラッグを受けました。
路面や気象条件が一定せず、決勝の本番で最も厳しい状況になるという難しいウイークを、選手とチームスタッフが力を合わせて最後まで諦めずに全力で戦い抜いた第12戦について、HRCチーム代表のリビオ・スッポが語ります。

―第12戦のレース戦略はどんなものだったのでしょうか。

「金曜と土曜の走行はドライコンディションで進み、マルクは非常に力強い走りでポールポジションを獲得してくれました。ダニも、水準の高いレースペースでした。日曜に向けて下り坂という気象予報が外れてくれることを願っていたのですが……、予報は的中して決勝日は雨になりました。しかし、午前のウォームアップ走行ではいいレースをできる手応えもつかんでいたのです。決勝レースでは、ロッシ選手が非常に強かったのですが、マルクも彼にしっかり食らいついていたので、レース終盤にはオーバーテイクしてトップを奪還することも可能ではないかと思っていました。しかし、残念ながらマルクは転倒を喫してしまい、ダニも表彰台を獲得することはかないませんでした」

―今回のレースの良かったところと課題を挙げてください。

「よかったのは、マルクが転倒を喫したあとも、幸いケガがなかった、ということです。課題は、今回のノーポイントにより、チャンピオンシップの差がさらに大きく広がってしまった、ということでしょうか。しかし、もちろん我々は最後まで諦めることなく、挑戦を続けます」

―ピットウォールから、どんな気持ちでレースを見ていましたか。

「レース序盤は、マルクの走りに期待をしながら見ていました。ロッシ選手の後ろについて、攻撃を仕掛けるスキを見計らっているようにも見えましたから。ダニもトップグループとの差を詰めてくれるだろう、と思っていたのですが……。残念ながら、今日は我々にとっていい一日にはなりませんでした」

―公式なコメント以外の打ち明け話などがあれば、教えてください。

「今回は、決勝レース前に、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの主催者、マーチ卿が我々のピットボックスを訪ねてくださいました。マーチ卿はモータースポーツの熱烈なファンで、世界でも有数のこのモーターイベントには、Hondaもいつも参加をしています。その主催者である卿とお会いできるのは、とてもうれしく光栄なことだと思っています。
 次戦のサンマリノGPこそ、最高の結果を獲得するために我々はチームと選手が一丸となってさらなる努力と挑戦を続けます。皆様も、応援を宜しくお願いいたします」