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Vol.137

マルケスの勝利でHondaはGP通算700勝を達成

2015年後半戦の口火を切る第10戦がアメリカ合衆国のインディアナポリス・モータースピードウェイで行われました。当地を得意コースとするRepsol Honda Teamのマルク・マルケス選手は、前戦で優勝を飾った好調さを維持し、今回のレースウィークもライバルたちから頭ひとつ抜け出たパフォーマンスを発揮しました。予選では目の覚めるようなラップタイムでポールポジションを獲得。決勝レースも序盤からライバル選手の背後にピタリとつけ、ラスト3周で前に出るクレバーな走りで優勝。インディアナポリスでは3年連続となるポール・トゥ・ウインを飾り、アメリカ合衆国でのレースは7連勝となりました。また、このマルケス選手の優勝により、Hondaはグランプリ700勝を達成。二輪ロードレースの歴史に、新たに大きな足跡を刻みました。

チームメートのダニ・ペドロサ選手も、このレースウィークでは力強い走りを披露。予選ではマルケス選手に次ぐ2番グリッドで、日曜のレースへ臨みました。全27周の決勝レースでは、最後まで激しいバトルを繰り広げ、4位でチェッカーフラッグを受けました。

選手とスタッフ、チームが一丸となり、高い結果を目指して最後まで戦い抜いた今回のレースウィークを、HRCチーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。

―今回の第10戦インディアナポリスGPは、どのようなレース戦略で臨んだのですか?

「今回のレースウィークで、マルクとダニはともにプラクティスから非常に好調な走りで、土曜午後の予選ではマルクがポールポジション、ダニは2番グリッドを獲得しました。第9戦のザクセンリンク同様にRepsol Honda Teamの1−2フィニッシュも視野に入れていたのですが、決勝レースではロレンソ選手と、特にロッシ選手が調子を上げてきました。その結果、想像していたよりも厳しいレースになったのですが、それでも今回のレースはマルク、ダニともに非常にがんばっていいリザルトを獲得してくれたと思っています」

―今回のレースの収穫と、反省点を教えてください。

「マルクは前回に続き2戦連勝で、インディアナポリスでは3年連続の勝利です。ダニは今回のレースで、最終ラップまで攻め続けることができるくらい、彼本来の体調に戻っていることをハッキリと証明してくれました。表彰台こそ逃してしまいましたが、レースの最終盤に自己ベストタイムを記録している事実を見ても、手術を実施した右腕の状態はもはや全く問題がないことが分かると思います。このように、今日のレースはポジティブな内容で占められていたので、反省点は思い浮かばない、というのが私の正直な気持ちです」

―では、今回のレースをピットボックスからどんな思いで見ていたのですか。

「マルクが様子を見ているのか、それともロレンソ選手が有利にレースをリードしているのかということは、ピットで見ていても戦況の判断が難しい状態でしたね。それくらい両選手のペースはとても速かったのですが、終盤に前へ出てトップを奪ったマルクの走りは本当にすばらしいものでした。また、ダニがロッシ選手を相手にバトルを繰り広げる姿は、手に汗を握りながら眺めていました。今回は僅差で相手に軍配が上がりましたが、あのようなエキサイティングなバトルこそレースの醍醐味ですね」

―今回のレースで、他に何か特別なことはありましたか?

「Moto3クラスの決勝でリヴィオ・ロイ選手が優勝したことにより、MotoGPクラスの決勝はHondaの700勝がかかった重要な一戦になりました。27周の決勝レースで、マルクがトップでチェッカーを受けたときの気持ちは、とても言葉では表現できません。表彰式では、コンストラクターズトロフィーを受け取るために、HRC副社長の中本さんが登壇しました。今日の700勝に大きく貢献をしてきた人物なので、このトロフィーを受け取るのは中本さんこそ相応しいといえるでしょう。レース後は、700勝記念Tシャツをマルク、ダニ、そしてチーム全員で着て、記念撮影を行いました。マルクとダニのふたりだけで、この700勝の1/10に相当する71勝(マルケス−MotoGP:22勝、ペドロサ−MotoGP:26勝、250cc:15勝、125cc:8勝)を挙げてくれたのです! 次戦のチェコGP以降も、この記録を伸ばして勝利をさらに重ね続けていけるように、選手とチーム、そしてスタッフ全員が一丸となって努力し、挑戦を続けていきます。皆様も、応援をよろしくお願いいたします」