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Vol.135

マルケスは優勝争いの末に2位、ペドロサは8位でレースを終える

第8戦オランダGPは、グランプリ史上最も長い歴史を持つ伝統の地にふさわしい、緊張感に満ちたレース展開になりました。フロントロー3番グリッドからのスタートとなったRepsol Honda Teamのマルク・マルケス選手は、持ち前の冷静かつ果敢なライディングで1周目からトップを走る選手の背後にピタリとつけました。最終ラップの最終シケインで勝負を仕掛けたマルケス選手は、理想的なラインと正確なブレーキングでイン側に入りましたが、結果的にライバル選手が先着し、2位でチェッカーフラッグを受けました。一方、チームメートのダニ・ペドロサ選手は1周目で12番手に大きく順位を落としましたが、そこから着実に前をいく選手をオーバーテイクし続け、8位でフィニッシュ。前評判ではライバル勢が優勢とも言われたサーキットで、選手とチームスタッフが一丸となって最高の結果を求めて最後まで戦い抜いた今回のレースウイークを、HRCチーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。

―今回のレース戦略はどんなものだったのでしょうか。

「Hondaのマシン特性との相性が必ずしも完ぺきではないこのサーキットで、ウイーク初日のFP1からマルクとダニはいいパフォーマンスを発揮してくれました。両選手ともいいセットアップを見いだし、決勝レースで表彰台争いをする準備も着々と進めていきました。残念ながらダニは決勝日朝のウォームアップ走行で転倒してしまったために、少し状況が違ってしまったのですが、マルクは当初の予定どおり着々と進め、レースでは最終ラップまで優勝争いを繰り広げることができました」

―今回のレースでの成果と課題を教えてください。

「Hondaと相性があまりよくないこのコースで、両選手とも持ち味を存分に発揮してマシン性能を引き出してくれました。特にマルクは、昨シーズンに披露していたようなRC213Vのいいフィーリングを取り戻してくれたようで、我々としても喜んでいます。ウイークを通じて安定した速さを発揮し、シーズン序盤と比較しても明らかに乗りやすそうでした。
悔やまれるのは、ダニが決勝日午前のウォームアップ走行で転倒を喫してしまったことです。表彰台を争えるスピードをマークしていただけに、残念です。最終シケインの攻防に関しては、マルクはすばらしい速さで最終ラップを周回していたのですが、残念ながらそれでも充分ではなかった、ということなのでしょう」

―今回の第8戦を、ピットエリアからどんな気持ちで眺めていましたか。

「レース中は、マルクの走りに期待しながら見ていました。最後まで、ロッシ選手のペースにしっかりとついていってくれました。レースが終了すると、我々はすぐにレースディレクションに赴いて最終シケインの映像を検証しました。レースディレクションの判断は、あの出来事は通常のレースインシデントであり、ロッシ選手は最終コーナーをショートカットせざるをえなかった、というものでした。
一方では、ダニがレース序盤に苦戦を強いられていたのは、少し驚きました。レース後に判明したのですが、ダニはクラッチに課題を抱えており、その影響で1周目に大きく順位を落としてしまったのです。また、ブレーキにもやや課題がありました。いずれも、午前のウォームアップ走行での転倒による影響です。しかし、次のザクセンリンクではダニ本来の力強い走りを取り戻してくれることは間違いないでしょう。春先に手術をした右腕が今ではもうほとんど回復しているのも、好材料です」

―今回のレースの後日談などがあれば、教えてください。

「決勝レースのプレスカンファレンス後、マルクとロッシ選手はレースディレクションに召喚されて、一緒に最終ラップの映像を見ながら事情聴取を受けました。結論は、リザルトに変更なし、というものでした。レースディレクションの判断は、もちろん尊重したいと思います。今回の出来事でひとつ明らかになったのは、アッセンの最終シケインで接触が発生して選手が最終コーナーをショートカットした場合、それはショートカットと見なされない、ということでしょうね。
前半戦を締めくくる次戦のレースでは、Repsol Honda Teamの両選手が優勝争いをできるよう、チームとライダーが総力を結集して戦います。皆様も、引き続き熱いご声援をよろしくお願いいたします」