モータースポーツ > ロードレース世界選手権 > HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート > vol.134 ペドロサが今季初の表彰台獲得で復活をアピール

Vol.134

ペドロサが今季初の表彰台獲得で復活をアピール

第7戦の舞台は、シーズン2回目のスペイン開催となるカタルニアGP。全18戦の中で、最も盛り上がるレースのひとつです。スペイン出身のRepsol Honda Team ダニ・ペドロサ選手とマルク・マルケス選手にとってはホームGPでもあるだけに、地元大観衆の前でいいパフォーマンスを披露し、好成績を残したい一戦です。

シーズン初頭に右腕の手術を実施したペドロサ選手は、今大会は復帰3戦目。レースごとに着実に本来の走りを取り戻しつつあり、今回は土曜の予選を終えて2列目6番グリッドから決勝を迎えることになりました。日曜午後2時(日本時間午後9時)に始まった全25周のレースで、ペドロサ選手は1周目で10番手まで大きく順位を落としてしまいましたが、そこから周回ごとに着実にポジションアップを果たし、7周目には3番手に浮上しました。その後は最終ラップまで安定感の高い走りを続けて、3位でゴール。確実に本来の速さを取り戻してきたことをアピールする力強い走りを、地元ファンの前で披露しました。

一方、2列目4番グリッドスタートとなったマルケス選手は、1周目から果敢なライディングでトップを走るライバル選手に肉薄しました。鋭く切れ味のいい走りでトップグループを走行していた矢先の3周目、10コーナー進入でオーバーランを喫してグラベルで転倒。一度はマシンを起こしてコースに復帰したものの、ピットへ戻ってリタイアを余儀なくされました。フリープラクティスから決勝レースまで、一貫して高い集中力と攻めの姿勢を披露した両選手、そして彼らが思う存分に戦えるマシンに仕上げるため、ピットで彼らの走りを支え続けたチームスタッフたちの戦いを、HRCチーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。

―今回の第7戦は、どのようなレース戦略で決勝に臨んだのですか。

「ロレンソ選手のレースペースが速いであろうことは、決勝前からすでに明白でした。したがって今回のレースでは、序盤から彼に食い下がり、可能ならば前に出て、できる限り逃がさないようにする、という方針で臨みました。マルクはうまくスタートを決めてロレンソ選手に肉薄し、2周目には今回の全選手中で最速となる1分42秒219も記録するという高水準の走りでした。しかし、3周目の10コーナー進入で深くブレーキングしすぎてしまい、ロレンソ選手との接触を避けるためにグラベルへオーバーランしました。そして、そこでタイヤをとられて転倒してしまったのです。  ダニはスタートで10番手に下がってしまいましたが、そこから猛烈な追い上げで3番手に浮上し、表彰台を獲得してくれました。開幕戦終了後に右腕の手術を実施し、以後の数戦を欠場したため、ダニのレース人生でも最も厳しい期間になりましたが、その苦難を乗り越えていい結果を出しくれたことをうれしく思っています」

―第7戦で得た成果と課題を教えてください。

「両選手とも、マシンに好感触を得られるようになってきたのは、今回の成果と言えるでしょう。技術者やチームスタッフは一丸となってマシンの改良に取り組み続けており、着実に前進をしています。とはいえ、まだ満足のいく水準には至っていないので、今後も全スタッフが力を合わせてマシンを改善し、ライバル陣営との差を詰めるためにたゆまぬ努力を続けます」

―決勝レースは、どんな気持ちでピットから眺めていたのですか。

「マルクが序盤から速いペースを刻む姿には、我々も手応えを感じていました。今日の路面温度は昨日よりも高かったので、ロレンソ選手に食い下がるチャンスは大きいと思っていたのですが、残念ながら3周目に転倒を喫してしまい、その後の展開がどうなっていたかは分からずじまいになってしまいました。一方、ダニはシーズン序盤の苦しい時期を克服し、復活を遂げました。3位表彰台に登壇する彼の姿は、下から眺めている我々にもうれしいものでした」

―今回のレース秘話のようなものがあれば、教えてください。

「今回のカタルニアGPでは、ケーシーが我々を訪問してくれました。そして、決勝レース前には、このレースウィークに発表したMotoGPマシンのレプリカ、RC213V-Sのデモラン走行も行ってくれました。ケーシーとともに過ごすひとときは、我々にとっても楽しく心躍る時間です。
次戦のオランダGPでは、レースを終えたときにこの喜びを皆で分かち合えるよう、チーム全体が一丸となって挑戦を続けていきます。皆様も、引き続き熱いご声援をよろしくお願いいたします」