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Vol.133

ペドロサは4位、マルケスは悔しいリタイア

ムジェロサーキットで開催されたシーズン第6戦イタリアGPは、Repsol Honda Teamにとって苦戦を強いられるレースウイークになりました。ダニ・ペドロサ選手は前戦第5戦より、右腕手術後の休養を終えて戦列に復帰。今回の第6戦はペドロサ選手にとってシーズン3戦目のレースとなりましたが、金曜のフリープラクティスから精力的な走行を見せ、土曜午後の予選で3列目7番グリッドからのスタートとなりました。日曜午後2時にスタートした23周の決勝レースでは、ペドロサ選手は2番手争いのグループでライバルたちと激しい争いを続け、最後は4位でフィニッシュ。表彰台こそ逃しましたが、本格的な復調が目前であることを強く印象づけました。

チームメイトのマルク・マルケス選手は、5列目13番手スタートと厳しい順位から決勝を迎えましたが、持ち前の強い精神力とライディングであっという間に上位陣に肉薄。ペドロサ選手と同じグループ内でバトルを繰り広げました。しかし、18周目の3コーナーで転倒を喫し、残念ながらリタイアとなりました。

厳しい状況のなかでも決して諦めることなく、最後まで戦い抜いた2名のライダーと、彼らを全力で支えたチームスタッフの戦いの様子、そして次のレースで勝利を勝ち取るための教訓について、HRCチーム代表のリビオ・スッポが語ります。

―今回の第6戦は、厳しいグリッド順から決勝レースを迎えることになりました。レースに向けた両選手の戦略は、どんなものだったのですか。

「マルクは予選がうまくいかず、13番グリッドになってしまいました。したがってレースではスタートを決めて、早いうちにポジションを上げることを狙いました。レースペースは悪くなかったので、序盤にタイムをロスしなければ表彰台は十分に狙える水準でしたから。実際にマルクはスタートをうまく決めて、3周目には2番手に浮上しました。イアンノーネ選手を相手に、し烈な2番手争いを繰り広げていましたが、レース終盤のほんのわずかなミスにより、残念ながら当初に狙っていた結果は残せませんでした。一方、ダニの戦略は、最後までトップグループにくらいつくことを目標にしました。スタートこそ完ぺきではありませんでしたが、着実に順位を上げ、表彰台まであと一歩の4位でゴールしてくれました。安定した速さを取り戻してきたことは明らかで、腕の状態もほぼ問題ないといえるでしょう」

―今回のレースでは、どんな手応えを得ることができましたか。また、今後に向けた教訓は何でしょうか。

「今回のレースウイークでは、マルクは電子制御の新しいセッティングに取り組んでいたのですが、コーナー立ち上がりのフィーリングが確実によくなってきました。他のサーキットでも、同様に機能するように努力を重ねていきます。第5戦のル・マンと比較すると、マルクのマシンに対するフィーリングはよくなっています。レース終盤にリアのスライドが大きくなってしまう課題はまだ抱えていますが、我々はよい方向に向かっているので、必ずやマルクの意のままに操れるマシンに仕上がるでしょう。ダニの右腕も着実に回復をしています。これは非常に重要なことです。問題なのは、ライバルとチャンピオンシップポイントの差が広がってしまったことです。しかし、我々はあきらめません。全員が一丸となって、ライバルたちとの差を詰めていきますよ!」

―今回は、どんな思いでピットレーンからレースを見守っていたのですか。

「序盤数周のマルクの走りには目をみはりました。たった数周で一気に順位を上げていった彼の走りは、本当に驚異的でしたし、安定したラップタイムも素晴らしいものでした。今日のロレンソ選手は、ちょっと手がつけられないほどの速さでしたが、マルクは2番手争いを繰り広げ、ランキングトップのロッシ選手の前を走っていたのですから。ダニについても、スタートでは少し順位を落としてしまいましたが、そこから迅速に順位を回復し、最後まで高い水準で走りきってくれました。ムジェロのような厳しいコースで、これだけの走りを披露したのですから、右腕はもう大丈夫といっていいでしょう」

―今後のレースに向けた意気込みを聞かせてください。

「今シーズンの我々が苦戦を強いられているのは事実です。しかし、チームの雰囲気はいつもと同じく万全の状態です。スタッフ全員が、マルクとダニに彼ら本来の力を発揮してもらうために、マシンのパフォーマンスを向上させるべく全力で取り組んでいます。世界最高峰レベルの戦いが厳しいものであることは、承知の上です。2013年と2014年も、決して楽なシーズンではありませんでした。今後のレースに向け、我々は最高の結果を目指して全力で戦います。皆様からも、熱い応援をよろしくお願いいたします」