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Vol.132

激しいバトルを制し、マルケス4位

第5戦フランスGPがル・マン・サーキットで開催されました。過去十数年の記録を振り返っても、気象や路面コンディションが不安定になることの多い大会ですが、今年も金曜と土曜は非常に低い温度条件になりました。また、土曜の午後早めには雨も降って、難しい状況での予選になりました。そんな中でも、Repsol Honda Teamのマルク・マルケス選手はポールポジションを獲得。決勝レースに向け、期待が高まりました。決勝レースの行われる日曜は、土曜までと比べて一気に温度が高くなり、晴天の一日になりました。マルケス選手は序盤周回で順位を落としてしまったものの、そこから懸命に追い上げ、最後は4位でフィニッシュしました。
また、右腕の手術とその後の静養で、しばらくレースを欠場していたダニ・ペドロサ選手は、今回の第5戦で復帰を果たしました。8番グリッドから日曜の決勝を迎えたペドロサ選手は2周目に転倒を喫してしまいましたが、即座に復帰。そこから最後まで粘りの走りを続けて、28周という長丁場をしっかりと走り抜きました。
次戦以降につながるレース内容になったマルケス、ペドロサ両選手の走りと、彼らを支え、ともに最後まであきらめずに戦い抜いたチームスタッフたちのレースウイークについて、HRCチーム代表のリビオ・スッポが語ります。

―今回のル・マンの決勝レースを振り返って、どんな印象ですか。

「マルクは土曜の予選でポールポジションを獲得し、決勝日午前のウォームアップ走行でもトップタイムを記録していました。午後の決勝レースでも、ロレンソ選手と優勝争いをしてくれると期待していたのですが、路面温度が高くなったために、レース中のマルクはフロントから十分なフィーリングを得ることができず、残念な展開になってしまいました。
そのような難しい状況下にあっても、マルクはいつものように万全を尽くすベストの走りで、イアンノーネ選手を相手に激しいバトルを繰り広げて最後は4位でチェッカーフラッグを受けてくれました。
ダニに関しては、レースに向けた戦略というよりも、手術から復帰して最初のレースになる今回は、体調面でどこまで走れるかをまず探ることが大きな目的でした。序盤に転倒を喫したものの、ダニは即座にレースに復帰し、その後も安定したペースで走行を続けて、完走を果たしてくれました。思っていたよりも腕の状態はいい、と言って差し支えないでしょう」

―今回のレースで、よかったところと課題点を教えてください。

「よかったところは、ダニの腕の状態が案じていたほどではなかった、ということです。マルクが難しい状況の中で最善を尽くしてくれたことも、収穫の一つです。課題は、我々のマシンは温度変化の影響を受けやすい、というところです。データをチェックし、一刻も早くこの課題を解決します」

―決勝中は、どんな思いでレースを見ていましたか。

「マルクが、なぜウォームアップでの速さを発揮できないのかと考えていた一方で、私だけではなく、おそらくピットにいた全員が、マルクとイアンノーネ選手の白熱したバトルを見守っていたと思います。一方、ダニが転倒を喫したときは本当に意気消沈しました。というのも、今回のダニの大きな目標の一つは、レースの最初から最後まで体調が大丈夫かどうかを確認する、ということだったからです。しかし、転倒直後にダニはマシンを引き起こしてレースに復帰し、最後まで完走してくれました。その結果、体調の確認もきっちりと行うことができました」

―レースウイークの秘話のようなものがあれば、教えてください。

「実は今回のル・マン・サーキットには、熊本県のマスコットとして有名なくまモンが来ていたのです。ウォームアップ後には、マルクとダニに会いにピットボックスを訪問してくれました。それだけに、くまモンにいい結果をプレゼントできなかったのが本当に残念です! 次のイタリアGPでは、両選手が最高の結果を得られるよう、チーム全員で力を合わせてレースウイークに臨みます。皆さまも、熱い応援をよろしくお願いいたします!!」