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Vol.129

マルケスが完ぺきなレース運びで優勝を飾る

第2戦アメリカズGPの舞台はテキサス州オースティン郊外のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ。当地でのMotoGP初開催となった2013年に最高峰クラスデビューを飾ったRepsol Honda Teamのマルク・マルケス選手は、このときに史上最年少ポールポジションを獲得し、決勝レースでもフレディ・スペンサー氏の所有していた史上最年少優勝記録を更新した記念すべき場所です。この2013年以来、マルケスはこのサーキットを得意のコースにしてきましたが、今年のレースでもその底知れぬ力量をいかんなく発揮。3年連続のポールトゥフィニッシュを達成しました。

また、前戦終了後に腕上がりの手術を実施したダニ・ペドロサの代役として急きょ参戦が決定したHRCテストライダーの青山博一選手は、6列目18番グリッドからのスタートでしたが、レースでは着々と順位を上げて、最後は11位でフィニッシュ。5ポイントを獲得しました。

理想的とはいえなかった気象条件をものともせず最高の結果をもたらしたマルケスと、全力で健闘した青山の両選手はもちろん、ピットから彼らの走りを支えたチームの戦いについて、HRCチーム代表のリビオ・スッポが語ります。

―今回の決勝レースは、どんな戦略で臨んだのですか?

「このサーキットでは、フロントタイヤのマネージメントがレースの重要なカギを握ります。したがって、フロントタイヤを消耗しないように、できるかぎり温存しながら戦うことが我々の戦略でした。この点に関して、どの選手も全力で攻めるような走りではなかったので、それがレースの駆け引きをさらに難しいものにしたようです。そんな中でも、マルクと青山選手は、非常にすばらしい戦いぶりを見せてくれました。
マルクは序盤周回で無理をせずにドヴィツィオーゾ選手の後方で様子をうかがい、5周目に彼をオーバーテイクしてからは、持ち前の優れたレースコントロールで最後まで戦いを優勢に進めてくれました。青山選手も、粘り強い走りにより11位でフィニッシュしてくれました。突然の代役参戦という状況を考えれば、上々の結果だったと思います」

―第2戦で得た収穫と反省点を、それぞれ教えてください。

「マルクが勝ってくれたこと。これが最大の収穫ですよ。Hondaにとって、この勝利はアメリカ11連勝で、マルクにとっては6連勝になります。マルクは、アメリカのパスポートを申請したほうがいいかもしれませんね(笑)。残念だった点は、ダニがこの場にいなかったことです。昨年のアメリカズGPでは1-2フィニッシュを達成しました。今年のレースでも、もしもダニが腕上がりで欠場していなければ、きっとマルクと優勝争いを繰り広げていたいに違いありません。我々は、ダニの一刻も早い回復を待ち望んでいます。手術は成功しているので、あとは回復状況と相談しながら復帰の時期を検討しているところです」

―ピットボックスから決勝レースを見ていて、どんな印象でしたか。

「レース序盤はドヴィツィオーゾ選手のペースが速く、後方にいるマルクは彼の様子を見ているのか、それとも、昨日までよりも高くなった路面温度の影響で何らかの問題が発生しているのか、我々には分かりませんでした。しかし、ドヴィツィオーゾ選手をオーバーテイクして差が開きはじめたので、ほっと胸をなで下ろしました。そこから先は、きっちりとレースをコントロールして最後まで優勢を保ってくれる展開になるであろうことは明らかでしたからね。若い年齢にもかかわらず、マルクは熟練したレース運びを知り尽くしたライダーです。
一方、青山選手は18番グリッドという後方からのスタートにもかかわらず、着々と順位を上げて、最後は11位でフィニッシュをしてくれたので、いいレースだったと思います」

―公式コメントでは明らかにしなかった、何か秘話のようなものはありますか?

「実は日曜の朝、ウォームアップ走行のときに、俳優のキアヌ・リーブスさんが我々のピットガレージを訪問してくれました。ハリウッドのトップスターである彼は、オートバイの熱心なファンでもあるそうです。我々のチームやレースについて話をしましたが、MotoGPについてとてもよくご存じで、私たちと同じようにバイク好きであることが言葉の端々からもよく分かりました。
第3戦アルゼンチンGPは2週連続の開催になります。この調子と勢いで南米に乗り込み、次のレースでも必ずや好結果を獲得するため、選手とチームは一丸となって戦い続けます。皆さまも、引き続き応援を宜しくお願いします」