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Vol.128

MotoGP開幕 〜ネバーギブアップの精神で果敢に挑む〜

2015年MotoGPの戦いの幕が切って落とされました。シーズン開幕戦のカタールGPは、毎年恒例のナイトレースです。2年連続チャンピオンのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、フロントロー3番グリッドからスタートしましたが、開始直後の1コーナーでオーバーラン。最後尾になってしまったものの、そこから驚異的な追い上げを開始し、22周のレースを終えて5位でフィニッシュしました。また、2番グリッドを獲得したダニ・ペドロサは、腕上がりの症状とも戦いながら6位でチェッカーフラッグを受けました。苦しい状況の中でも、チームと選手が力を合わせ一丸となって戦い抜いたこのレースウイークを、HRCチーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。

―開幕戦の決勝レースは、どのような戦略で戦ったのですか。

「プレシーズンテストの内容や、土曜日の予選までのマルクとダニの走りを見ると、日曜の決勝レースでは両ライダーとも十分に勝利を目指せる、と考えていました。しかし、残念ながらレースは我々の期待通りには運びませんでした。マルクは1周目の1コーナーでわずかなミスを犯してしまい、ダニは腕上がりに苦しんでいたため、当初に考えていた戦略とは異なったレース運びになったのです。とはいえ、マルクは一旦、最後尾になってしまったものの、そこかから持ち前の驚異的な追い上げを続け、最後は5位でフィニッシュをしてくれました。また、ダニもすばらしいガッツを見せて、ライバルチームの選手たちだけではなく自身の腕上がりとも戦いながら、6位でチェッカーフラッグを受けました」

―今回のレースの、収穫と反省点を教えてください。

「ダニとマルクが、ともに“ネバーギブアップ”の精神を発揮してくれたことは、我々もとても勇気づけられました。これこそが、大きな収穫といえるでしょう。また、チームの尽力で両選手のマシンセットアップも順調に進み、とてもよく走るマシンに仕上がりました。反省点は、そのような状態であったにもかかわらず、今回は優勝争いをできなかった、ということでしょうか。しかし、強力なライバルたちと真剣勝負が続くレースでは、ときにはこういう結末もあり得るのかもしれません。もちろん、我々はこのリザルトに甘んじることなく、勝利を目指して戦い続けます」

―ピットボックスから、どんな気持ちで決勝レースを見ていたのですか。

「レース中にマルクが5番手まで浮上したときは、ひょっとしたら前方集団のとの差をさらに詰めてくれるのではないか、とも思いました。予選までの彼の走りは、ずば抜けて速いタイムを記録していましたからね。しかし、レース序盤の追い上げでタイヤを消耗してしまい、レース終盤にさらにスパートをかけることはできなくなってしまいました。また、ダニの走りを見ているとなんらかの問題を抱えていることは明らかでしたが、その原因が腕上がりであったとは、レースを終えて彼がピットに戻ってくるまで我々にも分かりませんでした」

―ペドロサ選手について、なにか最新情報はありますか?

「ダニは開幕戦のレースを終えて月曜にスペインへ戻り、バルセロナとマドリードの医師と相談した結果、手術を受けたほうがいいだろうという結論に達しました。4月3日(金)にマドリードで手術を無事に終え、現在は経過観察中です。ダニの回復状況を待ちつつ、できる限り早いレース復帰を目指したいと考えています。第2戦のアメリカズGPと第3戦のアルゼンチンGPは、すでに発表している通り、HRCテストライダーの青山博一選手にダニの代役として参戦してもらいます。今週末の第2戦では、最高の結果を得るために選手とチーム全員が一丸となって、全力で戦い抜きます。2015年シーズンも、我々はライダー、コンストラクター、チームの三冠連覇を達成するために総力戦で挑みます。皆さまも、熱い応援をぜひともよろしくお願いいたします」