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HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

vol.123

Repsol Honda Teamの両選手が地元で勇敢な走りを披露

今シーズン3回目のスペイン開催となる第14戦アラゴンGP。日曜の決勝レースは、天候の変化がレース展開を大きく左右する波乱の戦いになりました。
 ランキングで首位に立つRepsol Honda Teamのマルク・マルケス選手は土曜の予選で圧倒的な速さを披露し、今季11度目のポールポジションを獲得。チームメ―トのダニ・ペドロサ選手は2番グリッドで、両選手とも勝利に向け充実した体制で日曜日を迎えました。レースは、今にも雨が降り出しそうな空模様のもとで始まり、マルケス、ペドロサ両選手は序盤からトップグループを走行しました。やがて雨が降りはじめ、白旗が提示されてフラッグ・トゥ・フラッグになりましたが、様子を見計らいながらスリックタイヤで走行していたペドロサ選手が文字通り雨に足もとをすくわれて転倒。しばらくあとにマルケス選手も転倒を喫してしまいました。両選手ともマシンを引き起こしてピットへ戻り、それぞれウエットタイヤのマシンで再度コースインして、マルケス選手は13位、ペドロサ選手は14位でチェッカーを受けました。
 突然の困難にも屈することなく、強い意志でライダーとスタッフ全員が力を合わせ、最後まで戦い抜いた今回のレースウイークについて、チーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。

−土曜の予選ではRepsol Honda Teamの両選手はポールポジションと2番グリッドを獲得し、万全の状態で決勝レースを迎えたように見えたのですが、それだけに今日のレース結果は残念極まりない、という心境なのではないでしょうか……。

「今日の決勝は、本当に難しいコンディションのレースになりました。なにがあっても不思議ではないくらいの状況だったのです。マルクとダニは、ウエットタイヤのマシンに交換せずレースを走りきることに賭けたのですが、残念ながら、タイヤ選択を誤り、あのような結末になってしまいました。」

−ピットに戻るかどうかの判断はライダーに任せていたのですか。あるいはサインボードなどでなんらかの意志の疎通はあったのでしょうか。

「サインボードを使ってこちらの意図を伝達することはできますが、このような状況の場合だと、我々は常に、ライダーに最終的な判断を任せるようにしています。コースを走行しているのは彼ら自身で、路面状態やそのフィーリングは、ライダー以外には分からない事柄ですから」

−コースの一部は乾いていて、ブレーキングポイントも濡れていないようにも見えました。マルケス選手とペドロサ選手がピットに戻ろうとしなかったのは、それも関係しているのでしょうか。

「彼らが転ぶまで、状況はまだ明確ではありませんでした。ふたりのラップタイムも、さほど大きく落ちていなかったので、両選手とも、このまま走り続けても大丈夫と考えたのでしょう。やがて雨脚は非常に強くなり、あのような結果になってしまいました。つまり、あっというまに状況が変わってしまったということなのです」

−転倒後、両選手はマシンを引き起こしてレースに復帰し、13位と14位でチェッカーフラッグを受けてポイントを獲得しました。

「アスリート精神に満ちた、すばらしい行為だと思います。チームの両選手がともに転倒し、その後、レースに復帰して両名ともポイントを獲得したのは、過去にも例がないのではないでしょうか」

−今回のレース結果は残念でしたが、それでもマルケス選手は依然としてチャンピオンシップポイントで大きなリードを築いています。次戦の日本でチャンピオンが決まる可能性もあるのではないですか。

「今回のようなレース結果でこういうことを言うのも奇妙なのですが、マルクはダニとのポイント差をさらに1点広げました。次の日本GPでも、両選手はそれぞれ持てる力のすべてを出しきって戦いますし、我々も全力で彼らを支えます。皆さまの熱く温かいご声援が、我々にとって一番の活力です。ツインリンクもてぎで、皆さまとお会いできることを楽しみにしています。是非とも応援をよろしくお願いいたします」

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