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HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

vol.110

2014年開幕戦はマルケス優勝! ペドロサは3位でHondaが1-3フィニッシュ!

いよいよ2014シーズンが開幕しました。恒例のナイトレースで始まった第1戦カタールGPでは、史上最年少チャンピオンのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が持ち前の才能をフルに発揮して手に汗握るバトルを制し、優勝を飾りました。チームメートのダニ・ペドロサも高い安定感で3位表彰台。ともに上々のシーズン滑り出しとなりました。また、激戦のMoto3クラスでは、Honda NSF250Rを駆る選手たちが活躍。ポールポジションを獲得し、ダブル表彰台という好結果を得ました。
 開幕戦を制した激しい争いの舞台裏と2014年シーズンにかける期待を、チーム代表のリビオ・スッポが語ります。

−シーズン開幕を飾るにふさわしいすばらしいレースでした。このレースをどのような気持ちでご覧になりましたか?

「シーズン初戦でマルクとダニの2人がそろって表彰台を獲得し、完ぺきともいえる一年のスタートを切ることができました。特にマルクは、ケガでプレシーズンテストのほとんどを棒に振ってしまい、6週間もバイクに乗れない状態が続き、どれ位のレベルで走れるのか分からなかっただけに、今回の勝利が持つ意味は非常に大きいと言えるでしょう。彼はすばらしい天性の資質を今回も発揮し、勝利をもぎ取ってくれました。また、ダニも、苦手としているコースで3位を獲得してくれたのですから、いいシーズンのスタートになりました」

−ほかのHondaファクトリー勢の走りは、いかがでしたか。

「ステファンとアルバロは、すばらしい能力を披露してくれたと思っています。2人とも、決勝レースでトップ争いをしているときに転倒してしまったのは残念ですが、トップライダーの中で転倒を喫したのは彼らだけではありません。珍しいことに、ロレンソ選手までも転倒していました。それ位、路面コンディションが滑りやすい状態だったのでしょう。ともあれ、ステファンとアルバロのパフォーマンスは高く、今後の戦いが期待できそうです」

−スコット・レディング選手とニッキー・ヘイデン選手も、今年からの「オープンカテゴリー」用のニューマシンRCV1000Rでいい走りを披露していましたね。

「それぞれ7位と8位という彼らの結果は、上々と言っていいでしょう。ほかの選手たちが転倒したためにその順位になったのも事実ですが、それでもこの結果はスコットとニッキーの立派な取り組みがあったからこその結果で、0.35秒差でチェッカーを受けるという手に汗握る内容でした。両名ともリアにソフトタイヤを選択していましたが、タイヤがまだ新しい状態の序盤周回でも、非常に水準の高いラップタイムで周回していました。RCV1000Rは今回がデビューレースでしたが、シーズンが進めばマシンはさらに熟成されてくるでしょう」

−今季からのMotoGPクラスの新ルールについては、どんなふうに考えていますか?

「今年から、いくつかの点でルールが大きく変更になりましたね。オープンカテゴリーはうまくいっているようで、特に予選はタイムが接近してエキサイティングでした。ドゥカティ陣営は、『ファクトリーオプション』のカテゴリーで参戦しますが、新たに設けられた前年度未勝利のファクトリーに許可される新規定によって、オープンカテゴリーに近い利点を活用して参戦することになり、彼らの戦闘力向上に大きく寄与することになるでしょうね。ファンにとっては、楽しみが増えた、と言えそうです」

−MotoGPクラスの決勝レースでは多くの選手が転倒しましたが、原因はどこにあったのでしょう?

「これは私見ですが、カタールGPの決勝開始時刻は早めたほうがいいかもしれません。砂漠地帯は、日没後に一気に温度が低下し、湿度が上昇します。コースの状態も激しく変化し、それが多くの転倒につながったのではないでしょうか」

−Moto3クラスでも、Honda勢が活躍しました。なにか新しい取り組みがあったのですか?

「シーズンオフの間に技術陣が懸命に努力をした結果、NSF250Rの戦闘力が大幅に向上しました。多くのHonda勢がトップ争いに加わり、特にアレックス・マルケス(=マルク・マルケスの弟)は終始トップ争いを繰り広げ、もう少しで優勝というところまでがんばってくれました。今シーズンはMoto3クラスでも、Honda勢が大活躍してくれそうです。
 皆様が応援をしてくださったおかげで、開幕戦ではMotoGPクラスで1-3フィニッシュ、Moto3クラスでもダブル表彰台を獲得することができました。第2戦も、この調子でさらに好結果を目指し、我々は全力で戦います。今シーズンも、Honda勢への力強いご声援をよろしくお願いします」

※ MotoGPクラス 新規定

ファクトリーオプション(Honda/ヤマハ)
・ ECUハードウェア→共通、ソフトウェア→独自
・ 使用可能エンジン台数: 年間5基(シーズン中の開発は禁止)
・ 最大燃料容量: 20リットル

ファクトリーオプション(ドゥカティ)
・ ECUハードウェア→共通、ソフトウェア→独自
・ 使用可能エンジン台数: 年間12基(シーズン中の開発が可能)
・ 最大燃料容量: 24リットル
・ リアタイヤ: Honda/ヤマハのファクトリーオプションより1ランク柔らかいコンパウンド

オープンカテゴリー
・ ECUハードウェア→共通、ソフトウェア→共通
・ 使用可能エンジン台数: 年間12基(シーズン中の開発が可能)
・ 最大燃料容量: 24リットル
・ リアタイヤ: Honda/ヤマハのファクトリーオプションより1ランク柔らかいコンパウンド

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