今シーズンから最高峰クラスへの挑戦を開始した中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)が、MotoGPクラスのルーキーとして、着実に前進を続けています。経験豊富なチームにも支えられ、プレシーズンテストから、中上は少しずつMotoGPマシンの特性に慣れ親しみながら、シーズン開幕を迎えました。
開幕戦カタールGPは毎年恒例のナイトレース。中上は23番グリッドという後方からのスタートを強いられたものの、ポイント圏内までわずか1秒差の17位でチェッカーフラッグを受けました。第2戦のアルゼンチンは、混乱した状況でのレースになりましたが、その難しい展開を冷静に乗りきって、13位でゴール。最高峰クラス2戦目ながら、早くもチャンピオンシップポイントを獲得してみせました。
「カタールで経験し、勉強したことを活かせました。まだ足りない部分はたくさんありますが、前戦よりは着実に前進をできたと思います」レース後、中上は朗らかな表情でこう振り返りました。
「13位でポイントを獲れたのは、もちろんうれしいです。次はこれより上を目指し、目標を高く持ち続けていきたいです」
第3戦アメリカズGPでは、中上は走行が始まる前の木曜のインタビューで、今の課題はレースのスタートとバンク角だと述べました。
「今はまだ、スタートをうまく決めることができていません。もっと練習して、絶対の自信を持ってうまくクラッチをつなぐタイミングをつかめるようにしていく必要があります。開幕前からの課題だったリーンアングルも、まだ足りない部分があります。例えば、右から左にバイクを切り返す際、マルクやダニ、カルは一気に60度でフルバンクできているところが、僕はまだ1~2度、足りていません。それができるようになれば、一次旋回から一気にバイクを曲げられるようになると思います」
これらの課題を念頭に置いて臨んだ日曜のレースで、中上はベストグリッドの12番手からスタートし、14位でゴール。2戦連続でのポイント獲得となりました。
第4戦スペインGPは、イベリア半島最南端にあるヘレス・サーキットで開催されました。ヨーロッパラウンド初戦となったこのレースでも、14番グリッドからスタートした中上は12位でゴール。3戦連続でポイントを獲得するとともに、ここまでの4戦での今季ベストリザルトを獲得しました。
「今回のスタートはまずまずでクラッチミートもよく、失敗というほどの失敗ではありませんでした」
ここまでの戦いを振り返って、中上は今の課題はレース序盤のペースアップだと話します。
「スタート直後、ほかのライダーに比べて自分のリアのグリップが悪い印象で、コーナーの立ち上がりで置いていかれてしまいます。それがタイヤのグリップから来るものなのか、アクセラレーションの問題なのか、まだハッキリと理解できてないのですが、そのあとのレースペースは悪くないだけに、もったいないことをしているのはすごく感じています。そこを改善できれば、トップ10にはすぐに手が届くと思うので、序盤のペースアップが今の自分たちの改善点ですね」
ここまでの4戦で、中上貴晶は一歩一歩、着実に進歩を続けています。第5戦以降の彼がどのような成長曲線をたどるのか、これからも大いに注目してゆきましょう。