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2016.04.20 ロードレース世界選手権 第4戦 スペイン スペインGP プレビュー

スペインGP プレビュー

会場:ヘレスサーキット  全長:4.4km
決勝:[MotoGP]27Laps  [Moto2]26Laps  [Moto3]23Laps
MotoGP レポート

第4戦スペインGPが、4月22日(金)〜24日(日)までの3日間、ヘレスサーキットで開催されます。同サーキットは一周4.423km。バラエティーに富んだ大小13のコーナーの、すべてがパッシングポイントと言っても過言ではなく、今年も厳しい戦いが予想されます。

ヘレスは、1987年に初めてグランプリの地となり、以来、スペインGPの舞台として定着しました。ヘレスで開催されるのは今年で29度目となります(88年はハラマで開催)。サーキットのあるアンダルシア地方は、一年を通じて温暖な気候で、今年はMoto2クラスとMoto3クラスのウインターテストが行われました。MotoGPクラスは実施されませんでしたが、各チームともにデータは豊富で、初日からレベルの高い走りが予想されます。

Hondaは、これまでヘレスで通算20勝を達成しています。2012年はケーシー・ストーナー、13年はダニ・ペドロサ、14年はマルク・マルケスと、Repsol Honda Teamが3年連続で制覇しました。昨年はマルケスが2位と惜しくも優勝を逃しましたが、Repsol Honda Teamとしては、2006年から10年連続となる表彰台を獲得しました。今年はHondaとしてシーズン3勝目、スペインGPでの21勝目を目指します。

3戦を終えて総合首位に立つマルケス(Repsol Honda Team)は、レースをこなすごとに調子を上げてきました。開幕戦カタールGPは予選2番手から3位。第2戦アルゼンチンGPは、3年連続のポールポジションから2年ぶりの優勝を果たし、第3戦アメリカズGPでは、4年連続ポール・トゥ・ウインを達成と、次第に調子を上げています。今年は車両規定が大きく変わり、Honda陣営は、ここまでRC213Vのパフォーマンスを十分に引き出しているとは言えません。しかし、2年ぶりのタイトル獲得に燃えるマルケスが、RC213Vのパフォーマンスを徐々に引き出しています。今大会は、そんなマルケスの3連勝に期待が集まります。

3戦を終えて総合4位につけるペドロサ(Repsol Honda Team)は、昨年、右腕上腕部の手術のために欠場しているため、スペインGPへの参戦は2年ぶり。それだけに闘志をかきたてられています。ペドロサは、ヘレスでは250cc時代の05年に優勝、06年にMotoGPにスイッチすると、14年までに2勝、5度の2位、2度の3位と、10年連続で表彰台に立っています。地元ファンの期待に応えてきたペドロサ。2年ぶりの参戦となる今年は、今季2度目の表彰台と3年ぶりの優勝に闘志を燃やしています。

ホームグランプリを迎えるルーキーのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、開幕戦から3戦連続でポイントを獲得しました。開幕戦カタールGPで15位、第2戦アルゼンチンGPで9位、第3戦アメリカズGPで13位と納得のいく内容ではありませんが、粘り強い走りでRC213Vのパフォーマンスを引き出しています。ホームグランプリとなる今大会は、ベストリザルトを目指します。

チームメートのジャック・ミラーは、前戦アメリカズGPのフリー走行で転倒、右足首を痛めて決勝を欠場しました。アメリカズGPを終えて1週間のインターバルで、右足の状態は回復。今大会は今季2度目のポイント獲得を目指します。

ウインターテストで好調な走りをみせたカル・クラッチロー(LCR Honda)は、3戦を終えて、ノーポイントのレースが続いています。開幕戦カタールGPと第2戦アルゼンチンGPは転倒リタイアに終わり、第3戦アメリカズGPでも転倒を喫し、再スタートを切りましたがポイントの獲得はなりませんでした。今大会は初のポイント獲得と今季初の表彰台登壇に闘志を燃やしています。

Moto2 レポート

Moto2クラスは開幕戦から激戦が続いています。3戦を終えて2度の2位となったサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)が47点で総合首位、前戦アメリカズGPで今季初優勝のアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)が46点で2位、第2戦アルゼンチンGPで今季初優勝を果たし、前戦アメリカズGPで3位のヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が45点で3位。開幕戦カタールGPで優勝のトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)が43点で4位と、ランキング上位の4選手が僅差で並んでいます。今大会の舞台が、3月に公式テストが行われているサーキットだけに、初日からレベルの高い走りになりそうです。

前戦アメリカズGPで今季初優勝を達成したリンスは、上り調子でホームグランプリを迎えることになります。これまでヘレスでは、Moto3時代の14年に3位に入っていますが、優勝はなし。今年はスペインGP初制覇を目指します。

ヘレスのウインターテストで好調だったロースは、3戦連続の表彰台と今季初優勝を目指します。総合4位につけるルティも、過去に3度の表彰台を獲得しているヘレスで、シーズン2勝目を狙っています。ザルコも同じく、今季2勝目に闘志をかき立てられています。

3戦を終えて総合14位。フリー走行や予選での走りをなかなか結果につなげられない中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、得意のサーキットで今季初表彰台を目指します。ウインターテストでは自己ベストを更新。そのデータを生かし、初日からペースを上げていく意気込みです。

Moto3 レポート

厳しい戦いが続くMoto3クラスで、Honda勢は3戦を終えて2勝を挙げています。第2戦アルゼンチンGP、第3戦アメリカズGPと、2戦連続で2位のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)は、ホームグランプリでキャリア初勝利を目指します。ナバロは3戦を終えて首位と3点差の総合2位。ウインターテストから好調で、今季のチャンピオン候補の一人と目されるだけに、地元ファンの声援の中でどんな走りを見せるのかが注目されます。

開幕戦カタールGPのウイナーであるニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)は、不安定なコンディションの中で行われた第2戦アルゼンチンGPで10位、前戦アメリカズGPでは転倒リタイアに終わっています。3戦を終えて総合4位。今大会は過去2戦の雪辱と今季2勝目を狙います。

総合5位には、デビュー2戦目となる第2戦アルゼンチンGPで初優勝を果たしたカイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)。FIM CEVレプソルインターナショナル選手権で走り慣れたヘレスで、今季2度目の表彰台を狙います。以下、エネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)が8位、総合10位のヤコブ・コーンフェール(Drive M7 SIC Racing Team)が総合10位と、トップ10に5台のHonda勢が名を連ねています。

第2戦アルゼンチンGPにおいて、ベストリザルトの6位でフィニッシュした尾野弘樹(Honda Team Asia)は15位。前戦アメリカズGPは、フリー走行で右足を負傷し、厳しいコンディションで決勝を迎えました。さらに、決勝ではブレーキングで他車に接触したことでペナルティーを科せられ、25位に終わっています。ヘレスはFIM CEVレプソルインターナショナル選手権で得意としていたサーキット。ヨーロッパラウンドをきっかけに流れを呼び込もうと、気合を入れています。

MotoGP コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「このサーキットでは、ライバルたちがとても力強い走りをすると思いますが、チャンピオンシップで少しだけアドバンテージを持ってヘレスへ向かえるのはうれしいことです。ここまでの3戦を通じて、Hondaやチームとともに確実に前進しています。カタールではいいベースを見つけました。そしてアルゼンチンとテキサスでは、エンジンブレーキや電子制御などいくつかの部分で前進できました。しかし、加速の部分については、まだやるべきことも、改善の余地もあります。またヨーロッパのサーキットは、これまでのコースとは違って狭く、路面も異なるので、この状況にどう対処していくかを考えなければいけません。もちろん3レースを終えて、総合首位でスペインに戻ることはとてもうれしいです。地元ファンや僕のファンクラブの前でレースをするのは特別な気持ちになり、モチベーションが上がります。いいレースをしたいです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合5位)
「ヘレスはカレンダーの中でも大好きなサーキットの一つなので、楽しみにしています。昨年は参戦できず、本当に残念でした。前戦アメリカズGPは、残念な終わり方でしたが、いい結果を出そうと決意して挑んだレースでした。そんなレースのあとなので、ファンの前でポジティブなモードでレースウイークをスタートさせ、ベストを尽くしたいです。テキサスでは2位争いができたはずだと信じています。金曜日のFP1から全力で取り組みたいです」

ティト・ラバト(MotoGP 総合17位)
「テキサスでは、どの部分で苦戦しているのかを確認できました。それは、低速コーナーでマシンを寝かせている状態からの加速でした。この部分については、自分のテクニックの改善に取り組みたいです。チームも、加速時のタイムを上げられるように、マシンのセッティングと電子制御に取り組んでくれています。ヘレスはアベレージの高いコースで、幸い、この欠点に苦しむのはわずか3つか4つのコーナーです。そのため楽観的な気分です。スペインのレースは毎回モチベーションが上がります。できる限りいい結果を出せるように全力を尽くします。きっとまた一歩前進できると思います。前のグループにさらに近づけるようにがんばります」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合18位)
「テキサスではケガのために決勝に出場できず残念でした。ヘレスで走るのを楽しみにしています。オースティンのあとアメリカに残り、アンディー・ウォルシュ医師とリハビリに取り組みました。スペインからスタートするヨーロッパラウンドは、レースが次から次へとあるので、そのための準備をしてきました」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合21位)
「ヨーロッパラウンドを楽しみにしています。今シーズン、ここまでの3レースは本当に厳しいものでした。ここからは気持ちを切り替え、いつものようにベストを尽くしたいです。ヘレスではいくつか新しいセッティングを試します。これでミスが少なることを願っています。スペインGPで、LCR Hondaにいい結果をプレゼントできることを楽しみにしています」

Moto2 コメント

アレックス・リンス(Moto2 総合2位)
「今回はホームレースになります。地元スペインのファンの期待がとても大きく、プレッシャーを少し感じながら、レースウイークがスタートすることになります。今週末の戦略はいつもと同じで、最初から全開でプッシュしたいです。それがいいマシンを準備してレースに勝つカギとなります。ヘレスでレースができることをとても楽しみにしています」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合3位)
「昨年の大会は難しいレースになりましたが、2位でフィニッシュできて、とてもうれしかったです。また、今年のヘレスのウインターテストも、とても難しいものでした。でもグランプリでは、冬のテストのときとは路面の感触が違ってきます。今週末はいい感触が得られることを願っています。アレックス(リンス)が地元ファンからプレッシャーを受けるのはチャンスだと思います。いいレースにしたいです」

中上貴晶(Moto2 総合14位)
「ここからヨーロッパラウンドが始まるので、序盤の3戦で出遅れた分をここから巻き返したいです。調子はいいので、今回は結果につなげたいです。今回の地震で被災された熊本、九州地方の方々に心よりお見舞い申し上げます。微力だとは思いますが、レースで結果を残して明るいニュースを届け、少しでも元気を送ることができればと思っています。一日でも早い復興を心から願っています。Pray For Japan」

Moto3 コメント

ホルヘ・ナバロ(Moto3 総合2位)
「カタールとアルゼンチン、そしてアメリカの3戦を終えて、ホームレースに戻るので非常に楽しみにしています。ヘレスは昨年あまりいい結果を出せませんでした。シーズンを通じて、最も大変なサーキットの一つでした。でも、今年は公式テスト中にいい走りができました。最初の3戦と同様にポジティブに取り組んでいけば、いい仕事ができると思います。すべてのセッション、そしてピットを出るたびに前進できるよう、努力したいです。そしてレースでは、できる限りいい結果を出したいです」

ニッコロ・アントネッリ(Moto3 総合4位)
「ヘレスは難しいサーキットですが、プレシーズン中に何度かテストを行ったのでデータがたくさんあります。とにかく速いライダーがたくさんいるので、厳しいレースになると思います。しっかりマシンをセットアップして、いいペースを見つけることが重要になってきます」

カイルール・イダム・パウィ(Moto3 総合5位)
「前戦オースティンは自分にとって大変な週末でしたが、今週のヘレスは知っているサーキットなので、レースを楽しみたいです。そして、いい結果を出すためにベストを尽くしたいです。今年は勉強のシーズンです。初めてのサーキットも多く、グランプリのことをたくさん学ばなければいけません。今回も全力で挑みます」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合8位)
「正直、ヘレスは得意なサーキットではありませんが、3戦を終えてトップとのギャップがかなり開き、ポイントを取り戻す必要があるので、ベストを尽くさなければなりません。ウインターテストは、マシンのことを理解するのにとても役に立ちました。しかし今週末は、気温も路面コンディションも当時とは違うので、マシンのセットアップに取り組まなければなりません。現在、最も苦しんでいるのはレース序盤のペースで、今大会は、もっと強くなれるようにしたいです」

尾野弘樹(Moto3 総合15位)
「ヘレスは好きなサーキットなので、最低でもシングルフィニッシュを目指します。足の状態は、正直なところマシンに乗ってみないと分かりません。前回のレースに比べて痛みはなくなっていますが、まだ普通に加重をかけて歩くことができません。それが、ライディングにどう影響するのかも分かりません。一週間しか経っていないので、ケガの回復はあまり期待できませんが、悪化しないように、現状でのベストを尽くしたいです。熊本にはこれといって身近な友人や知り合いはいませんが、今回の地震で、今もたくさんの方がつらい思いをされています。同じ日本人として、自分のレースで被害に遭われた方々が少しでも元気になってもらえればと思っています。僕もケガに負けず、いいレースをします」