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2016.3.31 ロードレース世界選手権 第2戦 アルゼンチン アルゼンチンGPプレビュー

アルゼンチンGPプレビュー

会場:アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンド  全長:4.806km
決勝:[MotoGP]25Laps  [Moto2]23Laps  [Moto3]21Laps
MotoGP レポート

第2戦アルゼンチンGPが、4月1日(金)〜3日(日)の3日間、首都ブエノスアイレスの北西約1100kmに位置する、アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドで行われます。

このサーキットは、サンティアゴ・デル・エステロ州の州都サンティアゴ・デル・エステロから約65kmにあり、温泉が出ることからアルゼンチン国内ではスパリゾート地として知られています。そして、サーキットからはアンデス山脈の雄大な景色を望むことができます。アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、2008年に完成しました。その後、2013年に大幅に改修されて、同年8月には初の世界選手権となる世界ツーリングカー選手権(WTCC)が開催されました。

14年4月にはロードレース世界選手権が初開催となり、決勝日は5万2749人(3日間合計で12万5961人)、2年目となった昨年は5万234人(3日間合計で13万360人)という大勢のファンが、人口2万5千人前後の街に詰めかけ、アルゼンチンの大きなイベントの一つに成長しました。

アウトドルモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、ほぼ平坦な土地に作られた一周4.806kmのコースで、メインストレートが1.076kmと長く、中高速コーナーが続くシンプルなレイアウトとなっています。過去アルゼンチンGPは、1961年にブエノスアイレス郊外のアウトドルモ・オスカル・アルフレード・ガルベスで初めて開催され、1999年まで断続的に10度開催されました。テルマス・デ・リオ・オンドに舞台を移してから今年で3年目となり、アルゼンチンGPは通算13回目となります。

昨年の大会は、2年連続でポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、レース終盤までトップを走りました。しかし、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と接触して転倒、2年連続でのアルゼンチンGP制覇を達成できませんでした。今年は開幕戦カタールGPで3位表彰台を獲得。完ぺきなレースとはなりませんでしたが、昨年の雪辱と2年ぶりの大会制覇、そして今季初優勝に闘志を燃やしています。

チームメートのダニ・ペドロサは、初開催となった14年の大会ではマルケスに続いて2位になり、Repsol Honda Teamが1-2フィニッシュを達成しています。昨年は右腕の手術のためにアルゼンチンGPを欠場。2年ぶりの大会となるペドロサは、マルケスとともに14年以来のRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュを目指します。開幕戦カタールGPでは、マシンのセットアップが完ぺきではなく、5位でフィニッシュしましたが、今大会の走りに注目が集まっています。

開幕戦カタールGPで転倒リタイアに終わったカル・クラッチロー(LCR Honda)が、第2戦アルゼンチンGPでその雪辱に闘志を燃やしています。昨年は予選4番手から3位でフィニッシュ。Hondaチームに移籍して初の表彰台獲得を果たしました。今年は所属するLCR HondaがMotoGPクラスに参戦して11年目のシーズン。チームにとってはニューチャレンジのシーズンとなります。

MotoGPで2年目のシーズンを迎えるジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も、得意とするサーキットに気合を入れています。昨年の大会は予選21番手でしたが、決勝では12位でチェッカーを受けました。昨年はファクトリーオプションとオープンの2つのカテゴリーがあり、ミラーは、オープンクラスとして参戦したHonda勢の中でトップフィニッシュを果たしています。今年は開幕前のトレーニング中に右足を負傷しましたが、順調に回復しているので、今大会は開幕から2戦連続となるポイント獲得を目指します。

チームメートでMotoGPルーキーのティト・ラバトは、アルゼンチンGPでは、Moto2時代の14年に優勝しています。今年はMotoGPクラスの車両規定が大きく変わり、ルーキーにとっては厳しいシーズンとなっていますが、チームメートのミラーとともに、2戦連続のポイント獲得を目指します。

Moto2 レポート

Moto2クラスは、今大会も厳しい戦いが予想されます。開幕戦カタールGPでは、予選で上位につけた選手7名を含む8選手がジャンプスタートを喫する大荒れのレースとなりました。その戦いを制したのはトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)で、昨年のフランスGP以来、14戦ぶりの優勝を達成。2位にルイス・サロム(SAG Team)、3位にシモーネ・コルシ(Speed Up Racing)が続きました。彼らは、開幕戦の勢いを今大会にもつなげる意気込みです。

一方、優勝候補だったアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)はジャンプスタートで8位。同じく優勝候補のサム・ロース(Federal Oil Gresini Moto2)は9位。PP獲得で2年連続でカタールGP制覇を狙ったジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)は、転倒リタイアでした。そして予選9番手から決勝に挑んだ中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)もジャンプスタートのペナルティーで14位という悔しい結果に終わりました。

昨年のアルゼンチンGPで優勝したのは、開幕戦カタールGPにおいて、ジャンプスタートで12位に終わったヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)で、今大会は開幕戦の雪辱と2年連続タイトル獲得に向けて2年連続の大会制覇を狙います。昨年は、2位にリンス、3位にロースという順で、開幕戦で悔しい結果に終わった選手の走りに注目されます。

Moto3 レポート

Moto3クラスは、昨年の大会に続き、Honda勢が2年連続で優勝を目指します。昨年はダニー・ケント(Leopard Racing)が優勝、エフレン・バスケス(JPMoto Malaysia)が2位でフィニッシュしました。両選手はMoto2クラスにスイッチ。今年は開幕戦カタールGPで優勝したニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)、5位でフィニッシュのエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)、7位のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)、8位のリビオ・ロイ(RW Racing GP BV)と、し烈な優勝争いでシングルフィニッシュを果たしたHonda勢による、優勝争いが期待されます。

開幕戦カタールGPで18位の尾野弘樹(Honda Team Asia)は、昨年アルゼンチンGPでは優勝争いに加わりました。最後に接触して13位に後退しましたが、今年は初表彰台登壇への期待が膨らみます。チームメートのカイルール・イダム・パウィは初めてのサーキットとなりますが、初のポイント獲得が期待されます。

MotoGP コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合3位)
「シーズンが始まる前はどのような結果になるのか本当に予想できませんでしたが、カタールで3位表彰台を獲得し、ポジティブな気持ちでアルゼンチンに来ることができました。カタールでは、レースウイークを通してHondaやチームとともに懸命に取り組み、レースでは可能な限りプッシュすることができました。もちろんアルゼンチンではウインターテストはなかったので、カタールで見つけたセットアップが、ここでもうまく機能するかは分かりません。もしうまく機能すれば前進できるし、決勝ではカタールより上の目標を立てることができるかもしれません。アルゼンチンは好きなサーキットです。これまでいつも速く走ることができたので、レースウイークへ向けて気持ちはポジティブです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合5位)
「カタールGPでは、ウインターテストに比べたらセットアップは前進しました。ペースも上がり、それをキープすることができました。これまで難しく感じていたコースでしたが、腕の調子がよかったのはポジティブなことでした。新しいマシンに関してもさらに理解を深めることができました。でもまだ十分ではありません。上位のライダーたちとの差は大きいので、ライディングポジションやマシンの挙動に加えて、さらにスピードを上げるために全体的なセットアップを改善しなければなりません。これがアルゼンチンGPでの目標です。昨シーズン、ここでのレースは走りませんでしたが、14年のいい思い出があります。レイアウトも好きです。また一歩前進できることを願っています」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合14位)
「カタールで一番よかったことは、足首のケガがレースに全く影響しなかったことです。思うままに走ることができたし、完走してポイントを獲得できました。今大会は、カタールGPのセッティングをベースに、さらに取り組んでいきたいです。今年のマシンに新しい電子制御をうまくセットアップして、さらに強くなっていきたいです。過去2回のアルゼンチンでは、いい結果を残すことができました。今回も楽しみです」

ティト・ラバト(MotoGP 総合15位)
「カタールは難しいレースウイークになりましたが、最終的には完走することができました。思ったよりトップとのギャップは縮まりませんでしたが、MotoGPでは初のポイント獲得となりました。アルゼンチンではMoto2クラスで2年前に優勝しているので、今回も前進していきたいです。MotoGPマシンでは初めてのサーキットになるので、学ばなければならないことがたくさんあります。最も重要な目標はカタールよりいい結果を出すこと。一つでもポジションを上げたいです」

カル・クラッチロー(MotoGP ノーポイント)
「カタールではマシンの感触がとてもよくて、転倒するまではダニ(ペドロサ)や、マーベリック(ビニャーレス)を追い上げていました。感触が最高だっただけに、とても残念でした。でもポジティブな部分もあり、かなり戦闘力はあったと思います。速いと思った何人かのライダーの前を走ることができました。アルゼンチンではもっといい結果が出せることを願っています。昨年のアルゼンチンでは、いいレースをしました。今年もいいレースになることを願っています」

Moto2 コメント

トーマス・ルティ(Moto2 総合1位)
「カタールGPで優勝したので、モチベーションは上がっています。アルゼンチンGPがとても楽しみです。シーズンは長いので、すべてのサーキットでいいパフォーマンスを発揮しなければなりません。昨年の大会は6位でしたが、フリー走行では感触がよかったので、今年も楽しみにしています。セットアップに関しては、アルゼンチンでも使えるいいベースを見つけました。今大会もいい結果を残せるように全力を尽くします」

シモーネ・コルシ(Moto2 総合3位)
「アルゼンチンはカタールに比べると、とても難しいサーキットですが、こういうレイアウトは僕のマシンに合っていると思うし、自信があります。コースはとてもよくて、とても速く、楽しみです。カタールではいいスタートが切れたので、今大会も表彰台の獲得を目指します。それを達成できたら本当にうれしいです」

サム・ロース(Moto2 総合9位)
「昨年は初めてのアルゼンチンGPで3位になることができました。Moto2クラスでは2度目の表彰台獲得でした。おととしは少し難しかったです。最終的には大きな集団で戦い8位でフィニッシュしました。今年のカタールでは予選2番手でしたが、ジャンプスタートのため9位に終わりました。アルゼンチンでもフロントローに並べると確信しているし、トップグループで戦うことを目標にしています」

中上貴晶(Moto2 総合14位)
「開幕戦カタールGPはジャンプスタートとなり、14位に終わりました。決していいシーズンのスタートとは言えませんでしたが、ウインターテストから順調なので、アルゼンチンGPでは、開幕戦の悔しさをぶつけたいです。テルマス・デ・リオ・オンドでは、過去2年、思うような結果を残せていません。しかし、ウインターテスト、そして開幕戦の走りを再現できれば、結果はついてくると思います。アルゼンチンGP、アメリカズGPの2連戦でいい流れを作りたいです」

Moto3 コメント

ニッコロ・アントネッリ(Moto3 総合1位)
「優勝したときは、いつでも最高の気分です。特に新しいシーズンの最初のレースだったので、さらにいい気分でした。でもカタールは大接戦だったし、それを考えると、今年のチャンピオンシップはとても厳しいものになると思います。最高のパフォーマンスをキープしていくためには、集中力を維持し、レースに全力で挑むしかありません」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合5位)
「カタールのようなバトルは、これからもたくさんあると思います。そして1mか、それより短い僅差で結果が分かれることになると思います。もちろんこうしたバトルは楽しいのですが、望むような結果を出すのはとても難しくなります。特に最終ラップは想像を絶する戦いになるし、運も必要です。アルゼンチンのサーキットを走るのがとても楽しみです」

ホルヘ・ナバロ(Moto3 総合7位)
「カタールでは細かい部分を改善できず、思うような結果が出せませんでした。ウインターテストと開幕戦を終えて、次のレースに向けてできる限り準備を整えるために、トレーニングも続けてきました。モチベーションはとても高いです。いい結果を残すために全力で挑みます」

尾野弘樹(Moto3 ノーポイント)
「開幕戦カタールGPは、順調にセットアップを進めることができず、ウイークを通して苦しみました。予選では転倒しました。その結果、いいグリッドを得られず、決勝では追い上げのレースとなり、ポイントを獲得できませんでした。今週のアルゼンチンGPでは納得のいくマシンを作り、昨年同様に最後までトップ争いをすることが目標です。トップ争いができれば、納得のいく順位でレースを終えられると思います」