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MotoGP

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October 16/17/18 2015 MotoGP Australian Grand Prix

オーストラリアGP オーストラリアGP

オーストラリアGPプレビュー

日本GPからの連戦となる第16戦オーストラリアGPが、10月16日(金)から18日(日)までの3日間、フィリップアイランド・サーキットで開催されます。フィリップアイランドは、一周4.448km。高速コーナーが連続するレイアウトで、シーズンを通してアベレージの高い高速サーキットの一つ。アクセルの全開率が高いコースレイアウトのため、エンジンの性能差がほとんど出ません。また、こうしたコースレイアウトの特徴により、スリップストリームを使い合うことになるため、毎年、し烈なバトルが繰り広げられます。今年も壮絶な優勝争いが予想されます。

 オーストラリアGPプレビュー

昨年の大会は、日本GPで2年連続チャンピオンを決めたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、シーズン12回目のポールポジション(PP)を獲得、ミック・ドゥーハン、ケーシー・ストーナーがHondaマシンで記録したシーズン最多記録に並びました。しかし、決勝レースでは、午後4時という変則的なスタート時間となってレース中に路面温度が下がり、マルケスはトップを快走するも痛恨の転倒を喫しました。今年は、その雪辱に挑む大会となります。

マルケスは、2012年にフィリップアイランドでMoto2クラスのタイトルを獲得しました。MotoGPクラスで史上最年少記録でチャンピオンを獲得した13年は、新しい路面にタイヤが適合せず、ドライコンディションながら”フラッグ・トゥ・フラッグ”でレースを行うという変則ルールで決勝が行われ、ピットインの指示をチームがミスしたことで失格になっています。そして、昨年は転倒と、2年連続で、あと一歩のところで優勝を逃しています。フィリップアイランドは、マルケスが最高峰クラスで優勝していないサーキットの一つ。今年はフィリップアイランドで最高峰クラス初制覇とシーズン5勝目を狙います。

前戦日本GPで22戦ぶりに優勝したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)も、フィリップアイランド初制覇に闘志を燃やしています。今年は、シーズン序盤に右腕の”腕上がり”の手術を行い、3レースを欠場しました。それからも腕の回復に努めながらレースに挑んできましたが、第14戦アラゴンGPで2位、第15戦日本GPで今季初優勝と調子を上げ、ランキングも総合5位へとポジションを上げました。今大会は、シーズン2勝目とフィリップアイランド初制覇を狙います。

カル・クラッチロー(LCR Honda MotoGP)は、得意のコースで今季2度目の表彰台を狙います。シーズン中盤戦に入ってから、リアのグリップをうまく引き出すことができず、苦戦しています。それも徐々に改善されてきているので、今大会は、好走が期待されます。スコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も今季2度目の表彰台獲得に挑みます。前戦日本GPは、ほかのライダーと違うハードタイヤを選択、序盤はペースを上げられませんでしたが、後半に追い上げて、目標のトップ10フィニッシュを果たしました。不安定な天候になれば、レディングの粘り強い走りに注目されます。

Hondaのオープンカテゴリーマシン「RC213V-RS」で出場のジャック・ミラー(LCR Honda MotoGP)は、ホームGPに闘志を燃やしています。MotoGPマシンで初めて走るホームサーキット。高速サーキットのフィリップアイランドに大きな不安と期待を抱いての大会となりますが、今季ベストリザルトを目標に挑みます。ニッキー・ヘイデン(Aspar Team MotoGP)、ユージン・ラバティ(Aspar Team MotoGP)の両選手も今季ベストを狙います。今大会も欠場するカレル・アブラハム(AB Motoracing)の代役として、今季、シーズン途中までMoto2クラスに出場していた地元オーストラリアのアンソニー・ウエストが出場します。

Moto2クラスは、前戦日本GPでヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)がタイトルを獲得しました。残り3戦、日本GPで7勝目を挙げたザルコが、どこまで優勝記録を伸ばすかに注目が集まっています。

総合2位のティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、前戦日本GP前のトレーニングで左腕を負傷し、日本GPは初日のフリー走行を終えて欠場を決めました。依然として今大会も万全ではなく、痛みをこらえての出場になります。

そのラバトに17点差に迫ったアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)は、残り3戦で総合2位を目指します。雨になった前戦日本GPでは11位と低迷。その悔しさを晴らす意気込みです。総合10位につける中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)も、前戦日本GPは転倒を喫し、再スタートして22位という悔しいレースに終わっているだけに、今大会は今季2度目の表彰台を目指します。チームメートのアズラン・シャー・カマルザマンは、前戦日本GPをベストリザルトの4位でフィニッシュ。今大会の走りに注目されます。

Moto3クラスは、タイトル争いが大詰めを迎えています。総合首位のダニー・ケント(LEOPARD Racing)と総合2位のエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)のポイント差は56点。今大会、ケントがバスティアニーニに先着すれば文句なくタイトルが決まります。Honda勢同士のチャンピオン争いとなっていますが、今大会一番の、注目のレースとなります。

Hondaは、前戦日本GPでMoto3クラスで16度目のコンストラクターズタイトルを獲得しました。今大会は15度目のライダータイトル獲得が期待されます。

なお、前戦日本GPで転倒した尾野弘樹(LEOPARD Racing)は、左足を負傷して今大会を欠場します。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合3位)
「日本での週末はあまりいいものではありませんでした。しかし、ウエットコンディションだったので、手のケガがそれほど影響しなかったのはよかったです。ドライコンディションだったら、もっと悪いリザルトだったかもしれません。今週はオーストラリアです。フィリップアイランドは大好きなサーキットの一つなので、とても楽しみです。もてぎより相性がいいと思うので、金曜日のFP1から一生懸命がんばって最良のセットアップを見つけたいと思います。このサーキットは体力をとても使い、高速でハードな切り返しが多いので、しっかり手を休ませて挑みたいと思います」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合5位)
「難しい週末でしたが、もてぎではすばらしい結果を残すことができました。とてもポジティブな気分です。次のオーストラリアへ向けていい勢いがあります。フィリップアイランドは天候の影響でトリッキーになるかもしれないので、いい予選ポジションを獲得できるように一生懸命がんばります。どんなレースになるかは予想が難しいです。今年のマシンがどんなふうに機能するか、様子をみたいです。とにかく一生懸命戦って再び表彰台に上がれることを願っています」

カル・クラッチロー
(MotoGP 総合8位)
「フィリップアイランドは、ほかのライダー同様に大好きなサーキットの一つです。ユニークなサーキットなので、多くのライダーがいつも楽しみにしています。ホームストレートは高速で、その次に海が目の前に見えてきて、とても不思議な気分になります。特に前を見ることもないサーキットもありますが、フィリップアイランドはさまざまな要素が少しずつ取り込まれています。パッシングポイントもいくつかあり、コーナー出口の加速も魅力です。僕たちのマシンは高速コーナーがいいので、うまくいくと思いますが、リアグリップ改善に取り組まなければいけません」

スコット・レディング(MotoGP 総合13位)
「もてぎはとても難しいレースでしたが、普通のレースよりも学ぶことが多かったように感じます。また、全体的には目標のトップ10をマークすることができてうれしいです。これで自信を持ってフィリップアイランドに行くことができます。とても楽しみです。このサーキットは最高のサーキットです。昨年乗っていたオープンマシンと、ファクトリーマシンとではかなり違うと思います。どんな走りができるか楽しみです」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合18位)
「ホームレースはいつもとは違う気持ちになります。家族や友人がくるからなのか、それとも自信があるからなのか、不思議な気持ちになります。今年はルーキーなので、ほかのサーキットと同様に難しいと思います。でも、地元のオーストラリアですし、たくさんの人がチケットを買って応援に来るので、100%の力を出しきりたいと思います。もちろんプレッシャーはあります。このサーキットには低速コーナーが2つしかありません。それ以外は流れるような走りになりますが、ハッキリしているのはMotoGPマシンで走るのはかなり大変なサーキットだということです。かなりスライドするとみんなが話しているので、楽しみです」

ニッキー・ヘイデン
(MotoGP 総合19位)
「フィリップアイランドの雰囲気は格別です。高速の左コーナーは大好きなので、毎回楽しみです。このサーキットは信頼してアタックできる快適なマシンが必要です。天候によってはなにが起こるか分かりません。晴れているときは本当にいいのですが、風が強く、とても寒くなることもあります。そうなれば、決して楽ではなく、タイヤがちゃんと温まっていることが重要になってきます。ここで2回表彰台に上がりました。最終ラップにジベルノーをパスしたのは、忘れられない瞬間でした。デビューシーズンだったし、多くの人に質問されました。そのほか過去にいいレースをいくつかしました。今週末もまたいいレースができるとうれしいです」

ユージン・ラバティ(MotoGP 総合21位)
「このサーキットでは経験がありますし、好きなサーキットです。また、流れるようなコースは僕たちのマシンとよく合います。フィリップアイランドはカレンダーの中で最もリズミカルなサーキットです。そのため、今週末をとても楽しみにしています。唯一心配しているのがコンディションです。スーパーバイクで走ったときは夏で30℃の気温でした。今回は明らかに季節が違います。スーパーバイクでは何度か優勝しましたが、自分がライダーとして合っていたというよりは、乗っていたマシンがコースに合っていたからでした。でも、今乗っているマシンにも合っていると思います。アルゼンチンも同じようなところでしたが、そのころはマシンをまだ学んでいる段階でした。フィリップアイランドで走るのを楽しみにしています」

アンソニー・ウエスト(MotoGP 代役出場)
「MotoGPマシンに乗らないかという電話はいつだってうれしいものです。残念ながらカレルは今参戦できる状態ではありません。早くよくなることを願っています。でも、彼のマシンでレースをさせてもらえることを、本当に感謝しています。今回は僕のホームグランプリです。思ってもみなかったので、フィリップアイランドでMotoGPマシンを走らせることが本当に楽しみです。オーストラリアの多くのファンがサポートしてくれることを願っています」

ヨハン・ザルコ(Moto2 チャンピオン)
「日本GPの金曜日にチャンピオン獲得が決まったので、プレッシャーは少なかったです。オーストラリアでも日本と同じようにトップで走りたいです。違うセッティングを試してみたいと思います。もしうまくいかなくても失うものはありません。でも、来年の準備をしなければなりません。今回も目標は一つだけ、優勝です」

ティト・ラバト(Moto2 総合2位)
「チャンピオンシップは終わりました。ヨハンにおめでとうといいたいです。彼はほぼ完ぺきなシーズンを過ごしました。来年僕はMotoGPに移りますが、Moto2のレースがまだ3戦残っています。できる限りいい結果を出したいと思います。唯一の問題は右腕のケガの状態です。もてぎのメディカルチェックは通りましたが、走るのは難しすぎました。1週間経って、どれだけ痛みが引いて、力強い走りができるかにかかっています。今大会は走れることを願っています」

アレックス・リンス
(Moto2 総合3位)
「日本GPは雨のために難しいレースになり、残念な結果に終わりました。しかし、今週のオーストラリアGPは、とても楽しいサーキットなので、楽しみにしています。いつものように集中したいです。チャンピオンシップのことは考えず、できる限りいい結果を残したいです。うまく走ることができれば、いい結果がついてくると思います」

中上貴晶(Moto2 総合10位)
「日本GPはとても残念でした。日本のファンの声援に応えられず、申し訳ない気持ちと同時に、とても悔しい気持ちになりました。3番手までポジションを上げたときの声援は、本当に力になりました。今週は気持ちを切り替えて、オーストラリアGPに挑みます。ここからの3戦、日本GPの悔しさをぶつけたいです」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「オーストラリアGPがとても楽しみです。オーストラリアはとても好きです。シーズンオフに、ジャック・ミラーの家でリラックスした時間を過ごしたことがあります。日本GPを終え、プレッシャーがだいぶ減り、少し落ち着いています。でも、夢をかなえるために引き続き集中してがんばらなければなりません。まだ仕事は終わっていません。ポイントでは有利ですが、まだなにが起こるか分かりません。どちらにせよ、フィリップアイランドのサーキットへ行くのがとても楽しみです。このサーキットでレースマシンを走らせるのはとても楽しいです」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合2位)
「昨年はマシントラブルでリタイアしました。とてもおもしろいサーキットだったので残念でした。2度目のフィリップアイランドですが、今年は、全く違うポジションにいます。タイトル獲得のチャンスはほとんどないかもしれませんが、自分の仕事に集中してレースで完走し、チャンピオンシップ2位を死守しなければなりません」

ニッコロ・アントネッリ(MotoGP 総合4位)
「3連戦のスタートはすばらしかったです。毎回自信を持って挑んでいますが、先週2度目の優勝を果たし、さらに自信を増してフィリップアイランドへ向かうことができます。みんなと同様、フィリップアイランドが楽しみです。高速で、とてもおもしろく、特別なサーキットです。今回も厳しく、大きな集団で接戦になると思います。集団の前に出ることが僕のプランです」