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MotoGP

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August 7/8/9 2015 MotoGP Red Bull Indianapolis Grand Prix

インディアナポリスGP インディアナポリスGP

インディアナポリスGPプレビュー

シーズン後半戦のスタートとなる第10戦インディアナポリスGPが、8月7日(金)~9日(日)の3日間、インディア州インディアナポリス・モータースピードウェイで開催されます。このサーキットは、世界で最も伝統と歴史のあるサーキットで、2009年に開設100周年を迎えました。インディアナポリスで初めてMotoGPが開催されたのは08年。今年で8年目を迎えます。

インディアナポリスGPプレビュー

インディアナポリスGPは、Honda勢が過去5年すべてで勝利を収めています。10年にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、11年にはすでに引退しているケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)で、12年にはペドロサが2度目の優勝。13年は、その年、史上最年少記録で世界チャンピオンに輝いたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が勝利、14年はマルケスが大会2連覇を達成と、Repsol Honda Teamが5連勝を達成しています。

昨年、大会2連覇を達成したマルケスは、この大会で多くの記録を樹立しました。1970年にジャコモ・アゴスチーニが記録した開幕10連勝という記録に並び、マイク・ヘイルウッドが1964年に24歳94日で記録した史上最年少を21歳146日でブレイク。10連勝は、アゴスチーニ、ヘイルウッド、ジョン・サーティース、そしてミック・ドゥーハンが記録していますが、昨年マルケスが樹立した10連勝は、1997年にドゥーハンがHondaで記録して以来となる、17年ぶりの10連勝達成となりました。

MotoGPクラスの3年連続チャンピオンを狙うマルケスは、シーズン前半戦は不運の転倒などが続いて総合4位とやや出遅れました。しかし、得意とするアメリカラウンドから巻き返す意気込みです。マルケスは、13年に最高峰クラスにデビューして以来、インディアナポリス、アメリカズGPが開催されるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ、13年にマツダ・レースウェイ・ラグナセカで開催されたアメリカGPと、これまで米国で開催された6大会すべてで優勝しています。今年はインディアナポリスGP3連覇と、シーズン3勝目の期待が膨らんでいます。

シーズン序盤に右腕の腕上がりの手術で3戦を欠場したペドロサは、復帰した第5戦フランスGPから徐々に調子を上げて、前半戦の締めくくりとなる第9戦ドイツGPでは、今季ベストの2位でフィニッシュしました。ドイツGPでは、優勝したマルケスとともに、今季初のRepsol Honda Teamによる1-2フィニッシュを果たしました。過去、インディアナポリスで2勝を挙げているペドロサ。昨年は、コースレイアウトが少し変更された影響で、セッティングを詰めきれずに4位と悔しいレースに終わっています。今年はその雪辱と、今季初優勝に闘志を燃やしています。

前半9戦を終えて総合8位のカル・クラッチロー(CWM LCR Honda)は、後半戦での巻き返しに気合を入れています。シーズン前半の第3戦アルゼンチンGPでは3位表彰台に立ちましたが、それ以降は、フリー走行や予選の好パフォーマンスを決勝につなげられず、3戦連続転倒と苦しいレースが続いていました。しかし、第8戦オランダGPで6位、第9戦ドイツGPで7位と、着実にフィニッシュ。クラッチローの目指すトップグループでの戦いには届いていませんが、後半戦はその悔しさを晴らす意気込みです。

総合14位につけるスコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も、後半戦での巻き返しに闘志を燃やしています。前半戦は、レース用タイヤではまずまずいい走りを披露するも、予選用タイヤでタイムを出せず、グリッドの悪さが決勝レースを厳しいものにしていました。後半戦はその課題をクリアすることを最優先に、最も得意とするインディアナポリスからのブレイクが期待されます。

Hondaのオープン車「RC213V-RS」で出場するルーキーのジャック・ミラー(CWM LCR Honda)は、前半戦、4度のポイント獲得で総合18位につけています。徐々にMotoGPマシンのパフォーマンスを引き出しているミラーだけに、今大会は、目標とするシングルフィニッシュを目指します。

昨年、ケガのためにインディアナポリスGPを欠場しているニッキー・ヘイデン(Aspar MotoGP Team)は、2年ぶりのインディアナポリスGPに闘志満々。チームメートのユージン・ラバティは、シングルフィニッシュを目標に戦います。また、ケガのために第8戦オランダGPから欠場しているカレル・アブラハム(AB Motoracing)の代役として、今大会はトニー・エリアスが出場します。

Moto2クラスは、9戦を終えて3勝を含む8度の表彰台獲得と安定した強さを見せているヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が、2位に65点差をつけて後半戦を迎えます。総合2位にはディフェンディングチャンピオンのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)で、前戦ドイツGPの雪辱に燃えています。ドイツGPでは他車の転倒に巻き込まれて転倒という悔しいレースでした。総合3位のサム・ロース(Speed Up Racing)は、昨年の大会ではポイントを獲得できませんでしたが、インディアナポリスは大好きなサーキットと語るだけに、今年は表彰台獲得に期待が膨らんでいます。

総合4位にはルーキーのアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)、総合5位にはトーマス・ルティ(Derendinger Racing Interwetten)と続き、総合2位のラバトから5位のルティまでが15点差。今大会も上位陣による激戦が予想されます。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、インディアナポリスGPで2年ぶりの表彰台を目指します。鈴鹿8時間耐久ロードレースに出場したアズラン・シャー・カマルザマン(IDEMITSU Honda Team Asia)は、今季2度目のポイント獲得に挑みます。

Moto3クラスは、ダニー・ケント(LEOPARD Racing)が前半戦で5勝を挙げてライバルに対して大きなリードを築いています。後半戦のスタートとなるインディアナポリスGPでは、前戦ドイツGPからの2連勝と、今季6勝目を目指します。総合2位のエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)は、レースをこなすごとにリザルトを上げています。インディアナポリスGPでは、今季3度目のポールポジションと5度目の表彰台を狙います。今大会もチャンピオン争いをするHonda勢の戦いに注目が集まります。

総合5位には、昨年の大会でキャリア初優勝を果たしたエフレン・バスケス(LEOPARD Racing)。総合7位には、ルーキーのファビオ・クアルタラロ(Estrella Galicia 0,0)、総合9位にはニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)と、トップ10に5人のHonda勢が名を連ねます。尾野弘樹(LEOPARD Racing)の今後は、初挑戦サーキットが続きますが、初の表彰台獲得に向けて全力で挑みます。

今大会、Hondaはグランプリ通算698勝で迎えます。Moto3クラスでHonda勢が優勝した場合、MotoGPクラスで700勝達成の可能性が浮上します。700勝達成に向けて、Moto3クラスの決勝が、大きな注目を集めることになります。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合4位)
「後半戦に向けて体調の回復と充電のために過ごした時間はすばらしいものでした。ミサノのテストのあと、友人たちと1週間ほどイビザ島に行きましたが、とてもすばらしいものでしたし、望んだ通りの休暇になりました。今は後半戦に向けて、トレーニングをこなしています。気持ちはインディアナポリスGPに向かっています。アメリカでレースするのは大好きですし、熱心なファンに感謝しています。インディアナポリスは昨年、アスファルトの変更があってトリッキーなコースになりましたが、金曜日からいつものように一所懸命がんばって、できるだけ速く、自分のリズムを取り戻したいです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合7位)
「あっという間の夏休みでしたが、後半戦に向けて準備をしつつ、リラックスしています。ドイツではいいレースができましたし、気持ちよく前半戦を折り返せました。ドイツGPのあとのミサノでのテストでも、成果は大きかったです。それからは、しばらくレースのことは忘れて、ジュネーブ湖での時間を楽しみました。リラックスしながらも、腕の回復には引き続き取り組み、週末にはインディアナポリスGPに向けてトレーニングを開始しました。インディアナポリスGPでは、これまでいい結果を残してきましたし、今年も優勝を目指します。新しい路面は、グリップがパートによってころころ変わり、マシンのセットアップが難しいのですが、その点にも十分に注意を払ってセットアップを進めていきます」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合8位)
「3週間の夏休みをリラックスしながら、トレーニングにも取り組みました。特に自転車を使ったトレーニングに力をいれました。後半戦は総合8位からスタートしますが、このリザルトは決してパーフェクトな結果とは言えません。前半戦は3度の転倒がありましたし、後半戦のスタートとなるインディアナポリスGPでは、少しでもトップライダーに近づけるようにがんばる必要があります。Hondaはこのサーキットでは、とてもいい結果を残してきました。しかし、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)やホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、そのほかのライダーたちも夏休みでバッテリーを充電してきているので、今週末はおもしろいレースになると思います」

スコット・レディング(MotoGP 総合14位)
「インディアナポリスは本当に大好きなサーキットです。特にコースが変更された昨年からは、スムーズなライン取りとなり、とても気に入っています。MotoGPのカレンダーの中では、一番のお気に入りです。夏休みは前半を振り返るいい機会になりました。我々が望んだシーズンのスタートとはなりませんでしたが、ザクセンリンクに向けて着実に前進できました。後半戦はマシン、ラップタイム、自分自身の安定性について、改善を進めなければなりません。自信はあります。パドックからしばらく離れていたので、これからの週末が楽しみで仕方がありません」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合18位)
「ドイツGPのあと、家族や友人とオフのタイムを過ごすために、オーストラリアのタウンズビルに戻りました。とてもすばらしい帰省になりました。ダニー・ケントと一緒にモトクロスやダートトラックをやりました。インディアナポリスでは昨年、Moto3クラスで表彰台に立っています。後半戦がとても楽しみです。今年はレースごとに着実に前進していますし、オープンカテゴリーでは、もっと上を狙っていけると思っています」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合21位)
「インディアナポリスは自分の住んでいるケンタッキーから近いですし、ホームグランプリなので、とてもエキサイトしています。昨年は残念ながら出場できず、見るだけだったのでとてもつらい思いをしました。また、レイアウトが少し変更されたニューサーキットを走る機会もありませんでした。しかし、ほかのライダーたちのフィードバックはポジティブなものばかりでしたので、楽しみにしています。3週間の休暇中はトレーニングをしました。後半戦はもっとレベルを上げて臨めると確信しています」

ユージン・ラバティ(MotoGP 総合22位)
「後半戦に向けて100%の状態です。数回の大きなクラッシュを経験したあとだったので、この夏休みは、身体を回復させるためにも、とてもありがたいものでした。前半戦はルーキーシーズンということで、学ぶことがたくさんありました。特にセットアップについては多かったと思います。よかったり悪かったりの戦いが続いていますが、我々のスピードはオープンクラスの中では誇れるものだと思います。インディアナポリスは後半戦のキックオフとしては、楽しめそうなサーキットです。久しぶりに自分のマシンに会えるのが楽しみです」

トニー・エリアス(MotoGP)
「1度のレースのためとはいえ、こうしてMotoGPに戻って来られたのはとてもうれしいことです。カレル・アブラハムには早く回復してサーキットに戻ってきて欲しいと思います。AB MotoracingとHondaには、こうしたチャンスを与えてもらい、感謝しています。初めて乗るマシンですが、全力で取り組みます。今年は鈴鹿8耐にも出場して、ブリヂストンタイヤで多くの周回をこなしました。このタイヤはMotoGPのタイヤとよく似ていましたし、今回のレースに生きると思います。これからの4日間、チームと一緒に取り組めることを楽しみにしています」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合1位)
「インディアナポリスはすばらしいサーキットで、とても楽しみにしていますが、このコースはペースをキープするのがとても難しいです。しかし、今年は、昨年より自分自身が強くなっていますし、それを確認するという点でも楽しみなレースです。シーズン前半戦はどのグランプリでも、優勝争いに加われました。この勢いを後半戦もキープしたいです」

ティト・ラバト(Moto2 総合2位)
「3週間のリラックスした休日を終えて、インディアナポリスに向かっています。少しでも早く、いつものペースを取り戻さなくてはいけません。休暇中もトレーニングは続けていましたし、体調は万全です。決勝に向けてのアプローチはこれまでの通り。そして、インディアナポリスではなにが必要なのかをしっかり見定めて、競争力あるパッケージに仕上げなくてはいけません。できる限り前のポジションでフィニッシュできるようにがんばります」

サム・ロース(Moto2 総合3位)
「3週間の夏休みは、しっかりトレーニングができましたし、リラックスした時間を過ごせました。オフロードを走ったり、ゴルフをしたりと、楽しめました。昨年、初めて走ったインディアナポリスは、最高に楽しく走れました。前半戦を終えて総合3位と、今年はいいシーズンになっていますが、よりいい結果を残せるポテンシャルはあったと思います。昨年の大会では結果こそ残せませんでしたが、今年も昨年のように楽しみたいですし、後半戦の最初のレースで表彰台に立ちたいと思っています」

中上貴晶(Moto2 総合17位)
「前半戦は思うような結果を残せませんでしたが、レースをこなすごとにアベレージを上げられました。フリーと予選では、決勝を視野に入れた取り組みができるようになりましたし、いくつかのレースでは、予選、決勝といい走りができました。まだまだトップグループとの差はありますが、後半戦は、その差を縮めていきたいです。2年前は、インディアナポリスから4戦連続で優勝争いができたので、今年も、インディアナポリスから勢いをつけていければと思います」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「ジャック(ミラー)とトレーニングするために、夏休みはオーストラリアに行きました。すばらしい時間を過ごせましたし、後半戦に向けてしっかりと準備ができました。前半戦は最高でした。2位に66点のリードを築くことができました。後半戦もこのリードをキープしなければなりません。後半戦もすべてのレースで優勝を目標にします。今大会は、Hondaのグランプリ700勝達成のチャンスです。それを達成する手伝いができればと思っています」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合2位)
「昨年の大会では、レース序盤にコースアウトしてしまい、トップグループについていけませんでした。そのあとは、ペースを上げて集団に追いつくことができました。その点ではこのサーキットが大好きです。夏休みはハードなトレーニングをしました。そして、可能な限りリラックスできるように努めました。前半戦は総合2位と調子がよかったのですが、後半戦の我々の目標は、総合トップの(ダニー)ケントに勝って、さらに前進することです」

エフレン・バスケス(Moto3 総合5位)
「昨年の大会で初優勝を達成しているので、インディアナポリスGPは忘れられないレースになりました。今年もすばらしいレースにしたいです。前半戦最後のドイツGPは、2位で終えられましたし、後半戦に向けて自信になるレースでした。夏休みは、後半の9戦をしっかり戦えるために、身体の状態を100%にするための時間になりました。今は総合5位ですが、2位とのポイント差はそれほどないですし、まずは、2位を目標に全力を注ぎます。後半戦は優勝はもちろん、すべてのレースで表彰台に立てるようにがんばります」

尾野弘樹(Moto3 総合20位)
「前半戦はいろいろと勉強になる9戦でしたが、反省点もたくさんありました。初めてのサーキットが続き、コースを攻略するのが大変でした。転倒も多く、思うような結果を残せず悔しい思いでした。後半戦も初めて走るサーキットが続きますが、フリー走行で着実に前進して、決勝を迎えたいです。後半戦は悔いのないレースにしたいです」