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MotoGP

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June 12/13/14 2015 MotoGP Gran Premi Monster Energy de Catalunya

カタルニアGP カタルニアGP

カタルニアGPプレビュー

第7戦カタルニアGPが、6月12日(金)~14日(日)までの3日間、バルセロナ郊外のカタルニア・サーキットで開催されます。前戦イタリアGPでシーズンは3分の1を消化しました。シーズンを前半、中盤、後半と3つに分けると、今大会から中盤戦に突入することになります。ここからはタイトル争いもいよいよ本番。ますます厳しい戦いが繰り広げられます。

カタルニアGPプレビュー

カタルニアGPが開催されるのは、今年で20回目となります。1992~95年までヨーロッパGPとして行われた4年間を含めると、カタルニア・サーキットでの開催は通算24回目を迎えます。スペインではシーズン4回のグランプリが開催されていますが、カタルニアGPは、バルセロナ出身のライダーが多いだけに毎年、大きな盛り上がりを見せています。

カタルニア・サーキットは、一周4.727kmのロングコース。高速コーナーが連続し、ホームストレートではスリップストリームを使い、激しくポジションを入れ替えます。1コーナーでの厳しいブレーキング競争など、コースのどこで観戦しても見応え十分のハイスピードバトルは、見る者を興奮させます。

バルセロナで開催されるグランプリはHondaにとって、グランプリの優勝記録という栄光の歴史をスタートさせた思い出の場所でもあります。1950年代と60年代には、公道を利用したモンジュイックでスペインGPが開催されていました。61年には、125ccクラスでトム・フィリスがHondaのグランプリ初優勝を達成しています。以来、Hondaのグランプリ通算勝利は695勝となり、700勝達成が刻々と迫っています。

昨年の大会は、Repsol Honda Teamのマルク・マルケス、ダニ・ペドロサとバレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソのヤマハ勢の4台によるし烈な優勝争いとなり、マルケスが勝利しました。昨シーズンのベストレースといわれたカタルニアGP。今年もすばらしいレースが期待されます。

2年連続チャンピオンで昨年の大会を制しているマルケスですが、今年は6戦を終えて優勝1回、2位が1回と悔しいレースが続いています。今年は不運なレースと転倒があったことで、総合5位でホームグランプリを迎えることになりましたが、ここから巻き返しに転ずる意気込みです。

マルケスのカタルニアGP初制覇は、125cc時代の2010年。Moto2クラス時代は、11年に2位、12年に3位と表彰台に立っています。そして、MotoGPクラスでは13年に3位、昨年は優勝と、カタルニアGPでは5年連続で表彰台に立って地元ファンの期待に応えてきました。おととしは史上最年少記録やシーズン最多の13勝を挙げるなど数々の新記録を樹立して、2年連続でタイトルを獲得。今年も地元ファンは、マルケスに大きな声援を送ることになります。

チームメートのペドロサも、ホームグランプリで今季初表彰台、初優勝を狙います。今年は開幕戦カタールGPで6位。その大会で右前腕部に違和感を感じ、手術を行いました。そのため、第2戦アメリカズGP以降を欠場して腕の治療に専念し、第5戦フランスGPで復帰しました。フランスGPでは、転倒再スタートによりポイントを獲得できませんでしたが、復帰2戦目となった第6戦イタリアGPでは、表彰台争いに加わって4位でフィニッシュしました。

ペドロサは、カタルニアGPでは、03年に125ccクラスで優勝、05年に250ccクラスで優勝、最高峰クラスでは08年に優勝しています。以後、地元ファンの熱狂的な応援を受けながら、カタルニアGPに挑み続けてきました。09年はケガのために6位でしたが、10年は2位と優勝まであと一歩に迫りました。11年はケガのために欠場しましたが、12年、13年は連続2位。昨年はし烈な優勝争いに加わって3位。今年はここまでペドロサらしい走りを見せられていないだけに、4年連続の表彰台獲得と、7年ぶりとなるカタルニアGP制覇に期待が膨らんでいます。

今年、チームの拠点をベルギーからバルセロナに移転したスポンサーのRepsolとHonda、そして2人のライダーにとってはまさにホームグランプリ。それだけに今大会での活躍に大きな注目が集まっています。

6戦を終えて総合7位のカル・クラッチロー(CWM LCR Honda)は、フランス、イタリアと2戦連続で転倒リタイアに終わり、総合ポイントでも7番手へとポジションを落としました。レースをこなすごとにRC213Vのパフォーマンスを確実に引き出しているだけに、今大会では初のフロントローと2回目の表彰台が期待されます。同じくRC213Vを駆るスコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、ヨーロッパラウンドに入ってからは予選、決勝ともに本来のパフォーマンスを発揮できていません。今大会では、ベストグリッドとベストリザルトを狙います。

Hondaのオープンカテゴリーマシン「RC213V-RS」で出場の4選手もまた、カタルニアGPに闘志をかき立てられています。6戦を終えて総合18位のニッキー・ヘイデン(Aspar Team MotoGP)は、前戦イタリアGPでは転倒リタイアでしたが、チームのホームグランプリでその雪辱を果たす意気込みです。オーストラリア人のジャック・ミラー(CWM LCR Honda)は、ヨーロッパの拠点をバルセロナに置いているだけに気合満点。過去2戦は転倒リタイアが続いていますが、今大会はシーズン3回目のポイント獲得を狙います。ユージン・ラバティ(Aspar Team MotoGP)は、2戦連続ポイント獲得と上り調子。今大会はベストリザルトを狙います。6戦を終えてポイントを獲得していないカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)は、初ポイント獲得に気合を入れています。

Moto2クラスは、6戦を終えて5度の表彰台に立ったヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が総合首位でシーズン中盤戦を迎えます。今年はタイトル争いを強く意識して、確実に表彰台に立つレースをしています。今回はホームグランプリとして迎えるスペイン人選手を相手取る、厳しい戦いが待ち受けていますが、6戦連続表彰台と今季2勝目に向け気合を入れています。

ディフェンディングチャンピオンのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、総合2位でホームグランプリを迎えます。今シーズン序盤は波に乗れませんでしたが、ヨーロッパラウンドに入ってからは上り調子。第4戦スペインGPで3位、第5戦フランスGPで2位になると、前戦イタリアGPで今季初優勝を達成、最高の状態でホームグランプリに臨みます。6戦を終えて総合2位に浮上してきたラバトの今季2勝目が期待されます。

総合3位のトーマス・ルティ(Derendinger Racing Interwetten)は、前戦イタリアGPで首位争いをして転倒リタイアに終わりましたが、今大会も優勝候補の一人です。以下、サム・ロース(Speed Up Racing)、ジョナス・フォルガー(AGR Team)、アレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)が僅差で続いています。昨年のMoto3チャンピオンであり、6戦を終えて総合17位のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)もホームグランプリに闘志を燃やしています。総合16位の中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)も、チームの本拠地となる大会だけに気合を入れています。

Moto3クラスは、ダニー・ケント(Leopard Racing)が、6戦を終えて3勝を含む5度の表彰台獲得で総合首位。2番手のエネア・ バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)に46点差をつけてシーズン中盤戦に挑みます。カタルニア・サーキットは、得意とするサーキットの一つなだけに今季4勝目に気合満点。バスティアニーニも今季3度目の表彰台と初優勝を目標に、混戦から抜け出す意気込みです。

過去2戦、転倒リタイアのエフレン・バスケス(Leopard Racing)は総合5位までランクを落としているだけに、その雪辱を期しての参戦。ファビオ・クアルタラロ(Estrella Galicia 0,0)も2戦連続のリタイアで総合7位へとランクを落としていますが、今大会の優勝候補の一人として大きな注目が集まっています。前戦フランスGPで予選2番手、決勝では不運のトラブルで11位になった尾野弘樹(Leopard Racing)が、2度目のフロントローと初表彰台を目指します。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合5位)
「ムジェロで転倒リタイアしたのは残念でしたが、限界で走っているときはこうしたことが起こってしまいます。今週末のカタルニアはホームグランプリです。マシンを準備するためにやることがたくさんあります。このサーキットではいい結果を残してきましたし、昨年は優勝しました。今年もファンの前で同様の結果を出せることを願っています。いいバトルをして、いいショーにしたいです」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合7位)
「ムジェロのレースで転倒してから、サイクリングでトレーニングをしてきました。今大会はどれだけ100%の状態に近づけるか様子を見なければなりません。チーム全体にとって、あの転倒は残念な結果でした。みんな一生懸命、僕のためにがんばってくれていました。バルセロナでは、その埋め合わせができるようにしなければなりません。最高の結果を出せるようにがんばりたいです。ここ数戦、ペースがよくなっているので、この方向性で取り組み、ポイントを獲得できるようにがんばります」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合13位)
「ムジェロでのレースはとてもポジティブなものでした。腕の調子がよくなってきていることを常に感じていましたし、レース後もリハビリを続けてきました。そして今週のモンメロはホームレースです。今週末はいくつかの問題を解決するために、一生懸命がんばらなければなりません。忙しい週末になります。このサーキットはタイヤのエッジを使って走るので、セットアップがカギを握ります。ファンのエネルギーを感じられるので、そこからアドバンテージが得られるでしょう。いい天気になって、ファンが週末を楽しめることを願っています」

スコット・レディング(MotoGP 総合14位)
「バルセロナでも引き続き前進できるようにがんばります。まず、フリー走行のペースを上げられるようにがんばらなければなりません。そうすればそのままQ2に進めるし、予選でいいグリッドポジションを獲得できるチャンスが生まれます。レース序盤ではタイヤの感触をもっと上げる必要があります。特に路面温度が高いときは動きが多くなり、限界を把握するのが難しくなります。マシンのセットアップは、かなりいいところまで来ていると思います」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合18位)
「ムジェロでは結構いいペースを見つけられたので、決勝では完走できず残念でした。幸いあの転倒でケガはありませんでした。カタルニアはすばらしいグランプリで、すばらしいサーキットなので、とても楽しみです。チームは最高の仕事をしてくれています。マシンに乗るたびに自信がつきます。とても難しいサーキットで、ロングコーナーが多く、タイヤのエッジを使うので、タイヤマネージメントが重要になってきます」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合19位)
「厳しいレースがいくつか続いていますが、まだいい状態が続いています。あとは、とにかく集中していくつかの問題を解決していくことです。フロントが今のところ弱点なので、そこをさらに快適にする必要があります。MotoGPマシンで走るムジェロは驚くことばかりでしたが、非常に楽しかったです。バルセロナもまたすばらしいサーキットなので、今回も楽しみたいです」

ユージン・ラバティ(MotoGP 総合22位)
「ここ2レースはとても難しかったので、シーズン序盤のようなペースをもう一度取り戻したいです。カタルニアは2008年に走って以来のサーキットなので、ほぼ初めてのような気分です。自分の課題をこなして、きちんと準備を整えれば、あまり大きなハードルには感じないと思います。コーナーを走りやすくするために、マシンのバランスを改善しようと、チームは一生懸命がんばっています。正しい方向に進んでいる自信はあります」

カレル・アブラハム(MotoGP ノーポイント)
「依然としてノーポイントですが、ポイントを獲得するのがだんだん難しくなってきました。ムジェロは最も難しいレースの一つでした。1人で走るのは嫌いですが、がんばって走りました。バルセロナはいいサーキットです。いくつかヘアピンがあって、とても好きなコーナーがあります。F1やほかの四輪のイベントの影響で、路面はとても滑りやすいので、雨が降らないことを願っています。最も好きなサーキットの一つなので、今回はとても楽しみです」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合1位)
「今のところチャンピオンシップをリードしています。昨年のバルセロナでは表彰台に上がることができました。ティトはイタリアでとてもいい走りをしたので、今回は強敵になると思います。通常、ハードタイヤを使いますが、バルセロナでは2つ選択肢があります。ハードとスーパーハードです。昨年乗っていたSUTERでは難しかったのですが、今年のKALEXではもっとうまくタイヤのマネージメントができると思います。目標は優勝です。フリー走行で安定した走りをして、決勝レースへ向けてできる限り準備を整えたいです」

ティト・ラバト(Moto2 総合2位)
「昨年はバルセロナで優勝しましたが、今年は状況が大きく違っています。チャンピオンシップはさらに激しくなっているし、僕はシーズン序盤にたくさんのミスをしてしまいました。そして、ほかのライダーにアドバンテージを与えてしまいました。ムジェロで優勝できたのはよかったです。このおかげで、またチャンピオンシップ争いに戻ることができました。今は、今週末のことに集中しなければなりません。いつもと同じようにがんばります。日曜日のレースに向けてできる限りいい形に仕上がるように一生懸命取り組むことです。そして、決勝レースで優勝へ向けてプッシュすることです。バルセロナはいつも特別です。僕のホームなので、観衆に応援してもらえるだけのことをしたいと思っています」

トーマス・ルティ(Moto2 総合3位)
「ムジェロやル・マンのスピードをバルセロナでも出せることを願っています。これは大事なことで、これが実現できれば優勝争いができると思います。チーム一丸となってどんどん強くなっているような気がします。イタリアでミスをしましたが、チャンピオンシップポイントを獲得できなかっただけです。それ以外はこれまでとなにも変わりません。ドミニク・エージャーター(Technomag Racing Interwetten)が表彰台に上がることができたことも、チームにとってはよかったです。もし一人がミスをしても、ほかのライダーが表彰台に上がることができます。今週もいいレースができると信じています」

中上貴晶(Moto2 総合16位)
「前戦イタリアGPは、タイヤの選択がうまくいかず、残念な結果に終わりました。今週もタイヤの選択がとても重要なサーキットなので、イタリアでの経験を生かし、フリー走行からしっかりセットアップを進めたいと思います」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「ムジェロのレースのあと、まっすぐイギリスに戻りました。そしてバルセロナで強いレースができるように一生懸命トレーニングしてきました。自分のペースでフリー走行を100%で取り組み、自信をつけてレースに挑むという、いつもと同じプランでレースができることを楽しみにしています。最も大事なことは引き続き完ぺきな仕事をして、なるべくたくさんのポイントを獲得することです」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合2位)
「昨年のモンメロでは、楽に走れることがすぐに分かったし、初めて表彰台を獲得することができました。昨年とは違うマシンですが、今年も速く走れると思います。さらに、ここのところベースのセットアップがとてもよく、すべてのサーキットで力強い走りができています。このおかげでレースウイークを前に自信もつきました」

尾野弘樹(Moto3 総合17位)
「前戦イタリアGPでは、決勝は11位でしたが、予選は初めてフロントローに並ぶことができて大きな自信になりました。カタルニアはスペイン選手権、CEVで経験してきているので、初日からしっかりペースをつかみたいと思います。イタリアGPのあと、バルセロナでしっかりトレーニングを積んできました。今週はとても楽しみです」