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MotoGP

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May 29/30/31 2015 MotoGP Gran Premio d'Italia TIM

イタリアGP イタリアGP

イタリアGPプレビュー

第6戦イタリアGPが、5月29日(金)~31日(日)までの3日間、フィレンツェ近郊のムジェロ・サーキットで開催されます。イタリアGPは、5月もしくは6月に開催される大会として定着していて、今年も5月下旬に開催されます。

イタリアGPプレビュー

ムジェロは、一周5.245kmのハイスピードコースで、グランプリが開催されるサーキットでは、オーストラリアGPの開催されるフィリップアイランドに次いでアベレージスピードの高いコースです。下り勾配の最終コーナーから約1.1kmのロングストレートで繰り広げられる超高速バトルは、このサーキットの最大の見どころになっています。ムジェロはパッシングポイントが多いサーキットで、目まぐるしくポジションを入れ替える激しい戦いになることが多く、選手からも観客からも、評価の高いサーキットになっています。

ムジェロで初めてグランプリが開催されたのは1976年。以降、イモラ、モンツァなど、複数のサーキットでグランプリが開催されてきましたが、91年にサーキットの全面改修を受けてからは、ムジェロがグランプリの舞台として定着しました。91年はサンマリノGP、92年はイタリアGP、そして93年は再びサンマリノGPとして開催され、94年からはイタリアGPの舞台として定着。今年で22年連続の開催となり、91年~93年の大会を加えると、25年連続となります。

Hondaは、93年のサンマリノGP以来、ムジェロでは13勝を挙げています。93年から98年までミック・ドゥーハンが6年連続優勝(イタリアGPとしては5年連続)。以後、アレックス・クリビーレ、ロリス・カピロッシ、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシ、ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)、そして昨年はマルク・マルケス(Repsol Honda Team)がHondaの500ccとMotoGPマシンで優勝しました。今年は2年連続でイタリアGP制覇を狙います。

前戦フランスGPでフロントのフィーリングに苦しんで表彰台を逃したマルケスは、2年連続優勝と今季2勝目を狙います。マルケスにとってムジェロは、思い出深いサーキットになっています。125cc時代の2010年には、ムジェロでグランプリ初優勝を達成。Moto2クラスでは11年に優勝しています。MotoGPクラスでは、13年は表彰台争いをしていて転倒しましたが、昨年はその雪辱を果たしました。マルケスは「ムジェロは高速コーナーと切り返しが多く、いいセットアップを見つけるのが難しいコース。でも、うまく走れれば、とても楽しいサーキット」と、思い出のサーキットでの戦いを楽しみにしています。

右前腕の手術から復帰して2戦目を迎えるペドロサにとっても、ムジェロは得意とするサーキットです。10年の大会では、ポール・トゥ・ウインを達成。11年はケガからの復帰戦となり8位。12年と13年は2位。昨年は3位表彰台に立ってきました。前戦フランスGPでは転倒再スタートで16位とノーポイントに終わりました、右腕の状態も回復している今大会は、2年ぶりの表彰台が期待されます。

CWM LCR Hondaに移籍して総合6位につけるカル・クラッチローも得意のコースに気合を入れています。13年の大会では3位表彰台に立ちました。昨年の大会では惜しくも転倒リタイアに終わっていますが、Honda RC213Vで挑む今年は、今季2度目の表彰台と初優勝に挑みます。前戦フランスGPではフロントのフィーリングに苦しんで転倒リタイアに終わりましたが、今大会ではその雪辱を期して臨みます。

5戦を終えて総合13位。第3戦アルゼンチンGPの9位を最高位に苦戦が続いているスコット・レディング(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、Moto2時代に優勝している得意のコースで今季ベストを狙います。

以下、Hondaのオープンマシン「RC213V-RS」で出場する4選手も今季ベストに闘志を燃やしています。前戦フランスGPで11位のニッキー・ヘイデン(Aspar Team MotoGP)はトップ10を目標に、チームメートのユージン・ラバティは2戦連続ポイント獲得に挑みます。前戦フランスGPで転倒リタイアのジャック・ミラー(CWM LCR Honda)は今季3度目のポイント獲得を、カレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)は初ポイント獲得を目指します。

Moto2クラスは、ヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が、第2戦アメリカズGP、アルゼンチンGP(優勝)、スペインGP(2位)、フランスGP(3位)と4戦連続で表彰台に立ち、総合首位をキープしています。レースをこなすごとにマシンの状態がよくなっているだけに、今大会は2勝目を狙います。前戦フランスGPで今季初優勝のトーマス・ルティ(Derendinger Racing Interwetten)が総合2位。今年から駆っているカレックスのパフォーマンスをやっと引き出せるようになり、今大会も優勝候補の筆頭です。総合3位で前戦フランスGPで転倒リタイアのジョナス・フォルガー(AGR Team)は、今季3勝目を狙います。

フリー走行、予選では、厳しい戦いが続いているMoto2クラス。その厳しさが浮き沈みの大きいリザルトに表れており、チャンピオン争いは混戦模様となっています。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、前戦フランスGPで今季ベストの7位でフィニッシュ。今大会はさらに上位を目指します。

Moto3クラスは、5戦を終えて、Honda勢が上位4位までを占めています。3勝を挙げて総合首位のダニー・ケント(Leopard Racing)を筆頭に、エネア・ バスティアニーニ(Gresini Racing Team Moto3)、エフレン・バスケス(Leopard Racing)、ファビオ・クアルタラロ(Estrella Galicia 0,0)と続きます。今大会はスピードあるHonda勢にとって有利なコースとなりそうで、今季3度目の表彰台独占が期待されます。前戦イタリアGPで今季2回目のポイントを獲得した尾野弘樹(Leopard Racing)は、今季初のシングルフィニッシュを狙います。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合4位)
「ル・マンを終えてモチベーションはとても高まっています。そしてイタリアへは、いい形で向かうことができます。金曜日から一生懸命取り組み、複雑なムジェロのサーキットに合うセットアップを見つけなければなりません。ムジェロは好きなサーキットで、2010年には初優勝したいい思い出もあります。バレンティーノ(ロッシ)はホームレースでとても強いことは分かっています。ホルヘ(ロレンソ)とダニ(ペドロサ)もこれまでにここでいい結果を残しています。また、ドゥカティは数週間前にここでテストしたばかりです。今週は集中して取り組まなければなりません」

カル・クラッチロー(MotoGP 総合6位)
「ムジェロではすばらしいレースをして表彰台に上がったことがあります。今年のレースはペースがとても速いので、とても難しいと思いますが、全力で挑みます。イタリアのファンに会い、大好きなレースをするのが楽しみです。昨年は転倒してLCRのライダーを巻き込んでしまい、思ったようにはいきませんでした。今年はいいレースができると思います」

スコット・レディング(MotoGP 総合13位)
「今大会は、ヘレスとル・マンで抱えた問題の解決策に取り組みたいです。この2戦、フロントのグリップに苦しんでいますので、そこをまずはなんとかしなければなりません。ムジェロはグリップの高いサーキットなので、それに救われるかもしれませんが、フロントの感触とグリップの改善に集中します。ムジェロは好きですが、マシンやタイヤ、そして身体的にも精神的にも難しいサーキットです。今週も厳しい週末になると思いますが、日曜日はいい結果を出したいです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合15位)
「ル・マンではあまりいい結果を出すことはできませんでしたが、ポジティブな週末でした。腕の状態は思ったよりよかったです。あれから2週間、リハビリを行ってきたので、また一歩前進できると思います。ムジェロは高速サーキットで、このサーキットに合うセットアップを見つけなければなりません。ファンがいつも特別なレースにしてくれるので、ファンやチームのためにいいレースができることを願っています」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合16位)
「イタリアはいつも楽しみです。今大会が、今シーズン最も大きなラウンドになると僕は思います。ムジェロはレイアウトも雰囲気も最高です。メインのストレートがあり、流れるようなコーナーがたくさんあります。早い切り返しやさまざまなコーナーに対応した、いいセットアップを見つけることが重要になってきます。昨年は手をケガしていたので欠場しました。その分、モチベーションは上がっています。金曜日が待ち遠しいです。 チャンピオンシップをバレンティーノ(ロッシ)がリードし、ドゥカティもすばらしい形になっているので、特別な週末になると思います。マシンの感触はようやくル・マンでよくなってきました。この調子で引き続きムジェロでもがんばれることを願っています。完ぺきに集中して、金曜日には力強いスタートを切らなければなりません」

ジャック・ミラー(MotoGP 総合18位)
「ムジェロはすばらしいサーキットです。そして、Moto3マシンで走るのとMotoGPマシンで走るのとでは、大きな違いがあると思います。ロングストレートがあるので、今回もハードなレースになると思います。でも、とても楽しみです。オープンで流れるようなサーキットは、これまでかなり相性がいいので楽しみにしています。とにかくたくさん走りたいです」

ユージン・ラバティ(MotoGP 総合21位)
「ムジェロはライダーのためのサーキットです。2012年にスーパーバイクのマシンで少しテストしたのですが、とても楽しみながら走れました。ル・マンはとても難しい週末になりましたが、ムジェロでは巻き返したいです。僕のチームメートは前回、新しいスイングアームを取り入れ、大きく前進しました。そのスイングアームで今回は僕も同じように前進できることを願っています。前回はMotoGPクラスでのポイント初獲得となりました。目標はこの勢いを維持して、オープンクラスでトップになることです」

カレル・アブラハム(MotoGP ノーポイント)
「そろそろ運が向いてくるころだと思います。ここまでのところ何ひとつうまくいっていません。ポイントを獲得していないことからもわかると思います。この状況を改善するために、できることに全力で取り組んでいます。ムジェロではこれまでの4レースのうち、3レースでポイントを獲得しています。きっと同じようにポイントを獲得できるチャンスがあると思います」

ヨハン・ザルコ(Moto2 総合1位)
「フランスではすばらしいレースをして表彰台に上がることができました。フランスGPでは自己ベストのリザルトでした。レースはペースを維持するのが難しかったのですが、最後まで集中力をキープしました。チームといい仕事ができました。予選では速く、レース序盤でも速さがありましたが、それをキープできなかったので、その理由を分析しました。ムジェロでは速く走れると思います。このサーキットはル・マンよりうまく走れるサーキットだと思うので、優勝争いをして首位をキープするのが一番の目標になります」

トーマス・ルティ(Moto2 総合2位)
「イタリアでレースをするのが楽しみです。ムジェロに到着したら、自分たちの進展についてまた話し合うことになります。そしてレースウイークを迎えることになりますが、うまくいくと思います。ル・マンで優勝する前にテストを行ったアラゴンは、全く違うサーキットでした。そして今回も違います。おそらく、マシンのベースの状態を見つけられたと思いますので、これをすべてのサーキットでキープしたいです。今週末が楽しみです」

ジョナス・フォルガー(Moto2 総合3位)
「ムジェロは大好きなサーキットです。速くて、流れるような走りができます。そして、トスカーナ地方の景色があり、熱心なファンもいます。ル・マンでは転倒しましたが、なにが起きたのかを分析したので、ムジェロでは取り組むべき課題が分かっています。昨年は力強いレースウイークとなり、Moto2クラス2度目の表彰台を獲得しました。その点から考えれば、今年のベースはさらによくなっています。ムジェロはシーズンのハイライト。今回もまたフロントグループでバトルができると思います。ムジェロよ、待ってろよという気分です」

中上貴晶(Moto2 総合13位)
「前戦フランスGPは、今年になって初めてシングルでフィニッシュすることができました。失格になった昨年のカタールGPの2位を除けば、一昨年のマレーシアGP以来のシングルフィニッシュなので、うれしいレースでした。課題は、フリー走行、予選の走りを決勝で再現すること。ロングランのアベレージを上げることです。ムジェロは大好きなサーキットなので、予選、決勝ともにフランスGPを上回れるようにがんばります」

ダニー・ケント(Moto3 総合1位)
「ムジェロがとても楽しみです。とても楽しいサーキットなので、Hondaのマシンで走るのが楽しみです。このサーキットは得意なサーキットの一つです。速く、流れるようなコーナーがあり、Hondaにも僕にも相性がいいです。戦略はいつもと同じで、日曜日の決勝に向けて100%準備すること。1周1周速く安定したペースで走れるように、一生懸命努力することです」

エネア・バスティアニーニ(Moto3 総合2位)
「ムジェロは、美しくも、難しいサーキットです。昨年、初めて速いマシンで走り、正しいラインを見つけるのに少し時間がかかりました。実際、このサーキットは幅がとても広くて、いくつかラインがあります。今年はさらにいい経験ができると思います。いい形でレースウイークをスタートし、いいリズムをキープして、決勝レースでは全力でがんばることが目標になります。ル・マンではいい感触を見つけることができたので、また表彰台争いができると思います。ホームレースは毎回うれしいし、興奮します。ファンを楽しませられるようにがんばります」

エフレン・バスケス(Moto3 総合3位)
「ル・マンのレースでは転倒したので、今回はその分を取り戻さなければなりません。自信もあります。ル・マンでは、グリッド後方からのスタートになりましたが、いい結果を出せると思っていました。でも最初のシケインで僕のフロントタイヤに当たったライダーがいて、転倒は避けられませんでした。ケガをせず、ほかに巻き込まれた人がいなかったのは幸いでした。ムジェロにはいい思い出があります。昨年はファステストラップを出しました。すべてのプラクティスセッションと予選でうまくいきましたが、レースでは少し運に見放されました。でもいい形になっているし、今年は表彰台争いができると思います」

ファビオ・クアルタラロ(Moto3 総合4位)
「イタリアが楽しみです。初めて走るサーキットですが、ビデオで見ると、高速コーナーとハイスピードシケインがあり、テクニカルでとてもおもしろそうです。長いストレートもあり、スリップストリームとエンジン、そしてマシンのパワーが大事な役割を担ってきます。いい結果を出せるようにチームと一生懸命がんばります。過去のビデオを見たりして、かなり勉強しました。トップグループで戦えることは分かっているので、自信はあります」

尾野弘樹(Moto3 21位)
「ムジェロはイタリア選手権を走っていたときに経験しています。大好きなサーキットですので、Hondaのマシンのよさを最大限に引き出して、今季ベストを狙いたいです。前戦フランスGPは、完走を目標に走りました。今回も完走することはもちろんですが、シングルを狙っていきたいです。楽しみです」