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MotoGP

round 15

SCHEDULE

October 10/11/12 2014 MotoGP Grand Prix of Japan

日本日本GP

日本GPプレビュー

ロードレース世界選手権の第15戦日本GPが、10月10日(金)から12日(日)までの3日間、栃木県・ツインリンクもてぎで開催されます。ツインリンクもてぎで日本GPが初めて開催されたのは2000年。翌年から03年までの3年間は、日本でのGPは鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎのシーズン2開催となり、ツインリンクもてぎはパシフィックGPとして開催されました。その後、日本ではツインリンクもてぎだけの開催となり、04年から日本GPの舞台として定着しました。

日本GPプレビュー

今年の日本GPは、シーズン終盤の3連戦における最初の戦いとなり、3クラスともにチャンピオン決定の可能性が高まっています。その中でも、MotoGPクラスはタイトル決定が大詰めを迎え、ここまで14戦中11勝を挙げて総合首位のマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、2年連続のタイトル獲得に向けて今大会に挑みます。

前戦アラゴンGPは、ドライコンディションでレースが始まりましたが、途中から雨になる難しい展開となり、スリックタイヤのままトップを走っていたマルケスは、終盤に転倒。再スタートを切って13位でフィニッシュする悔しい結果となりました。しかし、ライバルたちに大きなリードを築いてきたマルケスは、Hondaのホームグランプリとなる日本GPへチャンピオンに王手をかけて臨み、今季初のタイトル獲得のチャンスを迎えることになりました。昨年の大会もタイトル王手で迎え、2位でフィニッシュ。タイトル決定は果たせませんでしたが、栄冠へ大きく前進する表彰台獲得となりました。

ツインリンクもてぎは、マルケスが得意とするサーキットの一つ。125cc時代の2010年に優勝、Moto2クラスでは11年に2位、12年に優勝しています。今年は最高峰クラスで2年連続表彰台と初優勝を目指します。開幕前日には、東京・港区のHondaウエルカムプラザ青山で公開記者会見に出席し、タイトル獲得に向けて全力を尽くす意気込みを語りました。

ダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)においても、今大会はとても重要なレースとなります。チームメートのマルケスとは75点差の総合2位。タイトル争いでマルケスを逆転するのはとても厳しい状況ですが、総合3位のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)とは、わずか3点差。総合2位をキープする厳しい戦いが待ち受けています。

ペドロサもツインリンクもてぎを得意としており、02年の125cc、04年の250ccで優勝しています。そして、最高峰クラスでは2011年に初優勝を達成。12年にも優勝し、2年連続で日本GPを制しました。昨年の大会は、悪天候の影響で金曜日のフリー走行がキャンセルとなりました。そして、ウエットコンディションとなった土曜日にフリー走行と予選を行い、日曜日だけがドライコンディションという厳しい条件のレースになりましたが、3位表彰台に立ちました。今年はシーズン後半戦に入って上り調子。今季2勝目が期待されます。マルケスとともに出席した公開記者会見では、ツインリンクもてぎでの最高峰クラス3勝目、3クラスで通算5勝目に向けてベストを尽くすとコメントしていました。

ツインリンクもてぎは、一周4.801km。2カ所の立体交差が設けられたストップ&ゴー型のサーキットで、マシンにもライダーにもレベルの高い走りが要求されます。今大会は、気力、体力ともに充実したマルケスとペドロサによる優勝争いと、Repsol Honda Teamの1-2フィニッシュが期待されます。

ステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、今季3度目のフロントローと今季初表彰台を狙います。今年は予選の好走を決勝につなげられない悔しいレースが続いていますが、前戦アラゴンGPでは、難しいコンディションのレースで4位フィニッシュ。今季初表彰台まであと一歩に迫りました。昨年の大会は5位。今年はRepsol Honda Teamの両選手を目標に、今季初表彰台を目指します。

今季、思うような結果を残せていないアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、得意としているツインリンクもてぎで今季2度目の表彰台を狙います。今年は転倒リタイアが多いシーズンとなっていますが、第13戦サンマリノGPで8位、第14戦アラゴンGPで7位と日本GPに向けて調子を上げています。これまでツインリンクもてぎでは、125cc時代の06年に2位、250cc時代の08年に2位、09年には優勝と、3クラスで表彰台に立ってきました。昨年の大会では4位と、表彰台まであと一歩という結果。ブレーキングを得意とする選手だけに、今大会の走りに注目されます。

Hondaの市販レーシングマシン「RCV1000R」で出場する4選手も、Hondaのホームグランプリに闘志を燃やしています。14戦を終えて総合13位につけるスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)は、今季3度目のシングルフィニッシュを目指します。総合14位の青山博一(Drive M7 Aspar)は、ホームグランプリに闘志満々。前戦アラゴンGPでは今季ベストリザルトの8位でフィニッシュしており、今大会は地元ファンの前で、シングルフィニッシュを目標に今季の自己ベストリザルトを狙うことになります。総合16位のニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)は、ケガからの復帰2戦目に気合満点。総合17位のカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)も、リタイアに終わった前戦アラゴンGPの雪辱に気合を入れています。

し烈なタイトル争いが繰り広げられているMoto2クラスは、チェコ、イギリス、サンマリノと3連勝を達成し、前戦アラゴンGPでも2位になったエステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)が、チームメートで総合2位のミカ・カリオに4戦連続で先着し、その差を33点へと広げました。ラバトが念願のタイトル獲得に大きく前進しましたが、総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Paginas Amarillas HP 40)までタイトルの可能性を残しています。日本GPから続く、オーストラリアGP、マレーシアGPの3連戦がタイトル決定戦となることは間違いなく、今大会も厳しい戦いが予想されます。

そして、今大会はホームグランプリに闘志を燃やす日本人選手の活躍にも注目されます。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、今季ベストリザルトを狙います。また、ケガのために欠場する長島哲太(Teluru Team JiR Webike)の代役として、グランプリでの経験が豊富な小山知良が出場します。さらに、ワイルドカードで高橋裕紀(Moriwaki Racing)が出場します。

Moto3クラスは、アレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)が前戦アラゴンGPで総合首位に浮上、Hondaのホームグランプリとなる日本GPを迎えます。マルケスは、昨年の大会で初優勝を達成しており、今年は2年連続の日本GP制覇を狙います。総合3位にはチームメートのアレックス・リンスで、総合2位のジャック・ミラー(KTM)と7点差、首位のマルケスとは18点差と、トップ3の戦いがし烈になっています。Moto3クラスもここからの3連戦がタイトル獲得の大きな山場であり、緊張感あふれる戦いとなりそうです。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「アラゴンは難しい条件でのレースになりましたが、とてもいい勉強になりました。残念な結果でしたが、ライバルに対してポイント差を失わなかったのは幸いでした。日本グランプリはチャンピオン獲得に向けた最初のチャンスとなります。Hondaの地元でチャンピオンを獲得できればすばらしいことですが、あまりそのことは考えないようにしたいです。初日から一生懸命がんばって、いつものレースウイークのように過ごしたいです。そして、日曜日には優勝へ向けてがんばりたいです。MotoGPマシンでもてぎを走ったのは昨年が初めてでした。とても難しい週末だったので、今年はいいセットアップが見つけられるように、ドライで走れる時間が多いことを願っています」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合2位)
「アラゴンは厳しいレースでした。最後に誤った選択をしてしまいました。もっと早くピットに入るべきだったと思います。しかし、もう終わったことなので、今週の日本GPに集中しています。Hondaのホームレースはいつも楽しみです。日本GPは、Hondaにとって、とても大きなイベントですし、いいパフォーマンスができるようにと、自然とモチベーションが上がります。ツインリンクもてぎはハードブレーキングと加速のエリアが多いので、ブレーキングの安定性とコーナー出口でのトラクションを考えなければなりません。とにかく、昨年より天気がよくなることを願っています」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合9位)
「アラゴンで4位を獲得したあとなので、今回の遠征はとても楽しみです。ツインリンクもてぎはHondaにとって特別なサーキットです。このサーキットではこれまでいつも安定したレースができました。昨年はマレーシアでのケガのあとでしたが、5位でフィニッシュしました。残り4レースですが、なるべくたくさんポイントを稼ぐために、全力でがんばります。今シーズンはすべてのサーキットでいい結果を残すポテンシャルがあるので、それを結果につなげたいです」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合11位)
「ツインリンクもてぎは、独特なサーキットです。ストップ&ゴーのレイアウトで、いいトラクションが必要となります。残念ながら今シーズンは、その部分で苦戦しています。でも、3連戦の最初のレースなので、なるべくいい結果を残したいです。アラゴンでは、ドライでもウエットでもトップ5のバトルができました。これはいい兆候です。このサーキットはあまり得意なサーキットではありませんが、ここ2年はとても力強い走りができました。安定した走りができるセットアップを、なるべく早く見つけられるように願っています。そしてレースではベストを尽くしたいです」

スコット・レディング(MotoGP 総合13位)
「アラゴンは、雨が降り始めるまではRCV1000R勢のトップにいました。しかし、雨が降り始めてからは、すべてが変わりました。ミサノとアラゴンは厳しいレースとなりましたが、もてぎから始まる3連戦でなんとか巻き返したいです。もてぎをMotoGPマシンで走るのが楽しみですし、いい週末になることを願っています。昨年はMoto2クラスで手首をケガしたまま走らなければなりませんでした。そしてレースの1周目でクラッシュに巻き込まれて、タイトルを逃す悔しいレースでした」

青山博一(MotoGP 総合14位)
「日本でのレースは、家族や友人、ファンに囲まれるのでモチベーションが上がります。アラゴンでは大きく前進し、正しい方向に進んでいることを確認できたので、いい形で日本GPを迎えることができます。もてぎでも引き続き前進できるようにがんばります。もてぎは、ハードな加速エリアが多く、そして、ロングストレートはファクトリーマシンに比べると劣りますが、知り尽くしているサーキットなので、ベストを尽くしたいです。アラゴンではファクトリーのライダーとのギャップを縮めることができました。今回も、さらに縮められるようにがんばります。ここからの3連戦、もてぎ、フィリップアイランド、そしてセパンはそれぞれ全く違うサーキットですが、いいベースのセットアップがあるので全力を尽くしたいです」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合16位)
「日本グランプリを毎年楽しみにしています。特別な雰囲気があり、ファンは熱狂的です。そして、日本のバイクメーカーのホームグランプリとなります。日本でのレースは大好きですし、過去にいい思い出があります。昨年の大会は、フロントローからスタートしました。まだ右手が十分ではないので、ハードブレーキングが必要なもてぎは厳しいレースになります。しかし、アラゴンではだんだん走りの感覚を取り戻すことができましたし、ベストを尽くしたいです。完全な状態に戻るまでには、まだ数レースかかると思いますが、ここからの3連戦をとても楽しみにしています」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
「もてぎは、ハードブレーキングと低速コーナーからの加速が多く、難しいサーキットです。ブレーキングはあまり問題ありませんが、コーナーの出口でファクトリーとの差を感じます。昨年は手術のために日本GPを欠場しました。今年は、この3連戦を万全な体調で迎えられることが、とてもうれしいです。目標はHonda RCV1000R勢でトップになることです」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「ツインリンクもてぎは、好きなサーキットです。いい思い出も悪い思い出もあります。2年前には初めてMoto2クラスで表彰台に上がり、昨年はオープニングラップで転倒してしまいました。今年はいつもと同じような気持ちで日本へ向かい、いつもと同じ目標で戦います。とにかく、レースウイークを通して100%の力を出すことが一番の目標になります。そして、また優勝争いができることを願っています」

ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
「得意なサーキットではありませんが、もてぎではこれまでいい結果を出してきました。ここはストップ&ゴー・サーキットで、ハードブレーキング時の安定性が非常に重要です。そのため、フリー走行でしっかりとセットアップに取り組まなければなりません。昨年もそうでしたが、もてぎの天候は予測不可能です。ウエットではティト(ラバト)より僕の方が少しいい結果を残してきているので、週末に雨が降ったら僕にはアドバンテージになるかもしれません。とにかく、引き続き戦っていきたいです」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
「今はいい状態になっているので、なるべく多くのレースで勝てるようにがんばりたいです。レースをこなすごとにMoto2マシンでの経験を積んできました。これまではスタートの悪さが欠点でしたが、それもよくなってきています。僕がタイトルを獲得するためには、トップの2人にミスがなければ到底無理な状況です。それだけに、できるだけ優勝して前の2人にプレッシャーを与えたいです」

中上貴晶(Moto2 総合24位)
「今年はいい結果を残せないまま日本GPを迎えることになりました。開幕戦カタールGPでの失格も含めて、思うようなシーズンになっていません。今年の日本GPは、チャンピオン争いをしている状態で迎えたいと思っていたので、とても残念です。しかし、日本のファンの方々には、いいレースを見てもらいたいし、喜んでもらえるような結果を残したいです。後半戦は、よかったり悪かったりという成績ですが、レースごとに着実に前進していると思います。走り慣れているツインリンクもてぎで、大きなステップを刻めたらと思っています。日本GPはこれで6度目。表彰台と優勝を目標にがんばります」

アレックス・マルケス(Moto3 総合1位)
「もてぎはいつも、自分にとっては特別なサーキットです。昨年、初めて優勝したサーキットなので、いつもよりモチベーションが上がっています。とにかく、プラクティスから一生懸命がんばらなければなりません。また、ここはHondaにとってのホームなので、重要なレースになります。集中できるようにがんばります」

アレックス・リンス(Moto3 総合3位)
「トップとの差はわずか18ポイント。これまでで一番差が縮まっています。今回のレースはモチベーションがとても上がっているので、早く走りたいです。もてぎは天候が不安定なので、なにが起こるのか予測がつきませんが、このサーキットはHondaのホームサーキットですから、いい結果を出したいです」

エフレン・バスケス(Moto3 総合5位)
「難しいレースがいくつか続きましたが、シーズン序盤の勢いを取り戻さなければなりません。もてぎは難しいサーキットです。僕の得意なサーキットではなく、あまりいい結果を出したことはありません。しかし、今大会はすべてのセッションで一生懸命がんばって、いいセットアップを見つけ、レースではベストを尽くしたいです」