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MotoGP

round 13

SCHEDULE

September 12/13/14 2014 MotoGP Gran Premio di San Marino e della Riviera di Rimini

サンマリノサンマリノGP

サンマリノGPプレビュー

第13戦サンマリノGPが、9月12日(金)から14日(日)までの3日間、イタリアのアドリア海に面したミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催されます。このサーキットは、2011年のマレーシアGPで不慮の事故によって亡くなったマルコ・シモンチェリ選手の栄誉をたたえ、12年にミサノ・サーキットから現名称へと変更されました。

サンマリノGPプレビュー

ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリは、1993年のイタリアGPを最後にグランプリのカレンダーから外れていました。そして、サンマリノGPもまた、93年にムジェロで開催されたのを最後に中断していました。しかし、2007年にコースの全面改修を受けたミサノ・サーキットで、サンマリノGPの復活とともに14年ぶりにグランプリの舞台として復活しました。

ミサノは、従来は左回りのコースでしたが、グラベルを広げて安全性を高めることを目的として、07年のサンマリノGP復活に合わせて右回りの一周4.180kmのコースに生まれ変わりました。そして、08年にも一部の改修が行われ、全長4.226kmに延長されました。

グランプリが復活して今年で8年目を迎えます。過去7回の大会で、Honda勢は10年にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が優勝しただけ。ほかのサーキットに比べると勝率は低いですが、今年はHonda勢の4年ぶりの優勝が期待されます。昨年の大会では、史上最年少でチャンピオンに輝いたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)とペドロサが優勝争いに加わって、マルケスが2位、ペドロサが3位とRepsol Honda Teamの2人がそろって表彰台に立ちました。今年はRepsol Honda Teamの両選手による優勝争いが期待されます。

マルケスは、第11戦チェコGPで4位と、今季初めて表彰台に立てない苦いレースを経験し、開幕からの連勝記録が「10」でストップ。しかし、前戦イギリスGPで再び勢いを取り戻し、史上2位となるシーズン11勝目を達成しました。今大会は、97年にミック・ドゥーハンがHondaで達成したシーズン12勝というシーズン最多優勝記録に挑むことになります。

マルケスは過去、ミサノ・サーキットでは、10年に125ccクラスで、11年、12年にはMoto2クラスで優勝しています。最高峰クラス初挑戦となった昨年はポールポジション(PP)を獲得し、決勝では惜しくも2位でしたが、史上最年少チャンピオンを獲得して、今季も11勝と経験値を上げてきたマルケスの走りに注目されます。

総合2位につけるペドロサは、4年ぶりのサンマリノGP制覇に挑みます。サンマリノGPでは、過去、他車の転倒に巻き込まれたり、不可解なトラブルがあったりといったことが原因で優勝のチャンスを逃してきました。運に恵まれなかったサンマリノGPですが、2009年3位、10年に優勝、11年2位、13年3位と、最高峰クラスでは4度の表彰台を獲得しています。今年は12戦を終えて、1勝を含む8度の表彰台に立って総合2位。チームメートで総合首位のマルケスとポイント差を縮め、3位以下の選手に対するリードを広げるためにも、今大会は優勝を狙うことになります。

Repsol Honda Teamにとって、厳しい戦いが続いてきたサンマリノGPですが、2010年からは4年連続でPPを獲得してきました。10年ペドロサ、11年ケーシー・ストーナー、12年ペドロサ、そして昨年はマルケスがそれぞれ予選で最速タイムを刻んでいます。今年はRepsol Honda Teamの5年連続PPと今季13連勝、そして今季4度目の1-2フィニッシュが期待されます。

前戦イギリスGPで7位のステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、チームのホームグランプリを迎えて気合が入っています。この数戦は、フリー走行、予選の好パフォーマンスを決勝のリザルトに反映できず、苦しいレースが続いています。今大会は、チームによる全力のサポートの中で、予選では今季3度目のフロントローと今季初表彰台を狙います。

GO & FUN Honda Gresiniは、ミサノを本拠地とするチーム。今季、思うような結果を残せていないアルバロ・バウティスタにとっては、チームを応援する地元ファンの大声援を受けて戦うことになります。一昨年の大会では、予選5番手からMotoGP初表彰台獲得の3位でフィニッシュしました。しかし、昨年は予選8番手、決勝7位とフラストレーションのたまる大会となりました。今年もシーズン中盤戦に入って、リアのトラクション不足に苦しみ、苦戦が続いていますが、チームのホームグランプリで今季ベストリザルトを獲得し、復活をアピールする意気込みです。

バウティスタのチームメートで、Hondaの市販レーシングマシン「RCV1000R」を駆るスコット・レディングは、シーズン中盤戦に入ってすばらしい走りを見せており、チームのホームグランプリで今季ベストリザルトを狙います。前戦イギリスGPは、レディングのホームグランプリとなり、フリー走行、予選と好調ぶりを披露。そして、決勝では今季3度目のトップ10入りを果たし、高速サーキットのシルバーストーンで、ファクトリー勢を相手にRCV1000Rのパフォーマンスを遺憾なく発揮して、大きな注目を集めました。今大会は今季4度目のトップ10を狙います。

総合14位の青山博一(Drive M7 Aspar)、総合17位のカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)は、同じマシンで好パフォーマンスを見せるレディングに大きな刺激を受けており、今季ベストリザルトを目標に戦います。また、右手首の負傷によって欠場が続いているニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)は、ケガの回復が遅れているために今大会も欠場。レオン・キャミアが代役として4戦目を迎えます。

厳しい戦いが続くMoto2クラスは、総合首位のエステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)と、チームメートで総合2位のミカ・カリオによるタイトル争いが激しくなってきました。第11戦チェコGP、第12戦イギリスGPでは、ラバトとカリオが2戦連続で1-2フィニッシュ。2人の点差は17点と、厳しい戦いが続いています。ここからはライバルに先着することはもちろんのこと、ミスのできない緊張感あふれる戦いになります。

そして、総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Paginas Amarillas HP 40)は、前戦イギリスGPで今季5度目の表彰台獲得となる3位に入り、総合3位をしっかりとキープ。ラバトとは67点差とやや開いているだけに、プレッシャーのない攻めの走りで、逆転チャンピオン獲得に燃えています。

Moto2クラスは、フリー走行と予選でトップから1秒差以内に20台前後がひしめきあう接戦が続いています。今年も同様の戦いになることは必至。青空が広がると30℃超の猛暑となるミサノだけに、まさに暑くて熱い戦いになりそうです。昨年、予選3番手、決勝2位の中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)も、今季初表彰台に闘志を燃やしています。なお、長島哲太(Teluru Team JiR Webike)は、前戦イギリスGPのフリー走行で負傷し、今大会を欠場します。

Moto2クラスをしのぐ大接戦が続くMoto3クラスも、今大会は厳しい戦いが待ち受けています。12戦を終えて、総合2位のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)は、前戦イギリスGPで、総合首位のジャック・ミラー(KTM)に先着して、その差を13点としました。逆転チャンピオンを獲得するためにも、ここからの戦いが一段と重要になるため、今季3勝目に闘志を燃やしています。

イギリスGPで今季3度目のPPから大接戦を制し、今季初優勝を飾ったアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)は、2年連続優勝に向けて気合満点。イギリスGPの優勝でランキングも総合5位から3位に浮上し、アレックス・マルケスとのチームメート同士によるタイトル争いが現実的になってきただけに、大きな注目を集めています。

前戦では惜しくも転倒リタイアに終わったエフレン・バスケス(SaxoPrint-RTG)は、総合3位から4位へとランクを落としましたが、今大会はその雪辱に挑みます。第11戦チェコGPでキャリア初優勝達成のアレックス・マスボー(Ongetta -Rivacold)は、総合6位からさらに上を狙います。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「シルバーストーンでは表彰台のトップに戻ることができてよかったです。チームはレースウイーク中、ずっとすばらしい仕事をしてくれました。次はミサノです。ここはほかのサーキットに比べると小さくて、低速コースです。このタイトなコーナーが続くサーキットでいいブレーキングができるよう、マシンのセットアップに金曜日から取り組みたいです。そして、天気がよくなることも願っています」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合2位)
「今週末のミサノが楽しみです。ここは、3日間とも多くのイタリアのファンが来てくれるので、雰囲気がとてもいいです。金曜日からいい天気になることを願っています。そして、セッティングがいい方向へ進むことを願っています。一周の距離は短いですが、オーバーテイクのポイントはたくさんあって、激しい戦いになります。そして、かなりバンピーなので、いいセットアップをすることがカギになってきます。おもしろいレースになることを願っています」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合9位)
「ミサノは、僕にとってエキサイティングなサーキットなので、レースが楽しみです。イタリアの観客は最高です。彼らにはサポートするライダーがたくさんいるし、シッチ(シモンチェリ選手)の追悼式はとても感動的です。チームにとっても、今大会はとても重要なレースですが、プレッシャーはありません。このサーキットでは最高峰クラスにデビューしてから速く走れているので、不安もありません」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合11位)
「シルバーストーンは転倒で終わってしまいましたが、ネガティブなレースでもポジティブな部分を見るようにしています。日曜日のウォームアップでは、マシンのフィーリングをよくする解決策を見つけることができました。その結果として、レースペースは悪くなく、正しい方向へ向かっていると思います。ミサノでさらに進展できるように、引き続きセットアップに取り組みたいです。ミサノは特別な場所です。チームのホームグランプリというだけでなく、ここ数年いい結果を出してきました。もし運が味方してくれれば、結果につなげたいです。重要なことは、一生懸命に取り組んで自信をなくさないことです」

スコット・レディング(MotoGP 総合12位)
「シルバーストーンは長いストレートがあったので、苦しいレースになると思っていました。でも、実際にはファクトリーマシンとのギャップはそれほどありませんでした。むしろ、ミサノのように小さいサーキットでシルバーストーンのように戦えるかを見てみなければなりません。イギリスGPよりも難しいかもしれません。とにかく、シルバーストーンのときと同じような気持ちで、ファクトリーマシンに追いついて、彼らと戦えるようにしたいです」

青山博一(MotoGP 総合14位)
「前回のレースはプラン通りには進みませんでした。シルバーストーンはあまり好きではないですし、いいセットアップを見つけるのに苦労しました。しかし、今週は違います。ミサノは本当に好きなサーキットなので、毎回気分がいいです。タイトなサーキットで、とてもユニークです。タイムをロスしやすいセクションがいくつかあるので、いいセットアップが必要です。ミサノでの週末を楽しめることを願っています。チームもいつものようにすばらしい仕事をしてくれると思います。いつものように目標はトップ10に入るために戦うことです」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
「シルバーストーンでの経験から、この先のレースではトップ10争いができると思います。でも、2つの大事な目標を達成しない限りは無理です。それは、予選でいい成績を残すことと、いいスタートを切ることです。このことに集中しなければなりません。これがミサノでの一番の目標です。2011年以来、ここでは完走できていないので、チェッカーを受けたいです。昨年はケガでレースを欠場し、2012年にはテクニカルな問題に苦しみました。今週末は完走できることを願っています」

レオン・キャミア(MotoGP 総合26位)
「ミサノは、スーパーバイク世界選手権で3年間走ったことがあります。とても変わったサーキットです。ハードブレーキングが必要になるところもあり、加えて、タイトで低速なコーナーがあるなど、難しいサーキットです。ここに合うようにマシンのセットアップに取り組まなければなりません。シルバーストーンではペースをつかむのに苦しみました。もしかしたらレースウイークのはじめにセットアップが誤った方向に進んだのかもしれません。そして、それをリカバリーすることができませんでした。ミサノでのプランはとても明確です。このマシンを学ぶためにどの方向へ進むべきかは分かっています。なるべくたくさん周回して、日曜日にベストの走りを見てもらえることを願っています」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「シルバーストーンで行われた前戦イギリスGPの優勝は、とても重要な勝利でした。それは、ライバルたちよりもマシンをいい状態に仕上げることができたからです。シルバーストーンでは、セットアップに集中しました。そして、ポールポジションから決勝に挑むことができました。ミサノはシルバーストーンとは全くキャラクターが違うサーキットなので、また、いつもと同じようにセットアップに全力を注がなければなりません。これまでと同じアプローチで決勝に挑みます。そして、優勝します」

ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
「タイトル争いはかなりの接戦なので、今大会もとても重要な戦いになります。もし優勝することができなくても、表彰台に立たなければなりません。過去2戦はティト(ラバト)に先着されているので、このレースはもちろんのこと、これから先も、彼の前でフィニッシュすることがチャンピオンになるためには必要なことです。ミサノは、シルバーストーンに比べるとテクニカルコースで、我々のマシンには合っていると思います。優勝するための条件はそろっています。いずれにしても、フィニッシュすることが重要です。そのためにも全力を注ぎます」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
「ミサノは自分のライディングスタイルに合っていますし、とても楽しみにしています。昨年のMoto3クラスでは、0.050秒差という本当にわずかの差で優勝を逃しました。今年はその悔しさをぶつけたいです。このサーキットで重要なのは予選です。スタート直後のいくつかのコーナーでアクシデントが多いので、いいグリッドからスタートすることが大切になります」

中上貴晶(Moto2 総合24位)
「前戦イギリスGPは、コーナーの立ち上がりでトラクション不足になり、うまく加速につなげられませんでした。しかも、集団の中に入ってしまったことで、自分の走りができませんでした。しかし、15位に終わったのは自分の責任です。ひとりで走っているときのタイムを出せなかったですし、悪い状況の中でも、もっとうまく走れば上位でフィニッシュできたと思います。サンマリノGPは、昨年、予選も決勝もいい走りができました。ここから本来の調子に戻っていければと思っています」

アレックス・マルケス(Moto3 総合2位)
「昨年は3位になることができました。フリー走行、予選とセットアップに苦労しましたが、最後にいい結果を出せました。ミサノは得意なサーキットではありませんが、自分にとって得ることがたくさんあるという点ではいいサーキットです。今週のレースではっきりしていることは、厳しい戦いが待ち受けているということです。シルバーストーンではHondaに少しだけアドバンテージがありました。しかし、タイトなコーナーが続くミサノは、加速がとても重要になるので、KTM勢との接近戦になると思います。先週はアラゴンでプライベートテストを行いました。ミサノに向けて役立つテストになったと思うので、週末を楽しみにしています」

アレックス・リンス(Moto3 総合3位)
「昨年、ミサノでは優勝していますし、いい思い出があります。前戦シルバーストーンですばらしいレースをしたあとにミサノのレースを迎えることができて、最高の気分です。チームとともにいい仕事ができています。セットアップもいい方向に向かっていますし、リザルトもついてきています。そして先週、アラゴンで行ったテストでは、いくつかのいい結果を得られましたし、今回のレースに生きると思います。今週も全力で挑みます」

エフレン・バスケス(Moto3 総合4位)
「前戦イギリスGPは、オープニングラップに前を走るライダーが急激に減速したため、避けきれずに追突して転倒リタイア。ポイントを獲得することができませんでした。今大会は、ノーポイントに終わったイギリスでの後れをばん回しなくてはいけません。とにかく全力で挑みます」