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MotoGP

round 06

SCHEDULE

May 30/31/June 1 2014 MotoGP Gran Premio d'Italia TIM

イタリアイタリアGP

イタリアGPプレビュー

第6戦イタリアGPが、5月30日(金)から6月1日(日)までの3日間、フィレンツェ近郊のムジェロ・サーキットで開催されます。昨年同様、今年も5月下旬から6月上旬にかけての開催となりました。

イタリアGPプレビュー

ムジェロは、一周5.245kmのハイスピードコースで、グランプリが開催されるサーキットは、オーストラリアGPの開催されるフィリップアイランドに次いでアベレージスピードの高いコースです。最終コーナーから約1.1kmある下り勾配のロングストレートの間で繰り広げられる超高速バトルが、ムジェロ最大の見どころで、スリップストリームを使いあっての激しいバトルとなります。このストレートに代表されるように、ムジェロは全体的にパッシングポイントが多いレイアウトになっていて、目まぐるしくポジションが入れ替わるし烈な戦いになることが多く、選手からも観客からも、評価の高いサーキットになっています。

ムジェロで初めてグランプリが開催されたのは1976年。以降、イタリアGPはイモラ、モンツァなど、いくつかのサーキットで開催されてきましたが、91年にムジェロが全面改修を受けてからは、グランプリの舞台として定着。91年はサンマリノGP、92年はイタリアGP、そして93年に再びサンマリノGPがここで開催されましたが、94年からはイタリアGPの開催サーキットとなり、今年で21年連続の開催となります。

Hondaは、改修された91年以降のムジェロで、これまで通算12勝を挙げています。2010年にダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が優勝してからは、過去3年優勝を逃していますが、今年は4年ぶりの優勝を狙います。

優勝候補の筆頭は、開幕から5戦連続ポール・トゥ・ウインを達成しているマルク・マルケス(Repsol Honda Team)です。昨年はフリー走行で大きな転倒を喫し、肩などを痛めるといった厳しい状態で決勝に出場。予選6番手からトップグループに加わりました。そして、レース終盤には2番手まで浮上する快走をみせましたが、転倒リタイアに終わりました。マルケスにとっては、MotoGPクラスにチャレンジして、これが初めてのリタイアとなり、悔しさを募らせました。その悔しさが、のちの史上最年少タイトル獲得と、今年の連勝にもつながっています。今年は昨年の転倒リタイアの雪辱を果たし、連勝記録を伸ばす意気込み。昨年のドイツGPに続き、125cc、Moto2クラスに続く、2度目の3クラス制覇を目指します。

チームメートのペドロサは、開幕から4戦連続で表彰台に立ってきましたが、前戦フランスGPでは5位と今季初めて表彰台を逃しました。今大会はその雪辱に挑みます。ムジェロでは、2005年に250ccクラスで優勝し、最高峰クラスでは10年にポール・トゥ・ウインを達成しています。その後、11年はケガからの復帰戦のために8位。12年、13年は連続2位と優勝にあと一歩届きませんでした。今年はマルケスとともに優勝候補の筆頭。Repsol Honda Teamは、第2戦アメリカズGP、第3戦アルゼンチンGPに続く、今季3度目の1-2フィニッシュを目指します。

総合6位につけるステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、ミサノで開催されるサンマリノGP同様、チームのホームグランプリとなるため、気合十分。今季ベストリザルトを狙う戦いになります。今年は第2戦アメリカズGPでの予選3番手、決勝4位が最高位。それ以降は、予選、決勝ともに、なかなかトップグループに加わることができませんでした。前戦フランスGPでも予選4番手と上り調子でしたが、レースに向けて行ったセットアップの変更がうまくいかず、決勝では7位と後退しました。その悔しさを、得意とするムジェロでの戦いにぶつける意気込みです。過去2年ともに4位と、表彰台にあと一歩まで迫っている大会だけに、チーム一丸となって今季初表彰台を目指します。

前戦フランスGPで3位になり、2年ぶりの表彰台に立ったアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、チームのホームグランプリで2戦連続表彰台を狙います。一昨年の大会では転倒が続き、パフォーマンスを発揮できずに10位。昨年は、オープニングラップに他車との接触で転倒リタイアと、結果を残すことができませんでした。過去2年、イタリアGPはシーズンを通じて最も厳しく辛い大会になっているだけに、今年は表彰台獲得を目標に、一つでも上の順位を目指す意気込みです。

市販レーシングマシンの「RCV1000R」で挑む4選手も、それぞれ、今季ベストリザルトを狙います。総合12位のニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)は、前戦フランスGPで他車との接触によって転倒リタイア。調子がよかっただけに、悔しいレースとなりました。今大会は得意とするムジェロ。その雪辱に挑みます。チームメートで総合13位の青山博一も、ムジェロは大好きなコース。今季ベストリザルトを狙います。総合14位のスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)は、昨年Moto2クラスで優勝しています。大好きなサーキットで、RCV1000R勢とオープンカテゴリー勢トップを狙います。ここまで5戦中4戦でポイントを獲得しているカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)も、開幕戦カタールGP、第3戦アルゼンチンGPの13位以上のベストリザルトに挑みます。

激戦が続くMoto2クラス。高速サーキットのムジェロでは、その激しい戦いに一層の拍車がかかります。大集団によるスリップストリームを使いあっての高速バトルは、見ている者を興奮させます。総合首位のエステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)は過去2年、ムジェロでは優勝争いに加わっていません。しかし、今年は開幕戦から好調なだけに、初優勝が期待されます。チームメートで総合2位のミカ・カリオも、ムジェロでは表彰台に立ったことがありませんが、今年はスペイン、フランスに続く3連勝を目標に、ラバトとの優勝争いが期待されています。

総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Pons HP 40)は、ムジェロを最も得意としています。Moto3(125cc)時代には、デビューした11年に3位表彰台に立ち、12年には優勝しています。Moto2では、ムジェロを初めて走ることになりますが、得意のサーキットで今季2勝目を狙います。また、地元ファンの声援の中で走るイタリア勢にも注目されます。前戦フランスGPで今季初表彰台の2位に入った、総合5位のシモーネ・コルシ(NGM Forward Racing)がMoto2初優勝と今季2度目の表彰台を狙います。中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、今季初表彰台と初優勝の期待が寄せられています。長島哲太(Teluru Team JiR Webike)も、初ポイント獲得に挑みます。

Moto3クラスも厳しい戦いになることが予想されます。総合3位のエフレン・バスケス(SaxoPrint-RTG)は、前戦フランスGPで初のポールポジションから優勝争いに加わりましたが、激しい戦いの中で6位に終わりました。今大会はその雪辱に挑みます。総合4位のアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)は、スペイン、フランスと2戦連続で表彰台に立って上り調子。チームメートで総合5位のアレックス・マルケスは、スペイン、フランスと表彰台に立てない悔しいレースが続いているだけに、今大会は3戦ぶりの表彰台と今季初優勝へ期待がふくらみます。チャンピオン争いに加わるHonda勢3選手の優勝争いに注目です。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「前戦フランスGPは、自分にとってすばらしいレースになりました。見ている人たちには簡単に勝てたように思えたかもしれませんが、チームが全力でマシンを仕上げてくれた結果でした。ムジェロは、難しいサーキットで、昨年最も苦労したコースです。レースウイークを通じて転倒も多く、決勝でも転倒しました。あれから一年。いろんな経験を積んできたので、それが今年のイタリアGPに生きることを願っています。イタリアGPは、今シーズン、最も厳しい戦いになると思います。バレンティーノ(ロッシ、ヤマハ)はホームグランプリとなるムジェロでこれまで強いレースをしてきました。ホルヘ(ロレンソ、ヤマハ)も過去3年、優勝しています。ダニもここではとても速いです。もし、優勝争いにからめないようなら、できるだけポイントを獲得できるようにしなければなりません」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合2位)
「ムジェロは、長い高速コーナーが多く、最適なグリップを得るためのセットアップが重要になります。ムジェロは独特な雰囲気で特別な感じがします。ムジェロは天候に恵まれるレースも多く、大観衆の前で優勝争いがしたいと思います。この数戦、全体的にいいレースができていますが、予選でもう少しタイムを短縮できるようにしたいです」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合6位)
「開幕が待ちきれない気持ちです。なぜなら、ムジェロは大好きなサーキットの一つだからです。高速コーナーが多いコースレイアウトは大好きです。前戦ル・マンでは、かなり苦戦したので、今回はいいリザルトを残したいです。ムジェロではLCR Honda MotoGPのすばらしいサポートの中で、過去2年、4位になりました。今大会はチームオーナーのルーチョとチームにとって、とても重要なレースになりますので、本来のポジションに復活できるように全力を尽くします」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合10位)
「前戦のル・マンはすばらしいレースになりました。しかし、この調子をキープするためにも、しっかりと足を地につけて大会に挑まなければなりません。これまでと同じようにステップ・バイ・ステップのレースにしたいと思います。ムジェロはル・マンに比べればストレートが長く、リラックスできる時間はありますが、高速コーナーが続く難しいコースです。スペインGPを終えたあとのヘレステストでは、ブレーキングが改善されて、それがル・マンのレースで生きました。今回もブレーキングでいい状態が作り出せれば、いいスタートを切れると思います。ここで表彰台に立つのはとても難しいと思いますが、ワークスチームの選手たちに離されないようにがんばらなければなりません。今大会はすべてのチームにとって、とても重要なレースになります。我々にとってもホームグランプリとなりますので、チームとスポンサーの地元でいい結果を残したいと思います」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合12位)
「ムジェロは大好きなサーキットなので、いつもこの大会を楽しみにしています。ムジェロは走って楽しいし、レースの盛り上がりもすばらしく、シーズンを通じて最高のグランプリの一つだと思います。今年も、これまで通り最高のレースになることを願っています。今回もどこまでいけるか走ってみないと分かりませんが、マシンのポテンシャルを最大限発揮できるように全力を尽くします。前戦ル・マンが悔しいレースだったので、その分、今回はいいレースにしなければなりません。チームにとってもスポンサーにとっても、いい結果が出せるようにがんばります」

青山博一(MotoGP 総合13位)
「ムジェロはシーズンを通じて、最もチャレンジングなサーキットの一つです。とても難しいコーナーがいくつかあって、長いストレートもあります。我々のマシンはオープンカテゴリーなので、ファクトリーオプション勢に対しては、ストレートで苦しい戦いになると思います。しかし、コーナーではいいバトルができると思っています。この数戦は、マシンのポテンシャルを引き出せるようになってきていますし、リザルトも悪くありません。そういう状況の中で、得意とするサーキットを迎えてモチベーションは高いです。どんなレースになるか分かりませんが、全力で挑みます」

スコット・レディング(MotoGP 総合14位)
「ムジェロは楽しい思い出がたくさんありますし、昨年はMoto2で優勝することができました。このサーキットでRCV1000Rを走らせるのは初めてになりますが、これまでテストを経験しているサーキットなので、コースをよく知っています。この経験が大いに役立つと思います。ムジェロは体力を必要とします。天候も変わりやすいので、いろいろと条件の厳しいサーキットで、流れるようにスムーズに走ることが求められます。我々のマシンにはちょっと難しいコースかもしれません。しかし、走ってみなければ分からないので、とても楽しみにしています」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
「前戦フランスGPは厳しいレースでしたが、なんとか15位になり、ポイントを獲得することができました。その前のスペインGPが今年になって初めてノーポイントのレースだったので、再びポイントを獲得できてよかったです。ウインターテストから苦しんできた左肩の状態も、ここにきてほとんど回復しています。高速サーキットのムジェロをいい状態で迎えられるのがうれしいです。どんな結果を残せるのかは分かりませんが、一戦ごとにいい結果を得られるようにがんばっていきます」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「今大会も優勝することを目標にムジェロに向かいます。これまでムジェロではあまりいい結果を残していませんが、大好きなサーキットです。今年は5戦を終えて、2勝を含む4度の表彰台に立っていて、いい状態でイタリアGPを迎えられるのでうれしいですし、とても楽しみです。まだ5戦が終わったばかりなので、チャンピオンシップのことを考えるのは早いと思いますが、過去2戦、チームメートのミカが2勝して、僕とのポイントを一気に縮めているので、これまで以上にレースに集中して、しっかり取り組みたいと思います」

ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
「ムジェロでどんなレースができるのかは分かりませんが、これまでと同じような走りができればいいと思っています。ムジェロはアップダウンと高速コーナーがあって、走っていてとても楽しいサーキットです。コースレイアウトは大好きです。しかし、これまでムジェロでは、いつもなにかしら問題を抱えていて、表彰台に立つことができませんでした。スペインとフランスで優勝したあとなので、すごく自信はありますし、今年のイタリアGPは、いい結果が残せることを期待しています。これまで通り、全力で仕事をこなし、表彰台に立ったサーキットの一つに加えたいです」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
「ムジェロは大好きなサーキットで、Moto3時代は、いつもいい結果を残してきました。Moto3にデビューした2011年に3位、12年優勝していますし、とてもいい思い出になっています。Moto2では初めてのレースになりますが、ここまでの5戦で得た経験をムジェロで生かせればと思います」

中上貴晶(Moto2 総合21位)
「スペインGPは転倒リタイア、フランスGPは16位とふがいないレースが続いています。特にヨーロッパラウンドに入ってからのこの2戦は、自分が得意とするサーキットでしたし、余計に残念というか、悔しい気持ちでいっぱいです。今週行われるイタリアGPは、Moto2クラスでは一昨年に初めてトップを走ったサーキットですし、昨年も転倒はしましたが、やはりトップを走って表彰台争いに加わることができました。毎戦、今度こそという気持ちで戦っていますし、チームも全員ががんばってくれています。今年もトップグループに加わり、いい結果を残したいです」

長島哲太(Moto2 ノーポイント)
「先週はツインリンクもてぎで開催された全日本ロードレース選手権に参戦することになり、走り慣れているサーキットで、いろんなことにトライできました。全く同じ車体というわけではないのですが、今回経験したことをイタリアGPに反映したいと思います。イタリアGPの行われるムジェロは、スペインGPのあとにプライベートテストで走っています。スポーツ走行だったので本格的な走行ではありませんでしたが、コースを経験しているということで、少しは余裕があります。ムジェロは高速サーキットで、すごい接戦になると思います。今回もポイント獲得を目標に全力で挑みます」

エフレン・バスケス(Moto3 総合3位)
「前戦フランスGPは勝てるレースでした。しかし、そのチャンスを逃して6位に終わりました。もし、今回もフランスのように勝てるチャンスが巡ってきたら、今度こそ優勝は逃しません。とにかく、フランスのあと、これまで以上に優勝への思いは強くなりました。今まで以上に全力で挑みます」

アレックス・リンス(Moto3 総合4位)
「ムジェロは難しいサーキットです。Hondaのマシンで走るのも初めてなので、どういう戦いができるのか、今は分かりません。しかし、ヘレスやル・マンと同じように、優勝争い、そして表彰台に立つために金曜日から全力で挑みます。ル・マンのあと、モーターランド・アラゴンでプライベートテストに挑みました。その結果を今回は生かしたいと思います」

アレックス・マルケス(Moto3 総合5位)
「ムジェロは中速、高速コーナーがあり、今年のHondaマシンにはいいサーキットだと思います。ムジェロは昨年、初めて走りました。金曜日の時点でかなり厳しいコースだと感じましたが、決勝までなんとかペースも上げられて5位になることができました。しかし、シーズンを通してムジェロは最も難しいサーキットの一つでした。過去2戦、表彰台に立てないレースが続いているので、今回はトップグループで戦えるようにがんばります」