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MotoGP

round 03

SCHEDULE

April 25/26/27 2014 MotoGP Gran Premio Red Bull de la República Argentina

アルゼンチンアルゼンチンGP

アルゼンチンGPプレビュー

この地では初開催となる第3戦アルゼンチンGPが、4月25日(金)から27日(日)までの3日間、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの北西約1100kmに位置するアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドで開催されます。テルマス・デ・リオ・オンドは、サンティアゴ・デル・エステロ州にあり、州都サンティアゴ・デル・エステロから約65kmの位置にあって、温泉が出ることから、アルゼンチン国内ではスパリゾート地として知られています。

アルゼンチンGPプレビュー

アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、2008年に完成。13年に大幅に改修されました。昨年8月には初の世界選手権レースとなる、4輪カテゴリーの「世界ツーリングカー選手権(WTCC)」が開催されました。この大会ではHonda Civic WTCCで出場のガブリエーレ・タルクィーニ選手が表彰台に立つ活躍を収めています。今年は、ロードレース世界選手権が初開催となり、開幕2連勝中のRepsol Honda Teamをはじめ、Honda勢の活躍に大きな注目が集まっています。

昨年7月上旬にコースの改修工事が終わったばかりの同サーキットでは、MotoGPクラスとMoto2クラスに参戦する数チームがテストを行っています。MotoGPクラスでは、ステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)、アルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)の両選手が参加しましたが、このときのテストは新サーキットでのタイヤテストが最大の目的で、今大会が事実上の初走行となります。

アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドは、平坦な土地にある一周4.806kmのコースで、メインストレートが1.076kmと長く、9つの右コーナー、5つの左コーナーを持ち、中高速コーナーが続くシンプルなレイアウトとなっています。

過去、アルゼンチンGPは、ブエノスアイレス郊外のアウトドローモ・オスカル・ガルベスで、1961年から1999年まで断続的に計10回開催されました。今年は通算11回目を迎えることになりますが、初めてサーキットを移しての開催となります。

開幕から2連勝中のマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、今大会、開幕3連勝を狙います。開幕3連勝は、01年に当時Repsol Honda Teamに所属していたバレンティーノ・ロッシが達成していますが、マルケスが達成すれば、それ以来のタイ記録となります。また、ポール・トゥ・ウインの記録では、1995年にRepsol Honda Teamでマイケル・ドゥーハンが達成した記録に並びました。今大会、ポールポジション(PP)を獲得して優勝すれば、19年ぶりの新記録達成となります。マルケスは「開幕戦からの勢いを見てもらいたい」と意気込んでいるだけに、初開催となるアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドで15年ぶりに開催されるアルゼンチンGPでの優勝に向け、期待がふくらんでいます。

開幕から2戦連続で表彰台に立ち、総合2位につけるダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、今大会での今季初優勝を狙います。カタールGPでは、マルケスとバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)に後れを取って3位。アメリカズGPでは、マルケスとの一騎打ちの末に2位と、優勝にあと一歩届きませんでした。それだけに、今大会は今季初優勝に闘志を燃やしています。今大会も、マルケスとの優勝争いになれば、Repsol Honda Teamの2戦連続1-2フィニッシュとなります。ペドロサは初めて訪れるアルゼンチンと、初開催となるアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドでの戦いを楽しみにしています。

昨年、新設のこのコースでのテストに参加しているブラドルとバウティスタは、「昨年のテストは路面コンディションが悪く、セットアップできる段階ではなかったですし、2日目以降は天候も悪かったです」と、昨年の経験がアドバンテージになっていないことを強調していました。しかし、サーキットの雰囲気を知っているだけに、初日からどんな走りをみせるのかに大きな注目が集まっています。ブラドルは前戦アメリカズGPで表彰台にあと一歩の4位に入ったこともあり、高いモチベーションで挑みます。一方、バウティスタは2戦連続、転倒リタイアに終わっているだけに、ばん回に向けて気合を入れています。

市販レーシングマシンのRCV1000Rで参戦の4選手は、全員が同サーキットでの初走行となります。開幕戦カタールGPで8位、第2戦アメリカズGPで11位のニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)は、オープンカテゴリーで2番手となる総合8位。今大会は開幕戦カタールGPをしのぐベストリザルト獲得に挑みます。スコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)は、開幕戦カタールGPで7位と、ルーキーとしては上々のスタートを切りましたが、アメリカズGPでは転倒リタイア。総合7位から総合12位へと大きくポジションを落としてしまいました。今大会は、その雪辱に闘志満点。青山博一(Drive M7 Aspar)は、開幕戦11位、第2戦が12位で総合13位。今大会は今季初のシングルフィニッシュを目指します。カレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)も13位/14位と2戦連続でポイントを獲得。今大会は今季ベストリザルトを狙います。

Moto2クラスでは、エステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)が今季2勝目を狙っています。ラバトは、開幕戦カタールGPで優勝し、第2戦アメリカズGPで2位。昨年の7月にはアウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドのテストに参加しているだけに、そのアドバンテージを少しでも生かす意気込みです。前戦、Moto2クラスでデビュー2戦目にして初優勝を果たしたマーベリック・ビニャーレス(Pons HP 40)も、連勝を狙います。接戦が続くMoto2クラスですが、初開催となるサーキットだけに、一段と厳しい戦いが繰り広げられることになりそうです。

日本人勢は、初優勝が期待される中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が、今季初表彰台とMoto2クラス初優勝に闘志満々。長島哲太(Teluru Team JiR Webike)も初ポイント獲得に挑みます。

Moto3クラスは、開幕戦から2戦連続3位表彰台に立ち、総合2位のエフレン・バスケス(SaxoPrint-RTG)が3戦連続表彰台と初優勝に闘志。開幕戦カタールGPでPPを獲得したものの5位フィニッシュ、第2戦アメリカズGPでは予選3番手から4位と、予選の走りを決勝につなげらずに総合4位のアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)が、今季初表彰台と初優勝獲得に挑みます。チームメートで総合6位のアレックス・マルケスは、開幕戦カタールGPで2位に入りましたが、第2戦アメリカズGPでは表彰台争いの中で転倒リタイアと、悔しい結果に終わっており、今大会はその雪辱に挑みます。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP 総合1位)
「アルゼンチンはほとんどのライダーが初めて経験するサーキットです。何人かのライダーが昨年のテストで走っていますが、走れた時間も短く、まだまだ未完の状態のサーキットだったので、そのときにできることは限られていたと思います。いずれにしても、新しいサーキットで行われるグランプリなので、楽しみにしています。アルゼンチンのファンに会えるのも楽しみにしています。開幕からの2戦の勢いを今大会も見てもらえるようにがんばります」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合2位)
「オースティンでのアメリカズGPを終えたあと、アルゼンチンの新しいサーキットでのグランプリを楽しみにしていました。でも、サーキットのことはよく知らないので、出発前にコース図やビデオを見るなど、できるだけのことをしてきました。実際に走ってみないと分からないところもあるので、初日を楽しみにしています。アルゼンチンを訪れること自体が初めてになります。この週末、アルゼンチンのファンに会えるのを楽しみにしています」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合7位)
「新しいサーキットなので、予想を立てるのがとても難しいですね。昨年、このサーキットで数日間テストをしましたが、あれは正式なテストではなかったですし、パドックもまだ建設中でした。路面状態は極めて悪く、データを収集するにもグリップレベルが低すぎました。今年は、路面コンディションがよくなっていると思いますし、新サーキットではいつも新しいチャレンジになるので、楽しみにしています。セットアップなど、やることはたくさんあります。オースティンで4位だったので、モチベーションはとても高いです」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ノーポイント)
「昨年、このサーキットを訪れたときに、テクニカルなパートが多く、大好きなサーキットだと思いました。たくさんの高速コーナーがありますし、僕のライディングスタイルには合っていると思います。しかし、昨年のテストは、2日目に雨が降りましたし、マシンのセットアップはできませんでした。とても路面が汚れているサーキットだという印象でしたが、今週はよくなっていることを願っています。開幕から2戦連続でノーポイントに終わっているので、このグランプリではなんとしてもポイントを取りたいと思います」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合8位)
「これまでもさまざまな国で新しいサーキットにチャレンジしてきましたが、新しいサーキットは大好きなので、とてもワクワクしています。毎年同じサーキットでグランプリが開催されますが、こうして新しいサーキットにチャレンジするというのも大事なことです。新しいサーキットにできるだけ早く対応しなければならないですし、素早いセットアップが求められますからね。この仕事に求められることは、サーキットが違うだけで、いつも同じです。今大会もチームと一緒にいい状態を見つけていきたいです」

スコット・レディング(MotoGP 総合12位)
「昨年、何人かのライダーがこのサーキットでテストしていますが、ほとんどのライダーが初めてですし、みんなこのサーキットのことをよく知らないという点では同じです。みんなと同じレベルでこの大会を迎えられるという点では、うれしいですね。これまでも新しいサーキットではいつも速く走ろうとしてきましたし、ニューチャレンジを楽しんできました。ここのサーキットでも、これまで通り楽しめると思いますし、とてもいいモチベーションになっています。最初のフリープラクティスでどんな走りができるのか、とても楽しみにしています」

青山博一(MotoGP 総合13位)
「序盤の2戦でマシンの状態はかなりよくなりました。まだまだよくできる部分は多いですし、今大会をとても楽しみにしています。テルマス・デ・リオ・オンドは、どんなサーキットなのか、全く分かりません。しかし、新しいサーキットなので、みんなゼロからのスタートになります。同じ条件で大会を迎えられるというのは、うれしいですね。RCV1000Rの特性が、このサーキットに合っていることを願っています。序盤の2戦、最終的にいい走りができていますが、フリー、予選でもう少し早くいい状態を見つけられていれば、もっといい結果を得られたと思います。今大会は今季ベストリザルトを得られるようにがんばります」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
「南米に行くのは初めてなので、とてもワクワクしています。新しいサーキットを攻略するのは簡単ではありませんが、モチベーションはとても高いです。同じ条件でスタートできるので、だれが一番うまくサーキットを攻略できるかが分かると思います。タイヤメーカーにとっても、新しいサーキットはチャレンジになると思います。ブリヂストンがどんなタイヤを用意してくれるのか、楽しみにしています」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「アウトドローモ・テルマス・デ・リオ・オンドはいいサーキットだと思います。高速と低速コーナー、長いストレートがいい感じでバランスよく配置されています。昨年、テストをしたときは、路面がとても汚れていました。しかも、2日目は雨になったので、本当のスピードを出せたとは思いません。ただレイアウトを確認しただけで終わりました。前戦アメリカズGPでは、ギアボックスの問題があったので、今回はそれを解明したいと思います。しかし、サーキットの特徴から、その原因をここで見つけるのは難しいかもしれません。チャンピオンシップはまだまだ始まったばかりですが、今大会は、優勝を目標に全力を尽くしたいと思います」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合2位)
「自分もチームも、このサーキットを知らないので、ゼロからのスタートになります。もちろんテキサスでの勝利は我々に大きな自信を与えてくれました。Moto2では、リアタイヤの使い方が勝つための大きな要因となりますが、今回もしっかりタイヤのマネージメントをしていきたいですね。特に最後の数ラップでパフォーマンスを発揮できるようにしたいと思います」

ミカ・カリオ(Moto2 総合3位)
「オースティンで痛めた肩の状態は、かなりよくなりました。テルマス・デ・リオ・オンドは、コース図を見る限り、オースティンほどライダーに体力的なものを要求しないレイアウトだと思います。新しいサーキットなので、みんな同じ条件でこの大会を迎えます。海を越えての開幕3連戦での勝利は、ラバトやビニャーレスと戦っていくためにも、とても重要なものです。全力で挑みます」

中上貴晶(Moto2 総合16位)
「アルゼンチンGPが開催されるテルマス・デ・リオ・オンドは、ほとんどのライダーが初めて走るサーキットです。南米に行くのも初めてなので、とても楽しみにしています。開幕戦カタールGPは失格でノーポイント。第2戦のアメリカズGPもトラブルが出て11位。チャンピオンシップを考えると、かなり後れを取ってしまったので、今大会は優勝を目標に全力を尽くします。とにかく、サーキットのインフォメーションがほとんどないので、今はサーキットについてのコメントはありませんが、序盤の遅れをばん回するためにも、なんとしても優勝を狙っていかなくてはなりません。アルゼンチンと次のスペインで、チャンピオン争いのためにも、いい流れに乗りたいです」

長島哲太(Moto2 ノーポイント)
「アメリカズGPもノーポイントに終わりましたが、カタールと比べたら内容は悪くありませんでした。オースティンでは、ブレーキトラブルが出なければポイントを獲得できたのでないかと思うし、大きな自信になりました。今大会は、ほとんどの選手が初めて経験するサーキットなので、カタールGP、アメリカズGPに比べたらハンディは少ないと思います。序盤の2戦を終えて、マシンの改良点もだんだん見えてきたので、ヨーロッパラウンドが楽しみです。今回はこれまで同じ状態ですが、次のスペインGPにつなげるためにも、全力で挑みます」

エフレン・バスケス(Moto3 総合2位)
「カタール、テキサスと、優勝争いに加われることを見てもらえたと思います。テキサスでもマシンとの相性はよく、ここではもっとよくなるようにしたいです。Moto3ライダーはだれ一人として、この新しいサーキットを体験しておらず、それぞれがどのようなアプローチを見せるのか、とても興味深いです。目標は、これまでと同じ表彰台獲得。できることなら優勝したいです」

アレックス・リンス(Moto3 総合4位)
「我々にとって全く新しいサーキットになりますが、それは、みんな同じです。昨年のビデオを見るわけにもいかず、マップからコーナーを想像するくらいしかできません。乗った感覚も、ゲームがあるわけではないので、分かりません。とにかく、木曜日にスクーターでコースを回るのを待ちきれません。そうすれば、フリープラクティス前になにかアイデアを得られるだろうと思っています」

アレックス・マルケス(Moto3 総合6位)
「参考になる情報がない、全く新しいサーキットなので、難しい週末になります。でもセットアップがゼロからというシチュエーションはみんな同じですからね。調子のよかったカタール、転倒してしまったオースティン、この2戦の結果をしっかり受け止めて、今大会は少しでも多くのポイントを獲得したいと思います。最初のフリープラクティスから時間を有効に使い、レースの準備をできる限り進めたいと思います」