round 08

July 12/13/14 2013 MotoGP eni Motorrad Grand Prix Deutschland ドイツGP

SCHEDULE

ドイツGPプレビュー

第8戦ドイツGPが、7月12日(金)から14日(日)までの3日間、ドイツ・ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催されます。ザクセンリンクの歴史は古く、1927年に初めて公道レースが行われました。そして61年から72年までは東ドイツGPが開催され、東西ドイツ統一後の98年には、サーキットの全面改修が行われてグランプリの舞台として復活、今年で16年連続の開催となります。

ドイツGPプレビュー

ザクセンリンクは、アップダウンに富んだテクニカルコースで、98年に復活した当初は一周3.508kmでした。そのあと、ストレートが短すぎると選手たちから不評の声が上がり、2001年に3.704kmへとコースを延長、さらに03年にはコース幅を広げる改修を受け、全長は3.671kmとやや短くなりましたが、パッシングポイントが増え、スピード感あふれるサーキットへと生まれ変わりました。

グランプリが復活した当初は、低速サーキットといわれたザクセンリンクですが、現在はフランスGPの開催されるル・マン・サーキットとほぼ同じアベレージを記録しています。しかし、アップダウンに富み、コーナーが連続するため、身体を休めるポイントがありません。ライダーにとっては過酷なサーキットの一つで、MotoGPクラスの決勝レースは30ラップと周回数も多く、高い集中力が要求されます。

ザクセンリンクでは、グランプリが復活した98年にミック・ドゥーハンが優勝。それ以来、アレックス・バロス、バレンティーノ・ロッシ(現ヤマハ)、セテ・ジベルノー、マックス・ビアッジが、Hondaで優勝しています。07年にはダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)がドイツGP初制覇、2010年からは3年連続優勝と、Hondaは過去15年で9度の優勝を達成しています。

ザクセンリンクでは、最高峰クラスで4勝。250cc時代の2勝を含めると、これまで6度の優勝を達成しているペドロサは、今季3勝目と4年連続のドイツGP制覇に挑みます。前戦オランダGPでは、不安定な天候の中でセットアップをまとめきれず4位。過去3戦、優勝から遠ざかっていることもあり、今大会は4戦ぶりの優勝に闘志を燃やしています。昨年の大会は、チームメートだったケーシー・ストーナーと壮絶な優勝争いを繰り広げて、ザクセンリンクに詰めかけた大観衆を魅了しました。今年もHonda勢の活躍が期待されるだけに、Repsol Honda Teamの1-2フィニッシュ、Honda勢の表彰台独占に期待が膨らみます。

ペドロサのチームメートで今季大活躍のルーキー、マルク・マルケスも、得意とするザクセンリンクということで、大きな期待を集めています。マルケスはザクセンリンクにおいて、10年に125ccクラスで優勝、11年、12年はMoto2クラスで優勝しています。MotoGPクラス初チャレンジとなる今年は、クラスをまたに掛けての4年連続ドイツGP制覇に挑みます。前戦オランダGPでは、初日から好調な走りをみせました。決勝では、フリー走行の転倒の影響で体調が万全ではなく2位でしたが、ルーキーとは思えないすばらしい走りを披露しました。今季2勝目の期待が膨らむマルケスは、今大会も大きな注目を集めることになりそうです。

ステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、いよいよホームGPを迎えます。前戦オランダGPでは、MotoGPクラスで初のフロントローを獲得しました。決勝は6位でしたが、今大会は2戦連続フロントロー獲得と、MotoGP初表彰台を目標に戦います。これまで、125ccクラスとMoto2クラスで、1度ずつ表彰台に立っているブラドル。最高峰クラスへの初チャレンジとなった昨年は5位でしたが、今年は地元ファンの期待に応える意気込みです。

前戦オランダGPで、3戦ぶりの完走となる7位でフィニッシュしたアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、2戦連続の完走と、今季初表彰台に闘志を燃やしています。昨年のドイツGPでは、最後尾のグリッドから決勝に挑み、すばらしい追い上げをみせて7位でフィニッシュしました。ドイツGPが行われるザクセンリンクについて「シーズンを通じて最も難しいコース」と語るバウティスタですが、今年は好グリッドを獲得した上で、昨年の走りを再現して表彰台を狙います。

バウティスタのチームメートで、CRTマシンで出場のブライアン・スターリングにとって、ザクセンリンクは初めて走るサーキットとなりますが、カタルニアGPに続く2度目のポイント獲得を狙います。

Moto2クラスは、シーズンを通じて最も厳しい戦いが予想されます。おととしの大会ではポールポジション(PP)から1秒差以内に、24台という大接戦となりました。雨の予選になった昨年も、PPから1秒差以内に11台という接戦となっただけに、予選、決勝と見応えのある戦いになりそうです。

総合首位のスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)は過去2戦、総合2位のポル・エスパルガロ(Tuenti HP 40)に先行を許しています。そのため今大会は、今季3勝目はもちろんのこと、エスパルガロとのリードを広げる意気込みです。一方のエスパルガロは、カタルニアGP、オランダGPと2連勝。レディングに先行しているだけに、さらにポイントを縮めようと気合を入れています。

前戦オランダGPのウォームアップで左鎖骨を骨折して欠場した中上貴晶(Italtrans Racing Team)は、今大会から復帰します。高橋裕紀(IDEMITSU Honda Team Asia)も、今季初ポイント獲得に闘志を燃やしています。

Moto3クラスは、総合7位のアレクシ・マスボー(Ongetta-Rivacold)が2年連続表彰台獲得に闘志を燃やします。また、総合9位のブラッド・バインダー(Ambrogio Racing)、総合10位のジャック・ミラー(Caretta Technology - RTG)も表彰台を目標に全力を尽くします。渡辺陽向(TASCA RACING)もポイント獲得を目標に挑みます。

MotoGPクラスは、今週の第8戦ドイツGPから来週の第9戦アメリカGPと2連戦となりますが、Moto2クラスとMoto3は、今大会を終えると、第10戦インディアナポリスGPまで夏休みに入ります。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング1位) 「今週はドイツに向かいます。ザクセンリンクは、これまで僕にとってはとてもいいサーキットでした。そしてレースをするのがとても楽しいサーキットです。今年もいいフィーリングを獲得して、いい週末になることを願っています。ザクセンリンクは、短いサーキットで左コーナーが連続します。しかし、一番の高速コーナーは右コーナーなので、とても難しいレイアウトになっています。そのため、タイヤのパフォーマンスをいかに発揮するかがカギを握ります。これまで通り、優勝争いを続けるために、勢いをキープして、ベストを尽くさなければなりません」

マルク・マルケス(MotoGP ランキング3位) 「アッセンは厳しく難しい週末となりました。しかし、多くのことを学べましたし、表彰台に上がってポイントを獲得することもできました。今週はザクセンリンクです。ここも、MotoGPマシンで走るのは初めてになります。ザクセンリンクも、前回のオランダGPと同様に、天候がかなり変わりやすいので、どんな天気にも対応していかなければなりません。このサーキットはシーズンを通して最も小さいサーキットの一つですので、MotoGPマシンで走るとどんな感じなのかが楽しみです。Moto2マシンでもすでに小さく感じていましたので、MotoGPマシンでは想像できません。サーキットに着いたら、いつものようにチームと一緒にラインを学びたいです。そしてベストを尽くして、いい結果を出したいです」

ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング7位) 「アルゼンチンでのテストがあるなど、最近とても忙しかったですが、今週末がとても楽しみです。ザクセンリンクは短く、難しいサーキットです。長いストレートがなく、左コーナーが多いのが特徴です。正直、得意なコースとはいえませんが、家族や友人、ファンが僕をサポートしてくれますので、いいレースをしたいと思っています。オランダGPでフロントローを獲得できたのはすばらしいことでした。今週も、地元のファンの前でいいパフォーマンスができればうれしいです」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング9位) 「アッセンではマシンのフィーリングにあまり自信がありませんでした。思うように走ることができませんでしたが、2戦連続でリタイアしていたので、完走することに全力を尽くしました。アルゼンチンへ行ってきたばかりですので少し疲れていますが、新しいサーキットで、プレッシャーのない状態で走るといういい機会となりました。ドイツでは昨年、いいレースができました。オランダGPの転倒のペナルティーでグリッド後方からスタートしましたが、5番手まで追い上げることができました。最終的にミスをして7位でしたが、それでもすばらしいレースでした。今年は昨年のデータがあるので自信があります。ザクセンリンクは、MotoGPのサーキットの中で一番低速です。左コーナーがたくさんあり、高低差もあるので、いいセットアップを見つけるのは大変ですが、いい状態に仕上げたいと思っています」

ブライアン・スターリング(MotoGP ランキング23位) 「前回のオランダGPでは、もっといい結果が出せる自信がつきましたので、ザクセンリンクに向けてモチベーションが上がっています。最近は、走るごとに前進していることを実感していますので、ドイツではそれを確認したいです。ザクセンリンクは初めてですが、自分のライディングスタイルに合うことを願っています。なるべく早く慣れるようにベストを尽くします。CRTの中でいいポジションにつけて、次のステップに前進できるようにがんばります」

スコット・レディング(Moto2 ランキング1位) 「昨年は、オランダとドイツでセットアップに苦しみました。昨年に比べればはるかにいい結果でしたが、今年のオランダGPも完全な状態ではありませんでした。その原因のいくつかは自分のライディングスタイルに問題があって、ちょっとアグレッシブに走りすぎているせいかもしれません。今年は、少しスムーズに走るように心がけていますので、金曜日からコースに合わせた走りを見つけたいと思っています。今週末も目標は表彰台です。前半戦最後のレースなので、夏休みの前にポイント差を少し広げたいです」

ポル・エスパルガロ(Moto2 ランキング2位) 「ここ2戦で優勝し、とても自信がつきました。カタルニアとアッセンでスコットとの差を17ポイント縮めましたが、もっとその差を縮めなければなりません。ザクセンリンクはポイントを取り戻すいい場所だと思います。昨年は、ドライでとても速かったのですが、予選でミスをしてしまい、17番グリッドからスタートしなければなりませんでした。決勝レースではたくさんのライダーをオーバーテイクして4位でフィニッシュしました。今回もいいレースにして、スコットとのギャップを縮めてから夏休みに入りたいです」

エステベ・ラバト(Moto2 ランキング3位) 「アッセンでは表彰台にあと一歩だったのですが、ミスをしてしまいました。ポルやスコットとの差を縮められるように、または、ポルがスコットとの差を縮められるように、ドイツでは表彰台に上がりたいです。アルゼンチンの新しいサーキットでテストを行って、帰ってきたばかりです。この遠征はとてもいい経験になりました。アルゼンチンを走ることができて、とてもよかったです。ドイツではきっといい結果が出せると思います。昨年はあまりいい結果を残すことができませんでしたが、今年は違うレースになると信じています」

中上貴晶(Moto2 ランキング9位) 「前回のオランダGPは、決勝日のウォームアップで転倒、左鎖骨を折って欠場となりました。イタリアに戻ってすぐに手術を行い、2日後からはリハビリを開始、ここまで順調に回復しています。トレーニングの内容は、もう普段の状態に近いところまで戻っていて、トレーナーからも大丈夫と言われています。オランダでは本当に悔しい思いをしました。夏休み前の最後のレースなので、オランダの分までしっかり走って結果を残したいです」

高橋裕紀(Moto2 ノーポイント) 「オランダGPを終えて帰国して、モリワキのテストチームと、岡山国際サーキットで2日間のテスト走行を行いました。今年になって、岡山では何度もテストをしてきましたが、今回はタイムもよく、大きな自信になりました。今回テストしたニュースペックの車体を急きょ、ザクセンリンクに投入することになりましたので、いい結果を残したいと思っています。ザクセンリンクでは2006年に優勝しています。過去3年は転倒やトラブルなどでチェッカーを受けていませんが、今回は今シーズンで一番のレースにしたいと思っています」

アレクシ・マスボー(Moto3 ランキング7位) 「僕にとってザクセンリンクは、いつも大変なサーキットです。毎年ここが一番難しいレースになります。しかし、昨年は2位になり、ザクセンリンクで初めて表彰台を獲得しました。今年もいいレースにしたいと思っています。とにかく走ることに集中して、ポイントを獲得できるように一生懸命がんばります」

ブラッド・バインダー(Moto3 ランキング9位) 「ザクセンリンクはこれまでも相性がいいサーキットでした。ルーキーズカップではこれまで2位を3度、獲得しています。そしてMoto3クラスに出場した昨年は、マシンが壊れるまでは4番手を走っていました。レースウイークへ向けて自信はとてもあります。ストレートはそれほど長くないので、楽にトップグループに近づけると思います」

ジャック・ミラー(Moto3 ランキング10位) 「昨年のザクセンリンクでは4位になり、自己ベストリザルトを出しました。今回はそれを上回ることを願っています。ここ数戦のどのサーキットよりも、ここは僕のマシンと相性がいいと思います。とても好きなサーキットです。目標はHonda勢のトップです」

渡辺陽向(Moto3 ノーポイント) 「あっという間にシーズン前半戦最後のレースを迎えます。ここまでは目標にするリザルトを獲得できていませんが、やれることはすべてやってきました。全日本ロードレース選手権、スペイン選手権と比べて、レースとレースの間隔が短く、すぐに次のレースになりますので、うまくリズムに乗らなくてはいけません。今回は前半戦最後のレースになりますので、後半に向けて勢いをつけるためにも、いい結果を残して夏休みに入りたいと思っています」