round 07

June 27/28/29 2013 MotoGP Iveco TT Assen オランダGP

SCHEDULE

オランダGPプレビュー

第7戦オランダGPが、6月27日(木)から29日(土)までの3日間、オランダ北東部に位置するTTサーキット・アッセンで開催されます。アッセンで開催されるオランダGPは、グランプリの長い歴史の中でも、最も長い伝統を誇り、第1回大会から休むことなく続けられてきて、今年で65回目を迎えます。また、オランダGPは、伝統的に6月最終週の土曜日に決勝レースが行われてきました。

オランダGPプレビュー

オランダGPの開催されるアッセンは、天候が変わりやすいことでも知られ、目まぐるしく変わる天候を称して“ダッチウェザー”と呼ばれています。雨が降ったかと思えば、カラリと晴れるなど、コロコロと変わる天候をいかに攻略するか。その難しいコンディションの中で、いかにマシンをセットアップしていくかが大きなカギを握ることになります。今年はレースウイークを通じて雨の予報になっています。

運、不運もありますが、天候が不安定になれば、まさにチームの総合力が問われることになり、昨年は、2012年シーズンを最後に引退したケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)が優勝、チームメートだったダニ・ペドロサが2位と、Repsol Honda Teamが1-2フィニッシュを達成しています。今年も、6戦を終えて総合首位のペドロサと総合3位のマルク・マルケス(Repsol Honda Team)の1-2フィニッシュが期待されます。

前戦カタルニアGPは、連日の猛暑の中で厳しい戦いとなりました。その中で、ペドロサは2戦連続のポールポジション(PP)から決勝では2位でフィニッシュしました。惜しくもシーズン3勝目は達成できませんでしたが、第2戦アメリカズGPから5戦連続表彰台に立ち、総合首位をがっちりキープしました。

昨年は、オランダGPでRepsol Honda Teamがニューシャシーを投入しました。ペドロサは、フリー走行、予選と新旧を乗り比べ、決勝では新型を選択して2位でフィニッシュしました。このレースをターニングポイントに、ペドロサは大躍進。シーズン中盤、後半戦と勝ち星を重ね、シーズン最多勝利となる7勝を挙げました。

前戦カタルニアGPを終えて、Repsol Honda Teamは、スペイン・アラゴンで2日間のテストに挑みました。ペドロサは、オランダGPでは125cc時代に優勝していますが、最高峰クラスではこれまで優勝はありません。2006年、08年、10年、12年と4度の表彰台に立っているペドロサが、オランダGP初優勝を狙います。

ルーキーのマルケスは、前戦カタルニアGPを終えて、最高峰クラス初優勝を含む5度の表彰台で総合3位につけています。第5戦イタリアGPでは、2番手を走行中に痛恨の転倒でMotoGPクラスで初リタイアを経験しましたが、前戦カタルニアGPでは、地元ファンの声援の中で3位でフィニッシュし、イタリアGPの雪辱を果たしました。初優勝したアメリカズGPでは全ライダーが初めて経験するサーキットでした。しかし、第3戦以降のスペイン、フランス、イタリア、カタルニアでは、ベテラン勢との経験値の差を痛感させられています。とは言え、MotoGPマシン初経験となる大会で、すべて優勝争い、もしくは表彰台争いに加わる大活躍。アッセンでは、125ccクラス、Moto2クラスと3年連続優勝を達成しています。マルケス自身も「好きなサーキット」と語るだけに、ペドロサとともに優勝が期待されます。

6戦を終えて総合8位で、徐々に調子を上げてきているステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)が、今大会はMotoGP初表彰台を狙います。シーズン序盤は、フロントのフィーリングに苦しみました。しかし、第5戦イタリアGPではこれまでとスペックの異なるブレーキにチェンジしてから、タイムもポジションも向上して4位。続くカタルニアGPでも、猛暑という厳しい状況の中で5位でフィニッシュしました。昨年の大会では予選4番手から初表彰台が期待されましたが、痛恨の転倒を喫し、シーズンを通じて悔しいレースの一つになっています。今年も地元のドイツから大勢のファンが駆けつける大会となります。ブラドルにとってはホームGP同様、高いモチベーションで挑むことになります。

イタリアGP、カタルニアGPと2戦連続で転倒リタイアのアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、過去2戦の雪辱に挑みます。今年は6戦を終えて6位が3回、8位1回と依然として表彰台に立てないでいますが、今大会は今季ベストリザルトを狙います。バウティスタとチームメートで、CRTマシンで出場のブライアン・スターリングは、前戦カタルニアGPで初ポイント獲得の14位。今大会は2戦連続でポイント獲得を目指します。

今年で65回目を迎えるアッセン。初めてグランプリが開催された当時は、公道を使用するロングコース(16.536km)でした。その後、時代に合わせて何度もコース改修が行われ、現在は一周4.542kmで、以前ほど高速サーキットではありませんが、フィリップアイランド(オーストラリアGP)、シルバーストーン(イギリスGP)、ムジェロ(イタリアGP)に次いでアベレージの高いサーキットとなっています。また、パッシングポイントが多いレイアウトだけに、今年も熱いバトルが期待されます。

最高峰クラスでは、1966年にジム・レッドマンが初優勝。それ以来、Hondaはアッセンで18勝を挙げてきました。今年は、昨年のストーナーに続き、2連覇を狙います。

Moto2クラスは、6戦を終えてスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)が114点を獲得して、総合首位をキープしています。2位以下は大接戦で、前戦カタルニアGPで今季2勝目を挙げたポル・エスパルガロ(Tuenti HP 40)が79点で2位、チームメートのエステベ・ラバトが75点で3位。以下、ミカ・カリオ(Marc VDS Racing Team)とドミニク・エージャーター(Technomag carXpert)が60点台、ニコラス・テロール(Aspar Team Moto2)とヨハン・ザルコ(Came Iodaracing Project)が50点台、中上貴晶(Italtrans Racing Team)が40点台の総合8位で続いています。2位以下は一戦ごとに順位が入れ替わる厳しい戦いとなっています。

昨年の大会では、今季MotoGPクラスにスイッチしたマルケスが優勝、現在はドゥカティのアンドレア・イアンノーネが2位でフィニッシュしました。そして、3位にレディング、4位にラバトと続き、6戦を終えて総合ランクで上位につける選手が優勝候補に浮上しています。前戦カタルニアGPで5位、3戦ぶりに完走した中上も、アッセンは得意なコース。今季2度目の表彰台獲得に闘志を燃やしています。高橋裕紀(IDEMITSU Honda Team Asia)も今季初ポイント獲得に燃えています。

Moto3クラスは、ブラッド・バインダー(Ambrogio Racing)が総合8位、前戦カタルニアGPで8位のアレクシ・マスボー(Ongetta-Rivacold)が総合9位。前戦カタルニアGPでトップグループに加わって7位のジャック・ミラー(Caretta Technology - RTG)が総合10位と続いており、徐々に調子を上げているHonda勢の活躍が注目されます。渡辺陽向(TASCA RACING)は初ポイント獲得に挑みます。

コメント

ダニ・ペドロサ(MotoGP ランキング1位)「カタルニアではいいレースができましたし、重要な20ポイントを獲得することができました。まだチャンピオンシップをリードしていますので、アッセンが楽しみです。グランプリ初優勝を達成したのがアッセンでした。とても思い出深いサーキットです。天候は予測不可能ですので、金曜日がドライになって、いいセッティングを見つけられることを願っています。アッセンは、いくつかの高速コーナーがありますので、タイヤの感触がとても重要です。これまでの勢いをキープして、いいレースができることを願っています」

マルク・マルケス(MotoGP ランキング3位)「カタルニアのレースウイークは大変でしたが、決勝レースでは、ダニの後ろを走って多くを学ぶことができました。また、ここ数戦で抱えていた問題をアラゴンのテストで解決することができました。また、Honda RC213Vをさらに理解できるようになりました。アッセンの天候は予測不可能ですので、ドライの時間を最大限活用することが重要になってきます。このサーキットは好きです。今はとても調子がいいので、アッセンでMotoGPマシンに乗るのが楽しみです」

ステファン・ブラドル(MotoGP ランキング8位)「今年のアッセンではいい結果を出したいです。昨シーズンは4番グリッドを獲得しましたが、決勝レースの2周目で転倒してしまいました。もしかしたら少しがんばりすぎたのかもしれません。しかし、あれから経験を積みましたし、ムジェロで4位、カタルニアで5位というポジティブな結果を出せましたので、モチベーションは上がっています。正直、アッセンはあまり得意なサーキットではありません。特にコース前半の相性があまりよくありません。しかし引き続き前進したいです。カタルニアGP後に行ったカタルニアとアラゴンのテストはとても有意義でした。フロントエンドの問題に取り組むことができました。この先のラウンドに合うセッティングも見つけることができました」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP ランキング9位)「前戦カタルニアGPの1周目の転倒は、とても苦い経験になりました。スタート前はとてもいい状態でしたので、精神的にとても落ち込みました。僕もチームもいいセッティングを見つけるためにすばらしい仕事をしました。そして、いいペースを見つけることができました。予選では4番グリッドを獲得し、すばらしいレースへ向けて準備は整っていました。ホームレースでしたので、とても残念です。今回は、これまでのことは忘れて、カタルニアとアラゴンのテストで見つけたポジティブな面に集中したいです。昨年のアッセンはスタートまでとても強かったのですが、ミスをしてしまいました。今年はもっと気をつけたいです。このサーキットは難しく、最初の低速セクションに続き、いくつか高速コーナーがあります。いいセッティングを見つけるのは簡単ではありません。天候も問題です。濡れたセクションやドライのセクションがあったりします。しかし、それがオランダです。ここではいい仕事をしたいと思っています。そしてここ2戦で失ったポイントを取り戻したいです」

ブライアン・スターリング(MotoGP ランキング22位)「前戦カタルニアでは初めてポイントを獲得でき、ポジティブな結果になりました。オランダには、これまでと違った気持ちで向かうことができます。モチベーションは上がっています。しかも、初めて走るサーキットではありません。コースを学ぶために時間を費やす必要もなく、自信もあります。本当によく知っているサーキットで、とても好きです。すぐにマシンに取り組むことができますので、今回はいい結果を出したいです。そして、マシンの力を最大限引き出して、自分のポテンシャルを見せつけたいです」

スコット・レディング(Moto2 ランキング1位)「アッセンに戻るのがとても楽しみです。アッセンは大好きなサーキットの一つです。カタルニアは、僕の体格には非常に厳しいサーキットでしたが、それでも4位になることができましたし、チャンピオンシップにおいてはいい結果でした。しかし、連続表彰台が途切れてしまい、少し残念です。昨シーズンのアッセンでは3位でした。今回、表彰台に上がるという目標は現実的だと思いますが、それより大事なのは、チャンピオンシップにおいてエスパルガロとラバトに対して、リードをさらに広げられるようにがんばることです。表彰台に上がって目標を達成できれば最高です」

ポル・エスパルガロ(Moto2 ランキング2位) 「昨年のアッセンでは、プラクティスがとてもよかったです。うまくコースに取り組むことができ、すばらしいラップタイムを出すことができました。そのため、自信を持ちすぎたのかもしれません。決勝レースではとても大きなミスをして、転倒しました。今回はレースを完走したいです。そしていい結果を出して、スコットとのポイント差を縮めたいと思います。それが一番大事なことです」

エステベ・ラバト(Moto2 ランキング3位) 「これまでのように、今回もがんばらなければなりません。また、体力を上げるためにもがんばらなければなりません。それが今、一番優先していることです。僕のライディングスタイルも、マシンとうまく合うようになってきましたので、とてもうれしいです。しかし、アッセンでどうなるかはやってみなければ分かりません」

中上貴晶(Moto2 ランキング8位)「カタルニアGPの序盤は、フラストレーションのたまる走りになりましたが、後半はペースもよく、大きな収穫がありました。結果は5位でしたが、フランス、イタリアと転倒リタイアしたあとのレースでしたので、悪い流れにストップをかけることができました。アッセンは、これまであまりいい結果を残したことがありません。昨年は2度もコースアウトするバタバタのレースでしたが、今年は優勝争いに加わりたいと思います。カタルニアGPのあとは、スペインのサーキットでテストをしました。天候が不安定であまり多くは走れませんでしたが、テストで得られたことも多く、その成果を発揮したいと思っています」

高橋裕紀(Moto2 ノーポイント)「前戦カタルニアGPは、今年になって最も手応えのあるレースとなりました。しかし、スタート直後の1コーナーで起きた多重クラッシュを回避するために、目標にしていたグループからは大きく遅れてしまいました。前戦カタルニアGPのスペックで走るのは2戦目になりますので、フリー走行、予選でしっかりとセットアップを決めて、決勝ではポイントを獲得したいと思っています。昨年はマシンのセットアップが決まらず、いい走りはできませんでした。また、一昨年は表彰台争いに加わりましたが転倒しています。とても悔しいレースでしたので、今年はその雪辱を果たしたいです」

ブラッド・バインダー(Moto3 ランキング8位)「アッセンがとても楽しみです。しかし、カタルニアでは12位でしたのでとても残念でした。マシンはレールに乗ったようにスムーズで、僕もベストを尽くしましたが、カタルニアのロングストレートに負けてしまいました。しかし、アッセンは全く違います。テクニカルコースなので、とても楽しみにしています」

アレクシ・マスボー(Moto3 ランキング9位) 「アッセンでは、エンジンはそれほど重要ではありません。Hondaとは相性がいいと思います。ムジェロやカタルニアよりいい結果を出したいです」

ジャック・ミラー(Moto3 ランキング10位) 「サーキットの心配はしていません。すべてうまくいくと思います。引き続き、全力で仕事に取り組み、ベストを尽くします。一歩一歩前進していきたいです」

渡辺陽向(Moto3 ノーポイント) 「今年はまだポイントを獲得できていませんが、フランス、イタリア、カタルニアと、だんだん自分の走りができるようになってきました。カタルニアでは、競り合っていたグループの中でトップでフィニッシュできましたし、今回は、過去3戦のいい流れをキープして、ポイントを獲得したいと思っています」