ドイツGPプレビュー
オランダGPからの連戦となる第8戦ドイツGPが、7月6日(金)から8日(日)までの3日間、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開催されます。ザクセンリンクは、前戦オランダGPの舞台であるアッセン同様、長い伝統と歴史を誇ります。初めてレースが開催されたのは1927年。61年から72年にかけては「東ドイツGP」として開催されました。その後、東西緊張の中で「東ドイツGP」は長い間中止となりますが、90年に東西ドイツが統合され、それから8年後の98年、全面改修を受けたザクセンリンクで「ドイツGP」が開催されることになりました。
グランプリが復活した当初は、一周3.508km。最高峰クラスの500ccクラスがレースを行うには、タイトなコーナーが連続し、直線部分も短く、エンジンパワーをほとんど発揮できないため、選手たちから不満の声が上がりました。そのため、2001年にコース後半部分のストレート部分を延長するなど、全長で196m長くなる3.704kmになりました。さらに、03年には、コース幅を広げるなど改修し、そのため全長で33m短くなり、現在の3.671kmになりました。
グランプリが復活した98年の大会で優勝したミック・ドゥーハン選手の優勝タイムのアベレージは141.800km/h。全長が伸びた01年以降は、150km/h台へと平均時速は上がります。そして、昨年優勝したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、160.352km/hを記録。低速サーキットといわれたザクセンリンクですが、現在はポルトガルGPの開催されるエストリル、フランスGPの開催されるル・マンとほぼ同じアベレージを記録しています。しかし、アップダウンとコーナーが連続するため、身体を休めるポイントがありません。ライダーにとっては過酷なサーキットの一つ。MotoGPクラスの決勝レースは30ラップ。周回数も多く、高い集中力を要求されます。
ザクセンリンクでグランプリが復活して、これまで14回行われましたが、Honda勢は8回の優勝を達成しています。過去2年はペドロサが優勝しており、今年は自身3年連続、Honda勢は9回目の優勝を狙います。
前戦オランダGPで今季3勝目を達成し、総合2位は変わらずも、総合首位のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)と同ポイントで並んだケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)は、今大会で逆転首位を狙います。ザクセンリンクでは、ドゥカティ時代の08年に優勝、10年に3位。そして、Repsol Honda Teamに移籍した昨年も3位。今年はオランダGPからの2連勝を狙います。前戦オランダGPでは、難しいコンディションにセットアップを合わせて、4戦ぶりに優勝。フランス、カタルニア、イギリスと不安定な天候にほんろうされて、勝てるレースを逃してきただけに、そのうっぷんを晴らしました。この勢いで、今年はドイツGP2勝目と今季4勝目を狙います。
チームメートのペドロサは、ザクセンリンクは最も得意とするサーキット。250cc時代に2勝、最高峰クラスでは07年に優勝し、10年には2度目の優勝。そして昨年はドイツGP2連覇を達成。これまで通算5回の優勝を経験しています。前戦オランダGPでは、終盤にチームメートのストーナーに逆転されて2位でしたが、今大会はその雪辱に燃えています。7戦を終えて6回の表彰台で総合3位。勝てそうで勝てないレースが続いているだけに、ザクセンリンク3連覇と今季初優勝に闘志を燃やしています。
前戦オランダGPでスタート直後の1コーナーで転倒し、他車を巻き込んでしまったアルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)は、その接触事故でペナルティを科せられ、今大会は最後尾グリッドから決勝に挑むことになります。2戦前のイギリスGPで初PPを獲得し、決勝では4位と自己ベストリザルトを更新。オランダGPでは念願の初表彰台に闘志を燃やしていました。その意気込みがミスを招くことになりましたが、今大会から心機一転、表彰台を目指す戦いに挑みます。
ホームGPを迎えるルーキーのステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)も、前戦オランダGPの雪辱に闘志を燃やしています。オランダGPではベストグリッドの4番手を獲得。決勝では好スタートからトップグループにつけますが、2周目に痛恨の転倒を喫し、悔しいレースに終わっていました。今大会は、予選では初のフロントロー、決勝では初表彰台を目標に全力を尽くします。125cc時代の08年に2位、昨年のMoto2クラスで2位。これまでザクセンリンクでは2度の表彰台に立ってきました。今年は最高峰クラスで、地元ファンの大声援の期待に応える意気込みです。
CRTマシンのミケーレ・ピロ(Team San Carlo Honda Gresini)は、昨年のMoto2クラスでは予選4番手と相性のいいサーキット。この数戦、CRTマシンのトップとの差を着実に縮めているだけに、今大会は予選、決勝でCRT勢のトップを狙います。
Moto2クラスは、シーズンを通じて最も接近戦になることが予想されます。昨年の予選では、PPを獲得したマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)から1秒差以内に24台がひしめきあう接近戦となりました。決勝では、マルケスと、今季MotoGPクラスに参戦しているブラドル、アレックス・デ・アンジェリス(NGM Mobile Forward Racing)の優勝争いとなり、マルケスが僅差で優勝しています。今年も、マルケスが優勝候補の筆頭。前戦オランダGPからの2連勝と今季4勝目に期待が集まります。
前戦オランダGPで2位になり総合ポイントでも2位に浮上したアンドレア・イアンノーネ(Speed Master)、オランダGPで3位になり総合5位のスコット・レディング(Marc VDS Racing Team)は連続表彰台に挑みます。オランダGPで転倒リタイアに終わり、総合2位から3位にポジションを落としたポル・エスパルガロ(Pons 40 HP Tuenti)、同じく転倒リタイアで総合3位から4位へポジションを落としたトーマス・ルティ(Interwetten-Paddock)が、巻き返しに闘志を燃やしています。
総合15位の中上貴晶(Italtrans Racing Team)は、第2戦スペインGPの5位を上回るリザルトに気合を見せています。前戦オランダGPで20位の高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)は、250cc時代に優勝経験のあるザクセンリンクでポイント獲得を果たす意気込みです。
Moto3クラスは、カタルニア、イギリス、オランダと3連勝を達成し、今季4勝目を挙げた総合首位のマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)がドイツGP初制覇に挑みます。昨年の大会は3位。今大会は優勝候補の筆頭で、自身の連勝記録更新に挑みます。前戦オランダGP予選は、PPから1秒差以内に17台という大接戦となり、決勝も大混戦となりました。今大会は、さらに接戦になる要素が高いだけに、予選、決勝ともに厳しい戦いになりそうです。ルーキーの藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)は、ポイント獲得を目標に挑みます。