デ・アンジェリスが初表彰台となる2位。ドヴィツィオーゾは4位
ペドロサは転倒し、再スタートを切って10位でチェッカーを受ける
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2009年8月30日(日)
決勝
- 会場:インディアナポリス・モータースピードウェイ
天候:晴れ/曇り
気温:20℃
コースコンディション:ドライ
観客:7万5130人(3日間14万6680人)
第12戦インディアナポリスGPは、3クラスともに厳しい戦いが繰り広げられた。MotoGPクラスは、予選4番手からセカンドグループの主導権を握ったアレックス・デ・アンジェリス(Team San Carlo Honda Gresini)が初表彰台となる2位でフィニッシュ。ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)とし烈な戦いを繰り広げたアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)が4位。オープニング・ラップで他車と接触し、最後尾までポジションを落としたトニー・エリアス(Team San Carlo Honda Gresini)が追い上げて9位。今季2回目のPPから好スタートを切って序盤トップを快走したダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、転倒を喫して優勝争いから脱落したものの、再スタートを切って10位でチェッカーを受けた。以下、ランディ・デ・ピュニエ(LCR
Honda MotoGP)12位。ガボール・タルマクシ(Scot Racing Team MotoGP)14位。Honda勢6台すべてがポイントを獲得した。
青空が広がったインディアナポリス。MotoGPクラス決勝は、やや雲の多い天候となったが、フロントローに並んだ3選手が、事前の予想通りトップグループを形成した。今季2回目のPPから好スタートを切ったペドロサは、序盤、予選3番手のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、予選2番手のホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)を従えてトップを快走。その後もハイペースでラップを刻んだが、4周目の最終コーナーで痛恨の転倒を喫した。
ペドロサの転倒で、優勝争いはロッシとロレンソの一騎打ちとなるが、ロッシが10周目の2コーナーで転倒。フロントローに並んだ3選手のうち、2人が転倒する厳しい戦いとなり、ロレンソが優勝した。再スタートを切ったペドロサは、猛烈なペースで追い上げて10位でフィニッシュ。サーキットに集まったファンを魅了した。ロッシは、再スタートを切ったが、ピットに戻りリタイアした。
トップグループからペドロサとロッシが脱落するという大荒れの展開。その後方で繰り広げられた、デ・アンジェリス、ドヴィツィオーゾ、ヘイデン、コーリン・エドワーズ(ヤマハ)の4台で形成されたセカンドグループの戦いが、一段と熱を帯びることになった。しかし、予選4番手から好スタートを切り、終始セカンドグループの主導権を握ったデ・アンジェリスが後続を振りきって、見事MotoGP初表彰台を獲得した。過去数戦、フリー走行、予選で好走を見せたが、なかなか表彰台に立てなかったデ・アンジェリスだが、MotoGPクラス2年目にして念願の初表彰台を獲得した。
その後方では、中盤でエドワーズをかわし4番手に浮上したドヴィツィオーゾが、3番手のヘイデンに肉薄。表彰台には届かなかったが、4位でチェッカーを受けた。
予選7番手から2戦連続表彰台の獲得が期待されたエリアスは、オープニングラップにデ・ピュニエと接触して最下位にポジションを落とした。そこから猛烈に追い上げて9位でフィニッシュ。チームメートのデ・アンジェリスとともに、フリー、予選と好調だっただけに悔しいレースとなった。第11戦チェコGPの前に左足首を骨折、完調ではないデ・ピュニエも、オープニングラップにエリアスと接触、さらに、タイヤのチョイスに失敗したことでペースを上げられず12位と不完全燃焼のレースとなった。予選17番手から好スタートを切って1周目11番手まで浮上したタルマクシも、後半ペースを落とし14位だった。
250ccクラスは、予選2番手の青山博一(Scot Racing Team 250cc)と、予選3番手から好スタートを切ったマルコ・シモンセリ(ジレラ)のマッチレースとなり、終盤ペースを上げたシモンセリが青山を突き放して優勝した。朝のウオームアップで転倒を喫し、不安を抱えて決勝に挑んだ青山は、序盤こそペースを上げられなかったが、次第にペースを上げてシモンセリに肉薄し、マッチレースに持ち込んだ。しかし、終盤はジリジリとリードを広げられ、今季4勝目は果たせなかった。しかし、このレースを3位でフィニッシュした総合2位のアルバロ・バウティスタ(アプリリア)の追撃を許さない走りで総合首位をキープ。念願のタイトル獲得に向けて、また一歩前進した。以下、ヘクトル・ファウベル(VALENCIA C.F. HONDA SAG)8位。ラファエレ・デ・ロサ(Scot
Racing Team 250cc)11位。富沢祥也(CIP Moto-GP250)は金曜日の転倒でマシンを修復できず、欠場した。
決勝リザルト
MotoGP
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 47:13.592 |
2 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +9.435 |
3 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +12.947 |
4 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +13.478 |
5 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +26.254 |
6 | 52 | J.トーズランド | ヤマハ | +32.408 |
7 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +34.400 |
8 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +34.856 |
9 | 24 | トニー・エリアス | Honda | +45.005 |
10 | 3 | ダニ・ペドロサ | Honda | +45.377 |
11 | 7 | C.バーミューレン | スズキ | +45.478 |
12 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +52.294 |
13 |
44 |
A.エスパルガロ |
ドゥカティ |
+1:03.552 |
14 | 41 | ガボール・タルマクシ | Honda | +1:15.086 |
RT | 33 | M.メランドリ | カワサキ | +3Laps |
RT | 88 | N.カネパ | ドゥカティ | +5Laps |
RT | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +16Laps |
250cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 58 | M.シモンセリ | ジレラ | 45:43.599 |
2 | 4 | 青山博一 | Honda | +1.943 |
3 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | +4.661 |
4 | 63 | M.ディ・ミリオ | アプリリア | +12.776 |
5 | 15 | R.ロカテリ | ジレラ | +15.475 |
6 | 40 | H.バルベラ | アプリリア | +19.471 |
7 | 52 | L.ペセック | アプリリア | +22.682 |
8 | 55 | ヘクトル・ファウベル | Honda | +32.809 |
9 | 12 | T.ルティ | アプリリア | +49.321 |
10 | 17 | K.アブラハム | アプリリア | +49.845 |
|
11 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | +53.567 |
13 | 53 | V.ドゥビーズ | Honda | +1:37.837 |
RT | 14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | +3Laps |
RT | 8 | バスティン・シェゾー | Honda |
- |
125cc
順位 |
No. |
ライダー |
マシン |
タイム/差 |
|
|
|
|
|
1 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | 42:07.925 |
2 | 38 | B.スミス | アプリリア | +0.120 |
3 | 24 | S.コルシ | アプリリア | +0.448 |
4 | 18 | N.テロール | アプリリア | +1.613 |
5 | 60 | J.シモン | アプリリア | +1.801 |
6 | 93 | M.マルケス | KTM | +19.345 |
7 | 17 | S.ブラドル | アプリリア | +19.358 |
8 | 6 | J.オリベ | デルビ | +25.611 |
9 | 73 | 中上貴晶 | アプリリア | +29.240 |
10 | 77 | D.エジャーター | デルビ | +29.707 |
ポイントスタンディング
ライダー | MotoGP
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | V.ロッシ | ヤマハ | 212 |
2 | J.ロレンソ | ヤマハ | 187 |
3 | C.ストーナー | ドゥカティ | 150 |
4 | ダニ・ペドロサ | Honda | 141 |
5 | C.エドワーズ | ヤマハ | 123 |
6 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | 120 |
7 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | 88 |
8 | L.カピロッシ | スズキ | 86 |
9 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | 84 |
10 | M.メランドリ | カワサキ | 79 |
11 | C.バーミューレン | スズキ | 77 |
12 | N.ヘイデン | ドゥカティ | 73 |
13 | J.トーズランド | ヤマハ | 72 |
14 | トニー・エリアス | Honda | 70 |
15 | M.カリオ | ドゥカティ | 42 |
16 | N.カネパ | ドゥカティ | 32 |
17 | S.ジベルノー | ドゥカティ | 12 |
18 | ガボール・タルマクシ | Honda | 10 |
19 | 高橋裕紀 | Honda | 9 |
20 |
A.エスパルガロ |
ドゥカティ | 3 |
コンストラクター | MotoGP
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | ヤマハ | 280 |
2 | Honda | 204 |
3 | ドゥカティ | 182 |
4 | スズキ | 109 |
5 | カワサキ | 79 |
ライダー | 250cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | 青山博一 | Honda | 192 |
2 | A.バウティスタ | アプリリア | 176 |
3 | M.シモンセリ | ジレラ | 165 |
4 | H.バルベラ | アプリリア | 133 |
5 | M.パシーニ | アプリリア | 100 |
6 | ラファエレ・デ・ロサ | Honda | 82 |
7 | ヘクトル・ファウベル | Honda | 79 |
8 | R.ロカテリ | ジレラ | 78 |
9 | T.ルティ | アプリリア | 74 |
10 | A.デボン | アプリリア | 73 |
|
14 | ラタパーク・ウィライロー | Honda | 43 |
18 | 富沢祥也 | Honda | 21 |
21 | 青山周平 | Honda | 10 |
22 | V.ドゥビーズ | Honda | 9 |
28 | バスティン・シェゾー | Honda | 1 |
コンストラクター | 250cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 229 |
2 | Honda | 204 |
3 | ジレラ | 172 |
4 | ヤマハ | 2 |
ライダー | 125cc
順位 |
ライダー |
マシン |
総合ポイント |
|
|
|
|
1 | J.シモン | アプリリア | 185 |
2 | N.テロール | アプリリア | 132.5 |
3 | B.スミス | アプリリア | 131.5 |
4 | S.ガデア | アプリリア | 112 |
5 | A.イアンノーネ | アプリリア | 109.5 |
6 | P.エスパルガロ | デルビ | 104.5 |
7 | M.マルケス | KTM | 74 |
8 | S.コルテセ | デルビ | 65 |
9 | J.フォルガー | アプリリア | 62 |
10 | S.ブラドル | アプリリア | 62 |
コンストラクター | 125cc
順位 |
コンストラクター |
総合ポイント |
|
|
|
1 | アプリリア | 257.5 |
2 | デルビ | 132 |
3 | KTM | 76 |
4 | ロンシン | 17 |
5 | Honda | 14 |
コメント
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 2位)
「シーズン序盤は苦しいレースが続いていたが、この5戦はいい走りができていた。それをやっと結果につなげることができてうれしい。すばらしい仕事をしてくれたチームに感謝したい。今大会は、金曜日から好調で決勝レースも完ぺきな走りができた。いままでも、表彰台に立てると信じていたし、今日の結果は大きな自信になった。250ccからMotoGPにスイッチして、長い間、表彰台に立つ喜びを忘れていたが、そのすばらしさを思い出すことができた。次のサンマリノGPは、ホームGPとなるのでとても重要なレース。去年は転倒しているので、今年はいい結果を残したい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 4位)
「朝のウオームアップが終わったあと、大きくセッティングを変更したのだが、フィーリングがとてもよくなった。そのおかげでフリー、予選よりもいいリズムで走ることができた。ペースも安定していた。表彰台には届かなかったが、金曜日、土曜日のことを思えば、4位になれてうれしい。今日はニッキー(ヘイデン)に何度も迫ることができた。表彰台に立つことも不可能ではなかったと思う。そういう意味では4位に終わったことは残念だったが、短い時間でここまでセットアップを進められたのはよかった。次のミサノは、これをベースにセッティングを進め、結果につなげたい」
トニー・エリアス(MotoGP 9位)
「9位という結果は望んでいたものではないが、レースの展開を考えれば、それほど悪くはなかった。バイクの状態はよかった。今日は、スタート直後の2コーナーでアレックス(デ・アンジェリス)にアウトにはじき出されてしまい、最後尾に落ちてしまった。それから追い上げたのだが、厳しいレースだった。レースを終えてアレックスが謝りに来たが、もう終わったことだし、レースなのだから仕方がないと彼に言った。1周目のハプニングがなければ、おそらくトップ5、もしくは表彰台に立てていたと思う。残念な結果だが、最悪の状況から9位になれてよかった」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 10位)
「今大会は、フリー、予選ともに完ぺきな仕事ができたし、決勝レースに向けて自信もあった。もちろん、優勝を狙っていたし、それだけに本当に残念だった。今日は、序盤からプッシュしたのだが、ちょっと攻め過ぎたのかも知れない。MotoGPの決勝レースは雲が多く、そのために路面温度が低すぎたのかも知れない。いずれにしても転倒は自分のミスだし、チームはもちろんのこと、ファンに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。ラグナセカのように今回も勝ちたかった。転倒したときにハンドルが曲がり、ステップも削れてしまったが、とにかく、ポイントを取ろうと全力を尽くした。残念な結果だが、ウイークを通じていい走りができたことは大きな成果だった。次のミサノでは結果につなげたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 12位)
「昨日はハードタイヤで走って、とてもフィーリングがよかった。今日も28ラップの決勝レースを考えてハードを選択した。しかし、今日はタイヤのチョイスを完全に失敗した。序盤は左側がグリップせず、気持ちよくアクセルを開けることができなかった。そのうちグリップがよくなっていくだろうと思っていたのだが、最後まで変わらなかった。序盤にオーバーランして遅れたのも痛かった。終盤はエリアスとバーミューレン(スズキ)に抜かれてしまった。左足は徐々に回復しているが相変わらず痛かった。次のサンマリノGPには、今回よりよくなっていると思うので、本来の走りを取り戻したい」
ガボール・タルマクシ(MotoGP 14位)
「セッションをこなすごとにバイクのセッティングはよくなったし、決勝レースもよくなったと感じた。序盤からペースを上げられたし、ポジションも上げられた。ここまでは楽しかったし、限界までプッシュすることができた。しかし、後半は厳しい走りを強いられた。これが今の課題。後半もペースをキープできるように改善していかなければならない」
山野一彦|Repsol Honda Team 監督
「ドヴィツィオーゾは、フリーと予選に比べれば、はるかにいいペースで走ることができた。表彰台に立てなかったのは残念だが、意義のある一日になったと思う。もちろん、表彰台に立っていれば彼も満足できたに違いない。しかし、彼のホームGPとなる次戦のサンマリノGPに向けて成果あるレースになったはずだ。ダニ(ペドロサ)は、フリー、予選ともに、とても順調だった。ラグナセカのように勝ってくれることを期待していたが、不運にも転倒してしまった。しかし、それからの走りは本当にすばらしかった。今日の結果は、我々が期待したものではなかったが、トップグループで戦える状態ができつつあることを確信した。次のミサノでは、いい結果を残してファンの期待に応えたい」
青山博一(250cc 2位)
「朝のウオームアップで転倒して、マフラーとブレーキを交換した。特にブレーキは、交換したことで微妙にフィーリングが変わり、それに慣れるまでペースを上げられなかった。加えて、序盤に目の前でディ・ミリオ(アプリリア)が転びそうになって、フロントタイヤが接触した。それでシモンセリに離されてしまい、追い上げるのが大変だった。終盤になってシモンセリがペースを上げた。それまでもついていくのがやっとだったし、ペースを上げられてからは、とてもついていけなかった。それでも今日のペースは悪くなかった。何度も転びそうになったしベストは尽くせたと思う。ウオームアップで転倒していることを思えば、2位になれてよかった。残り5戦。バウティスタとの16点差は、ワンミスで逆転する点差なので、これまで通り、1つでも多く勝てるように攻めの走りをしていきたい」
ヘクトル・ファウベル(250cc 8位)
「スタートが決まり、1周目は6番手だった。それからも気持ちよく乗れていたのだが、他の選手と接触してポジションを落としてしまった。それからペースを上げて順位を取り戻したが8位になるのがやっとだった。接触がなければもっと上の順位でチェッカーを受けられたと思う。今日は残念な展開になったが、総合で8位から7位に上がれたのはよかった」
ラファエレ・デ・ロサ(250cc 11位)
「昨日の転倒の影響で左足が痛く、思ったように乗ることができなかった。そのために、リスクある走りをやめて完走することを目標にした。今回は、バイクのフィーリングもすごくよかったし、それだけに残念だった。昨日の転倒とケガがなければ、5位か6位にはなれたと思う」
ラタパーク・ウィライロー(250cc リタイア)
「スタートもよく、セカンドグループで走ることができた。今日は激しい戦いになり、転倒者が多かった。クルーゼル(アプリリア)が目の前で転んだときは避けることができたが、デボン(アプリリア)が転倒したときには、接触してしまった。それでマフラーが破損。エンジンパワーがなくなってしまった。今回はウイークを通じていい走りができたし、バイクのセットアップもよかった。それだけに残念。次のサンマリノでは、持っているパフォーマンスをリザルトにつなげたい」