初めてでも、よく分かるトライアル日本GP

トライアルはどんなスポーツなのか

ゴルフにも似た減点式の競技

ひと言でいえば、トライアルはどんな競技でしょう?

「簡単に言えば、トライアルは障害物レース。よーいドンッで誰が一番でゴールするかを競うのではなく、減点の合計で勝敗を決めます。ゴルフに似た競技で、順番にセクションを回り、減点数がゼロに近いほど上位にランクされます。最後まで順位が分からないところや、とてもメンタルな部分を求められる自分との戦いという点では、ほかのモータースポーツにはない競技です」

トニー・ボウ選手)

イギリスで発祥したトライアル競技は100年以上の歴史を持ち、ヨーロッパでは高い人気がある(昨年の世界選手権で4年連続チャンピオンとなったRepsol Montesa Hondaのトニー・ボウ選手)

点数はどうやって決めるのですか?

「減点は、1回足を地面に着くと1点、2回着くと2点、3回着くと3点ですが、3回以上は何回足を着いても3点です。調子がよければ1点、2点で走ることができ、さらにクリーン=減点ゼロで行けるよう、各選手はがんばります。セクションは全部で15個あり、大会ではそこを2ラップします」

「ひとつのセクションの長さはだいたい50mくらい。直線的な作りならばもう少し長く、複雑なものだと短くても時間がかかる場合があります。ただし、ひとつのセクションは1分半以内に通過しなければならない規則があります。足を着きながら3点で切り抜けようとしても、簡単には行けないようにコースが設定されていますので、途中で転倒する場合や、コースから飛び出してしまう場合もある。その場合は減点5点となり、そのセクションはそこで失格ということになります。4点という減点はないので、3点と5点の差がかなり大きなものとなります。5点にならないようにする事は、選手が最も気にしているところです」

小川友幸選手)

歩くのも難しいような自然の地形を走破するのがトライアルの基本。セクションの範囲はコースロープ、通過場所は赤と青を用いたマーカーで指定される。写真右の黄色いゼッケンを着けているのがオブザーバー(採点者)で、その後ろには順番待ちをする選手たちが見える(小川友幸選手/10年)

選手が走る順番は決まっているのですか?

「ひとつ前の大会の成績順です。本来は下位の選手からスタートしますが、もてぎでは昨年からこの順番を正反対にして、トップの選手からスタートするようになっています。世界のトップライダーが簡単にクリアしていくところを、後から来たワイルドカード=開催地の特別出場枠の日本人選手がなかなかクリアできないといった光景も展開されますが、観客はやはり自国の選手たちがチャレンジするところを見たいのか、意外にも後半に走る日本人選手たちについて回るという傾向にありました。今年もトップの選手たちが出て来てから、後半に日本人選手がチャレンジしますので、ぜひ日本人選手にも応援を送ってもらいたいと思います」

渋谷勲選手)

ヨーロッパでは、屋内外に岩や木で人工的にセクションを構成したスタジアムトライアルも盛んに行われている。日本GPではスタートとゴール地点に人工セクションが設けられており、より間近に競技を観戦することができるのは大きな特徴(渋谷勲選手/09年)