はじめてのトライアル講座―日本GP@もてぎに行こう!―

section.1
トライアル誕生秘話

トライアルは、1900年代の初めに、イギリスのスコットランドで発祥したとされています。産業革命直後、まだ製造品として信頼性の低かったモーターサイクルで、悪路を走破できるかの試験(=トライアル/Trial)を行ったのが始まり。その後、機械の信頼性が増したことで、難度の高いセクションを用意してライダーの技術、信頼性を問う競技に進化していきました。つまりトライアルは、最古のモータースポーツ、そしてまた、将来にわたっても楽しんでもらえるモータースポーツといえます。

発祥の地であり、また20世紀初頭のモーターサイクルがもっぱらイギリス製だったこともあり、トライアルも長くイギリスが覇権を独占していました。1970年代に、日本のメーカー(Honda、ヤマハ、スズキ、カワサキ)がそろってトライアルマシンを製造しましたが、そのアドバイザーには日本のメーカー4社ともイギリス人ライダーを選んでいます。Hondaとしては、当時サミー・ミラー氏と契約し、トライアルの普及活動に向けたアドバイスを受けました。またHondaは、1973年に国内で初めて一般公道の走行も可能な本格トライアルバイク「バイアルスTL125」を発売。トライアルをさらに普及させるべく、トライアルパークも開設しました。

1974年のサミー・ミラー氏契約ポスター

しかしその頃、マシンの覇権は、イギリスからスペインに移っていました。モーターサイクル誕生の時代に全盛を誇った大きなエンジンを使ったトライアルマシンは、トライアルに適した排気量と車体設計を行ったスペイン製に主役の座を譲っていきます。モンテッサもスペインの二輪車メーカーの一つで、モンテッサが製造するトライアルマシンは、その頃に圧倒的な性能を誇り、世界のトライアルファンの心をつかみました。Hondaは、1986年モンテッサ社と合併し、今日までトライアルマシンの生産を行っています。

はじめてのトライアル講座トップへ