ROUND 01
スペイン カンプロドン 2017.05.14(日)・トライアル
世界チャンピオンのトニー・ボウ(Repsol Honda Team)は今年も強さを発揮。安定してトップをキープし、まず1勝を確保しました。チームメートの藤波貴久は4番手争いに敗れての5位、ハイメ・ブストは7位でした。
2017年より、体制がいろいろと変わったFIM世界選手権。トライアルGPと呼ばれるようになっての最初の大会は、バルセロナ中心地からほど近い、カンプロドンでの開催です。
名称の変更やライダーがランキング順ではないゼッケンを選ぶなど、変化のある17年のトライアルGPですが、ボウはこの9年間と変わらずゼッケン1を、藤波は久々のゼッケン3をつけて今シーズンに挑みました。ブストは69を背負っています。
それ以外にも大きな変化がありました。トライアルでは、スタート順は勝利の行方を占う重要な要素ですが、これまでは前回までの成績やくじ引きなどで決められていました。今回からは大会前日に予選が催され、その順位によって、翌日のスタート順が決められます。今回、GPクラスの参加者は18名でしたが、これまでと違い、そのライダーたちが予選の結果次第で1番スタートにも、ラストスタートにもなりえるということです。
この新しい予選方式で名を残すことになったのがブストでした。ブストは2番手のボウよりも0.4秒以上早いタイムで予選セクションを走り、見事初めての予選トップの座を獲得しました。
反対に14番手となってしまったのが藤波でした。予選はタイムの速い者が上位ですが、足つきがあると、順位が一気に下がります。藤波は足つき1度があり、タイム的には5秒以上も遅いが足つきなしで走ったミケール・ゲラベルト(シェルコ)に次ぐ順位となってしまいました。
決勝当日、好天で始まった大会でしたが、その後、1ラップ目が終わるころに一転して荒天に。嵐のような気候となり、ライダーたちは雨に濡れ、泥々の戦いとなりました。
そんな厳しい戦いでも、ボウはいつもの通りの実力を発揮します。今回の勝利は、自身90度目の世界選手権勝利でした。最多勝利の記録更新も、今年中に達成できるかもしれません(現在の最多はドギー・ランプキンの99勝)。
藤波は前日の予選での失敗を取り戻して5位。しかし4位に1点差ですから、少し悔しい結果となりました。一方、予選では好結果を残したブストでしたが、決勝では悪化するコンディションに苦しみ、減点を増やしていきます。ブストが得た順位は、7位でした。
今シーズンから、コンストラクターズタイトルの集計方法も変わりました。これまでは各メーカーのライダーの総計を集計するなどしていたのですが、今年からは各カテゴリーの各メーカー最上位のライダーのポイントを集計することになりました。今回のボウは、トライアル2クラス優勝のガブリエル・マルセリとともに、モンテッサのコンストラクターズタイトル獲得に向けて、大きな貢献を果たすことになりました。
トニー・ボウ(優勝)
「今日はとても厳しいトライアルとなりました。この会場はトライアル天国といっていい快適な会場ですが、こんなにも雨が降って、こんなコンディションになっては、少なくとも私が得意とするパターンとは言えませんでした。しかし、それでも私はうまく切り抜けたと思います。開幕戦勝利はシーズンをスタートするにあたって最良の結果なので、この結果をうれしく思います。それにしてもアダム・ラガ(TRS)はとてもすばらしいライバルで、厳しい戦いを強いられました。今年、私たちにとって厳しいシーズンになるのは間違いないと思います」
藤波貴久(5位)
「厳しい戦いでした。予選が悪かったので、最初の方のグループでの戦いとなり、それも苦戦の一因でした。1ラップ目の順位は7番手だったのですが、それから大雨が降り、コンディションはひどいことになりました。時間もなく、慌ただしく試合をこなすことになりましたが、まずは終わったことにホッとしています。4位に1点差だったという結果は悔しいですが、それも次の日本GPへのモチベーションとして、がんばります」
ハイメ・ブスト(7位)
「予選は最高の結果が出て、流れはいい方向に向かっているはずでした。ところがほかのライダーが走ったあとの岩は、とても滑りやすくなっていました。それでも1ラップ目はそれほど難しいとは思わなかったのですが、雨が降って、2連続5点を取ってしまい、うまくいきませんでした。うまくいけば、日本ではもう少しいい結果が残せるはずです」
ミゲール・シレラ監督
「チームとしては、ベストの開幕戦ではありませんでした。新しいルールなどがあり、驚きもありました。そんな中で、ボウはよく戦い、いい結果を残しました。藤波は早いスタート順ながら、できることをきちんとやったと思います。ブストは2ラップ目にいくつかのミスをして7位となりました。これらの結果を改善するため、これから取り組んでいきます。数日後には日本に向けて出発となりますが、今回はまた、トライアル2の結果も、満足いくものだったと思います。ガブリエル・マルセリは若いライダーですが、勝利を挙げて多くの可能性をみせてくれました。彼の結果は、コンストラクターズタイトルに大きな意味を持ってきます」
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | 総減点 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トニー・ボウ | 28 | 18 | 46 | |
2 | 67 | A.ラガ | TRS | 29 | 29 | 58 |
3 | 37 | A.カベスタニー | シェルコ | 27 | 45 | 72 |
4 | 47 | J.ファハルド | ヴェルティゴ | 40 | 44 | 84 |
5 | 3 | 藤波貴久 | 42 | 43 | 85 | |
6 | 33 | J.カサレス | ベータ | 41 | 48 | 89 |
7 | 69 | ハイメ・ブスト | 41 | 51 | 92 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | トニー・ボウ | 20 | |
2 | A.ラガ | TRS | 17 |
3 | A.カベスタニー | シェルコ | 15 |
4 | J.ファハルド | ヴェルティゴ | 13 |
5 | 藤波貴久 | 11 | |
6 | J.カサレス | ベータ | 10 |
7 | ハイメ・ブスト | 9 |