2016.07.17 トライアル世界選手権 第7戦 イギリス イギリス
ボウが2日間とも勝利を挙げ、タイトルに王手をかける

ボウが2日間とも勝利を挙げ、タイトルに王手をかける

2016年7月16日(土)・決勝1日目  7月17日(日)・決勝2日目  会場:トング
決勝1日目「ボウの9勝目とモンテッサの200勝を達成」

トニー・ボウ(Repsol Honda Team)が、2016年シーズン通算9勝目を挙げました。この勝利でモンテッサは、世界選手権通算200勝を達成し、16年コンストラクターズチャンピオンシップ獲得に華を添えることとなりました。

今回のボウの戦いは、まさしく王者の貫録で、非の打ちどころのないものでした。前日に雨が降り、コンディションはとても難しくなっていました。こんな状況下でも、ボウの卓越したライディングテクニックは遺憾なく発揮されました。

トニー・ボウトニー・ボウ

トニー・ボウ(中央)トニー・ボウ(中央)

1ラップ目の減点はたったの1点。2番手のイギリス人ライダーであるジェイムス・ダビル(ヴェルティゴ)が14点であることを思うと、このスコアがいかに突出しているものかが分かります。2ラップ目は3点と、好調を維持。そして3ラップ目には、ついに減点0、オールクリーンを達成してしまいました。総減点4点。2位にはダビルが入りましたが、その減点数は35点。大差と片づけてはいけないようなものでした。

チームメートの藤波貴久は、1ラップ目に泥沼と格闘し、そのグリップ感覚をつかむために、多くの失点をしてしまい、1ラップ目の順位は7番手と出遅れていました。2ラップ目、3ラップ目と追い上げを果たし、最終的には4番手争いまでポジションを復活させたのですが、惜しくも4位のアルベルト・カベスタニー(シェルコ)にわずか2点差で5位となりました。しかし藤波は、ランキング3位を確実に守っています。

若手のハイメ・ブスト(Repsol Honda Team)は、イギリスの泥に手こずり、追い上げも思うようにいかず7位となりました。しかし、1ラップ目には11番手につけていたことを思えば、これでも最善をつくしたと言えるかもしれません。ブストは現在、ランキング5位につけています。

このイギリス大会初日にモンテッサはコンストラクターズタイトルを獲得しました。モンテッサにとっては19度目のタイトル獲得、そして11年連続となるタイトルでした。

そして今回のボウの勝利は、モンテッサの200回目の世界選手権勝利でもありました。もちろんこの勝利数は、ほかのコンストラクターの追随を許さない圧倒的なものです。これまでにモンテッサが勝利した地は、アメリカから日本、スウェーデンからポルトガル、あるいはオーストラリアにグアテマラ、そしてルクセンブルグと、世界中のほとんどあらゆる国に及びます。

200勝に寄与したライダーは、トニー・ボウ(84勝)、ドギー・ランプキン(50勝)、マルク・コロメとウルフ・カールソンが15勝、マルコム・ラスメル(11勝)、藤波貴久(10勝)、コードン・ファーレー、マルク・フレイシャ、マニュエル・ソラー(3勝)、ベニー・セールマン(2勝)、アモス・ビルバオ、ロブ・エドワーズ、ドン・スミス、ユリオ・ベステリーネン(1勝ずつ)でした。

表彰台の獲得数(1位から3位まで)では、モンテッサは526回獲得。フランス大会での獲得数が最も多く61回。これにスペイン大会での54会が続くという記録になっています。

決勝2日目「ボウが10勝目。藤波はランキング3位を守る」

イギリス大会の2日目。ボウは今シーズン10度目の勝利を獲得することになりました。

1ラップ目、ボウは失敗をしてしまい、2つの5点。ラップ減点は10点でした。しかし2番手のアダム・ラガ(TRS)には5点のリードです。前日は3ラップ目にオールクリーンをしたボウですが、さすがにこの日はそれはできませんでしたが、2ラップ目、3ラップ目と減点を減らしていき、最終的にはラガにちょうど倍の差をつけて2日連続の圧勝ぶりをみせつけたのでした。

インドアで10回、アウトドアで9回のタイトル獲得経験を持つボウの、自身20個目の世界タイトル獲得は、もう目の前に迫ってきました。その獲得劇は、おそらくイタリアの初日で演じられることになるでしょう。

トニー・ボウトニー・ボウ

藤波貴久藤波貴久

藤波は、2ラップを終えた時点では表彰台を獲得するに十分な走りっぷりをみせていました。ところが3ラップ目、1ラップ目、2ラップ目より5点以上減点を増やしてしまい、表彰台争いから脱落。前日同様に5位となってしまいました。しかし藤波のランキング3位の座は安泰です。

ブストはこの日は6位。第2セクションで左ヒザを痛めてしまいますが、ブストらしいアクションを随所でみせてくれました。しかし全体的にはブストらしい結果とはいえず、失意とともにイギリスを離れることになりました。

藤波貴久藤波貴久

ハイメ・ブストハイメ・ブスト

Repsol Honda Teamはこの後、9月3日、4日、イタリアで開催される最終戦まで、しばらくの休みに入ります。

決勝1日目コメント

トニー・ボウ(優勝)
「とてもとてもハッピーな一日になりました。1ラップ目から快調で、この時点で大きなアドバンテージを築くことができ、そのまま楽しい一日を送って勝利を飾ることができました。そして、3ラップ目はすばらしいものとなりました。チームのみんなも、本当にいい仕事をしてくれました。タイトル獲得までもう一歩、さらにがんばっていきたいと思います。そして今日は、200勝を挙げたモンテッサのお祝いの日となりました。おめでとう! モンテッサ」

藤波貴久(5位)
「1ラップ目は本当にひどいものでした。そしてこのどん底から抜け出せずに、一日を終えてしまいました。おそらく必要以上のプレッシャーを自分に与えてしまっていたのだと思います。うまくいかず、別のトライをすると、それがまた裏目に出るという結末です。2ラップ目、全く考え方を変えて、そして1ラップ目の半分のスコアをマークすることができました。勝負は非常に接戦であることを知っていたのですが、しかし最終セクションで5点。これで4位を逃して5位となってしまいました。モンテッサのコンストラクタータイトル獲得と200勝達成をお祝いするとともに、明日は今日よりいい日になるように願っています」

ハイメ・ブスト(7位)
「最悪のトライアルになりました。なにをやってもうまくいきませんでした。どうしてこんな結果になってしまったのかも、わかりません。セクションは簡単でしたが、リズムに乗れず、快適なトライアルとはほど遠い一日でした」

決勝2日目コメント

トニー・ボウ(優勝)
「1ラップ目、私は2つのミスを犯しました。しかし2ラップ目、3ラップ目に状態はよくなって、チャンピオンシップのために重要な勝利を得ることができました。これから最終戦に向けて、休養期間に入りますが、我々は最後まで、戦い続ける必要があると思っています」

藤波貴久(5位)
「今日は、表彰台に入れると確信していました。しかし3ラップ目にミスをして、すべてを台無しにしてしまいました。1ラップ目はよかったのですが、3ラップ目は、クリーンを狙って空回りをしてしまったような感じです。5位となってしまいましたが、ランキング争いではカベスタニーに14点差をつけています。このリードを守って、イタリアで決着をつけるつもりです」

ハイメ・ブスト(6位)
「昨日とは、少し変化がありました。いいスタートを切ることができましたが、でも第2セクションでヒザを打ってしまいました。2ラップ目には、連続して5点となってしまい、状況は悪い方へと転がっていきました。ヒザはよくはありませんが、これは言い訳にしたくはありません。今日の結果は、望んでいた結果にはほど遠いものでした」

ミゲール・シレラ監督
「ボウのこの週末は、とてもすばらしいものでした。記録もついてきました。個人タイトルの決定はもう間もなくでしょう。残る結果は、しばしの休息のあとに訪れることになると思います。ボウ以外の結果は、あまりよくありませんでした。藤波はランキング3位を獲得するために、最後の最後まで苦労を重ねることになりますが、すでに彼の場合は20年間の実績があります。ブストは第2セクションでの負傷でさらに苦しい戦いとなってしまいました。まだまだやることはありますが、チームの働きで、よい休暇に入ることができます」

決勝1日目
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 ラップ3 総減点 クリーン数
1 1 トニー・ボウ Honda 1 3 0 4 32
2 8 J.ダビル ヴェルティゴ 14 7 13 35 24
3 2 A.ラガ TRS 20 8 14 42 18
4 4 A.カベスタニー シェルコ 26 20 13 59 19
5 5 藤波貴久 Honda 30 16 14 61 19
6 3 J.ファハルド ヴェルティゴ 31 14 18 63 18
 
7 6 ハイメ・ブスト Honda 31 22 28 81 15
9 10 エディー・カールソン Honda 29 29 30 88 8
10 24 オリオール・ノゲイラ Honda 40 22 30 92 11
決勝2日目
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 ラップ3 総減点 クリーン数
1 1 トニー・ボウ Honda 10 7 3 20 28
2 2 A.ラガ TRS 15 9 16 40 23
3 4 A.カベスタニー シェルコ 21 19 14 54 19
4 3 J.ファハルド ヴェルティゴ 20 17 18 55 21
5 5 藤波貴久 Honda 18 19 26 64 21
6 6 ハイメ・ブスト Honda 23 25 22 70 17
 
8 10 エディー・カールソン Honda 26 32 27 85 11
15 24 オリオール・ノゲイラ Honda 38 43 37 118 8
ポイントランキング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
- 1トニー・ボウHonda 249
- 2A.ラガTRS 218
- 3藤波貴久Honda 169
4 A.カベスタニー シェルコ 155
5ハイメ・ブストHonda 148
- 6J.ファハルドヴェルティゴ 143
 
- 12 エディー・カールソン Honda 59
- 16 オリオール・ノゲイラ Honda 26
- 17小川友幸Honda14

トニー・ボウ

トニー・ボウ

トニー・ボウ

トニー・ボウ(中央)

藤波貴久

藤波貴久

藤波貴久

ハイメ・ブスト

ハイメ・ブスト

ハイメ・ブスト