2016.06.11-12  トライアル世界選手権 第4戦 アンドラ アンドラ

ボウが2日間とも制して、ランキング首位をキープ

2016年6月11日(土)・決勝1日目  6月12日(日)・決勝2日目  会場:サン・ジュリア
決勝1日目「トニー・ボウ、アンドラで堂々たる勝利」

会場のサン・ジュリアは、Repsol Honda Teamの本拠地であるバルセロナから北へ数時間向かったところにあります。恒例となったアンドラ大会は標高が高く、厳しい大会として有名です。

ここでトニー・ボウ(Repsol Honda Team)は、2日間ともに勝利をおさめ、ランキングトップの座を堅持する活躍を見せました。さらには藤波貴久(Repsol Honda Team)も3位表彰台に乗り、いいこと尽くめのアンドラ大会初日となりました。

空気が薄く、しかも気温が高い、過酷な環境での戦いでした。チームの2人が表彰台を獲得し、Repsol Honda Teamのもう一人のメンバーであるハイメ・ブストは、またしても表彰台を逃す、悔しい結果となりました。2ラップ目の最終セクションで5点を取らなければ、ブストは藤波を破って、初の表彰台に立っていたはずなのです。

トニー・ボウトニー・ボウ

トニー・ボウ(左)、藤波貴久(右)トニー・ボウ(左)、藤波貴久(右)

金曜日の夜は、雨が降り続きました。この雨は、セクションの難易度を飛躍的に上げ、厳しい戦いになるだろうとだれもが予想しました。今回は、世界選手権によくある12セクション3ラップではなく、18セクション2ラップの戦いです。トータルのセクション数は同じですが、コースはより長く、戦い方は自ずと変わってきます。

ボウは13セクションでパンクを喫するなど、やはり厳しい戦いを強いられます。それでも最終セクションに到着したときには、ライバルのアダム・ラガ(TRS)に対して2点のリードをとっていました。しかし最終セクションで5点。ラガに逆転されたかと不安がよぎりますが、トップグループにはみなタイムオーバーがありました。ボウには5点、ラガには7点。これで1点差ながら、1ラップ目のトップはボウのものとなりました。

トニー・ボウトニー・ボウ

藤波貴久藤波貴久

2ラップ目、ボウはパンクしたタイヤのホイールを交換。さらにラガとの点差を引き離すべく、集中したトライを続けました。2ラップの開始早々、第2セクションで1点を失って同点。しかし、2ラップの17セクションを終えて最終セクションに帰ってきたときには、ボウのリードは7点となっていました。このとき、ボウの勝利は決定しました。

ボウはこれで今シーズン5勝目。選手権ポイントでは、ボウに14点のリードを保っています。

藤波貴久は、1ラップの18セクションを回っている頃から、すでに表彰台が見えていました。しかし、そのままでは終わらせてもらえませんでした。2ラップ目にはランキング3位を争うライバル、アルベルト・カベスタニー(シェルコ)の強いプッシュを受けることになります。カベスタニーは2ラップ目中盤まではいい走りを見せていましたが、終盤に来て減点を増やし、自ら脱落。ブストが最終セクションで5点となり、ここを藤波がクリーンすることで、藤波の3位表彰台が決まったのでした。

2シーズン目を迎えて、いつ表彰台に上ってもおかしくないパフォーマンスを見せながら、またもブストは表彰台に上れず。4位という結果に終わりましたが、今回カベスタニーより上位につけたことで、ランキング4位に浮上しています。

藤波貴久藤波貴久

ハイメ・ブストハイメ・ブスト

決勝2日目「トニー・ボウ、アンドラの勇者となる」

アンドラGPは、完全にボウによって支配されました。ボウはアンドラ大会で二つの勝利と10点のチャンピオンシップポイントのリードを得ています。そしてブストは、またしてもこの日、表彰台を逃し4位となりました。

ボウは1ラップ目の減点をわずか4点でまとめます。ビッグ・ライバルのラガも好調ぶりを見せる展開となりました。しかしラガの減点は9点となり、ひとまずボウがトップで1ラップ目を折り返すことになりました。

トニー・ボウトニー・ボウ

ハイメ・ブストハイメ・ブスト

2ラップ目、ラガは1つの足つきもなく、次々とセクションを攻略していきます。こうなると、たった1つの失敗が勝敗を決める、という流れとなってきます。気の抜けない、難しいトライアルが続きます。

ラガの強力な挑戦にひるむことなく、ボウは2ラップ目の18セクションをすべてクリーン。トップの2人がオールクリーンで2ラップ目を終えることになりました。勝利はもちろん、1ラップ目にリードをとっていたボウです。

藤波貴久藤波貴久

トニー・ボウ(中央)トニー・ボウ(中央)

これで今シーズンの勝利は6つ目となりました。タイトル争いでは、ボウのリードは17点。まだまだ先は長いですが、シーズン中盤でこの点差は大きなリードとなりました。

表彰台を逃したブストは、序盤でのいくつかのミスが決定的となりました。土曜日には表彰台に上がった藤波は、この日は多くのミスで上位争いに加わるのは難しい展開です。1ラップ目のミスの影響が大きいため、2ラップ目は追い上げられず6位となりました。しかし藤波は、わずか1点差ながらランキング3位を守っています。ランキング4位で藤波を追うのは、チームメートであるブストです。

Repsol Honda Teamの次なる戦いは、翌週のフランスGPとなります。

決勝1日目コメント

トニー・ボウ(優勝)
「とてもうれしい勝利です。昨年のアンドラでは勝利をあげることができませんでした。今回もトライアルは大変難しく、簡単に勝利ができる戦いではなかったと思います。今日の手強いライバル、(アダム)ラガの戦いぶりに、あわせて祝福の言葉を送りたいと思います。これでチャンピオンシップのリードも少し広がりました。この調子で今後も戦い続けたいと思います」

藤波貴久(3位)
「表彰台の獲得はとても重要な仕事です。今回の表彰台は日本で獲得した表彰台とは、大きく意味が違うものでもありました。アンドラは高地であり、例年、薄い空気でパワーが出ないことに悩まされます。今回はチームが本当にいい仕事をしてくれて、マシンの仕上がりは上々になりました。(トニー)ボウ、(ハイメ)ブスト、僕の3人ともに表彰台を狙って全力で戦えました。1ラップ目後半、時間がなくなってきてちょっと気持ちに焦りが出て、それがミスにつながったりもしましたが、2ラップ目は最小限のミスで走りきることができました。その点も今日のうれしい結果です」

ハイメ・ブスト(4位)
「今日の戦いは、滑り出しからあまりよくありませんでした。しかし競技が進むにつれて、状況はよくなっていきます。2ラップ目は、よい走りができたと思いますし、誰も抜けられていなかった難セクションをクリーンできたりもしました。しかし最後のセクションで停止5点の判定となって、今日の戦いは終わりました。2点差で表彰台に届かず悔しいです。表彰台へのトライは、明日も続きます」

決勝2日目コメント

トニー・ボウ(優勝)
「2日間の完全勝利ができて、大変うれしいです。昨年ここで敗北してから、ずっとこの日を夢見てきました。すばらしい週末となりました。昨日は雨のため、とても手強いセクションでしたが、今日は完全なドライコンディションとなりました。すべてのライダーが減点を減らしてきましたが、チャンピオンシップを戦う上でも、この週末は重要な結果を生むことができました。私はアンドラに住んでいるので、今回の結果は色々とよい影響をもたらすと思います。もちろん勝利は簡単ではなく、特に(アダム)ラガがよい戦いをしてくるので、勝負は常に厳しいものとなっています。ここに至るまで、チームは本当によい仕事をしてくれました。彼らの仕事抜きでは、この結果は考えられません。故障した身体も、ずいぶんよくなっています」

藤波貴久(6位)
「序盤の調子はとてもよかったです。第3セクションと第10で5点となってしまいました。これはまだ許せるものでした。しかし1ラップ目後半、時間がなくなってきたところで、比較的簡単と思われる最終セクションで5点となってしまったのは痛かったです。2ラップ目で、状況は改善されていきましたが、コンディションはさらにドライとなって、ライバルが足をつかなくなりました。こうなると、ばん回はとても難しくなります。12セクションで、ちょっとした乱れが生じてノーストップで走れなくなり、5点となってしまいました。これが今日の戦いで最も痛かった瞬間でした。チームは本当によくやってくれましたし、シーズンも半分を終えました。今日の結果はよくなかったですが、ランキング3位を守れているのはとてもいい結果です」

ハイメ・ブスト(4位)
「細かいミスが続いて、最悪のスタートとなりました。しかしその後、状況は改善してきて、いくつかのミスはありながらも最後はいいフィーリングを感じながらゴールができました。表彰台への長い道のりが続いていますが、もうまもなく、その日が来るのではないかと確信しています」

ミゲール・シレラ監督
「アンドラ大会は、とても満足いく戦いができました。ここでの戦いは毎年過酷なものとなります。しかし今回の(トニー)ボウは、大変すばらしい走りを見せてくれました。それも2日間を通じてです。タイトル争いでは大きなアドバンテージとなることでしょう。一つひとつの戦い、一つひとつのセクションと真剣に向き合い、戦ってきた結果がここに現れてきています。(ハイメ)ブストは2日間とも4位でした。表彰台はまたも逃しましたが、よい走りができてきていると思います。藤波(貴久)はよい戦いをして、表彰台を獲得しました。もはや、ケガに苦しんでいたこの2年間の彼の面影はありません。最後にもう一度、チームスタッフの働きに感謝します。彼らの働きがなければ、ライダーはかくもすばらしい走りをすることはできなかったでしょう」

決勝1日目
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 総減点 クリーン数
1 1 トニー・ボウ Honda 39 6 4521
2 2 A.ラガ TRS 40 12 5223
3 5 藤波貴久Honda 43 29 7214
4 6 ハイメ・ブストHonda 46 28 7417
5 4 A.カベスタニーシェルコ 48 30 7812
6 3 J.ファハルドヴェルティゴ 58 31 8912
 
13 10 エディー・カールソンHonda 62 511206
16 24 オリオール・ノゲイラ Honda 71 76 147 6


決勝2日目
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 総減点 クリーン数
1 1 トニー・ボウ Honda 4 0 4 32
2 2 A.ラガ TRS 9 0 9 31
3 3 J.ファハルド ヴェルティゴ 14 2 16 28
4 6 ハイメ・ブスト Honda 17 10 27 27
5 4 A.カベスタニー シェルコ 22 7 29 27
6 5 藤波貴久 Honda 23 9 32 25
 
13 10 エディー・カールソン Honda 36 34 70 16
14 24 オリオール・ノゲイラ Honda 47 32 79 13
ポイントランキング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
- 1 トニー・ボウ Honda 154
- 2 A.ラガ TRS 137
- 3 藤波貴久 Honda 99
4 ハイメ・ブスト Honda 98
5 A.カベスタニー シェルコ 95
6 J.ファハルド ヴェルティゴ 87
 
- 12 エディー・カールソン Honda 31
16 小川友幸 Honda 14
17 オリオール・ノゲイラ Honda 12

トニー・ボウ

トニー・ボウ(左)、藤波貴久(右)

トニー・ボウ

藤波貴久

藤波貴久

ハイメ・ブスト

トニー・ボウ

ハイメ・ブスト

藤波貴久

トニー・ボウ(中央)