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トライアル世界選手権

round 09

SCHEDULE

September 12/13 2015, RACE FIM Trial World Championship Spain

スペインスペイン

トニー・ボウが両日2位でV9シーズンを終える

2015年9月12日(土)、13日(日)・決勝   会場:ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ

2015年シーズンの世界選手権は最終戦を迎えました。スペイン東部のテオを舞台とした今大会で、すでに9度目のタイトルを決定したトニー・ボウ(Repsol Honda Team)は、最終戦を両日ともに2位で終えることになりました。チームメートの藤波貴久はランキング5位を守り、ルーキーのハイメ・ブストは藤波に続くランキング6位でデビューシーズンを終了しました。

  • トニー・ボウ(中央)トニー・ボウ(中央)
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • ハイメ・ブストハイメ・ブスト
  • ハイメ・ブストハイメ・ブスト
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久

■決勝1日目

前回大会でボウによってタイトルを決定しているRepsol Honda Team。しかし、チャンピオン集団であるこのチームは、最終戦の最後まで全力で勝利を目指します。

1ラップ目にボウは3個の5点を喫して、アダム・ラガ(ガスガス)に8点差の2位。もちろん、チームとボウは逆転をあきらめていませんでしたが、この日のセクション設定がそれを許してくれるかどうかは微妙でした。未明に降った雨の影響もあり、主催者はセクションの難度を下げていましたが、実際には雨の影響はほとんどなく、難易度が低めで、オールクリーンも可能なレベルとなっていました。その設定で、8点差を逆転するのはかなり厳しいものでした。

2ラップ目、ボウは1ラップ目とは一転して1点で回ってきましたが、1ラップ目のトップのラガも同じく1点。これでは順位を変えることはできません。3ラップ目、ボウは1ラップ目に5点となった第9セクションで再び5点。3ラップ目の総減点は11点となりました。一方、ラガは2点で、この日のボウは1ラップ目に作られた点差を逆転できず、その差を広げられて2位に甘んじることになりました。

ブストはかかえている問題を克服できず、8位となりました。腹痛と戦ったブストは、初めてのシーズン終了を翌日に控えて、選手権ランキングは6位をキープしています。

藤波も調子の波に乗れないまま1日目を終えました。先週から続く腰痛が解決せず、苦しい戦いが続きました。1週前の苦しい戦いのあと、藤波は回復に努めていましたが、大会が始まると再び痛みに苦しむことになりました。10位という今シーズン最も低位置となりましたが、藤波もまた、この逆境で自身のトライアルをあきらめてはいません。

コメント

トニー・ボウ(2位)
「今日は難しい一日でした。一つの失敗が致命的となるトライアルでした。そんな中、私は集中力をわずかに欠いていたのかもしれません。最初のラップでの失敗は、この日の試合を決定づける致命的なものでした。私は3ラップ目にも大きな失敗をしてしまいましたが、今日のラガは敵ながら難関をよく克服したと思います。明日は今シーズン最後の戦いです。しっかり楽しんで、いい結果を残したいと思います」

ハイメ・ブスト(8位)
「初めてのシーズンの最終戦。私はここですべてを出しきりたいと思いましたが、なにか悪いものを食べたのか、目覚めたときから腹痛に苦しみ、その中での戦いとなってしまいました。今日は残念な結果となりましたが、シーズン全体としてはすばらしい戦いが続けられると思っています」

藤波貴久(10位)
「ポルトガルのときから悩まされている腰痛は、医者に診てもらって治療をしていますが、そのためにこの1週間は練習をすることができませんでした。この会場へ来て久々にマシンに乗りトレーニングを行い、感触は悪くなかったのですが、第1セクションにあった2段ステアケースで、その症状を再発させてしまいました。そのまま悪い戦いをしてしまうことになりました。今晩のうちに痛みを解消させて、明日は最後にいい戦いができればと願っています」

ミケール・シレラ監督
「チャンピオンとはいえど、常に勝ち続けることは難しい、そしてライバルも手ごわい存在です。勝利のチャンスはあったと思いますが、うまくはいきませんでした。2位は悪い結果ではありませんが、最善の結果ではありません。藤波は腰に問題をかかえながらの戦いとなりましたが、最も悪い影響は、自信を失いかけてしまっていることだと思います。ブストもまた、体調が万全ではありませんでした。3ラップ目は悪いものではありませんでしたが、明日はもっといい状態で戦えるように、今晩努力をしたいと思います」

■決勝2日目

2015年シーズン最後の戦いであるラウンドがスタート。最終ラウンドは、雨と寒さと濃い霧の中で争われました。主催者は、簡単にし過ぎた前日のセクションを、難しくして対応しました。

ボウの最大のライバルである、世界ランキング2位を決めているラガは、この日もボウと激しいトップ争いを繰り広げました。土曜日は1ラップ目からラガが優勢で戦いが進みましたが、この日はさらに厳しい戦いとなりました。

第2セクションで、ボウは1点を失いますが、それ以降、すべてのセクションをクリーンして1ラップ目の減点は1点のみ。しかし、ラガは第2セクションも含め、すべてのセクションをクリーンとし、1ラップ目の減点は無し。

2ラップ目は集中豪雨に見舞われ、状況はさらに厳しくなりましたが、ボウは第2セクションで1点を失ったのみで、2ラップを通じて減点は2点。ラガは、2ラップ目には2つの1点減点がありました。これで、2ラップ目までの減点は全くの同点。勝負は3ラップ目に持ち越されることになりました。

3ラップ目、ボウはふたつの5点を喫してしまいます。ラガも3ラップ目に減点を増やしているのですが、それ以上にボウの減点は大きく、結果5点差でラガの勝利となりました。ラガはシーズンを通じてボウに準じる順位に甘んじてきましたが、最後の最後にボウを下してシーズンを終えたことになります。ボウは、2015年のシーズンに13の勝利を手にし、最終戦を前にして9度目のタイトルを決定していました。シーズンを通じて、大成功の一年だったと言えます。

藤波貴久は、7位で完走を果たしました。自身20年目の世界選手権だった今シーズンは、前年同様にランキング5位。痛みは続いていましたが、症状はやや回復し、3ラップを通じて安定したスコアを残しました。

ハイメ・ブストは「新人王」として恥ずかしくない戦いを見せました。デビューシーズンでのランキング6位は、非常にすばらしいものとなりました。

今後のRepsol Honda Teamは、9月27日(日)のスペイン選手権に参加します。これに先立って来週にはトライアル・デ・ナシオンがあり、ボウがスペイン代表として、藤波が日本代表として戦います。

コメント

トニー・ボウ(2位)
「9度目の世界チャンピオンを獲得しました。今年は13勝をあげて、例年よりすばらしいシーズンになったと思います。今日は2位でフィニッシュすることになり残念ですが、勝てないときには2位を獲得することが私の義務となっています。すでにタイトルは決定していましたが、その点でも、最後の最後までしっかりとチャンピオン争いができてよかったと思います。今日はいい戦いをしたライバルのラガを祝福したいと思います。今年一年、本当にいい仕事をしてくれたチームの皆さんには、最大限の祝福を送りたいと思います。彼らと仕事ができて、本当にうれしいです」

ハイメ・ブスト(6位)
「発熱と頭痛が残っていて、今日は簡単なトライアルではありませんでした。それでも今日はいくらか症状がよくなっていて、6位となれました。今シーズンのランキングも6位。シーズンが始まる前には考えられなかった結果です。チームのみんなは、私のために非常にいい働きをしてくれました。私はこれからも、彼らの働きに対して、結果を残して応えてたいと思っています」

藤波貴久(7位)
「今日は、昨日ほどは体調はひどくありませんでした。結果は7位でしたが、今日はいい印象で走ることができました。ここまでの私の戦いを支えてくれた医者とアシスタント、すべての皆さんに大きな感謝をしなければいけません。彼らの働きで今シーズンを走り終えることができて、とてもうれしく思います。そして、私は次の将来に向けて、再び仕事を始めることになります。今シーズンはトップ3に入ることはできませんでしたが、トップ5で私の20年目のシーズンを終えられたことは、非常にうれしいことでした」

ミケール・シレラ監督
「最終戦スペインはチームにとってはすばらしいものではありませんでした。ボウはそれぞれのラップで非常にいい戦いをしてくれましたが、今日はチャンスがありませんでした。藤波は問題を抱えたまま戦いを続け、ブストは感冒に悩まされながら、最善の結果を残したと思います。シーズン全体としては、とてもいいものだったと思います。私たちは個人、メーカーともに世界タイトルを獲得し、藤波は世界選手権20年目をランキング5位で終えることができました。そしてデビュー1年目のブストもランキング6位を得ることができました。私たちの戦いを支えてくれた、すべてのファンと関係者の皆さまに、大きな感謝を伝えたいと思います。来シーズンも、よろしくお願いします」

決勝1日目リザルト

 
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 ラップ3 総減点 クリーン数
1 2 A.ラガ ガスガス 9 1 2 12 31
2 1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 17 1 11 29 25
3 3 A.カベスタニー シェルコ 20 10 13 43 20
4 7 J.カサレス ベータ 24 14 16 54 19
5 4 J.ファハルド ベータ 26 18 12 56 21
6 8 A.フェレール シェルコ 32 15 11 58 16
 
8 15 ハイメ・ブスト モンテッサ(Honda) 40 30 18 88 13
10 5 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 45 37 15 97 9
12 14 エディー・カールソン モンテッサ(Honda) 38 40 45 123 11

決勝2日目リザルト

順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 ラップ3 総減点 クリーン数
1 2 A.ラガ ガスガス 0 2 7 9 31
2 1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 1 1 12 14 30
3 4 J.ファハルド ベータ 11 3 8 22 26
4 3 A.カベスタニー シェルコ 8 12 12 32 22
5 7 J.カサレス ベータ 14 7 11 32 21
6 15 ハイメ・ブスト モンテッサ(Honda) 16 15 12 43 22
 
7 5 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 18 16 16 50 17
12 14 エディー・カールソン モンテッサ(Honda) 30 25 33 88 14

ポイントスタンディング

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 345
2 A.ラガ ガスガス 311
3 J.ファハルド ベータ 246
4 A.カベスタニー シェルコ 233
5 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 196
6 ハイメ・ブスト モンテッサ(Honda) 182
 
10 エディー・カールソン モンテッサ(Honda) 95
16 小川友幸 Honda 16
23 佐藤優樹 Honda 1