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July 25/26 2015, RACE FIM Trial World Championship United States of America
アメリカ
2015年7月25日(土)、26日(日)・決勝 会場:ステッピングストーンランチ
ヨーロッパでの連戦のあと、トライアル世界選手権はアメリカ大陸へ。ここまで3戦連続で勝利を逃していたトニー・ボウ(Repsol Honda Team)は、アメリカ大会でパーフェクト勝利を果たしました。両日ともに2位のアダム・ラガ(ガスガス)にダブルスコアに近いスコアでの勝利でした。全9戦のうちの7戦を終え、残る戦いはあと2大会の4試合となりました。この点差が維持できれば、ボウのチャンピオンは次のポルトガル大会で決まります。
会場となったのはアメリカのロードアイランド州ステッピングストーンズランチ。金曜日の夜に豪雨に見舞われ、土曜日の大会は難しいコンディションの中で行われました。この難コンディションのコントロールを真っ先に会得したのがボウでした。1ラップ目にして、ボウの強さは発揮され、2番手のラガが21点を減点したのに対し、ボウはたったの9点。この日は持ち時間は厳しく、ボウは合計5点のタイムオーバー減点がありました。しかし、ラガにも8点のタイムオーバーがあり、合計でボウが37点、ラガは69点と大きな差をつけての勝利となりました。
今回の勝利でボウは、ポイントランキングでラガに31点差をつけて、リーダーの座を走り続けています。この3試合の敗退がうそのような、鮮やかな勝利でした。
大ベテランの藤波貴久(Repsol Honda Team)は、この日は6位。厳しい一日を過ごしてしまいました。また、ルーキーのハイメ・ブスト(Repsol Honda Team)は9位となって、日曜日に復帰を誓うことになりました。
トニー・ボウ(優勝)
「今日は本当にうまくいきました。非常に満足です。セクションはとても複雑に構成されていたので、ライバルが1ラップ目にミスをして、私は大きなアドバンテージを得ることができました。私もミスがなかったわけではないのですが、調子がよかったので、勝利を得ることができました。雨で難度が増したおかげで、セクションの難易度も満足がいくものになり、結果もたいへん満足できるものになりました」
藤波貴久(6位)
「今日はあまりよくない一日でした。セクションを見たときには、お客さんにもおもしろい、私の好きな感じだと思えたので、楽しみにしていました。ところが試合が始まってみると、持ち時間がとても少なくて、時間がなくて下見もできずにトライしたというセクションもいくつかあって、集中力を失ってしまいました。明日は、今日の失敗を糧に状況を改善しなければいけません」
ハイメ・ブスト(9位)
「今日はよくありませんでした。なにか悪いものを食べてしまったのか、体調も優れず、うまくいかないまま一日が過ぎました。2ラップ目もよくはありませんでしたが、最終ラップで追い上げができなかったところも心残りです。明日はもう少しいい結果を出さないといけません」
日曜日の決勝もボウは絶好調でした。2日続けて勝利を手にし、世界選手権での勝利数を75としました。ポイントランキングのリードは34点。残り4戦でこのリードは、絶対的なものだと言えます。
この日のボウは、土曜日と違って1ラップ目に一桁減点をマークすることができませんでした。しかし、2番手につけるラガの20点に対し、ボウの1ラップ目の減点は10点。序盤から、圧倒的な差となりました。その差は2ラップ目も、3ラップ目も維持されて、トータルではラガ50点に対しボウが26点。ダブルスコアには一歩及びませんでしたが、ライバルに隙を与えない圧倒的な勝利となりました。ボウの全勝利数75勝のうち、今シーズンの勝利はこれで11勝。いつものシーズンに増して、今年のボウは勝ち星を稼いでいます。
藤波は、土曜日の6位から一歩前進して5位。しかし4位アルベルト・カベスタニー(シェルコ)とは、わずか2点差だったので、惜しい結果となりました。藤波は、ポイントランキングでも5位をがっちりキープしています。
ブストも、土曜日よりはだいぶ改善することができ、結果は6位。土曜日に襲われていた腹痛は相変わらずでしたが、3ラップ目にマークした14点は、この日の4番目のハイスコアでした。
トニー・ボウ(優勝)
「とてもいい週末になりました。今回はとても複雑で難しいトライアルになりましたが、私はとてもよく乗れていたと思います。ライバルに勝るところをしっかりと確認ができたので、次戦ポルトガルでも、より冷静に試合を見つめていき、自信を持って臨みたいと思います。私たちは、勝利のためにすべてを注ぎ、またシーズンオフにはノーストップルールの練習を繰り返してきました。今回のセクションは、その成果を発揮するのにとてもよくできていたと思います」
藤波貴久(5位)
「アメリカ大会の採点はとても厳格でした。マインダーが石に息を吹きかけただけで、オブザーバーは5点を取りました。ただ、今日の結果については私自身が犯したミスについて考えなければいけません。1ラップにつき、10点ほどは余計な減点をしていたのではないでしょうか。5位の結果は、前日に比べるといい結果と考えます。悪く見れば、やはりミスが多すぎたことでした」
ハイメ・ブスト(6位)
「昨日はライディングが本当に苦痛でしたが、それに比べると今日はだいぶよくなっていました。6位の結果と、最終ラップのスコアには満足しています。でも、もっともっと改善しなければいけない課題があります」
ミケール・シレラ監督
「ボウの、他の追随を許さぬ週末になりました。あるべきポジションに戻って、残りの2戦をより優位に戦えるようになりました。ブストと藤波は、それぞれに難しい戦いとなりましたが、よく戦ったと思います。今回のアメリカGPは、マシンを輸送する際にトラブルがあるなど、マシンのセッティングにいつもより急ぎの作業が要求されました。今回の結果は、スタッフの努力の上に得られたもので、大きな感謝をしたいと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | ラップ3 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 9 | 13 | 15 | 37 | 27 |
2 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 21 | 25 | 23 | 69 | 19 |
3 | 7 | J.カサレス | ベータ | 37 | 20 | 21 | 78 | 14 |
4 | 3 | A.カベスタニー | シェルコ | 30 | 31 | 22 | 83 | 17 |
5 | 4 | J.ファハルド | ベータ | 32 | 23 | 36 | 91 | 14 |
6 | 5 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 36 | 31 | 33 | 100 | 12 |
9 | 15 | ハイメ・ブスト | モンテッサ(Honda) | 31 | 42 | 39 | 114 | 12 |
11 | 14 | エディー・カールソン | モンテッサ(Honda) | 46 | 44 | 42 | 132 | 8 |
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | ラップ3 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 10 | 9 | 7 | 26 | 26 |
2 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 20 | 17 | 13 | 50 | 22 |
3 | 4 | J.ファハルド | ベータ | 22 | 22 | 11 | 55 | 22 |
4 | 3 | A.カベスタニー | シェルコ | 28 | 24 | 27 | 79 | 14 |
5 | 5 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 27 | 29 | 25 | 81 | 12 |
6 | 15 | ハイメ・ブスト | モンテッサ(Honda) | 35 | 34 | 14 | 83 | 15 |
10 | 14 | エディー・カールソン | モンテッサ(Honda) | 38 | 42 | 34 | 114 | 11 |