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トライアル世界選手権

round 08

SCHEDULE

September 6-7 2014, RACE FIM Trial World Championship Spain

スペインスペイン

トニー・ボウがダブルウインを飾り、前人未踏のシリーズ8連覇を達成

2014年9月6日(土)、7日(日)・決勝  会場:アルネディリョ


2014年FIMトライアル世界選手権が、ついに終幕を迎えました。最終戦は土曜・日曜の2日制の大会で、スペイン北中部のアルネディリョでの開催となりました。

  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久

■決勝1日目

7度の世界タイトルを獲得しているボウは、最終戦の1日目を制して、いよいよ8度目の世界タイトルに王手をかけました。暑いコンディションでしたが、今回のボウのライディングは非常にさえていて、ライバルたちも脱帽という状況でした。

アルネディリョは、スペインのラ・リオハ地方で3番目に大きな町で、洞窟にワインを貯蔵することで有名です。地場産業は20世紀初頭に成長した靴製造業です。トライアル世界選手権は、全長10km以上のコースが12セクションで構成されました。試合はこれを3ラップ。4000人の観客は、曇っているのになお暑いという気候の中、世界トップの戦いを存分に楽しみました。

1ラップ目、ボウはこのラップを唯一の1桁減点である5点でまとめました。難セクションだった第7セクション以外をすべてクリーンという快挙です。タイトル争いのライバル、ラガも必死で食らいつこうとしていましたが、1ラップ目に2番手につけたのは、アルベルト・カベスタニー(シェルコ)でした。カベスタニーはボウが5点となった7セクションを2点で抜けています。それでも、1ラップ目のトータル減点は11点。ラガも23点と減点を重ねていて、1ラップ目にしてボウの優位が明らかになります。

藤波は、1ラップ目に8番手と厳しい状況に追い込まれましたが、2ラップ目にトップ5の座に返り咲こうと、一歩一歩本来のライディングを取り戻しました。そして、ボウもそのアドバンテージをさらに広げようとがんばりました。2ラップ目もボウの減点は1桁の9点。2ラップ目を終えて、カベスタニーとラガが38点で並びましたが、2番手に進出したのはジェロニ・ファハルド(ベータ)でした。その減点は36点。この日のラガのライバルは、チャンピオンを争う相手のボウではなく、ファハルドとカベスタニーになっていました。一方ボウは14点と、ダブルスコア以上の点差をつけています。

最終ラップ、ボウの勝利は明らかでした。一方、2位争いは、タイムペナルティーもあって、カベスタニー、ラガ、ファハルド、そして藤波の間で揺れていました。セクションでの減点数だけでは明らかにならず、ゴールして初めて結果が見えてきます。

藤波は安全確保のためにいくつかの5点を余儀なくされたものの、5位のポジションまで復帰することができました。しかし、2位まで4点差というのも、悔しさの残る結果となりました。

決勝1日目コメント

トニー・ボウ(1日目/優勝)
「今日の勝利は、タイトルへの王手をかけたという点で、たいへん貴重な一勝となりました。タイトル争いのライバルは、私にプレッシャーを与えるのに苦労していたようで、私は、強い走りを披露することができました。明日、もう一日世界選手権を楽しんで、世界新記録となる8度目のタイトルを獲得します。ぜひそのシーンを楽しみにしていてください」

藤波貴久(1日目/5位)
「1ラップ目であまりに多くの5点を取ってしまい、好結果を得るという計画を台なしにしてしまいました。なんとか2ラップ目に自分のフォームを取り戻すことができて、トップ5に返り咲くことができました。最終ラップは、タイムオーバーを回避するために、スコアを台なしにする戦いを強いられました。明日は、残されたチャンスである世界ランキング4位の座を目指して戦いたいと思います」

■決勝2日目

トニー・ボウが8度目のアウトドア世界チャンピオンを獲得しました。これは、あとに続くライダーにとって大きな壁になるでしょう。ボウもまた、ジョルディ・タレスとドギー・ランプキンが築いた7度の世界チャンピオンという高い壁への挑戦者でしたが、記録は簡単に破られてしまいました。この日の勝利は、ボウにとって8度目の世界タイトルへの最高の舞台設定となりました。

また今シーズンはヒザの故障で非常に苦しい戦いを強いられた藤波でしたが、そのような逆境の中、藤波はランキング5位でシーズンを終えることができました。

土曜日同様の12セクション3ラップという舞台には、この日6000人の観衆がつめかけました。

8度のインドア世界チャンピオンにして、8度目のアウトドア世界チャンピオン獲得に挑戦するボウ。歴史的な試合だというのに、ボウのライディングはいつにも増して輝き、自信たっぷりに見えました。ライバルのラガは、土曜日よりはいい走りをしていました。1ラップ目を終えたところで、トップはボウで5点。これに対してラガは僅差の8点につけました。

藤波貴久もまた、土曜日よりは格段に自信に満ちた走りを見せていました。ランキング4位争いのファハルドとの点差は4ポイント。苦しい戦いですが、可能性がないわけではありません。

2ラップ目も、ボウの減点は1桁にとどまりました。これに対してラガは12点。点差は一気に10点近くまで開きます。高温で多くのライダーの走りがにぶっていく中、ボウは変わらず元気に走り続けていきます。8度の世界チャンピオンにふさわしい力走です。

ランキング4位をめぐる争いは、藤波にはつらい結果となりました。3ラップともにファハルドの減点を上回れず、ファハルドの3位に対して5位が確定。ランキングもファハルドに9点差で5位となりました。

これで、2014年のトライアル世界選手権は閉幕しました。1年間、応援ありがとうございました。

決勝2日目コメント

トニー・ボウ(2日目/優勝)
「私の人生で最も記憶に残る、最高の一日になりました。2007年に最初のタイトルを獲得してから、今日の日は常に私の目標でした。ジョルディ・タレスとドギー・ランプキンの2人の先輩に並び、そして今日、彼らの記録を塗り替えて8度目の世界チャンピオンの栄誉を勝ち取りました。今シーズンは全部で13の世界選手権レースがありましたが、私はそのうち7勝し、その他のレースでも2位に入ることができました。今シーズンは過去になく厳しい戦いとなりましたが、タイトルをあきらめることは一度もありませんでした。その結果が、今日という日です」

藤波貴久(2日目/5位)
「ランキング5位になれたという結果は、喜ばしいことですが、悔しいところでもあります。今シーズンはヒザの故障で始まり、常にヒザの問題に苦しめられました。そんな中で、チームは私のことをよく盛り立ててくれて、苦しいながらもよいシーズンが送れたと思います。それが、世界ランキング5位という結果です。来週には、私はヒザの手術を受けて、2015年へのトレーニングを開始します」

決勝1日目リザルト

順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 ラップ3 総減点 クリーン数
11トニー・ボウモンテッサ(Honda)512203728
24A.カベスタニーシェルコ1129256520
32A.ラガガスガス2317266621
43J.ファハルドベータ1623286717
55藤波貴久モンテッサ(Honda)3115236919
69A.フェレールシェルコ2430278114

決勝2日目リザルト

順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 ラップ3 総減点 クリーン数
11トニー・ボウモンテッサ(Honda)5681925
22A.ラガガスガス812133322
33J.ファハルドベータ1712154419
44A.カベスタニーシェルコ1427175816
55藤波貴久モンテッサ(Honda)1920226117
6td>J.ダビルベータ2225186517

ポイントスタンディング

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1トニー・ボウモンテッサ(Honda)225
2A.ラガガスガス210
3A.カベスタニーシェルコ163
4J.ファハルドベータ154
5藤波貴久モンテッサ(Honda)145
6J.ダビルベータ113
 
15小川友幸Honda13