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GTプロジェクトリーダー 松本雅彦 現場レポートvol.106 Rd.6 SUGOプレビュー コーナリング性能がものをいうスポーツランドSUGOの一戦に挑む #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの活躍に期待

 SUPER GT第6戦は東北の緑濃い丘陵地帯に設けられたスポーツランドSUGOでの開催となります。

 第5戦鈴鹿大会では勝つことができませんでしたが、私たちHondaは、前回同様、第6戦SUGO大会でもライバル勢と同等のパフォーマンスを発揮できると確信しています。

 その理由の第1は、スポーツランドSUGOのコースレイアウトにあります。コースの前半は比較的タイトなコーナー、後半部分は中高速コーナーが続くスポーツランドSUGOは、コーナリング性能の優れたマシンにとって有利なサーキットと言えます。

 本大会に先立ち、7月25(土)〜26日(日)にスポーツランドSUGOで行われた合同テストの初日に、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)が4番手、2日目は#64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)が5番手と、内容的には非常に充実したものでした。

 第6戦SUGO大会がハンディウエイトをフルに積んで挑むシーズン最後の1戦となることも、私たちにとっては重要なポイントです。ミッドシップレイアウトとハイブリッドシステムを採用するNSX CONCEPT-GTはライバルよりも最低重量が57kg重く設定されています。この重量差は、ライバルチームのハンディウエイトが重くなればなるほど、NSX CONCEPT-GTのハンディキャップは相対的に小さくなると言えます。ところが、第7戦オートポリス大会ではこのハンディウエイトが半減され、第8戦もてぎ大会では完全に撤廃されます。つまり、今後は57kgの重量差がよりはっきりとした形で影響を及ぼす可能性があるわけです。

 5台のNSX CONCEPT-GTの中では、第5戦鈴鹿大会を5位で終えた#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTに最も大きなチャンスがあると考えています。合計ポイントが29点に達した彼らは、58kgのハンディウエイトを搭載して第6戦SUGO大会に臨むことになりますが、このうちの50kg分は燃料リストリクターを絞ることでまかなわれるため、実質的には8kg分のハンディウエイトを積むことになります。前回の鈴鹿1000kmでは、ウエットコンディションでは抜群のトラクション性能を発揮したミッドシップレイアウトが、ドライに転じるとリアタイヤに大きな負担をかけることになり、これがタイヤのライフを短くする方向に働いてしまいました。これは、第5戦鈴鹿大会の段階では重いハンディウエイトを積んでいたため、その傾向がとりわけ顕著に表れた結果でしたが、実質的なハンディウエイトが8kgとなる#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTであれば、この点はまず心配ないと考えられます。

 残るHonda勢では#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/武藤英紀組)が上限に近い44kgのハンディウエイトを搭載するほか、#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/オリバー・ターベイ組)も28kgのハンディウエイトを積むことになります。2台に関しては決して容易な状況とは言えませんが、これまでに収集したデータを見直すことで走らせ方に工夫を凝らし、このハンディキャップをはね飛ばす快走を披露したいと思います。同じ考え方は、前回の鈴鹿でシャシーのセッティングがまとまったことが確認された#8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)(ハンディウエイトは20kg)にも応用できるはずです。

 第5戦鈴鹿大会ではウエットコンディションとなったレース序盤に目の覚めるような速さを示した#64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)については、スポーツランドSUGOのレースも不安定な天候のもとで開催されることが少なくないので、今回もウエットコンディションとなれば活躍してくれるでしょう。

 いずれにせよ、2015年シーズンも残すところあと3戦です。目標であるタイトル獲得に向けて可能性がある限り、最後まで全力を尽くしますので、引き続き5台のNSX CONCEPT-GTに熱いご声援をお送りくださいますよう、お願い申し上げます。