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GTプロジェクトリーダー 松本雅彦 現場レポートvol.101 Rd.3 タイ・レビュー 灼熱のレースでNSX CONCEPT-GTの速さを証明 信頼性を向上させ次戦に活かす

 チャーン・インターナショナル・サーキットでのSUPER GT第3戦が終わりました。6月のタイ・ブリーラムは暑く、決勝当日は上空に薄い雲が漂っていたにもかかわらず、午後3時のスタート時点での気温は35℃、路面温度は55℃に達していました。2年前まで開催されていたマレーシア・セパン戦よりさらに暑い、まさに灼熱の戦いだったといえるでしょう。

 このタイ大会では、7番グリッドからスタートした#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/武藤英紀組)が3位でフィニッシュし、表彰台に上ってくれました。実は、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは土曜日の午前中に行われた公式プラクティス中に燃料系のトラブルが発生したため、事前にほとんど走り込めないまま公式予選に臨んだのですが、Q2進出を果たして7番グリッドを得ました。

 同じくQ2に進出した#64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)も排気系トラブルのために公式プラクティスの大半をピットで過ごしながら5番グリッドを獲得しました。十分な準備がなくてもトップクラスの速さが示せたことは、NSX CONCEPT‐GTが優れたポテンシャルを有している証に違いありません。

 一方、#8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀組)、#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/オリバー・ターベイ組)、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也組)の3台は、公式プラクティスで一定の速さを示しながらも公式予選ではQ1敗退を喫しました。この点は、午前から午後にかけて路面温度が10℃近くも上がったことで、路面コンディションと車体のマッチングを図りきれなかったことに原因があったと捉えています。

 決勝レースでは、完走した#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTと#15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTの2台が入賞したことは前述のとおりですが、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTと#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTはサスペンショントラブルのため、#64 Epson NSX CONCEPT-GTはエンジン系のトラブルのため、いずれもリタイアに追い込まれたことは残念でした。

 こうしてみると、NSX CONCEPT‐GTは、しっかり走ることができれば上位に食い込める速さを示すものの、信頼性の面で不安を残しているといえます。今回でいえば、#64 Epson NSX CONCEPT-GTはタイヤとのマッチングもよかったので、途中でアクシデントなどに遭わずに完走できれば、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT同様、十分に表彰台を狙えたと思います。実際には、バゲット選手が3番手争いをしている最中にライバルと接触し、実質的に最下位までポジションを落としてしまいましたが、いずれにしてもエンジントラブルが発生すれば成績は残せません。この点はプロジェクトリーダーとして深く責任を感じています。

 また、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTと#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの2台に起こったサスペンショントラブルは、今回はじめて発生した事象であり、次戦に向けて早急に対策する予定です。トラブルの原因については、タイヤを使いきる上でのセッティングと密接な関係があるため、次戦に向けてタイヤメーカーと協力しながら対策を講じていきます。

 まだまだ、総合力を発揮しているとはいえない状況にありますが、早期に信頼性を向上させるための改良を進めていきます。
引き続きのご声援をどうぞよろしくお願い申し上げます。