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SUPER GT

round 07

SCHEDULE

October 5 2014, RACE SUPER GT Round 7

タイタイ

波乱の展開となったタイ大会で#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が5位入賞を果たす
GT300クラスは#0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)が9位フィニッシュ

2014年10月5日(日)・決勝  会場:チャーン・インターナショナル・サーキット(4.554km)
天候:晴れ  気温:30℃(15:00時点)   路面温度:51℃(15:00時点)  コースコンディション:ドライ  観客:7万5168人(主催者発表)

10月5日(日)、タイのブリーラムに新設されたチャーン・インターナショナル・サーキットにおいて、2014 オートバックス SUPER GT第7戦「BURIRAM UNITED SUPER GT RACE」の決勝レースが行われました。

  • ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT
  • RAYBRIG NSX CONCEPT-GTRAYBRIG NSX CONCEPT-GT
  • KEIHIN NSX CONCEPT-GTKEIHIN NSX CONCEPT-GT
  • ARTA NSX CONCEPT-GTARTA NSX CONCEPT-GT
  • Epson NSX CONCEPT-GTEpson NSX CONCEPT-GT
  • MUGEN CR-Z GTMUGEN CR-Z GT
  • ARTA CR-Z GTARTA CR-Z GT

バンコクから北へおよそ400kmに位置するチャーン・インターナショナル・サーキットは、9月27日(土)に、国際自動車連盟(FIA)よりグレード1のサーキットライセンスが発給されたばかりの新しい施設で、イベントが開催されるのは今回が初めて。F1グランプリの開催に必要な最新の安全設備などを備えており、全長4.554kmのコースには、大小12のコーナーが散りばめられています。

4日(土)に行われた公式予選では、#8 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮組)が、Honda勢トップの4番グリッドを獲得。#32 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)は5番グリッド、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組)は7番グリッド、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)は9番グリッド、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)は11番グリッドをそれぞれ獲得しました。

決勝日である日曜日は、午前9時50分から30分間にわたってフリープラクティスが、午後3時からは、66周で競われるレースがスタートしました。

午前のフリープラクティスでは、1分26秒700を記録して8番手となった#8 ARTA NSX CONCEPT-GTがHonda勢の最上位でした。これに続いたのは#32 Epson NSX CONCEPT-GTの10番手で、以下、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが11番手、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが13番手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが14番手となりました。

朝から晴れわたりながら、時折り薄い雲に覆われる天候。気温は30℃前後であまり変化がないものの、路面温度は56℃まで上昇したかと思えば、スタート直前には51℃まで低下するといった、予測の困難なコンディションでした。ただ、赤道に近いこの地域では、午後にスコールが降ることも珍しくありません。しかし、レースウイークの3日間は強い雨は降らず、天気予報は決勝日も雨が降らないことを伝えていました。

スタートドライバーを務めたのは、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは松浦選手、#32 Epson NSX CONCEPT-GTはバゲット選手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは金石選手、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは山本選手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは武藤選手でした。

午後2時50分、タイ国歌に続いて君が代が演奏されると、満席のグランドスタンドは熱気に包まれました。

午後3時、一周のフォーメーションラップに続いて、66周で競われる決勝レースが幕を開けました。#8 ARTA NSX CONCEPT-GTと#32 Epson NSX CONCEPT-GTは、いずれもグリッドポジションを守り、4番手と5番手でオープニングラップを終えました。#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTと#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTも、ポジションをキープして1周目を走りきりましたが、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは一つ後退して12番手となりました。

スタート直後から、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTのペースは速く、3番手を走るライバルの直後に迫り、3周目には早くもGT300クラスの集団に追いつきます。とはいえ、路面上にほこりがたまっているために、走行ラインを外すと極端に滑りやすく、コースアウトを喫する恐れが大きくなります。そのため、追い越しを焦ったGT500車両がコースアウトしたり、追い越されたGT300車両が行き場を失ってコースアウトを喫したりする場面が、何度も見られました。#8 ARTA NSX CONCEPT-GTに乗る松浦選手も、5周目にはいったん3番手のライバルをパスしますが、直後にコースからはみ出して4番手に後退するなど、あわただしい展開となりました。

これと前後して、#32 Epson NSX CONCEPT-GTはライバルの1台と接触。幸いにもマシンにダメージはありませんでしたが、このときにタイヤが部分的に激しく摩耗するフラットスポット現象が発生。それによりタイヤが破損して、ボディカウルの一部を壊してしまい、25周目にピットストップすると、そのままリタイアとなりました。

一方、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTはGT300車両を一通り追い越すと、11周目に改めて前を走るライバルに襲いかかり、見事に攻略。3番手へとポジションを上げました。

12周目を迎えると、5番手を走っていた#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTの後方に、ライバル陣営の1台を挟んで、7番手の#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT、さらに11番グリッドから8番手まで追い上げていた#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが迫ります。4台が一団となって周回を重ねる中、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTに乗る武藤選手が、勢い余って#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに接触。#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが7番手に浮上する一方で、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは12番手まで後退することとなりました。

#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは、19周目のS字コーナー付近でコントロールを失って再びスピン。そのままスロー走行でピットに戻ります。ブレーキ系統にトラブルを抱えてしまい、修復作業のために15分ほどのピットストップを余儀なくされました。

一方、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTと接触した#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTには、ドライブスルー・ペナルティーが科せらました。武藤選手は29周目にこのペナルティーを消化し、11番手となりました。

先頭グループが30周目を走り終えたころ、ブレーキ系統のトラブルでピットインしていた#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTがコースに復帰。再び周回を重ねていきました。

このころになると、ライバル陣営の中には、ピットストップを行って給油とタイヤ交換をするチームが現れます。

33周目、ライバルがピットストップしたことで、2番手に浮上していた#8 ARTA NSX CONCEPT-GTがピットに戻ってきます。その際、タイヤの破損によりリアカウルが壊れていたため、リタイアを余儀なくされました。

41周目に#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが給油とタイヤ交換を行うと、GT500車両のピット作業は一通り終了しました。この時点で、Honda勢のトップは#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTの6番手で、これに続いたのが10番手の#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT、さらに#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは13番手で周回を重ねていました。後半を担当するドライバーは、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはマコヴィッキィ選手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは小暮選手、そして#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTは塚越選手でした。

45周目、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは、ライバルの1台に攻略されて7番手となりますが、その後、トップを走っていたライバル陣営の1台がトラブルのためリタイアしたことで6番手に返り咲き、さらにレース終盤の57周目にはライバルの1台を攻略。これにより、5番手でチェッカーフラッグを受けました。#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTもライバルの1台を攻略して8位でフィニッシュ。#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTはトラブルのため10周後れとなりながらも最後まで走りきり、12位でチェッカーフラッグを受けました。 優勝は#36 PETRONAS TOM'S RC F(中嶋一貴/J.ロシター組)でした。

この結果、チャンピオン争いのドライバー部門では、53点とした#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTの山本選手が6位につけているほか、同じ#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTに乗るマコヴィッキィ選手が42点で8位、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTの塚越選手と金石選手が24点で12位、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTの小暮選手と武藤選手が20点で14位、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTのリウッツィ選手と松浦選手が14点で15位、#32 Epson NSX CONCEPT-GTの中嶋選手とバゲット選手が12点で16位となっています。

一方、GT300クラスの4番グリッドと5番グリッドからスタートした、#0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)と#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)は、高い路面温度の影響もあり、ハイブリッドシステムが本来のパフォーマンスを発揮できず、#0 MUGEN CR-Z GTが9位、#55 ARTA CR-Z GTが13位で完走しました。

シーズン最終戦の第8戦は、栃木県のツインリンクもてぎで11月15日(土)、16日(日)に開催されます。

コメント

渡邉昇 | Honda GTプロジェクト 車体開発担当エンジニア
「とても荒れた展開の中で、Honda勢にもさまざまなアクシデントが発生するレースとなりました。序盤に快調だった#8 ARTA NSX CONCEPT-GTは、タイヤが破損したことでボディカウルにダメージを与えてしまいました。原因はまだよく分かっていませんが、ドライバーはなにも前触れがなかったと語っています。#32 Epson NSX CONCEPT-GTも、やはりタイヤの破損によりカウルを壊してしまいましたが、これは序盤の接触でフラットスポットを作ったことが引き金となりました。#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTも同じく調子がよかったのですが、こちらはブレーキ系統に問題が起こったようです。週末の出足があまりよくなかった#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTは、決勝に向けてセッティングがまとまっていきましたが、レース中にペナルティーを受けたのは残念でした。そうした中、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTはノーミスでレースを走りきり、貴重なポイントを獲得してくれました。この結果、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTは、まだタイトル獲得に望みを残しています。最終戦では彼らが少しでもいい成績を残せるよう、Hondaとしてできる限りサポートしていくつもりです」

山本尚貴(5位 #18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「自分のスティントではポジションを上げて帰ってこられたので、表彰台も狙えるかなと思ったのですが、ライバル陣営の戦略が一枚上手でした。僕たちもできる限りのことをやって、僕もフレッド(マコヴィッキィ選手)もノーミスだったので、力を出し尽くした結果だと思います。十分に上位と戦えるペースで走れていたので、決してマシンのパフォーマンスが劣っていたとは思いませんが、戦略の違いが結果として出てしまい、レースに負けてしまったのが悔しいです。チャンピオンシップに関しては、非常に厳しい状況になってしまいましたが、可能性はゼロではありません。最終戦ではタイトルのことよりも、まずは優勝を目指して、Hondaのホームコースであるもてぎで結果を残したいと思います」

フレデリック・マコヴィッキィ(5位 #18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT)
「大変なレースでしたが、結果的に5位でフィニッシュしてポイントを獲得できたのはすばらしかったです。僕が担当したスティントでは、タイヤの性能が低下するのを防ぐため、ドライビングに細心の注意が必要でした。また、このサーキットでは走行ラインが1本だけしかなく、これを外すとほこりっぽい上にタイヤかすがたくさん落ちていたので、その点からもアグレッシブに攻めるのがとても難しいレースとなりました。本当は表彰台でフィニッシュできればよかったのですが、5位も決して悪い成績ではありません。ここで獲得したポイントが、山本選手のチャンピオンシップ獲得に少しでも役立つことを期待しています」

小暮卓史(8位 #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT)
「途中までは悪くないペースで走れていましたが、終盤でブレーキバランスが調整しきれなくなった影響でペースが落ちてしまいました。ただ、予選のポジション(11番手)を考えると、シングルポジションで終えられてよかったです。最終戦は頭を切り替え、プッシュする走りをみせたいです」

武藤英紀(8位 #100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT)
「今日は調子がよく、自分のスティントでもペースよく走れていましたが、17号車(KEIHIN NSX CONCEPT-GT)と接触してしまい、ペナルティーを受けました。それがなければもう少し上位で入賞できたので、もったいないことをしました。ただ、週末の流れを考えると、なかなか調子が上がらなかった中でポイントを獲得できたことはよかったですし、次につながると思っています」

決勝リザルト

GT500
順位 No. マシン ドライバー 周回数 タイム/差
136PETRONAS TOM'S RC F中嶋一貴/J.ロシター66 1:37'58.987
224D'station ADVAN GT-R M.クルム/佐々木大樹66 +1.980
312カルソニックIMPUL GT-R安田裕信/J.P.デ・オリベイラ66+6.689
437KeePer TOM'S RC F伊藤大輔/A.カルダレッリ66+16.463
518ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ66+33.849
619WedsSport ADVAN RC F脇阪寿一/関口雄飛66+35.130
 
8100RAYBRIG NSX CONCEPT-GT小暮卓史/武藤英紀66+1'08.424
1217KEIHIN NSX CONCEPT-GT塚越広大/金石年弘56+10Laps
RT8ARTA NSX CONCEPT-GTヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮33+33Laps
RT32Epson NSX CONCEPT-GT中嶋大祐/ベルトラン・バゲット25+41Laps
GT300
順位 No. マシン ドライバー 周回数 タイム/差
13B-MAX NDDP GT-R星野一樹/L.オルドネス61 1:39'29.702
27Studie BMW Z4J.ミューラー/荒聖治61+0.862
34グッドスマイル 初音ミク Z4谷口信輝/片岡龍也60+1Lap
460TWS LM corsa BMW Z4飯田章/吉本大樹60+1Lap
561SUBARU BRZ R&D SPORT佐々木孝太/井口卓人60+1Lap
650P.MU Exe Aston Martin加納政樹/N.インドラ・パユーング60 +1Lap
 
90MUGEN CR-Z GT中山友貴/野尻智紀60+1Lap
1355ARTA CR-Z GT 高木真一/小林崇志 59+2Laps

ポイントスタンディング

ドライバー

GT500
順位 No. ドライバー マシン 総合ポイント
136J.ロシターPETRONAS TOM'S RC F67
237伊藤大輔/A.カルダレッリKeePer TOM'S RC F64
323松田次生/R.クインタレッリMOTUL AUTECH GT-R61
412安田裕信/J.P.デ・オリベイラカルソニックIMPUL GT-R60
536中嶋一貴PETRONAS TOM'S RC F59
618山本尚貴ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT53
 
818フレデリック・マコヴィッキィウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT42
1217塚越広大/金石年弘KEIHIN NSX CONCEPT-GT24
14100小暮卓史/武藤英紀RAYBRIG NSX CONCEPT-GT20
158ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮ARTA NSX CONCEPT-GT14
1632中嶋大祐/ベルトラン・バゲットEpson NSX CONCEPT-GT12
1818ジャン・カール・ベルネウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT11
GT300
順位 No. ドライバー マシン 総合ポイント
14谷口信輝/片岡龍也グッドスマイル 初音ミク Z467
211平中克幸/B.ビルドハイムGAINER DIXCEL SLS58
37J.ミューラー/荒聖治Studie BMW Z458
43星野一樹/L.オルドネスB-MAX NDDP GT-R45
561佐々木孝太/井口卓人SUBARU BRZ R&D SPORT44
660飯田章/吉本大樹TWS LM corsa BMW Z444
 
90中山友貴/野尻智紀MUGEN CR-Z GT26
1055高木真一/小林崇志ARTA CR-Z GT25

チーム

GT500
順位 チーム 総合ポイント
1LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S84
2LEXUS TEAM KeePer TOM'S83
3NISMO79
4TEAM IMPUL77
5ウイダー モデューロ 童夢 レーシング69
6LEXUS TEAM LeMans ENEOS60
 
11ケーヒン リアル レーシング33
12チームクニミツ33
14オートバックス・レーシング・チーム・アグリ23
15エプソン・ナカジマレーシング20
GT300
順位 チーム 総合ポイント
1GOODSMILE RACING & TeamUKYO82
2BMW Sports Trophy Team Studie75
3GAINER74
4NDDP RACING62
5R&D SPORT59
6LM corsa59
 
8TEAM 無限41
9オートバックス・レーシング・チーム・アグリ38