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October 4 2014, QUALIFYING SUPER GT Round 7
タイ
2014年10月4日(土)・予選 会場:チャーン・インターナショナル・サーキット(4.554km) 天候:晴れ
気温:34℃(15:00時点) 路面温度:52℃(15:00時点) コースコンディション:ドライ
10月4日(土)、タイのブリーラムに新設されたチャーン・インターナショナル・サーキットにおいて、2014 オートバックス SUPER GT第7戦「BURIRAM UNITED SUPER GT RACE」の公式予選が行われました。
ブリーラムは、タイの首都であるバンコクから北へおよそ400kmに位置する地方都市。この街は、サッカーのタイ・プレミアムリーグに加盟するブリーラム・ユナイテッドFCの本拠地でもあり、そのホームスタジアムであるiモバイル・スタジアムは、チャーン・インターナショナル・サーキットと隣接して建てられています。
チャーン・インターナショナル・サーキットには、9月27日(土)に、国際自動車連盟(FIA)よりグレード1のサーキットライセンスが発給されました。これは、F1グランプリの開催が可能なサーキットだけに与えられるもので、コースレイアウト、全長、コース幅、安全設備などが、FIAの定めた基準を満たしていることが発給の条件となります。
完成したチャーン・インターナショナル・サーキットは、全長4.554kmの時計回り。ヘアピンを挟んだ2本のストレート区間と、低中速コーナーを中心とするインフィールド区間によって構成されており、コーナーの数は合計で12です。FIAの最新の安全基準を満たしているだけあって、コースアウトしたマシンを減速させるために設けられたランオフエリアは十分に広く、また、コーナーのアウト側にはアスファルト敷きの部分が設けられており、軽いコースアウトであれば、マシンがダメージを追うことなくコースに復帰できるよう工夫されています。
今回は初開催のサーキットであることを考慮し、公式予選の前日の3日(金)に、フリープラクティスが実施されました。まだ完成したばかりのサーキットで、しかもコースの周囲は常に砂ぼこりが舞う環境のため、路面はとても滑りやすく、走行ラインを外すと、すぐにコースアウトを喫するシーンが何度も見られました。
2時間にわたって行われた金曜日のフリープラクティスでHonda勢のトップとなったのは、1分27秒189をマークした、5番手の#8 ARTA NSX CONCEPT-GT(ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮組)でした。以下、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組)が6番手、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が7番手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)が8番手、#32 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)が10番手で、タイムチャートの中ほどを、Honda勢が占める形となりました。
土曜日は午前10持から正午まで公式プラクティスを行ったあと、午後3時よりノックアウト形式の公式予選を行いました。
午前の公式プラクティスでは、ライバル勢の1台が1分25秒前半のタイムを記録し、トップに立ちました。Honda勢では#32 Epson NSX CONCEPT-GTが1分25秒872をマークして3番手となったほか、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTが4番手、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが9番手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが11番手、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが13番手のタイムを、それぞれ記録しました。
公式予選が始まる午後3時の段階で、サーキット周辺の気温が34℃、路面温度が52℃に達しており、今シーズンのSUPER GTで最も暑くなりました。GT500は午後3時15分から、15分間にわたって行われたQ1では、各車ともセッション開始早々にコースインし、積極的にアタックを敢行。その結果、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTを駆るリウッツィ選手が1分25秒323を記録して4番手となり、Honda勢のトップに立ちました。これに続いたのは#32 Epson NSX CONCEPT-GTを駆るバゲット選手の6番手。そして#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTに乗る金石選手は8番手となり、以上3台がQ2への進出を決めました。一方、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTに乗るマコヴィッキィ選手は9番手、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTに乗る小暮選手は11番手となり、この段階で決勝レースのスターティンググリッドが確定しました。
続くQ2では、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTに乗る松浦選手が1分25秒077を記録して4番グリッドを獲得したほか、#32 Epson NSX CONCEPT-GTに乗る中嶋選手が1分25秒205をマークして5番グリッドを手にしました。そして、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTを駆る塚越選手は1分25秒568を記録して7番グリッドから、明日の決勝レースに挑むことが決まりました。
またGT300クラスでは、#0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)の中山選手が、Q2で1分34秒524を記録して4番グリッドを獲得。#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)の高木選手が、同じくQ2で1分34秒605をマークし、5番グリッドを手に入れました。
66ラップで繰り広げられる5日(日)の決勝レースは、現地時間の午後3時(日本時間:午後5時)にスタートが切られます。
渡邉昇 | Honda GTプロジェクト 車体開発担当エンジニア
「このサーキットに向けて用意したセッティングが、最初からうまくマッチしたチームが上位に食い込み、そうでないチームは苦戦を強いられる結果となりました。しかも、ブリーラムはドライバーにとっても全く新しいコースですので、セットアップがうまくマッチしていないチームは、ドライバーのコースに対する習熟と、セットアップ作業の両方を同時に進めなければならず、これが余計に苦しい状況を招く要因になりました。明日の決勝レースでは、タイヤから安定したパフォーマンスを長く引き出せるかどうかが、勝敗を分ける1つのポイントになると思います。また、レースが進むにつれて、コース上には多くのタイヤかすが出てくるでしょうから、この影響についても予想しきれない部分が残っています。いずれにせよ、少しでも多くのポイントを獲得できるよう、万全の準備を整えて、明日の決勝レースに臨むつもりです」
松浦孝亮(4番手 #8 ARTA NSX CONCEPT-GT)
「アタック自体がうまくいきましたが、マシンのバランスがこれ以上注文を出せないくらいにいい仕上がりでした。自分たちの持っているものを最大限に引き出せましたし、Honda最上位でもあるので、NSX-CONCEPT GTのパフォーマンスを一番出しきれたのだと思います。前にいるライバルが今週ずっと速いので、明日の決勝は、簡単には抜かせてくれないでしょうが、GT300車両と交錯したタイミングがチャンスだと思います。そのチャンスを生かし、表彰台にたどり着けるようにがんばります」
ヴィタントニオ・リウッツィ(4番手 #8 ARTA NSX CONCEPT-GT)
「とてもいい予選になりました。昨日からマシンの仕上がりは上々で、とてもいいパフォーマンスを示せました。ポールポジションを獲得できなかったのは残念ですが、決勝に向けたセットアップ作業もしっかり行ったので、明日のレースは、ミスを犯さないように気をつけて走れば、結果はついてくると思います。ただし、まだ完成したばかりのサーキットですので、路面はとてもほこりっぽい状態です。しかも、決勝レースではGT300クラスも一緒に走るので、ちょっとしたことがミスにつながりかねないと予想されますが、ファンの皆さんにとっては、すばらしいショーになることでしょう。僕たちは4番グリッドからのスタートですので、表彰台はもちろん、優勝も十分に狙えます。ここ数戦は不運が続いていたので、このレースでいい成績を残し、悪い流れを断ち切りたいと考えています」
中嶋大祐(5番手 #32 Epson NSX CONCEPT-GT)
「走り出しからマシンもタイヤも調子がよく、予選でも調子を崩すことなく走れました。マシンの開発の方向性や、タイヤの開発が合っていると証明できる走りができたので、チーム全員にとってもよかったです。ただ、新しいサーキットというちょっと特殊なケースでもあるので、最終戦やそれ以降のことも考え、あまり浮かれることなく、自分たちのペースで引き続きがんばっていきたいです。このサーキットはいろいろなところにワナが潜んでいて、思わぬところで足元をすくわれたりする部分があります。それでも、走っていてとても楽しいですし、設備もすばらしいです。明日の決勝はどのようなレース展開になるか想像できないですが、落ち着いて戦えば悪くない結果がついてくると思います」
ベルトラン・バゲット(5番手 #32 Epson NSX CONCEPT-GT)
「僕たちドライバーにとっても、チームにとっても、とてもいい予選になりました。マシンは前日の走り出しからずっと好調で、コンスタントにトップ8に入っていました。そこで期待も膨らんでいましたが、予選でも自分たちの力をしっかり発揮できたので、今はとてもハッピーな気分です。僕たちはレースをにらんでタイヤチョイスをしていますので、決勝のペースについても自信を持っています。このコースは、5速でほぼ全開のまま駆け抜ける左コーナーのターン4や、そのほかにも楽しいコーナーがたくさんあります。中には、縁石に乗り上げるとマシンにダメージを与えるコーナーもありますが、走っていてとても楽しいサーキットであることには変わりありません。明日は、オープニングラップでのアクシデントを避けることができれば、きっといい成績を挙げられると思います」
塚越広大(7番手 #17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT)
「練習走行時にトラブルがあり、マシンが破損してしまったので、走行時間が少なくなってしまいました。そこでセットアップができなかったのですが、メカニックが一生懸命に修復してくれて、しっかりと走れるようになりました。金石選手がQ1を突破してくれたので、僕も思いきってアタックできましたし、マシンの状態は悪くないです。“勝って日本に帰りたい”という思いは強いので、明日は上位のマシンを全部抜けるように、2人で精一杯がんばります」
金石年弘(7番手 #17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT)
「練習走行時のトラブルに加え、GT500車両の占有走行でアタックした際に、オーバーランをしてしまい、部品を落とした影響で、なかなかうまくアタックができないまま予選を迎えました。ただ、メカニックががんばって作業してくれたおかげもあり、そのような中でもQ1を突破できました。マシンの状態はソフトタイヤでも硬めのタイヤでも悪くないですし、明日は優勝を目指し、まずはスタートに気を付けること、そしてGT300車両をうまく対処することに注意してがんばります」
順位 | No. | マシン | ドライバー | タイム |
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1 | 46 | S Road MOLA GT-R | 本山哲/柳田真孝 | 1'24.704 |
2 | 24 | D'station ADVAN GT-R | M.クルム/佐々木大樹 | 1'24.739 |
3 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田次生/R.クインタレッリ | 1'24.974 |
4 | 8 | ARTA NSX CONCEPT-GT | ヴィタントニオ・リウッツィ/松浦孝亮 | 1'25.077 |
5 | 32 | Epson NSX CONCEPT-GT | 中嶋大祐/ベルトラン・バゲット | 1'25.205 |
6 | 39 | DENSO KOBELCO SARD RC F | 石浦宏明/O.ジャービス | 1'25.353 |
7 | 17 | KEIHIN NSX CONCEPT-GT | 塚越広大/金石年弘 | 1'25.568 |
9 | 18 | ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT | 山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ | 1'25.789 |
11 | 100 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT | 小暮卓史/武藤英紀 | 1'25.849 |
順位 | No. | マシン | ドライバー | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | i MOBILE AAS | V.インサラプバサク/A.インペラトーリ | 1'33.507 |
2 | 3 | B-MAX NDDP GT-R | 星野一樹/L.オルドネス | 1'34.268 |
3 | 7 | Studie BMW Z4 | J.ミューラー/荒聖治 | 1'34.417 |
4 | 0 | MUGEN CR-Z GT | 中山友貴/野尻智紀 | 1'34.524 |
5 | 55 | ARTA CR-Z GT | 高木真一/小林崇志 | 1'34.605 |
6 | 4 | グッドスマイル 初音ミク Z4 | 谷口信輝/片岡龍也 | 1'34.611 |