NSX CONCEPT-GTのデビューシーズンは、苦難を乗り越え4度の表彰台を獲得
Hondaの開発力で来シーズンに光明を見いだす
Hondaは2014年シーズンから、新開発となるNSX CONCEPT-GTをGT500クラスに投入しました。クラスで唯一のミッドシップとレーシングハイブリッドシステムを備えるNSX CONCEPT-GTでの参戦は、開発者やチーム関係者、そしてドライバーにとって新たな挑戦となりました。
14年シーズンは、車両規則の多くがドイツツーリングカー選手権(DTM)と共通化され、さまざまな標準パーツの適用が義務付けられました。その一つである共通モノコックは、フロントエンジン用の設計がされており、ミッドシップレイアウトを採用しているNSX CONCEPT-GTに適応させる必要が生じ、Hondaの開発力が試されました。
そうして迎えた開幕戦の岡山国際サーキットでは、5台が完走を果たし、4台が入賞しました。続く第2戦の富士スピードウェイでは、ミッドシップレイアウトの弊害である冷却の難しさに直面。その厳しい状況の中、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/ジャン・カール・ベルネ組)がポイントを獲得しました。
第3戦オートポリスでは、マシンのセッティングの変更などによって、パフォーマンスの向上を図り、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀組)が6位となるなど、3台がポイントを獲得。HondaはNSX CONCEPT-GTを着実に進歩させていきます。
さらに、第4戦スポーツランドSUGOを前に、冷却系の強化が認められたことで、NSX CONCEPT-GTが大きく進化します。すると、#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GTがフロントローを獲得するなど、5台のNSX CONCEPT-GTが予選10番手以内に入りました。決勝レースでは、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘組)が3位となり、NSX CONCEPT-GTを今季初の表彰台に導きました。
第5戦として迎えたシーズン2度目の富士スピードウェイでは、第2戦とはうって変わって、ライバルを圧倒するスピードをみせます。予選で、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTが初のポールポジションを獲得。決勝レースでは、6番グリッドからスタートダッシュを決めた#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が、序盤でライバルを攻略して、8周目にトップに躍り出ます。その後、豪雨によってセーフティーカーランや赤旗中断が入る難しいレース展開となりますが、最後までトップを守り続けてNSX CONCEPT-GTに初の優勝をもたらしました。さらに、11番グリッドから粘り強い走りをみせた#32 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット組)が3位表彰台を獲得するなど、大会を通して全台が確かなパフォーマンスをみせました。
続く第6戦は、ホームコースの鈴鹿サーキットで行われる1000kmレースでした。予選で速さをみせたのは、#17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTでした。ライバルとコンマ2秒差の好タイムを記録して2番手。ほかにも、#8 ARTA NSX CONCEPT-GTが5番手など、3台のNSX CONCEPT-GTが10番手以内となります。決勝レースでは、NSX CONCEPT-GT勢が、予想外のアクシデントに見舞われる難しいレースとなりました。それでも、7番グリッドから徐々に順位を上げていった#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが3位表彰台を獲得。優勝こそならなかったものの、長丁場のレースを戦える力を示しました。
初開催となった第7戦のタイでは、荒れたレース展開になるも、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが安定した走りで入賞。最終戦ツインリンクもてぎでは、1年ぶりに山本選手とコンビを組んだ伊沢拓也選手の活躍もあり、#18 ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが3位表彰台に登壇し、シーズンを終えました。NSX CONCEPT-GTはデビューイヤーで、第5戦の優勝を含む、4度の表彰台登壇という結果を残しました。