round 05

August 18 2013, RACE SUPER GT Round 5 鈴鹿サーキット

SCHEDULE

#18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)が初優勝
#17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)は7位
#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)は10位でポイント獲得

2013年8月18日(日)・決勝 会場:鈴鹿サーキット(5.807km) 天候:晴れ 気温:34℃(12:30時点)
路面温度:47℃(12:30時点) コースコンディション:ドライ 観客:3万6000人

8月18日(日)、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットにおいて、2013 オートバックス SUPER GT第5戦「第42回インターナショナル ポッカサッポロ1000km」の決勝レースが行われました。

  • ウイダー モデューロ HSV-010ウイダー モデューロ HSV-010
  • (中央左から) 山本尚貴選手、フレデリック・マコヴィッキィ選手(中央左から) 山本尚貴選手、フレデリック・マコヴィッキィ選手
  • (左から) 山本尚貴選手、フレデリック・マコヴィッキィ選手(左から) 山本尚貴選手、フレデリック・マコヴィッキィ選手
  • KEIHIN HSV-010KEIHIN HSV-010
  • RAYBRIG HSV-010RAYBRIG HSV-010
  • ARTA HSV-010ARTA HSV-010
  • Epson HSV-010Epson HSV-010

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朝のうちこそ空は雲に覆われており、午前8時30分にフリー走行が始まったときには雨がパラパラと降りましたが、それ以降は好天に恵まれて気温も上昇し、決勝レースは8月の耐久レースにふさわしいしゃく熱のコンディションで開催されました。

また、決勝前には鈴鹿サーキットに詰めかけた多くのレースファンが見守る中、2014年SUPER GTシリーズ参戦予定で16日(金)に初公開した「NSX CONCEPT-GT」のデモンストレーション走行を、小暮卓史選手のドライブで行いました。

レース前の最後の仕上げとなるフリー走行では、#17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)がトップタイムをマーク。そして#32 Epson HSV-010(道上龍/中嶋大祐組)は6番手、#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組)は7番手、#18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)は8番手、#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)は15番手のタイムを記録しました。

昨日の予選では#18 ウイダー モデューロ HSV-010がHonda勢でトップとなる2番グリッドを獲得。以下、#17 KEIHIN HSV-010は6番グリッド、#100 RAYBRIG HSV-010は8番グリッド、#32 Epson HSV-010は14番グリッド、#8 ARTA HSV-010は15番グリッドを手に入れました。スタートドライバーは、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は山本選手、#17 KEIHIN HSV-010は塚越選手、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手、#32 Epson HSV-010は道上選手、#8 ARTA HSV-010はファーマン選手が務めます。

12時30分、1周のフォーメーションラップに続いてローリングスタートが切られ、1000kmの決勝レースが幕を開けました。5台のHSV-010 GTはいずれも予選順位を守って1コーナーに進入していきましたが、#18 ウイダー モデューロ HSV-010はシケインの進入でライバルの1台にポジションを譲り、3番手となってオープニングラップを終えました。

1000kmレースは途中4回のピットストップを行う5スティントで走りきるのがもっとも効率的です。ただし、燃費やタイヤの寿命を考えると、5つのスティントを正確に均等割りにしない限り、4ストップでは走りきれません。そこで5台のHSV-010 GTを操るドライバーは、良好な燃費を保ちながら、できるだけ速いラップタイムで走行することを心がけて周回を重ねていきました。このため、レース序盤は大きな順位の変動こそありませんでしたが、各チームがライバルの動きを見ながら慎重に走行する、息の詰まるような戦いが繰り広げられました。

8周目を迎えて、GT500クラス車両がGT300クラス車両を周回遅れにするころになると、徐々に順位の変動が見られるようになりました。まず、9周目に#17 KEIHIN HSV-010がライバルを攻略して5番手に浮上。そして13周目には、#18 ウイダー モデューロ HSV-010がオープニングラップでオーバーテイクされたライバルを抜き、2番手に返り咲きます。#18 ウイダー モデューロ HSV-010のペースは速く、そのままトップを走るライバルにじわじわと迫っていきます。そして23周目にはついにこのライバルを攻略し、トップに浮上しました。

20周目、タイヤの摩耗が進行した#32 Epson HSV-010は13番手を走行していましたが、予定よりも早くピットインを行いました。24周目、9番手を走行していた#100 RAYBRIG HSV-010の右リアタイヤに異状が発生します。これはライバルの1台とポジション争いを行っている際に接触したのが原因で、25周目にはこのタイヤを交換するために想定より早くピットインを行いました。このため、#100 RAYBRIG HSV-010は14番手へと後退することになりました。

32周目になると、GT500クラス車両のピットストップが始まりました。Honda勢では10番手まで追い上げていた#8 ARTA HSV-010が33周目にピットインし、タイヤ4本の交換と給油を行い、ドライバーは松浦選手に交代しました。同様に、トップをリードする#18 ウイダー モデューロ HSV-010と、実質6番手前後を走行していた#17 KEIHIN HSV-010は35周目にピットインし、ドライバーはそれぞれマコヴィッキィ選手と金石選手に交代しました。

40周目の段階で、トップは引き続き#18 ウイダー モデューロ HSV-010で、#17 KEIHIN HSV-010は7番手、#100 RAYBRIG HSV-010は11番手、#32 Epson HSV-010は12番手、#8 ARTA HSV-010は14番手となり、順調に周回を重ねていました。マコヴィッキィ選手に代わってからの#18 ウイダー モデューロ HSV-010は次第にペースを上げ、ファステストラップを塗り替えながら2番手を10秒近く引き離していきます。

51周目、他車と接触した責任を問われた#100 RAYBRIG HSV-010にドライブスルーペナルティーの裁定が下ります。小暮選手は53周目にペナルティーを消化し、13番手へと後退しました。その後も大きな動きはないものの、まるで時計のように正確な走行が求められる緊張感あふれる戦いが続いていきました。

65周目、GT300クラス車両の1台にマシントラブルが発生し、バックストレートにはたくさんの部品が散乱しました。このためセーフティカーが導入され、67周目には全車がホームストレート上でいったん整列することとなります。その後、改めてセーフティカーに先導され、ゆっくりとしたペースで周回が再開されました。

GT500クラスの各車両はちょうどピットストップのタイミングとなっていたため、セーフティカーランが再開したところで続々とピットストップを行います。ここで#18 ウイダー モデューロ HSV-010のドライバーは山本選手に代わったほか、#17 KEIHIN HSV-010は塚越選手、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手、#32 Epson HSV-010は道上選手、#8 ARTA HSV-010はファーマン選手への交代を済ませました。

セーフティカーランからピットストップに至るまでの一連の作業が落ち着いた70周目、#18 ウイダー モデューロ HSV-010はひと足先にピットストップを行っていた2台のライバルに先行される形となり、3番手となります。しかも、運悪く周回遅れの車両に進路を阻まれた影響もあって、トップとの差は一時、30秒強まで広がりました。ところが、その後トップを走行していたライバルに対してピットストップ作業での違反によるペナルティーストップが科せられたため、81周目に#18 ウイダー モデューロ HSV-010は2番手へと浮上します。同じ周回、#17 KEIHIN HSV-010は5番手、#100 RAYBRIG HSV-010は11番手、#32 Epson HSV-010は12番手、#8 ARTA HSV-010は14番手となっていました。

#18 ウイダー モデューロ HSV-010はこの後、トップを走るライバルに徐々に迫り、84周目にはその差を12.7秒としました。ただし、レースはまだ折り返し地点にも達していないことから、チームはゆっくり状況を見極めてから勝負をしかける判断を下します。このため、山本選手はむやみにペースを上げて燃料を浪費させることなく、トップとの間合いを見ながら慎重に周回を重ねていきました。一方、#17 KEIHIN HSV-010は前を走るライバルを1秒ほどの差で追走し、攻略の機会をうかがっていましたが、オーバーテイクのチャンスはなかなか訪れませんでした。

89周目、#32 Epson HSV-010はピットストップを行ってタイヤ交換、給油、中嶋選手へのドライバー交代を行いました。続く90周目の段階で、Honda勢の順位は#18 ウイダー モデューロ HSV-010が引き続き2番手、#17 KEIHIN HSV-010は5番手、#100 RAYBRIG HSV-010は11番手、#8 ARTA HSV-010は13番手、#32 Epson HSV-010は14番手となっていました。

午後4時を過ぎた102周目、#100 RAYBRIG HSV-010がピットストップを行い、タイヤ交換と給油を行いました。ドライバーは小暮選手に代わります。同様に#18 ウイダー モデューロ HSV-010は104周目、#8 ARTA HSV-010は105周目、#17 KEIHIN HSV-010は106周目にピットストップを行いました。ドライバーはそれぞれマコヴィッキィ選手、松浦選手、金石選手へと交代しました。

レースが終盤に入ったところで、#18 ウイダー モデューロ HSV-010に対してピットからペースアップの指示が送られました。これを受け、マコヴィッキィ選手はトップとの差を次第に詰めていきます。110周目に6.4秒だった2台の差は、114周目に1.7秒まで縮まり、次の115周目には0.4秒となります。続く116周目、トップを走るライバルがスプーンコーナーでコースアウトした隙を見逃さず、マコヴィッキィ選手はトップに浮上します。そして120周目には2.2秒、126周目には7.0秒と2番手との差を広げ、マコヴィッキィ選手は首位の座を確実なものとしていきました。

139周目、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は2番手のライバルと同時にピットインを行います。そして、マコヴィッキィ選手からステアリングを譲り受けた山本選手は、ライバルに先んじてコースに復帰することに成功します。同じタイミングで#17 KEIHIN HSV-010、#100 RAYBRIG HSV-010、#8 ARTA HSV-010の3台もピットストップを実施。ドライバーはそれぞれ塚越選手、伊沢選手、ファーマン選手へと交代しました。

ピットストップがひととおり終わった145周目の段階で#18 ウイダー モデューロ HSV-010は引き続き首位。#17 KEIHIN HSV-010は7番手、#100 RAYBRIG HSV-010は10番手、#8 ARTA HSV-010は11番手、#32 Epson HSV-010は13番手となっていました。

残る周回を山本選手はミスなく走りきり、最終的には2番手のライバルを14.8秒引き離してトップでチェッカーフラッグを受けました。SUPER GTでの優勝は、山本選手にとってもマコヴィッキィ選手にとっても今回が初めてとなりました。

#17 KEIHIN HSV-010も最後まで安定したペースで走りきって7位入賞。#100 RAYBRIG HSV-010はフィニッシュ直前まで激しい9位争いを演じましたが、惜しくも届かず、10位入賞となりました。

#8 ARTA HSV-010は12位で完走、144周目にピットストップを行った#32 Epson HSV-010は13位となってチェッカーフラッグを受けました。

この結果、チャンピオン争いのドライバー部門では、今回25点を獲得した#18 ウイダー モデューロ HSV-010が計40点として3位に浮上。10位で2点を得た#100 RAYBRIG HSV-010は総合4位となり、#8 ARTA HSV-010は28点で総合8位、今回5点を上乗せした#17 KEIHIN HSV-010は26点で総合9位、#32 Epson HSV-010は3点で総合15位となりました。

一方、GT300クラスでは、14番グリッドからスタートした#16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)は着実に追い上げて5位入賞を果たしましたが、8番グリッドからスタートした#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志/野尻智紀組)は駆動系トラブルのためリタイアに終わりました。

次戦は9月7日(土)、8日(日)に富士スピードウェイで開催されます。

コメント

松本雅彦 | Honda GTプロジェクトリーダー「今日はマシンの調子がとてもよく、またタイヤとのマッチングが良好で、結果的に#18 ウイダー モデューロ HSV-010が優勝できました。ピット戦略を含め、すべて予定どおりのレースとなりました。1000kmの長丁場で1つのミスも犯さなかった山本選手、マコヴィッキィ選手の健闘には心から拍手を送りたいと思います。一方、#100 RAYBRIG HSV-010は10位に入って2点を獲得しましたが、残念ながらポイントリーダーの座を逃してしまいました。ただし、トップとはまだ僅差なので、残り3戦は気を引きしめて戦うことで逆転、タイトルを勝ち取りたいと考えています。引き続き5台のHSV-010 GTに熱いご声援をお送りくださいますよう、お願い申し上げます」

山本尚貴(優勝 #18 ウイダー モデューロ HSV-010)「参戦4年目にしてようやくGT500クラスで優勝できて、本当にうれしく思っています。今まで勝てそうなチャンスが何度かありながら、自分のミスや不運などが重なって、優勝の機会を逃していましたので、今日はそういうミスがないようにベストを尽くしました。最後の10周は、これまで経験した悪い流れのレースのことを何度も思い出しそうになりましたが、それらを打ち消し、2番手のライバルを引き離すだけに集中しながら走り続けました。それでも、最後の2周は、身体が思うように動かなくなるほど緊張しました。これまでサポートしてくださったみなさんには心からお礼を申し上げます」

フレデリック・マコヴィッキィ(優勝 #18 ウイダー モデューロ HSV-010)「Hondaのホームコースで優勝できて、本当に信じられないような気分です。今年はヨーロッパからやってきた初年度なので、苦戦するかもしれないと予想していましたから、喜びもひとしおです。マレーシアとSUGOでは不運に見舞われ、思うような成績を残せませんでしたが、今回はそれをはね返すような結果を出すことができました。山本選手とともに初優勝を飾れたことを、本当にうれしく思っています」

決勝

GT500

順位 No. マシン ドライバー 周回数 タイム/差
1 18 ウイダー モデューロ HSV-010 山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ 173 5:55:04.565
2 23 MOTUL AUTECH GT-R 柳田真孝/R.クインタレッリ 173 +14.801
3 36 PETRONAS TOM'S SC430 中嶋一貴/J.ロシター 173 +51.556
4 12 カルソニックIMPUL GT-R 松田次生/J.P.デ・オリベイラ 173 +55.064
5 37 KeePer TOM'S SC430 伊藤大輔/A.カルダレッリ 173 +59.906
6 19 WedsSport ADVAN SC430 荒聖治/A.クート 173 +1:21.913
 
7 17 KEIHIN HSV-010 塚越広大/金石年弘 173 +1:38.252
10 100 RAYBRIG HSV-010 伊沢拓也/小暮卓史 172 +1Lap
12 8 ARTA HSV-010 ラルフ・ファーマン/松浦孝亮 171 +2Laps
13 32 Epson HSV-010 道上龍/中嶋大祐 170 +3Laps

GT300

順位 No. マシン ドライバー 周回数 タイム/差
1 61 SUBARU BRZ R&D SPORT 山野哲也/佐々木孝太/井口卓人 161 5:56:53.547
2 52 OKINAWA-IMP SLS 竹内浩典/土屋武士/蒲生尚弥 160 +1Lap
3 62 LEON SLS 黒澤治樹/黒澤翼/中谷明彦 160 +1Lap
4 88 マネパ ランボルギーニ GT3 織戸学/青木孝行 160 +1Lap
5 11 MUGEN CR-Z GT 武藤英紀/中山友貴 160 +1Lap
6 88 GAINER DIXCEL SLS 平中克幸/B.ビルドハイム 159 +2Laps
 
RT 55 ARTA CR-Z GT 高木真一/小林崇志/野尻智紀 29 +132Laps

ポイントスタンディング

ドライバー

GT500

順位 No. ドライバー マシン 総合ポイント
1 23 柳田真孝/R.クインタレッリ MOTUL AUTECH GT-R 42
2 12 松田次生/J.P.デ・オリベイラ カルソニックIMPUL GT-R 41
3 18 山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ ウイダー モデューロ HSV-010 40
4 100 伊沢拓也/小暮卓史 RAYBRIG HSV-010 37
5 39 脇阪寿一/石浦宏明 DENSO KOBELCO SC430 37
6 36 中嶋一貴/J.ロシター PETRONAS TOM'S SC430 34
 
8 8 ラルフ・ファーマン/松浦孝亮 ARTA HSV-010 28
9 17 塚越広大/金石年弘 KEIHIN HSV-010 26
15 32 道上龍/中嶋大祐 Epson HSV-010 3

GT300

順位 No. ドライバー マシン 総合ポイント
1 16 武藤英紀/中山友貴 MUGEN CR-Z GT 57
2 61 山野哲也/佐々木孝太 SUBARU BRZ R&D SPORT 44
3 11 平中克幸/B.ビルドハイム GAINER DIXCEL SLS 42
4 52 竹内浩典/土屋武士 OKINAWA-IMP SLS 42
5 55 高木真一/小林崇志 ARTA CR-Z GT 40
6 62 黒澤治樹 LEON SLS 28

チーム

GT500

順位 チーム 総合ポイント
1 NISMO 54
2 TEAM IMPUL 53
3 ウイダー モデューロ 童夢レーシング 52
4 LEXUS TEAM SARD 50
5 チームクニミツ 49
6 LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S 46
 
8 オートバックス・レーシング・チーム・アグリ 41
10 ケーヒン リアル レーシング 35
15 エプソン・ナカジマ・レーシング 12

GT300

順位 チーム 総合ポイント
1 チーム 無限 72
2 OKINAWA-IMP RACING with SHIFT 57
3 R&D SPORT 56
4 GAINER 53
5 オートバックス・レーシング・チーム・アグリ 48
6 LEON RACING 43