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全日本選手権スーパーフォーミュラ

round 07

SCHEDULE

November 9 2014, RACE Japanese Championship SUPER FORMULA Series Round 7

日本鈴鹿サーキット

#1 山本尚貴選手(TEAM 無限)がレース1で7位、レース2で6位に入る
#10 塚越広大選手(HP REAL RACING)はレース1を8位で終え、入賞を果たす

2014年11月9日(日)・決勝  会場:鈴鹿サーキット(5.807km)  天候:雨
気温:レース1/17℃(10:10時点)、レース2/17℃(15:00時点)  路面温度:レース1/18℃(10:10時点)、レース2/19℃(15:00時点)
コースコンディション:レース1/ウエット、レース2/ウエット  決勝レース:レース1/19周、レース2/28周  観客:1万2000人(主催者発表)

11月9日(日)、三重県鈴鹿市稲生町の鈴鹿サーキットにおいて、2014年全日本選手権スーパーフォーミュラ シリーズ第7戦(最終戦)の決勝レースが開催されました。本大会では、昨年の最終戦に続いて20周のレース1と28周のレース2が別々に行われる2レース制が採られました。なお、レース1はピットストップが義務づけられていませんが、レース2ではタイヤ4本の交換が義務づけられたため、決勝レース中に少なくとも1回はピットインを行わなければなりません。ただし、レインタイヤが必要となるようなウエットコンディションとなった場合には、タイヤ交換の義務づけはなくなります。

  • 山本尚貴選手山本尚貴選手
  • 山本尚貴選手山本尚貴選手
  • 塚越広大選手(#10)塚越広大選手(#10)
  • 野尻智紀選手野尻智紀選手
  • 中嶋大祐選手中嶋大祐選手
  • ヴィタントニオ・リウッツィ選手ヴィタントニオ・リウッツィ選手
  • 武藤英紀選手(#41)武藤英紀選手(#41)

8日(土)の予選では、#1 山本尚貴選手(TEAM 無限)がレース1のスターティンググリッドを決めるQ1で6番手、レース2のスターティンググリッドを決めるQ1〜Q3の結果で11番手となりました。ただし、#1 山本選手はエンジン交換を行っていたため、レース1では10グリッドダウンのペナルティーが科せられることになっています。予選で#1 山本選手に続く活躍を見せたのは#10 塚越広大選手(HP REAL RACING)で、Q1、Q1〜Q3ともに9番手となりました。ただし、レース1では#1 山本選手が10グリッドダウンとなるため、#10 越選手は8番グリッドからスタートすることになります。そのほか、#2 中山友貴選手(TEAM 無限)は12番手/13番手、#40 野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は13番手/12番手、#41 武藤英紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は14番手/14番手、#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)は15番手/15番手、#34 伊沢拓也選手(DRAGO CORSE)は16番手/16番手、#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)は17番手/17番手、#11 ヴィタントニオ・リウッツィ選手(HP REAL RACING)は18番手/18番手となりました。なお、#32 小暮選手もエンジンの交換を行ったため、レース1では10グリッドダウンのペナルティーが科せられます。

決勝日の三重県地方は、朝から小雨が降るあいにくの空模様となりました。天気予報によれば、天候が大きく崩れることはないものの、雨は一日中降り続く見通しです。

チャンピオン争いのドライバー部門では、トップと21点差の12点で9位につけている#1 山本尚貴選手(TEAM 無限)がHonda勢のトップとなっていますが、最終戦で獲得できるポイントは最大18ポイントなので、Hondaドライバーが今シーズンのチャンピオンに輝く可能性は残念ながら残されていません。

レース1のフォーメーションラップは10時10分に始まりました。全車ウエットタイヤを装着してフォーメーションラップを行った後、スターティンググリッドに整列しましたが、ここで#34 伊沢選手がエンジンをストールさせたため、スタート進行は中断となります。これに伴い#34 伊沢選手は最後尾からのスタートとされました。また、レース周回数は1周減算されて19周になりました。

再度フォーメーションラップを行ったあと、改めて全車がスターティンググリッドに整列しました。グリッドポジションは、#10 塚越選手が8番グリッド、#2 中山選手が11番グリッド、#40 野尻選手が12番グリッド、#41 武藤選手が13番グリッド、#1 山本選手が15番グリッド、#31 中嶋選手が16番グリッド、#11 リウッツィ選手が17番グリッド、#32 小暮選手が20番グリッドで、#34 伊沢選手は21番グリッドにつきました。

スタートでは大きな混乱がなかったものの、#10 越選手が抜群のダッシュをみせて6番手にジャンプアップします。そして#2 中山選手は10番手、好スタートを決めた#31 中嶋選手は11番手、#40 野尻選手は12番手、#1 山本選手もタイミングよく飛び出して13番手、#11 リウッツィ選手は3つポジションを上げて14番手、#41 武藤選手は15番手、懸命な追い上げを見せた#32 小暮選手は17番手となってオープニングラップを終えました。

#1 山本選手のペースは序盤から好調で、2周目には12番手、4周目には10番手、6周目には9番手と着実にポジションを上げていきます。一方、ブレーキのウォームアップが不十分だった#10 越選手は、4周目のシケインでオーバーランを喫し、8番手に後退しました。これと前後して4番手を走行していたライバルは反則スタートを犯したとしてドライブスルーペナルティーが科せられたため、#10 越選手、#1 山本選手、#11 リウッツィ選手、#31 中嶋選手、#2 中山選手、#40 野尻選手、#41 武藤選手、#32 小暮選手の8選手はいずれも1つずつポジションを上げることとなりました。

8周目、#1 山本選手が1コーナーで#10 越選手をオーバーテイク、7番手に浮上します。また、このころから雨脚がいくぶん強まり、コース上はさらに滑りやすい状態になっていきました。

10周目、#32 小暮選手のマシンは130Rの出口でコースアウトを喫し、タイヤバリアに接触して停止しました。この衝撃でマシンは横転しましたが、幸いにも#32 小暮選手は無事、自力でコックピットから脱出しました。なお、コースサイドに停止したマシンを安全に排除するためにセーフティカーが導入され、実質的な競技は一時的に中断されることとなりました。

13周目が終了したところでセーフティカーは退去し、競技が再開されました。この後、ドライブスルーペナルティーで順位を落としていたライバルに#41 武藤選手、#2 中山選手、#40 野尻選手の3選手は攻略され、それぞれ1つずつポジションを落とすことになります。

15周目、#2 中山選手はダンロップコーナーの出口付近でコースアウトし、リタイアに追い込まれました。幸い#2 中山選手は無事でした。この直後、#11 リウッツィ選手はシケインでスピン。11番手から15番手へと後退しました。

レース終盤になると路面コンディションはさらに悪化し、各マシンは激しく水煙を上げながら周回を重ねていきましたが、その後は大きな波乱もなく、#1 山本選手は7位でフィニッシュ。#10 越選手はこれに続く8位で、2人そろって入賞を果たしました。さらに#31 中嶋選手は9位、#40 野尻選手は12位、#41 武藤選手は13位、#34 伊沢選手は14位、#11 リウッツィ選手は15位で完走しました。

レース2のフォーメーションラップは午後3時に始まりました。午前中に比べると雨脚は弱まり、コースコンディションはいくぶん改善されていましたが、レース2にも全車がウエットタイヤを装着して挑みました。このため、レース中のタイヤ交換は行わなくてもいいことになりました。また、レース1でマシンにダメージを負った#32 小暮選手と#2 中山選手もフォーメーションラップまでには修復を終え、スターティンググリッドに並びました。

5つのレッドシグナルが消灯してスタートが切られると、#1 山本選手はまたも好ダッシュを決め、9番手となってオープニングラップを走り終えました。一方、#10 越選手は3つポジションを落として12番手に後退。そして#40 野尻選手は13番手、#41 武藤選手は14番手、#11 リウッツィ選手は15番手、#31 中嶋選手は16番手、#32 小暮選手は17番手、#2 中山選手は19番手で1周目を走りきりました。

路面が滑りやすく、また各マシンが水煙を上げていることもあり、レースは序盤にして、こう着状態に陥ります。そうしたなか、#34 伊沢選手を先頭にして#10 越選手、#40 野尻選手、#41 武藤選手、#11 リウッツィ選手らが接近戦を繰り広げるようになります。ここで、6周目にまず#11 リウッツィ選手が#41 武藤選手を攻略して14番手に浮上。一方、#10 越選手は8周目に前を行く#34 伊沢選手に襲いかかり、2台はS字コーナーでサイド・バイ・サイドのバトルを繰り広げましたが、この最中に2台はやや失速。#40 野尻選手は2人をオーバーテイクし、11番手に浮上します。これに続いたのは#11 リウッツィ選手で、#34 伊沢選手は13番手、#41 武藤選手は14番手、#10 越選手は15番手となりました。

一方、9番手につけていた#1 山本選手は、7周目までに前を走るライバルとのギャップを1秒以下へと縮め、激しく追走していました。そして12周目のシケインでライバルにさらに詰め寄ると、続く1コーナーでアウト側から鮮やかにオーバーテイクを決め、8番手に浮上します。#1 山本選手は14周目にもライバルの1台を攻略。さらに5番手のライバルが1コーナーでスピンした結果、6番手に駒を進めることになりました。

15周目の段階で、Honda勢のトップは引き続き6番手の#1 山本選手で、#40 野尻選手は9番手、#11 リウッツィ選手は11番手、#41 武藤選手は12番手、#34 伊沢選手は13番手、#31 中嶋選手は14番手、#10 越選手は15番手、#32 小暮選手は16番手、#2 中山選手は17番手となってレース終盤の追い上げを期していました。

この後も雨は小康状態を保って降り続けましたが、各ドライバーの間隔は次第に開くいっぽうとなり、大きな順位の変動がないままレースは終盤に突入します。ところが、このころ#31 中嶋選手のギアボックスが軽い変調をきたすようになり、19周目には#10 越選手の先行を許して15番手となりました。

その後も7名のドライバーは懸命の追い上げを図りましたが、結果的に順位が変わらないまま28周のレースを走りきり、6位の#1 山本選手を筆頭にして#40 野尻選手は9位、#11 リウッツィ選手は11位、#41 武藤選手は12位、#10 越選手は13位、#34 伊沢選手は14位、#31 中嶋選手は15位、#32 小暮選手は16位、#2 中山選手は17位でフィニッシュしました。優勝は#37 中嶋一貴選手(トヨタ)でした。

この結果、ドライバーのシリーズポイント争いでは、通算14.5点を獲得して9位となった#1 山本選手がHonda勢の最上位で、以下、#40 野尻選手は10位(10点)、#10 越選手は11位(8.5点)、#41 武藤選手は14位(4点)、#31 中嶋選手は15位(4点)、#11 リウッツィ選手は16位(1.5点)となりました(カッコ内は通算獲得ポイント)。

これで2014年 全日本選手権スーパーフォーミュラの全日程が終了しました。タイトル奪還を目指すHondaは2015年シーズンに向けた開発に全力を投じることとなります。

コメント

佐伯昌浩(Masahiro Saiki) | 「HR-414E」 開発責任者
「レース1、レース2ともに山本選手ががんばってくれて、レース中に何台もオーバーテイクしました。山本選手からは、乗りやすいマシンに仕上がっていた、とのコメントをもらいました。ところで、SF14はオーバーテイクがしやすいように工夫されているとは思いますが、それでもシーズンが進んで各チームのセッティングが煮詰まってくると、レース中の追い越しは次第に難しくなってきます。そこで来年に向けては、予選一発の速さにも重きを置いたエンジン開発を行うつもりです。いずれにしても、今シーズンは序盤戦で厳しい戦いを強いられました。ただし、技術者の立場でいえば、苦しい経験をしたからこそたくさんのことを学べたともいえます。この経験を生かし、来年は安心してレースを見ていられるエンジンを開発し、タイトル奪還を実現するつもりです。引き続きスーパーフォーミュラに挑むHondaに熱いご声援をいただきますよう、お願い申し上げます」

山本尚貴選手(レース1/7位、レース2/6位 #1 TEAM 無限)
「ウォームアップの段階からマシンの仕上がりは順調で、レース中にも追い上げられると期待していましたが、レース1ではスタートがあまりよくなかったほか、水煙のせいで視界が遮られたので、簡単には追い上げられませんでした。それでも何台かをオーバーテイクして順位を上げられたことはよかったと思っています。レース1、レース2ともにHondaの最上位でゴールできたことはうれしいのですが、ライバル陣営と比較すると、ドライバー、チーム、エンジンともにまだまだ進化していかなければいけません。その意味では、今日の結果は全く満足できるものではありませんでした。結果としてタイトルも奪われてしまったので、来年は開幕戦からスタートダッシュを決められるよう、Hondaやチームと一緒にがんばりたいと思います」

塚越広大選手(レース1/8位、レース2/13位 #10 HP REAL RACING)
「レース1は、スタートで順位を上げられましたが、前半戦はブレーキを温めるのにてこずりました。このためタイヤをロックさせてしまい、順位を落としてしまったのは残念でした。最終的に8位に入ってポイントを取れたのはよかったと思いますが、あのままポジションをキープできれば5位か6位に入る可能性もあったので、そういう意味では残念でした」

野尻智紀選手(レース1/12位、レース2/9位 #40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「今日みたいなコンディションで走ったことはこれまでなかったため、レース1ではなかなか恐怖心を克服できませんでした。ただし、レース2は今年最後の戦いなので、このままではいけないと考えて勇気を振り絞り、全力で走り続けました。結果として順位を上げられたので、自分としては手応えをつかめたレースでした。今年はHondaとチームにいいマシンを用意していただいたので、ルーキーシーズンながら優勝することができました。来年に関してはまだ決まっていませんが、もし、チャンスをいただけるようであれば、自分自身がもう一歩も二歩も成長して、しっかりチャンピオンシップを争えるようになりたいと考えています」

中嶋大祐選手(レース1/9位、レース2/15位 #31 NAKAJIMA RACING)
「今週末はマシンの仕上がりがあまりよくないなか、レース1ではスタートが決まったほか、雨の中でミスをするドライバーが少なくなかったこともあり、最終的に9位でフィニッシュできました。16番グリッドからのスタートだったことを考えると、いい結果だったと思います。今年は開幕戦からいろいろな面で苦労し続けるシーズンとなってしまいました。その中で、自分たちとしては一生懸命がんばって、できることはやり尽くしましたが、にもかかわらずこのような結果に終わったことは残念でなりません。今は、反省すべきことは反省したうえで、シーズンオフの間に来年につながるような準備を進めていきたいと考えています」

決勝リザルト

レース1

順位 No. ドライバー マシン 周回数 タイム/差
119J.P.デ・オリベイラトヨタ19 39'41.541
237中嶋一貴トヨタ19 +3.846
336A.ロッテラートヨタ19 +5.577
439国本雄資トヨタ19 +14.111
538石浦宏明トヨタ19 +17.401
63J.ロシタートヨタ19 +20.698
 
71山本尚貴Honda19 +21.811
810塚越広大Honda19 +22.960
931中嶋大祐Honda19 +24.023
1240野尻智紀Honda19 +26.440
1341武藤英紀Honda19 +27.797
1434伊沢拓也Honda19 +37.491
1511ヴィタントニオ・リウッツィHonda19 +39.095
RT2中山友貴Honda14 +5Laps
RT32小暮卓史Honda9 +10Laps

レース2

順位 No. ドライバー マシン 周回数 タイム/差
137中嶋一貴トヨタ28 54'37.300
236A.ロッテラートヨタ28 +8.831
38L.デュバルトヨタ28 +9.409
419J.P.デ・オリベイラトヨタ28 +10.819
57平川亮トヨタ28 +22.056
61山本尚貴Honda28 +34.204
 
940野尻智紀Honda28 +39.656
1111ヴィタントニオ・リウッツィHonda28 +43.461
1241武藤英紀Honda28 +51.577
1310塚越広大Honda28 +1'04.849
1434伊沢拓也Honda28 +1'06.679
1531中嶋大祐Honda28 +1'07.310
1632小暮卓史Honda28 +1'08.646
172中山友貴Honda28 +1'09.775

ポイントスタンディング

順位 No. ドライバー マシン 総合ポイント
137中嶋一貴トヨタ46
219J.P.デ・オリベイラトヨタ39.5
336A.ロッテラートヨタ34.5
48L.デュバルトヨタ29.5
538石浦宏明トヨタ26
63J.ロシタートヨタ22
 
91山本尚貴Honda14.5
1040野尻智紀Honda10
1110塚越広大Honda8.5
1441武藤英紀Honda4
1531中嶋大祐Honda4
1611ヴィタントニオ・リウッツィHonda1.5
- 34 伊沢拓也Honda 0
-32小暮卓史Honda 0
-2中山友貴Honda 0