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全日本選手権スーパーフォーミュラ

round 06

SCHEDULE

September 28 2014, RACE Japanese Championship SUPER FORMULA Series Round 6

日本スポーツランドSUGO

ルーキーの#40 野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がスーパーフォーミュラ初優勝を達成
#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)は5位入賞を果たす

2014年9月28日(日)・決勝  会場:スポーツランドSUGO (3.704km)  天候:晴れ  気温:23℃(15:00時点)
路面温度:37℃(15:00時点)  コースコンディション:ドライ  決勝レース:68周  観客:1万1000人(主催者発表)

9月28日(日)、宮城県柴田郡村田町のスポーツランドSUGOにおいて、2014年全日本選手権スーパーフォーミュラ シリーズ第6戦の決勝レースが開催されました。

  • 野尻智紀選手(中央右)野尻智紀選手(中央右)
  • 野尻智紀選手野尻智紀選手
  • 中嶋大祐選手中嶋大祐選手
  • 山本尚貴選手山本尚貴選手
  • 小暮卓史選手小暮卓史選手
  • 武藤英紀選手(先頭)武藤英紀選手(先頭)
  • 中山友貴選手(先頭)中山友貴選手(先頭)

前日の予選では、#1 山本尚貴選手(TEAM 無限)が第5戦オートポリス大会に続いて2戦連続でポールポジション(PP)を獲得。さらに、#40 野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番グリッドを手に入れ、Hondaはフロントローの独占に成功しました。そして#10 塚越広大選手(HP REAL RACING)は8番手、#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)は10番手、#11 ヴィタントニオ・リウッツィ選手(HP REAL RACING)は12番手、#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)は14番手、#2 中山友貴選手(TEAM 無限)は15番手、#34 伊沢拓也選手(DRAGO CORSE)は18番手、#41 武藤英紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)は19番手という位置を得ました。

決勝日の会場周辺は、さわやかな一日となりました。ただし、前日よりも雲は少なく、日差しはより暖かく感じられます。また、天気予報は降雨確率が終日0%であると伝えていました。

この日のスケジュールは、午前9時15分から30分間にわたって行われるフリー走行で幕を開けました。途中、ライバル陣営のドライバーがクラッシュしたため9分間の赤旗中断となったこのセッションでは、#10 塚越選手が1分7秒543で2番手につけたのを筆頭に、#40 野尻選手が7番手、#11 リウッツィ選手が8番手、#1 山本選手が9番手、#34 伊沢選手が12番手、#32 小暮選手が13番手、#41 武藤選手が16番手、#31 中嶋選手が17番手、#2 中山選手が18番手のタイムをそれぞれマークしました。

このフリー走行後に決勝レースのスターティンググリッドが発表されました。本来であればスターティンググリッドは予選結果の順に並ぶことになりますが、#34 伊沢選手と#32 小暮選手がエンジン交換を行ったため、そのペナルティーとして10グリッドダウンが科せられました。この影響で、#2 中山選手は1つ繰り上がって14番グリッドから、#41 武藤選手は2つ繰り上がって17番グリッドから決勝レースに挑みます。一方、#34 伊沢選手は19番グリッドから、#32 小暮選手は20番グリッドからスタートします。

午後3時、1周のフォーメーションラップに続いて決勝レースの幕が切って落とされました。ここでPPの#1 山本選手は一瞬、出足が鈍って3番手に後退し、この間に#40 野尻選手が首位に浮上します。一方、集団の後方では3台が関連するアクシデントが発生。#34 伊沢選手はこれに巻き込まれてリタイアに追い込まれました。そしてコースサイドに停止した3台のマシンを排除するために、セーフティカーが出動しました。

この段階でのオーダーは、#40 野尻選手がトップ、#1 山本選手は3番手で、#10 塚越選手は7番手、#11 リウッツィ選手は9番手、#31 中嶋選手は10番手、#2 中山選手は13番手、#41 武藤選手は16番手、#32 小暮選手は17番手です。

4周目が終了したところでセーフティカーは退き、競技が再開されました。ここで2番手を走るライバルは#40 野尻選手を攻略しようと襲いかかりましたが、#40 野尻選手は巧妙なライン取りでこれをブロックし、トップを守ります。

9周目、#32 小暮選手は前を走る#41 武藤選手をパスして16番手になりましたが、その直後にピットストップを行います。ところが、作業を終えて再発進しようとしたときにエンジンがストールしたため、ほとんど周回遅れになるほどの後れを取ってしまいました。

14周目、前を走るライバルとバトルを演じていた#10 塚越選手は、レインボーコーナーで姿勢を乱してコースアウト。すぐに復帰するとピットに戻り、タイヤ交換と給油を行いました。ところが、ピットアウト直後の最終コーナーで再び姿勢を乱してコースアウト。今度はタイヤバリアと接触して走行不能になったため、リタイアに追い込まれました。

ここで停止した#10 塚越選手のマシンを回収するため、この日2度目のセーフティカーが導入されました。これを見て、#40 野尻選手、#1 山本選手、#11 リウッツィ選手、#31 中嶋選手はすかさずピットイン。一方の#2 中山選手と#41 武藤選手はピットストップを見送る判断を下します。ただし、#41 武藤選手は17周目が終了した段階でピットストップを行いました。

セーフティカーは21周目が終了した段階でコースから退去しました。この段階でHonda勢のトップは#2 中山選手の3番手で、これに#40 野尻選手が4番手で続き、ピット作業でやや遅れた#1 山本選手は8番手、#31 中嶋選手は10番手、#11 リウッツィ選手は11番手、#41 武藤選手は13番手、#32 小暮選手は16番手となりました。

続く22周目に#2 中山選手は7番手に後退。#11 リウッツィ選手もレインボーコーナーでスピンを喫してリタイアに追い込まれました。この次周、#2 中山選手は#1 山本選手らとバトルを繰り広げた結果、さらに10番手へと後退することとなります。

これで#40 野尻選手は3番手に浮上しましたが、前を走る2人のドライバーはまだピットストップを行っていません。250kmのレースを無給油で走りきるには相当の省燃費運転が必要になりますが、ペースによっては不可能とも言いきれません。したがって、ここから#40 野尻選手は前を走る2人のドライバーと微妙な心理的駆け引きを行いながら周回を重ねていくこととなりました。

31周目、セーフティカーラン中に追い越しを行ったとして、#41 武藤選手にドライブスルーペナルティーを科す決定が下されます。#41 武藤選手は33周目にこれを消化し、14番手へと後退しました。

ここからレースはこう着状態に陥りますが、#40 野尻選手にとっては前の2人の動向を意識しながら走行を続けていくこととなります。35周目の段階での順位は、#40 野尻選手が3番手、#31 中嶋選手が7番手、#1 山本選手は9番手、#2 中山選手は10番手、#32 小暮選手は12番手、#41 武藤選手は14番手です。

60周目、トップを走っていたライバルがピットイン。これで#40 野尻選手は2番手に浮上します。しかし、トップに繰り上がったもう1台のライバルはそのまま走行を続け、ピットストップする素振りを見せません。そこで#40 野尻選手はそれまでよりもコンマ5秒ほどペースを上げ、ライバルに揺さぶりをかけます。するとトップのドライバーもいったんはペースアップしたものの、その直後の65周目にペースダウン。そのままピットに駆け込みました。これで#40 野尻選手は首位に浮上。そして68周目まで走りきるとトップでチェッカーフラッグを受け、デビュー6戦目にしてスーパーフォーミュラ初優勝を遂げました。これに続いたのは5位の#31 中嶋選手、7位の#1 山本選手で、Honda陣営からは3人のドライバーが入賞する結果となりました。さらに#32 小暮選手は10位、#41 武藤選手は12位、#2 中山選手は14位で完走を果たしました。

この結果、ドライバーのシリーズポイント争いでは、今回3点を加算して計12点とした#16 山本選手が9位となったほか、10点を獲得した#40 野尻選手は10位に急浮上。これに11位の#10 塚越選手(8ポイント)、14位の#31 中嶋選手(4ポイント)、15位の#41 武藤選手(4ポイント)、16位の#11 リウッツィ選手(1.5ポイント)と続いています。

最終戦の鈴鹿ラウンドは11月8日(土)、9日(日)に開催されます。

コメント

佐伯昌浩(Masahiro Saiki)|「HR-414E」 開発責任者
「今週末は山本選手か野尻選手のどちらかが優勝してくれるのではないかと期待していましたが、その通りの結果になってホッとしています。ようやく今季1勝目を挙げることができたことはうれしいのですが、その一方でこの週末はエンジンに関連するトラブルがいくつか発生したので、その意味では喜びも半分といったところでしょうか。いずれにせよ、シーズン後半戦に投入したエンジンが優勝できるレベルにあることがこれで確認できたと思います。山本選手は残念ながらスタートで失敗してしまいましたが、本人も半クラッチの調整を含め、いろいろと努力を続けているようなので、今後状況が改善されることを期待しています。また、今回のレースではTEAM 無限やDOCOMO TEAM DANDELION RACINGだけでなく、NAKAJIMA RACINGの#31 中嶋選手が5位入賞を果たしてくれたほか、HP REAL RACINGの2人も速さを見せてくれるなどの収穫がありました。いずれにしても、現在のスーパーフォーミュラは1秒以内に10台以上がひしめく接戦で、ほんのわずかなことが順位を大きく変える状況となっています。最終戦でも優勝できるよう全力を尽くしますので、引き続き応援のほど、よろしくお願い申し上げます」

野尻智紀選手(優勝 #40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「すごくうれしいという気持ちなのですが、まだ実感がわいておらず、よく分かっていないという状況です。決勝ではスタートが決まってトップに出たあと、タイヤをセーブしつつ走っていましたが、意外にも差を保ったまま周回でき、マシンの状態もよかったので、よいレースができると思っていました。セーフティカーのときもチームのピットワークが完ぺきで、作戦面としてもベストでした。ライバルが最後まで前を走っていて、“もしかしたらこのままゴールしてしまうのかも”とも思いましたが、プッシュして差を詰めたら前に出ることができ、その後はミスしないように差をキープしつつ、飛び出さないように気を付けました。これまで支えていただいたHonda、チーム、スポンサーの皆さまには本当に感謝したいと思います。参戦1シーズン目で優勝できたのは、自分にとっても、苦戦が続いたHondaにとってもよかったので、ようやく自分の仕事ができたかな、という思いでいっぱいです」

中嶋大祐選手(5位 #31 NAKAJIMA RACING)
「今シーズンが始まるときに高い目標を掲げたので、この結果で喜んではいけませんが、自分たちのスタート地点になったかと思います。今週は金曜日の走り出しから調子が上がらず、試行錯誤を繰り返したものの、なかなか思うようにいかず、不安の中での決勝でした。ただ、レースが始まったらペースは悪くなかったですし、後ろに強いライバルもいたので決して楽ではありませんでしたが、自分の中でコントロールしたレースができました。実はスタート直後のアクシデント時に、左リアタイヤに当たってしまい、パンクしたかなと思いましたが、当たりながらも運よくうまくすり抜けることができました。その後のセーフティカーもいいタイミングで入り、メカニックもすばらしい作業をしてくれるなど、レースの流れもよかったです。ただ、それを実現できるマシンのパフォーマンスもありました。昨シーズン同様にSUGOで弾みをつけられたので、チームのメカニックやエンジニアと協力し、最終戦の鈴鹿でもいい状態で臨みたいと思います」

山本尚貴選手(7位 #1 TEAM 無限)
「スタートですが、クラッチが切れている状態となっていてうまく転がりませんでした。練習通りやったのですが、本番で決めなければ意味がないですし、正確性を高めないといけません。マシンはとてもよい状態でしたが、ペースがいくらよくてもなかなか抜けないサーキットなので、ちょっとじれったいレースになりました。やるだけのことはやった上での結果ですが、反省すべきところは反省し、切り替えたいと思います。野尻選手に先を越されたのは悔しいですが、優勝をたたえたいです。今度は自分が優勝できるようにがんばりたいと思います。最終戦は2レースともにきっちり決めて、来シーズンにつなげたいです」

決勝

順位 No. ドライバー マシン 周回数 タイム/差
140野尻智紀Honda681:25'21.590
237中嶋一貴トヨタ68 +1.870
38L.デュバルトヨタ68 +5.506
43J.ロシタートヨタ68 +16.075
531中嶋大祐Honda68 +16.784
638石浦宏明トヨタ68 +17.513
 
71山本尚貴Honda68 +17.658
1032小暮卓史Honda68 +25.097
1241武藤英紀Honda68 +36.932
142中山友貴Honda68 +55.378
RT11ヴィタントニオ・リウッツィHonda22 +46Laps
RT10塚越広大Honda14 +54Laps
RT 34 伊沢拓也 Honda 0 +68Laps

ポイントスタンディング

順位 No. ドライバー マシン 総合ポイント
137中嶋一貴トヨタ33
219J.P.デ・オリベイラトヨタ29
336A.ロッテラートヨタ26.5
48L.デュバルトヨタ26.5
538石浦宏明トヨタ23
63J.ロシタートヨタ20.5
 
91山本尚貴Honda12
1040野尻智紀Honda10
1110塚越広大Honda8
1431中嶋大祐Honda4
1541武藤英紀Honda4
1611ヴィタントニオ・リウッツィHonda1.5
-32小暮卓史Honda 0
-2中山友貴Honda 0
-34伊沢拓也Honda 0