モータースポーツ > 全日本選手権スーパーフォーミュラ > 第7戦 鈴鹿サーキット > 予選
2013年11月9日(土)・予選 会場:鈴鹿サーキット(5.807km) 天候:晴れ 気温:16.9℃(14:00時点)
路面温度:26℃(14:00時点) コースコンディション:ドライ
11月9日(土)、三重県鈴鹿市稲生町にある鈴鹿サーキットにおいて、2013年全日本選手権スーパーフォーミュラ シリーズ第7戦(最終戦)の公式予選が開催されました。
2009年度から5シーズンにわたって国内トップフォーミュラで使われてきた車両、SF13(昨年までの名称はFN09)による公式戦は今回が最後。フォーミュラカーの聖地である鈴鹿サーキットで、一つの歴史が締めくくられようとしています。このレースのHonda勢には、開幕戦鈴鹿、第6戦スポーツランドSUGOに続いて#15 佐藤琢磨選手(TEAM 無限)が加わり、多くのファンの注目を集めていました。
今シーズンのスーパーフォーミュラ シリーズもこれで最終戦。シリーズチャンピオンが決まる天王山です。現在、年間シリーズポイント争いではランキング3位につけている#16 山本尚貴選手(TEAM 無限)が、シリーズチャンピオンを獲得するチャンスを持って、このレースに臨みます。現在、トップの選手とは13点差と厳しい状況ですが、最終戦は変則的な決勝2レース制となっており、特別ポイント制度が採用されます。レース1、レース2それぞれのレースで通常レースにおける半分のポイントが与えられるほか、各レースの優勝者にはさらに3点ずつが与えられます。また、それぞれのレースのポールポジション(PP)獲得者には1点が与えられるため、両レースで優勝すれば合計16点、どちらもポール・トゥ・ウインなら合計18点を獲得することができます。ランキングトップの選手は今大会を欠場しているので、#16 山本選手は逆転王座奪取に望みをつないでいる状況です。
この日は、午前9時25分から1時間にわたってフリー走行を行ったあと、午後2時からノックダウン方式となる公式予選が行われるというスケジュールでした。ノックダウン方式は、まず、全車が出走する20分間の第1セッション(Q1)の結果から、上位14台が第2セッション(Q2)に進出し、続く7分間のQ2で上位8台が最終セッション(Q3)に進出。その上位8台で7分間のQ3が行われます。
ただし、今回の決勝は変則的な2レース制が採用されており、Q1での順位がそのままレース1のスターティンググリッド順となります。その後、Q3まで行われてレース2のスターティングポジションが決定します。Q1でレース1のスターティンググリッドが決まるとあって、午前中に行われたフリー走行はいつもと違った意味を持ってきます。まずQ1でタイムを出さなければ、レース1、それも20周というスプリントレースのスタートで有利なポジションを確保できないからです。
午前中に行われたフリー走行は、気温18.5℃、路面温度29℃のコンディションで開始されました。その中で、タイトル奪取にかける#16 山本選手が快調で、セッション半ばには1分39秒418を記録してトップに立ちました。このタイムはセッション残り17分を切ったところで#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING)に更新されますが、セッション残り6分30秒となったところで再び#16 山本選手が1分38秒581という好タイムを記録、トップを奪い返しました。また、セッション終了直前に#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING)が1分38秒760へタイムを縮め、2番手につけました。
最終的に#16 山本選手がトップ、#32 小暮卓史選手が2番手となり、続いて7番手に#31 中嶋選手、11番手に#10 塚越広大選手(HP REAL RACING)、12番手に#40 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)となりました。一方、#11 中山友貴選手(HP REAL RACING)はセッションなかばでコースオフ。また、残り5分になったところで#41 武藤英紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)もS字コーナーでコースオフし、#41 武藤選手は16番手、#11 中山選手は17番手でフリー走行を終えました。
そして、午後2時より20分間の公式予選が行われました。やや薄曇りとなったものの、午前中と変わらず秋らしい陽気の中で行われたQ1では、まず#16 山本選手がトップに立ち、#32 小暮選手、#40 伊沢選手が続きました。セッション残り10分となって全車がいったんピットへ戻り、タイムアタックのためにタイヤを交換、残り7分となったところで次々とコースへ戻ってタイムアタックに入りました。注目の#16 山本選手は、#15 佐藤選手とともに後方からコースへ入りました。
残り1分となったところで#16 山本選手のタイムを上回るライバルが現れましたが、すぐに#32 小暮選手がトップタイムをマーク、さらに#31 中嶋選手がそのタイムを上回りました。そして、セッション終了を告げるチェッカーフラッグが振られる中、#16 山本選手が現行マシンによる鈴鹿サーキットのコースレコードとなる1分38秒055を記録し、首位に立ちました。この結果、#16 山本選手がPPを獲得。2番手に#31 中嶋選手、3番手に#32 小暮選手が続き、Hondaドライバーがトップから3番手まで独占しました。さらに、8番手に#10 塚越選手、10番手に#15 佐藤選手、12番手に#40 伊沢選手でQ2進出を果たしました。なお、#11 中山選手は17番手、#41 武藤選手は18番手となり、この時点で明日のレース1、レース2のグリッドが確定しました。
続いて午後2時30分から7分間で行われたQ2では、序盤に#31 中嶋選手がトップタイムを記録すると、それを#32 小暮選手が更新してトップに立ちます。#16 山本選手も好調をキープしており、上位争いを繰り広げましたが、#32 小暮選手が順位を守りきり、#16 山本選手は0.028秒差の2番手でQ2を突破。さらに、#31 中嶋選手は4番手、#40 伊沢選手は7番手でQ3進出を決めました。しかし#15 佐藤選手はわずか1000分の5秒差で9番手に終わり、14番手の#10 塚越選手と共にQ3進出はなりませんでした。
午後2時47分となり、レース2のスターティンググリッドを決めるQ3がスタートしました。逆転タイトルに望みをつなぐために、連続PPでポイントを重ねたい#16 山本選手は最後にコースインしました。しかし、セッション終盤の残り1分となったところで、コース上に停止車両が発生したため、セッションが途中で赤旗中断となるアクシデントが起こりました。#31 中嶋選手、#40 伊沢選手、#32 小暮選手はタイムアタックを終えたところでしたが、最後にコースインした#16 山本選手は、タイムアタックに入った途中で赤旗中断となってしまいます。#16 山本選手のタイムはこの時点で6番手。セッションは残り3分で再開されることになりましたが、コースイン後1周でタイヤをウォームアップし直し、いったんタイムアタックをしかけたタイヤでタイムアタックをしなければならないという厳しい状況に立たされました。しかしタイムアタックに入った#16 山本選手は全セクターでベストタイムを記録し、最終的に1分37秒774を叩き出してPPを獲得しました。このタイムはQ1で自ら記録したばかりのコースレコードをさらに更新するものでした。
この結果、レース2でも#16 山本選手がPPを獲得、3番手に#32 小暮選手、4番手に#40 伊沢選手、6番手に#31 中嶋選手、9番手に#15 佐藤選手、14番手に#10 塚越選手、17番手に#11 中山選手、18番手に#41 武藤選手という順でスターティンググリッドが決まりました。
決勝は10日(日)、午前9時20分より20周で争うレース1、午後2時30分より28周で争うレース2のスタートが切られます。
坂井典次(Tenji Sakai) | 「HR12E」開発責任者 「スーパーフォーミュラのドライバーはすごいです。今日は、その一言につきます。今大会に向けて、マシンの各部に許される範囲内で少しずつ改良を加えたほか、スプリント戦となる今大会を考慮し、燃費は気にしないでトップパワーを引き出す改良を加えました。それぞれ少しずつの改良ですけれど、それらがうまくかみ合ったのだと思いますが、まさかこんなにすばらしいタイムが出るとは思っていませんでした。山本選手は赤旗で中断になってから再開するまでの3分間で、よくここまで集中できたなと思います。いろいろなアクシデントのなか、それをはねのける精神力や、マシンに対する信頼という点で、ドライバーとエンジニアが一体になって仕事ができており、最大の性能を引き出してくれました。ドライバーとエンジニアがここまで積み上げてきたことがすべて出ました」
山本尚貴選手(レース1/ポールポジション、レース2/ポールポジション #16 TEAM 無限) 「レース1とレース2のポールがとれて非常にうれしく思っています。朝からマシンの調子はよかったので、落ち着いていけばポールが取れるだろうと思いきって、アタックしました。Q1は順調にいきましたが、Q2はQ3に進めればいいということで、セットやドライビングをいろいろ試していたので、トップの座を譲ってしまいました。その総まとめとしてQ3に臨んだら、赤旗が出てしまいました。アタック中にまさか赤旗が出るとは思いませんでした。予選前のブリーフィングで、こういう場合は3分の延長をするということだったので、タイムアタックがやり直せるとは思っていましたが、ちょっとまずいなとは思いました。でも絶対にあきらめないとチームにも言いましたし、自分にも言い聞かせてアタックをし直して、ポールが取れてよかったです。むしろ、赤旗前のアタックではミスもしていたので、かえって力が抜けてよかったかもしれません。問題は明日なので、いいレースをします」
中嶋大祐選手(レース1/2番手、レース2/6番手 #31 NAKAJIMA RACING) 「今までずっとうまくかみ合わずにきたのですが、今年はダメだったときには毎回、何がダメだったのか原因を追及して、チームで共有して対応してきました。自分としては足踏みしている気はありませんでした。今までやっていたことは間違いではなかったということを、結果に出せたと思っています。非常に高いレベルの戦いなので、もう少し上にいきたかったという気持ちは残りますが、全体の流れとしてはいいところにあるということが確認できてよかったと思います。この流れのまま、決勝でも結果を残したいと思っています」
小暮卓史選手(レース1/3番手、レース2/3番手 #32 NAKAJIMA RACING)「今回のレースでは、僕のマシンは新たな試みをいろいろしてみました。ニュータイヤで限界まで攻めたときに出る挙動をコントロールできるよう改善するため、今回は特に中嶋選手の走りが非常によかったので、Q2は彼の走りを参考にしたことでよくなりました。ただ、今日は山本選手が異様に速すぎでした。マシンは確実に前進しているのが手応えとして感じられているので、明日の決勝でも引き続きいいレースをしたいです」
順位 | No. | ドライバー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 16 | 山本尚貴 | Honda | 1:38.055 |
2 | 31 | 中嶋大祐 | Honda | 1:38.320 |
3 | 32 | 小暮卓史 | Honda | 1:38.331 |
4 | 39 | 国本雄資 | トヨタ | 1:38.381 |
5 | 20 | 松田次生 | トヨタ | 1:38.446 |
6 | 19 | J.P.デ・オリベイラ | トヨタ | 1:38.496 |
8 | 10 | 塚越広大 | Honda | 1:38.611 |
10 | 15 | 佐藤琢磨 | Honda | 1:38.690 |
12 | 40 | 伊沢拓也 | Honda | 1:38.908 |
17 | 11 | 中山友貴 | Honda | 1:39.800 |
18 | 41 | 武藤英紀 | Honda | 1:39.884 |
順位 | No. | ドライバー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 16 | 山本尚貴 | Honda | 1:37.774 |
2 | 19 | J.P.デ・オリベイラ | トヨタ | 1:38.067 |
3 | 32 | 小暮卓史 | Honda | 1:38.108 |
4 | 40 | 伊沢拓也 | Honda | 1:38.202 |
5 | 1 | 中嶋一貴 | トヨタ | 1:38.399 |
6 | 31 | 中嶋大祐 | Honda | 1:38.630 |
9 | 15 | 佐藤琢磨 | Honda | 1:38.385 |
14 | 10 | 塚越広大 | Honda | 1:38.618 |
17 | 11 | 中山友貴 | Honda | 1:39.800 |
18 | 41 | 武藤英紀 | Honda | 1:39.884 |