(1970) VAMOS Honda 時代を先取りし過ぎたレジャーカー 常に時代の流れの先を行く……Hondaを形容するとき、しばしば語られる言葉である。このバモスというモデルは、その際たる例のひとつだと言えるだろう。軍用特殊車両のような独特のボディスタイルを見ただけで、ただ者ではないことが分かる。なにしろ鋼鈑のドアさえも持たないから、頭上の幌を外してしまえば、4人乗りのシートは外界に向かってほぼ完全なオープン状態だ。荷台に遊び道具を満載し、明るい太陽の下で海へ山へと駆け巡りたくなる、そんなクルマ。つまり元祖レジャーカーなのである。ただし'70年代初頭の日本人にとって、クルマは今以上に高価で大切な"財産"だった。TNトラックをベースにしているとはいえ、あの時代にこれほど割り切ったコンセプトのクルマを生み出せたのは、さすがHondaというべきだろう。なお"VAMOS"とは、スペイン語で"レッツゴー!"という意味の言葉。'99年にデビューした軽ミニバンの名として復活したのはご存知のとおりだ。
(1972) Honda LIFE STEPVAN RVブームを予見していた元祖ミニバン シビックで"2ボックス・ハッチバック"というクルマの新形態を定着させたのと同時期、Hondaはもうひとつ非常に重要なモデルをデビューさせている。それがライフステップバン(以下ステップバン)。その名から分かるように、エンジンや駆動系は軽乗用車ライフからの流用だったが、ボディはそれまでに例のないような斬新なものだった。シンプルなラインで構成された、ボクシィで背高ノッポのフォルム。見なれたセダンでもなく、無骨な商用バンでもなく、かといって2ボックスでもない。どうカテゴライズすべきか悩んでしまうデザインなのだが、当時の軽自動車の中にあって、ステップバンのスペース効率は群を抜いていた。軽自動車の枠内に納めるため、どうしても限定されてしまう全長と全幅。ならば全高を大きく取ろうという発想なのである。より低く、より広くというデザイントレンドの時代、ステップバンはいわば逆転の発想により、個性的なユーザー層から根強い人気を獲得していた。ステップバンが歴史の彼方へと去った'90年代、日本にはミニバンなどのRVの一大ブームが到来する。その時になって、人々はステップバンの偉大さを改めて知ったと言えよう。実に20年も先のミニバンブームを予見したモデルだったのである。