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S2000のデザインへとつながるスポーツ・スタディ・モデル「SSM」を出展したのは1995年の東京モーターショーでした。会場では、ピニンファリーナデザインのコンセプトモデルと向き合って展示されたのをご記憶でしょうか。
やがて始まった量産S2000の開発は、まさに、Hondaの「三現主義」そのものでした。実際に欧州をさまざまなオープンスポーツで走り回り、モチベーションを高めながら初期プロトタイプを開発。今度は、そのプロトタイプを欧州に持ち込んで走行テストを実施しました。自信を持っていたデザインでしたが、強烈な欧州の風景や街並のなかで弱々しく見えたのです。そこで、ディメンション含めデザインをすべてやり直したことが強烈な印象として残っています。開発中にフルモデルチェンジを行ったようなもので、いくらHondaでも、「あり得ない」開発でした。
こだわったのは、完全にHondaオリジナルのデザインであること。当時、“S”の再来となるモデルであることから、「エスロク」や「エスハチ」のことも相当勉強しました。そんな背景から、リバイバルモチーフも考えました。しかし、サイズがあまりにも違うため“S”らしさが表現できなかったのです。そこで、今までにないモダンな佇まいをめざすことにしたのです。
しかし、今となってS2000とS800を並べてみると、意外なほど共通点が多いと感じます。ムダの無いシンプルさ、ストイックなまでの存在感。他車と比較しても、唯一無二の存在となったように思います。また、時が経つにつれ、さらに存在感が際立っていくように感じています。
運動性能的にもここまで尖ったオープンスポーツであるのに、トータルの世界販売台数が11万台に達していたことに正直驚きました。そして、10年間も生産が続いたことは、開発者として素直にうれしいことです。
またいつか“S”のバッヂの付いたクルマを世に問う日が来ることを願っています。さらに次世代の“S”は、どんな姿になるのか?今から、ときどき想像しています。ひょっとするとレシプロエンジンではないかもしれない!?
S2000を支えていただいたオーナーの皆さんには、感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございます。こんなやり過ぎたクルマは、いくらHondaでもそうそう現れないと思います。生産は終了してしまいますが、存在がなくなるわけではありません。S2000を末永く愛してください。次世代の“S”に繋がるように・・・。