モータースポーツ > FIT1.5チャレンジカップ > 東シリーズチャンピオンの声。王者が語るフィット3参加型レースとしての魅力
まずは海老澤紳一に単刀直入にフィット3の“参加型レースとしての可能性”を聞いてみた。すると「ワンメイクレース本来の姿が期待できますね」という答えが返ってきた。
「フィット3をドライブしてみた印象としては、ABSなどの電子制御の介入が多いからなのか、速く走らせるためのスイートスポットが狭いのかなとは思いました。でもフィット3の走らせ方を身につけることができれば、ベテランでもビギナーでも1秒以内の接戦ができるポテンシャルを秘めていると思います。そうなれば、幅広いドライバー層がフィット3を通じて交流することができて、そしてレースが盛り上がっていくのではないか。そんな可能性を感じますね」
ちなみに海老澤はシビックレースやインテグラレースなどの参戦経験が豊富なベテランドライバーだ。また自らのガレージから、かつてはFD2シビックレースのエントラントへの支援も行なった経験もあり、セッティングのノウハウも豊富だ。
今回のフィット1.5CC参戦についても、そのノウハウを存分に活かし、ダンパーのストローク量やスタビライザーの作用範囲などを考慮してサスペンションを製作。シーズン開幕前には理想的なセッティングや車高を導き出しており、練習走行では早々に2分21秒台もマークしていたという。
「シーズン中はコンディションの違いもあって21秒台は出ていません。最終戦の予選では狙っていたのですが、クリアラップが取れませんでした」というだけあって、基本的にシーズンを通じてセッティングの大幅な変更はしなかったという。
海老澤は「サスペンションの方向性や車高は、突き詰めていけばどの車両も大きな差はなくなると思っています。そうなればフィット3のポテンシャルはほぼ拮抗して、1秒以内にみんながひしめき合う。そして白熱したレースができて、さらに盛り上がっていくのではないでしょうか。それこそがワンメイクレース本来の姿だと思うんです」と、フィット1.5CCへの期待感を語った。
そしてフィット3の魅力はそのパフォーマンスにもあるといえる。コーナリングスピードはEK9シビックに匹敵する実力を持ちながら(下のデータ参照)、ノーメンテナンスでシーズンを戦えるほど信頼性が高いエンジンや、消耗部品のライフが長いことからくる圧倒的なランニングコストの安さも魅力。実際、フィット3のランニングコストはEK9シビックと比べると1/3〜1/4程度に抑えることが可能だという。これは特に若手ドライバーにとってはありがたい。
今後、若手とベテランが同じ土俵で接戦を繰り広げることができれば、フィット1.5CCはレースを土台から支える重要なポジションを確立していくものと思われる。
フィット3の場合、適切なサスペンションセッティングの方向が決まれば自ずと車高も決まってくるという。
もてぎ/SUGOラウンドでチャンピオンを獲得した海老澤。JOY耐でのガス欠リタイヤを除き毎戦表彰台に登った。
フィット2クラスのチャンピオンは僅差で迫る河村を退けて寺岡が獲得。