モータースポーツ > 1.5チャレンジカップ FIT1.5チャレンジカップ > 第1回 リーズナブルだけど本格派!レーシングフィットのすべて
5月11日、鈴鹿サーキット東コースで『FIT1.5チャレンジカップ』が開幕した。鈴鹿では初のフィットレース。ツインリンクもてぎを中心に今年からスポーツランドSUGOでも開催されている『1.5チャレンジカップ』と異なるのはホンダ・フィットのワンメイクレースだということ。車両規定はどちらもN1規定をベースとしたサーキット専用車両で争われ、これが大きな魅力となっている。 なぜ魅力なのか? たとえばナンバー付き車両と異なり、サーキット専用車両は最低地上高の自由度が高く、サスペンションのセッティングも細かく行なうことができる。また、Sタイヤを使用するため、絶対的な旋回速度が高い。
マシン作りにおいてもJAF規格の本格的ロールケージでボディ剛性が高められ、さらに規則上はボディ補強も可能。シビックレースなどで培ったガレージ独自のノウハウで性能を引き上げることもできる。つまりドライバーにとってもガレージにとってもサーキット専用車は「やりがい」があるクルマなのだ。
『FIT1.5チャレンジカップ』の最大の魅力は排気量1.5Lコンパクトカーゆえのランニングコストの安さにある。タイヤは185〜195サイズの15インチなのでローコスト。また「タイヤだけでなくブレーキパッドのような消耗品の負担も少ないため、比較的安価に済むのがうれしい」というエントラントの声も聞くことができた。なお『FIT1.5チャレンジカップ』には初代フィットの1.5Lモデル(GD3)と、二代目フィットRS(GE8)、そして現行フィットRS(GK5)の3タイプすべてが参戦可能。3車の性能を調整するため、レース用装備品をすべて着用したドライバーを含めた最低重量に差をつけ、GK5が1010s、GE8は990s、GD3は910sとしたほか、GK5は貸与される指定ECUしか使えない。さらに、GK5は排気系統も指定部品に制限され、ヘッドガスケットの変更も許されない。これによって最新のGK5を選んでも、ベース車の購入費が安く済むGD3やGE8を選んでもイコールコンディションを保って、レースを楽しめるように配慮されている。
なお、GK5のポテンシャルは侮れない。開幕戦の予選タイム1分1〜2秒台は、EK9/EG6シビックの59〜1分2秒台と比べても遜色はなかった。しかも、フィットは納車されてからレースまでの時間がなかったため、レース用パーツの組みつけなど最低限のマシン作りをして開幕戦に臨んだガレージがほとんど。そのようなコンディションにも関わらず、シビックに肉薄するパフォーマンスを発揮したこともあり、ドライバーもレーシングガレージも「充分シビックに代わる存在になる」「面白いカテゴリーになりそう」とフィットへの期待感を高めている。レースを追うごとに熟成を重ねパフォーマンスが上がっていくことは間違いないだろう。
今年は全5戦が開催される『FIT1.5チャレンジカップ』は、レース未経験だからといって参戦を臆する必要のないカテゴリーでもある。気になる人は次戦以降、実際に自分の目でこのレース見て、参加者にパドックで直接話しを聞いてみるのもいいかもしれない。
参戦車両は歴代フィットGD3、GE8、GK5からチョイスできる。各車両の性能差は最低重量などで調整。その車高を見れば、ナンバー付きではなくサーキット専用車であることが分かる。
助手席やセンターコンソールなど、レースに必要のないものは取り外されている室内。張り巡らされたロールケージのほか消火器、キルスイッチが目を引く。
スプリングはテイン製とスイフト製が双璧状態。ブレーキパッドは制動屋製とエンドレス製の比率が高かった。ダンパーに関してはテイン製が多く、なかにはワンオフ品を装着したチームもいたが、現状はまだ手探り状態のようだ。
タイヤメーカーはブリヂストン、ヨコハマ、ハンコックと分かれた。タイヤサイズは最大幅195、15インチ内と規定されているので前195、後185を装着。予選上位のタイヤを見るとハンコック勢では前ソフト、後ミディアム、ヨコハマ勢では前ミディアム、後ミディアムハードをチョイスしていた。
今年の1.5チャレンジは、もてぎだけでなくSUGOでの1戦も加え、全6戦で争われることとなった。その第1戦はミニJoy耐として120分耐久で争われ、12台が参加。優勝を飾ったのは、ピストン西沢/高橋滋組のGULF J-WAVE FIT EDで、中盤から総合でもトップに立ち、ラスト5周でその座を明け渡すもクラスでは圧勝となった。注目すべきは、デビュー戦の3代目フィットが早くも3位入賞を果たしたこと。ひとみエンタープライゼス製作のWINIX★FIT3は、市販パーツを取りつけただけの完成間もない状態でありながら、トップ以外の2代目フィットとまったく遜色のない速さを見せていた。第2戦はSUGOでの90分耐久で、GULF J-WAVE FITEDが2連勝。そしてWINIX★FIT3はひとつ順位を上げて2位でゴールし、より高い可能性をアピールしていた。
●3月16日 ●120分耐久 ●1周4.801km トップ車両周回数=48Laps
●出走台数:12台 ●天候:晴れ ●路面:ドライ
順位 | No. | ドライバー | チーム | タイプ | 周回数 | タイム/差 | 1 |
813 |
ピストン西沢/高橋滋 | GULF J-WAVE FIT ED | GE8 |
48 |
2:01'57.738 |
---|---|---|---|---|---|---|
2 |
32 |
金子陽一/富澤勝 | オートショップSTA.FIT | GE8 |
48 |
+1'25.457 |
3 |
77 |
田口幸宏/佐野哲夫 | WINIX★FIT3 | GK5 |
48 |
+1'34.439 |
4 |
7 |
海老澤紳一/小幡弘 | ヴァーサスwm・FUCHS・FIT | GE8 |
48 |
+2'08.338 |
5 |
48 |
村上隆弘/水越真一 | DIJONエンドレスGE8 | GE8 |
48 |
+2'14.670 |
6 |
26 |
咲川めり/大澤学 | エンドレスアドバン日光ヴィッツ | NCP91 |
47 |
+1Lap |
●4月27日 ●90分耐久 ●1周3.704km トップ車両周回数=50Laps
●出走台数:12台 ●天候:晴れ ●路面:ドライ
順位 | No. | ドライバー | チーム | タイプ | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 |
813 |
ピストン西沢/高橋滋 | GULF J-WAVE FIT ED | GE8 |
50 |
1:31'00.093 |
2 |
77 |
人見俊一/佐野哲夫/森下直也 | WINIX★FIT3 | GK5 |
50 |
+43.486 |
3 |
48 |
村上隆弘/井上恵一 /YASU | DIJONエンドレスGE8 | GE8 |
50 |
+1'00.744 |
4 |
32 |
金子陽一 | オートショップSTA.FIT | GE8 |
50 |
+1'01.624 |
5 |
23 |
福田秀明/中島保典 | 福田ソーラーS PMFKヴィッツ | NCP91 |
50 |
+1'28.057 |
6 |
62 |
松本和之/塩谷烈州 | SUNOCOwmG/無限FIT | GE8 |
50 |
+1'39.809 |
東コースを使用した開幕戦。予選ではポールポジションを獲得した窪田俊浩のHondaCars東京都☆PVR☆GK5から、7番手の見並秀文BRIDE・ADVAN・FITまでコンマ8秒以内にひしめく接戦となった。
決勝レースでは予選2番手の芝谷純三K-one-SPM-WM-YH大川が飛び出してホールショット。窪田と共に3番手以降を引き離したが、2台ともスタートの違反行為でドライブスルーペナルティを受け、8周目で最後尾に脱落。これによって桂田敏希KビーストLubtech SSR EDがトップに浮上。「ミスのないように自分のスタイルを守った」走りで開幕戦の勝者となった。2位には好スタートを切った見並が杉田渓のセナルトK&G レイズ制動屋FIT3とのポジション争いを制して入賞。ベテランの貫禄を見せつけた。
●5月11日 ●17周スプリント ●1周2.243km トップ車両周回数=17Laps
●出走台数:10台 ●天候:晴れ ●路面:ドライ
順位 | No. | ドライバー | チーム | タイプ | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 |
18 |
桂田敏希 | KビーストLubtech SSR ED | GK5 |
17 | 17'49"665 |
2 |
25 |
見並秀文 | BRIDE・ADVAN・FIT | GK5 |
17 | +1.005 |
3 |
9 |
杉田渓 | セナルトK&Gレイズ制動屋FIT3 | GK5 |
17 | +1.532 |
4 |
7 |
白戸次郎 | モレキュール ディクセルFIT | GK5 |
17 | +1.816 |
5 |
77 |
中村拓矢 | ルーフBS制動屋セナルトFIT | GK5 |
17 | +2.204 |
6 |
22 |
寺西玲央 | INOKI M2 BS FIT | GK5 |
17 | +2.551 |