宇川徹

伊藤真一

秋吉耕佑

高橋巧

鈴鹿8耐40周年記念 スペシャルトークショー ~優勝経験者が語る、鈴鹿8耐とは~

鈴鹿8耐40周年記念 スペシャルトークショー ~優勝経験者が語る、鈴鹿8耐とは~

鈴鹿8耐最多の5勝を挙げている宇川徹。過去4勝、7回という最多ポールポジションを手にし、今年Team SuP Dream Hondaから3年ぶりに出場する伊藤真一。3度の優勝経験があり、au&テルル・Kohara RTで若手のライダーを引っ張る秋吉耕佑。8耐で過去3勝をあげ、今年はHondaのエースとして王座奪還を目指す高橋巧。勝利することの意味を知っているこの4人が語る鈴鹿8時間耐久ロードレース。

鈴鹿8耐での忘れられない思い出

宇川宇川 「僕が初めて鈴鹿8耐で勝ったのは伊藤(真一)さんと組んだ1997年のホリプロ・ホンダwith HARTのときでした。実はラスト30分くらいでエンジントラブルが出たのですが、雨が降っていたのでラップタイムの落ち幅が小さかった。だからなんとか優勝できました。ちょうど第20回大会で日本人ペアでの優勝でしたね。優勝できた5回のレースだけでなく、過去11回出場したレースのすべてが思い出深いです。皆さんはどうでしょう」

伊藤 「私は勝ったときも負けたときもいろいろ思い出します。1997年、1998年と優勝して、1999年も宇川君と組んで勝てる速さがあって、調子も良く余裕で走っていたのですが、前半に自分が逆バンクで転んでしまい勝てなかった。転んですぐには信じられない気持ちで、レースが終わっても心の傷を1年間引きずりましたね。リベンジするにも1年に1回しかないですから」

秋吉 「自分も伊藤さんと同じです。2014年にトップを走っているときに転んで、もう悔しくて、悔しくて。まあ、徐々に調子がおかしくなっていて、もっとプッシュすれば直るかなと思ったのですが、ダメでした。チームメートには『ごめん』と謝りました。それは今でも引きずっています。夢に出てくるくらい。伊藤さんと宇川さんが初めて勝った1997年は、5回くらい転んだんですけれど(笑) もちろん勝ったレースも全部思い出深いです。特に伊藤さんと組んで勝った2011年は、転倒があってから追い上げての優勝でしたから」

高橋 「僕は初優勝した2010年、初めて見た表彰台からの景色が忘れられないですね。ファンに埋め尽くされた光景を見て、あまり感動とかしないタイプだと思っていたのですが、そのときは本当に感動しました。だから毎年、絶対に勝ちたいという気持ちになります。走りきって、1位でゴールできて、あの景色を見られたら最高に幸せです。あとは2013年も思い出深いですね。トップを走行中の最終スティント、暗くなってから雨が降り出したのですが、ヘッドライトに照らされると雨粒が光り、ものすごく降っているように感じて、勝利を目の前にして、これでなにかあったら全部自分のせいになるなと。幸い2位との差を築けていたので安全運転をしつつ勝てたのですが、怖かったですね」


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8時間走りきって勝つ難しさ

宇川宇川 「3人で走りますし、僕が走っていたころより、さらにペースが速くなっていますよね。昔から8時間のスプリントレースと言われてきましたが、最近はそれが顕著になっていると感じています。周回遅れをかわしながらもペースが速い。とても大変なレースですね。その8耐で勝つ秘訣は、勝てる体制のチームにいること。これは本当に重要です。また、8時間後に笑っていられればいいので、スタート後1時間くらいのスプリントレース並のハイペースで惑わされないようにすることも大事。ですよね、伊藤さん」

伊藤 「1999年の転倒はすみませんでした(笑)」

秋吉 「今はEWCクラスと、市販車に近いSSTクラスが混走していまして、1周のタイム差が大きいです。その中で安定して速く走る難しさ。当然、めぐり合わせ、運の要素も大きい。そして3人で走る難しさもあると思います」

宇川宇川 「そうですね、2人の方がマシンを作りやすいのではないでしょうか。3人の良いところを探るのではなく、エースライダーに合わせて作って、それに残りのライダーがライディングをアジャストするやり方が良いでしょうね」

高橋 「僕のチームは、セットアップを全日本から自分がやってきて、これじゃ乗れないという話が出ていないし、2人はセッティングをほぼ変えずにそのまま乗ってくれています。今のところ大きな問題はないので、3人で細かく話し合って進めていこうと」

伊藤 「今回、私もベースを作っていて、ジョシュ(フック)とグレッグ(ブラック)にはそれに合わせて乗ってもらっています。やっぱり2人で走っていたころの方がセッティングを悩みにくかったですね。宇川君と組んでいたときもそうでした。彼は器用でそのまま乗っても安定して速かったです」

秋吉 「8耐は特殊で、普段戦っているマシンとチーム環境がまったく変わることも多いですし、暑くて過酷というのもありますから、難しいですよね」


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自身にとって鈴鹿8耐とはどういう存在なのか

宇川宇川 「僕にとって8耐とは“LIFE”です。人生ですね。ノービスのころに4時間耐久、6時間耐久も走りましたが、鈴鹿は特別な場所です。日本のモータースポーツの聖地だと思っています。何百回も走っていますが、毎回感慨深くなる特別な場所。そこで8時間走るレースは、良いときもあれば、悪いときもある、だから人生そのものだなって」

伊藤 「1997年、世界GPの500ccクラスでミック(ドゥーハン)に歯が立たずに自信を失いかけていたときに、鈴鹿8耐で勝つことができました。このレースに出場したおかげで自信を取り戻せたのです。だから私にとっての8耐は、“重要で大事なレース”です。いつの間にか50歳になってしまったのですが、レギュレーションで60歳まで走れるらしいので、それまでは走ろうかと。まだまだやれます」

秋吉 「若いころは、鈴鹿8耐に憧れて、GPに憧れて、ああいうシーンで走りたいと思っていました。それで4時間耐久、6時間耐久に出て実際に走るとこんなに厳しいのかと思い知らされました。速い人たちがいっぱいいて簡単に成績が出せない。どうしたら速く走れるのかとずっと考えて試行錯誤していたら勝てました。結果にたどり着くのは難しい。高い目標があるから挑戦しがいがあります。自分にとっての鈴鹿8耐とは、ずばり“集大成”です。今年はチームベストのリザルトを狙います」

高橋 「世界中が注目しているレースですから、僕にとっては“アピールする絶好の舞台”です。全日本ロードレース選手権でチャンピオンになるのも重要ですが、鈴鹿8耐はそれとは違う特別なレースです。ここでしっかり優勝できれば、次のステップにつながるかもしれない。それを上手く自分に引き寄せたい。最終的には結果がすべてですから、今年はその結果を残せる準備はできていると思います」


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