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特別対談「ニッキー・ヘイデン×藤島康介」
ニッキー・ヘイデン Nicky Patrick Hayden

1981年7月30日生まれ、米国ケンタッキー州オーエンズボロ出身のレーサー。幼少のころから多くのレースに参戦し、2002年にはAMAスーパーバイクで史上最年少でチャンピオンに輝く。03年にはHondaのワークスライダーとしてMotoGPへ参戦。05年に初勝利を挙げ、翌年にはラストイヤーとなる「RC211V」を駆り、最高峰クラスのタイトルを獲得する。現在は、スーパーバイク世界選手権(WSB)に舞台を移して、CBR1000RRで参戦中。また、03年に鈴鹿8耐へ初参戦しリタイアに終わっている。今年、13年ぶりの鈴鹿8耐参戦が実現した。

藤島 康介 Kosuke Fujishima

1964年7月7日生まれ、東京出身の漫画家・イラストレーター。86年に講談社『コミックモーニング』に掲載された「Making BE FREE!」でデビュー。代表作は「ああっ女神さまっ」「逮捕しちゃうぞ」「パラダイスレジデンス」などで、多くの人気作品を生み出している。また、オートバイやクルマを多数所持していることでも有名。現在は『月刊アフタヌーン』で、兼ねてから執筆を希望していたバイクの最高峰レースを舞台とした「トップウGP」を連載中。
月刊アフタヌーン『トップウGP』作品情報へ(外部サイト)

MotoGPでチャンピオンを獲得するなど輝かしい戦績を残し、現在はワールドスーパーバイク選手権を走るニッキー・ヘイデン選手と、講談社『月刊アフタヌーン』でオートバイレースを題材にしたマンガ『トップウGP』の連載を開始した藤島康介先生の対談が実現。8耐の決勝を前にして、世界で常にトップクラスを走り続け、13年ぶりに8耐に帰ってきたレーシングライダーと、24台も所有する自他ともに認めるオートバイ好きの漫画家が顔を会わせた。

2人の鈴鹿8耐の思い出

藤島「私がオートバイに乗り始めたのは19歳の時でしたが、そのころからもう8耐はすごいレースでしたよ。とにかく多くの人が注目していて、直接観に行きたいけど、なかなか行けなくて、もどかしかったのを覚えています。台風による大雨で6時間に短縮されたレース(82年)や、ケニー(ロバーツ)が初めて走ったレース(85年)が印象に残っていますね。ニッキーは、8耐についてどんな印象を持っていましたか?」

ヘイデン「僕も小さいころから8耐を知っていました。アメリカでも有名なレースです。僕の憧れたヒーローライダーたちも出場していたので、いつも応援していました。だから8耐には特別な思い入れがあります」

オートバイ、そしてレースの魅力

藤島「8耐も含めオートバイレースの魅力って、クルマと違ってライダーの体がむき出しでとんでもない速度で走るでしょ。そこがダイナミックでたまらない。いろんなドラマもある。私は昔からレース好きでよく観ているんですが、見比べると80年代と今で乗り方が違いますよね。時代によってライディングスタイルが変わっているのも興味深い。サーキットを以前走ったことがありますが、あの暑さの中、あんな長い時間レーシングスーツを着てオートバイを操作し、速く走り続けられる気がしませんね」

ヘイデン「そう、サーキットを走ったことがあるなら、ちょっと走り方を教えて欲しいな(笑)。8耐は8時間も走るのだからスプリントレースとは違う。速く走り過ぎたら燃料消費が早くなるし、転倒などリスクが増えるんです。そのバランスをとるために僕は努力しがんばって走らなきゃいけない」

藤島「なるほど、トップチームのペースはリスクを恐れずに走っているんじゃないかと思うほどのスピードなので、そのへんのバランスをとるのが体力的にも精神的にも難しいんですね。でも抑えて走っていても前にライダーがいると抜きたくなりませんか?」

ヘイデン「そうですね。レーシングライダーに抑えて走れというのはなかなか難しいことで、バトルになれば本能的に抜いてしまうんですよ。だから速く走りたい気持ちを抑えて走るのは本当に大変です」

藤島「鈴鹿サーキットでの抜きどころはどこなんでしょう。スプーンカーブとかですかね?」

ヘイデン「その時々だけど、シケインの進入のブレーキングポイントで前に出るのを狙うのがいいかな。でも、僕はどこでも追い越しますから、あまり関係ないですよ。小さい頃からオートバイに乗るのが好きで、家族のみんながライダーだったので、オートバイに乗るために生まれてきた人間なんです。レースで抜いたりするのもそうですが、オートバイに乗ることを楽しんでいます」

マンガ「トップウGP」について

藤島「私も大好きですから、ずっとオートバイに乗ってきました。だから『トップウGP』もいつか描こう、描こうと思いながら、二輪レースをマンガにするのは体力もいるし難しいのでちゅうちょしていました。でも、今やらないと、もうこれ以上歳を取ると描けないんじゃないかと思って、思いきってやることにしたんです。主人公の宇野突風は11歳で、オートバイのレースで走っているのですが、もっと速く走れるようになるにはどうしたらいいでしょう?」

ヘイデン「やっぱり乗ることですよ。基本はオートバイに乗る時間を増やすこと。乗ることのできるチャンスがあれば、可能な限り逃さずに乗ること。それとロードだけではなく、ダートトラックやオフロードなど、いろんなカテゴリーを体験すること。そうすると、ライディングに対する理解が深まりますから、一番のトレーニングです」

藤島「ダートをやるとタイヤが滑ったときの対処ができますよね」

ヘイデン「その通り。スライディングをスロットルでコントロールすることを覚えられます。これはすごく大事。その主人公(宇野突風)が速くなると僕とバトルできるのかな?」

藤島「おお、登場する許可をもらえれば、ぜひ2人でバトルをしてもらいたいですよ。想像しただけでも楽しいな」

ヘイデン「もちろんいいですよ。でもめちゃめちゃ速いライダーとして登場させてくださいね(笑)」

藤島「最終的には突風がニッキーに勝ってチャンピオンになるかもしれませんよ」

ヘイデン「それは嫌だな、負けるのは(笑) とはいえ、レース、モータースポーツのサポートという意味でマンガにしてもらえるのはすばらしいことだと思います。子どもたちに、このスポーツの魅力を知ってもらえる大きなチャンスになる。だから期待をしています。がんばって描いてください」

鈴鹿8耐の優勝へ

藤島「ニッキーも8耐で表彰台の真ん中に必ず立ってください!! 優勝を信じて、応援しています」

ヘイデン「Thank You! アリガト。僕はWGP、スーパーバイク、デイトナ200マイル、ダートトラックなどたくさんのレースで優勝トロフィーを獲得してきたんですが、8耐のトロフィーがないんです。だからぜひ手にして帰りたいです。ベストを尽くします」

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