鈴鹿8時間耐久ロードレース

鈴鹿8耐プレビュー

Honda CBR1000RR勢は4連覇に挑み、26度目となる優勝を目指す

7月28日(日)に三重県・鈴鹿サーキットで決勝レースが行われる「2013 FIM世界耐久選手権シリーズ第2戦 "コカ・コーラ ゼロ"鈴鹿8時間耐久ロードレース 第36回大会」(以下、鈴鹿8耐)に、Honda CBR1000RRを駆って参戦するチームの体制が固まってきました。Honda CBR1000RR勢は現在、鈴鹿8耐を3連覇中で、今季は4連覇に挑みます。今年優勝を果たすと、26度目の鈴鹿8耐勝利となります。

2012年のチャンピオンチームの#11 F.C.C.TSR Hondaは、昨年に引き続き全日本ロードレース選手権(JRR)のJSB1000に出場している秋吉耕佑の起用が有力視されていましたが、秋吉は6月のJRR第4戦の筑波大会予選で、左大たい骨を骨折してしまい、今年の鈴鹿8耐参戦を断念しました。

この事態を受けて、#11 F.C.C.TSR Hondaは、昨年、秋吉とともに優勝を成し遂げたスーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦中のジョナサン・レイと、英国スーパーバイク選手権(BSB)に参戦している清成龍一が参戦することになりました。両ライダーが鈴鹿8耐で組むのは初めてとなりますが、2007年の鈴鹿300qレースでの優勝コンビでもあり、BSBをともに戦った間柄のため、チームワークに問題はありません。清成は今年の鈴鹿8耐で通算5勝目を目指します。5勝という数字は、最多優勝の宇川徹選手と並ぶことになります。レイは2連覇に挑みます。

#634 MuSASHi RT ハルク・プロは、JRRのJSB1000の高橋巧、SBKに参戦中で2度目の鈴鹿8耐挑戦となるレオン・ハスラムに加え、スーパースポーツ世界選手権(WSS)に参戦中のマイケル・ファン・デル・マークが抜てきされ、初の鈴鹿8耐に挑みます。#634 MuSASHi RT ハルク・プロは3人体制で、3年ぶりの優勝を狙います。高橋は初参戦の09年に3位、10年には優勝、11年は3位と、3年連続表彰台に登壇しています。

#22 Honda Team Asiaは、今季からアジアロードレース選手権スーパースポーツ600tに参戦を開始した玉田誠と、玉田のチームメートでマレーシア人ライダーのアズラン・シャー・カマルザマンが昨年に引き続き参戦します。第3ライダーに関しては検討中です。

#104 TOHO Racing with MORIWAKIは、JRRのJSB1000の山口辰也に、2年ぶりの鈴鹿8耐参戦となる伊藤真一が加わり、注目を集めています。伊藤は鈴鹿8耐において7度のポールポジションを獲得、4度の優勝を飾っており、“ミスター8耐”と呼ばれるほどで、伊藤の加入で#104 TOHO Racing with MORIWAKIはチーム力アップにつながると予想されています。第3ライダーはオーディションを行い、JRRのST600に参戦中の渡辺一馬が選出されました。昨年は2位表彰台獲得という実績を持つチームだけに、躍進が期待されています。

イギリスのレーシングチームである#77 HONDA TT LEGENDSは、2011年のマン島TTレースにおける最速新人のサイモン・アンドリュース、マン島TTレース4勝のマイケル・ルターに加え、同じくマン島TTレース20勝を誇るジョン・マクギネスの3人が挑みます。

コメント

ジョナサン・レイ(F.C.C.TSR Honda) 「鈴鹿8耐は本当に過酷なレースです。辛くて苦しい、準備も大変だからこそ、勝ちたいと思うレースです。清成さんは尊敬でき、信頼できるライダーなのでなにも問題はありません。今年は秋吉さんがケガで走ることができませんが、秋吉さんを含めての3人のチームだと思っています」

清成龍一(F.C.C.TSR Honda) 「レイはBSBの後輩ライダーでしたが、大きな成長を感じます。世界を走っている貫禄があり、頼れるライダーです。秋吉さんがいて3人で走ることができたら、どんなに心強いかと思いますが、レイの話している通り、3人のチームだと思って優勝に向けて最大限の努力をします」

武田将雄監督F.C.C.TSR Honda 「秋吉選手がどのライダーでも速く走れるマシンづくりを意識して、テストをしてくれたことで、レイ選手も清成選手もテスト開始早々に好タイムを記録してくれました。2人の能力が発揮できるよう、チーム一丸となって努力します。秋吉選手も本番には駆けつけてくれると言っています。皆の力を結集して2連覇を目指します」

高橋巧(MuSASHi RTハルク・プロ) 「これまでは先輩ライダーと組んで鈴鹿8耐に挑戦してきました。しかし今年は、自分がしっかりとしなければならないと思っています。ハスラム選手もマーク選手も、このチームで走るのは初めてですし、鈴鹿8耐の経験も少ないです。2人を引っ張っていけるようにがんばらなければと思っています」

レオン・ハスラム(MuSASHi RTハルク・プロ) 「鈴鹿8耐で優勝を狙えるチームから声を掛けてもらったことは、ライダーとして、とても光栄でうれしいことです。その期待に応えたいと思っています。ケガをした左足のことで心配を掛けていますが、順調に回復しています。本番では、チームの力になれるようにします」

マイケル・ファン・デル・マーク(MuSASHi RTハルク・プロ) 「鈴鹿8耐はとても有名で、特別のレースです。そこに挑戦させてもらえることは夢のようです。しかも、優勝経験チームで参戦できるなんて、信じられない気持ちがします。鈴鹿8耐に参戦できることに感謝します。高橋選手やハスラム選手と力を合わせて上位を狙います」

本田重樹監督MuSASHi RTハルク・プロ 「昨年はトップを追いかけながらの転倒という悔しい結果に終わっていますので、今年こそという気持ちはチーム全員が持っています。ハスラム選手とマーク選手は新加入ですが、すぐにチームに打ち解けてくれました。高橋選手を中心に、3人体制のメリットを生かして勝利を狙います」

玉田誠(Honda Team Asia) 「このチームの目的の一つはアズランの成長です。もともとポテンシャルのあるライダーでしたが、昨年の8耐での経験や、今年の全日本ロードレース選手権JSB1000のスポット参戦などで大きく力をつけ、戦力となってくれるまでになっています。僕自身も昨年以上の走りができていますので、今年こそ表彰台に上りたいです」

アズラン・シャー・カマルザマン(Honda Team Asia) 「マレーシア人として初めて8耐挑戦をさせてもらった昨年、多くのことを学びました。今年もJSB1000にスポット参戦をさせてもらったことで、鈴鹿8耐に向けて2度あったテストで、昨年の僕よりも進歩していることを実感できました。経験豊富な玉田選手と表彰台を目指します」

松山弘之監督Honda Team Asia 「日本とアジアの混合チームとして2年目となります。ライダーだけでなく、メカニックもアジア人が参加してくれています。コミュニケーションが一番難しく、そして、その部分がやりがいもあり、楽しいことでもあります。玉田選手はアジアロードレース選手権に参戦していることでライダーとしての感覚が鋭くなり、アズランも大きく成長してくれています。第3ライダーに関しては検討中ですが、3人で戦いたいと思っています。今年こそ表彰台という目標を達成したいです」

山口辰也(TOHO Racing with MORIWAKI) 「昨年は2位を獲得することができました。僕たちは奇跡の2位と驚かれましたが、伊藤さんと8耐を走ることができるのも奇跡のようです。伊藤さんの力を借り、渡辺選手の力も引き出し、昨年以上の活躍をしたいと思っています」

伊藤真一(TOHO Racing with MORIWAKI) 「昨年からHondaのアドバイザーとしてサーキットに来ています。昨年の山口選手の走りがすばらしく、興味を持ちました。一緒に8耐に参戦したいと声を掛けたのは僕の方です。渡辺選手も成長著しいライダーですので、一緒に戦えることをうれしく思っています。どこまでいけるのか挑戦します」

渡辺一馬(TOHO Racing with MORIWAKI) 「山口さんは、自身でチームを立ち上げて運営しながら、ライダーとしても結果を残している尊敬できる先輩ですし、伊藤さんはミスター8耐と呼ばれるほどの実績があります。全日本では的確なアドバイスをしてくれる大先輩で、助けていただいています。そんな2人と組める鈴鹿8耐は、僕にとってはすべてが勉強です。足を引っ張ることのないように力を尽くします」

斉藤博士監督TOHO Racing with MORIWAKI 「今年、オーディションで第3ライダーを募ったのは、チームやメーカーの壁を超えて、チャンスが欲しいと願っているライダーたちへ夢を届けるためのものでした。昨年は、努力すれば夢はかなうということを、我々が2位になることで証明できたと思っています。今年もレースを応援してくれる人たちが喜んでくれるレースを目指します」

ロバート・ワサーストン|欧州現地法人ホンダモーターヨーロッパ モーターサイクルスポーツ担当部長 「Hondaには、マン島TT、ボルドールなど、ロードレースや耐久レースとの関わりにおいて長い歴史があります。それも、単に競技者であるというだけにとどまりません。ツインリンクもてぎと鈴鹿サーキットをつくり、運営していくことで、MotoGPや8耐といった世界最大級の二輪フェスティバルのホスト役にもなっています。日本の8耐ですが、コース上では常にし烈な競争が繰り広げられる一方で、お客様はもとより、ライダー、ピットクルー、スポンサーなど、それに関わるだれにとっても喜びであり、楽しみにあふれたイベントであって、だれもがその二輪レースのスペクタルを祝うために集まってくる一種のお祭りのような素敵な雰囲気を備えています。我々は、HONDA TT LEGENDSにより、すべてのFIM世界耐久選手権(EWC)レースに参戦するとともに、2つの偉大なロードレースにも挑戦するというユニークなアプローチをとっています」