鈴鹿8時間耐久ロードレース

2012年7月29日(日)鈴鹿8耐 決勝

会場:三重県・鈴鹿サーキット 天候:曇り 気温:32.4℃ 観客:5万7000人

#11 レイ/秋吉/岡田組が8耐優勝を飾る!
#104 山口/高橋裕紀/手島組が2位となり、
CBR1000RR勢が1-2フィニッシュを達成

三重県・鈴鹿サーキットで開催される真夏の祭典「2012 FIM世界耐久選手権シリーズ第3戦"コカ・コーラ ゼロ"鈴鹿8時間耐久ロードレース 第35回大会」(以下、鈴鹿8耐)の決勝日を迎えました。清成龍一(#634 MuSASHi RTハルク・プロ)が宇川徹の持つ鈴鹿8耐最多優勝記録4勝に並び、アーロン・スライトの持つ鈴鹿8耐3連勝に並ぶのか、また、高橋巧(#634 MuSASHi RTハルク・プロ)が連続表彰台記録を更新するのか、とHonda勢の活躍に注目の集まる大会となりました。

F.C.C. TSR Honda

スタート時の気温は32℃、路面温度はすでに50℃。予選を通過した58台がグリッドにつき、伝統のル・マン式スタートが切られました。#12 L.キャミア/J.ウォーターズ/青木宣篤組(スズキ)がホールショット、#11 ジョナサン・レイ/秋吉耕佑/岡田忠之組(F.C.C.TSR Honda)、#634 清成/青山/高橋巧組(MuSASHi RT ハルク・プロ)、#7 中須賀克行/T.ヒル/芳賀紀行組(ヤマハ)、それを#104 山口辰也/高橋裕紀/手島雄介組(TOHO Racing With MORIWAKI)、#390 酒井大作/寺本幸司/矢木清貴組(BMW)が追いかけます。#634清成は逆バンクで#11レイを捕らえ2番手に浮上、#7中須賀も2輪シケインで3番手に上がり、#12ウォーターズ、#634清成、#7中須賀がトップ集団となります。

3ラップ目、#22 亀谷長純/アズラン・シャー・カマルザマン/玉田誠組(Honda Team Asia)がトラブルでピットイン、マシンを修復して復帰します。#634清成は6ラップ目1コーナーで#12ウォーターズを捕らえトップに浮上。9ラップ目に2番手に浮上した#7中須賀が10ラップ目に猛然と#634清成に襲いかかりトップへ。#634清成は#7中須賀をマークし周回を重ねます。18ラップ目の130Rで#7中須賀がフロントからスリップダウンで転倒。#634清成がトップとなり、2番手に#12ウォーターズ、3番手に#11レイとなりました。

25ラップ、トップ3がピットイン。#634青山博一はトップのままコースへ復帰、ルーティンを終えた#11秋吉耕佑は130Rで即座に#12レオン・キャミアをパスし2番手へ浮上、すぐさま2分8秒台に入れ、トップ#634青山を追撃。#634青山は9秒台から10秒台の周回、#11秋吉はアッという間にビハインドを削り、32ラップ目に、シケインのブレーキングで#634青山をパスし、首位に立ちます。トップに立った#11秋吉ですが、ペースが安定せず、#634青山とのバトルへと発展。40ラップ目に#634青山が前に出ます、41ラップ目には#11秋吉はペースアップし、#634青山も捕らえますが、#634青山とはコンマ差のまま周回を重ねます。3番手には#12キャミアがつけますが、大きなビハインドがついており、トップ争いは2台に絞られます。午後1時を過ぎ、路面温度は57℃を超えました。

酷暑となった戦いの中で#11レイは2分9秒台のハイペースで周回、2分10秒台の#634高橋巧とのビハインドを広げていきます。3番手を走行していた#12ウォーターズにイエローフラッグ無視のペナルティが科せられ、30秒のピットストップ。4番手で復帰しますが、3番手には#1 V.フィリップ/A.デラール/加賀山就臣組(スズキ)が浮上、2度目の走行で2分9秒台を叩き出し、追い上げを図ります。

#11レイは#634高橋に約23秒の差をつけ、3度目のルーティーンのためピットロードに入ろうとしたところでガス欠によるスローダウン。しかし、そのまま惰性を使い、ピットにたどり着きました。その間、#634高橋から清成にライダーを交代。#634清成が先にコース復帰し、トップに返り咲きます。#11秋吉は2番手でコースに出ます。#634清成は2分8秒台にタイムアップし、#11秋吉との差を広げ始めます。#11秋吉もタイムアップしますが、#634清成のトップは揺るぎません。3番手に#1フィリップ、4番手に#12青木宣篤、5番手には#99 S.ジンバート/E.ニゴン/D.カドリン組(BMW)、6番手に#104山口が続きます。8番手には#25 徳留和樹/安田毅史/北口浩二組(Honda鈴鹿レーシングチーム)が続きました。

#634清成は2分8秒台から9秒台で快調にトップを走行、2番手#11秋吉との差を確実に広げ続けます。3番手に#1加賀山。4番手を走行していた#12青木のマシンから白煙が上がり、急きょピットイン。#104山口は5番手へと浮上します。#634清成から青山へ、#11秋吉からレイへのルーティーン、#11秋吉はピットロード入口でオーバーランしてしまいますが、無事、ピットロードに戻りライダー交代。#11レイはトップ#634青山を追いかけます。3番手#1加賀山、4番手#99ダミアン・カドリン、5番手#634高橋、6番手に#32 今野由寛/津田拓也/民辻啓組(スズキ)、8番手に#25安田毅史が浮上してきました。

#11レイは#634青山を123ラップ目のシケインで捕らえ、トップに浮上。#634青山は2番手となりますが、その差が広がらないように懸命の走りを見せます。#11レイから秋吉へと交代。#634青山から清成へ交代します。#634清成は首位を奪回するため、ビハインドをできるだけ削ろうとしますが、アウトラップにデグナーで転倒、24リットルフルタンクのマシンから漏れたガソリンに火がつき大炎上、黒煙が立ち上ります。セーフティカーが2台入る事態となりました。#634清成は自力で立ち上がり避難、消火されたマシンを起こし、渾身の力でピットまで運びます。観客から拍手と声援がわき上がり、清成の背中を押します。炎に包まれ、やけどを負いながらもマシンを運びました。スタッフはマシンを懸命に修復します。

セーフィティカーが解除され、トップ#11秋吉、2番手#1フィリップ、3番手#99ニゴン、4番手#104手島雄介、5番手#32津田拓也、6番手#25徳留和樹、9番手に#090 辻村猛/野田弘樹/渡辺一馬組(テルル&イー・モバイル★Kohara RT)、11番手に#71 Honda DREAM RT 桜井ホンダ ジェイミー・スタファー/ウェイン・マックスウェル組(Honda DREAM RT 桜井ホンダ)が浮上してきました。143ラップ目には#25徳留が#32津田を捕らえ、5番手に浮上します。ですが、セーフティカー先導中の追い越しで30秒のピットストップを科せられ、8番手へダウン。#11秋吉は2番手に1ラップ以上の差を築いています。それでも2分9秒台で周回、勝利を目指し続けました。#11秋吉からレイに代わっても、そのハイペースは変わりません。2番手を走行していた#1フィリップが午後6時過ぎに痛恨の転倒。3番手に#104山口が浮上します。さらに2番手の#99カドリンが緊急ピットイン。#104山口が2番手となります。

最後のルーティンを終え、ライトオンのサインが点滅、#11秋吉はトップを守りきり、優勝を飾りました。秋吉にとっては3度目の鈴鹿8耐勝利となります。レイにとってはうれしい初優勝となりました。2位には#104 TOHO Racing With MORIWAKIの高橋裕紀が入りました。高橋裕紀、山口は初表彰台、手島は2度目の表彰台となりました。3位には#94 D.チェカ/K.フォレイ組(ヤマハ)。5位に#25 徳留/安田/北口組が入りました。今年、鈴鹿サーキットと同じく50周年を迎えた#71 Honda DREAM RT 桜井ホンダはレースを始めてから25周年、記念の大会となりました。スタッフ全員参加で「絶対に完走」を合言葉に、トラブルやペナルティを乗り越え、6位でフィニッシュしました。#090 テルル&イー・モバイル★Kohara RTの辻村/野田/渡辺組も7位と健闘。#22 Honda Team Asiaは2度のトラブルがありましたが、25位でチェッカーを受けました。#634 MuSASHi RTハルク・プロはマシンを修復し、残り1時間で高橋がライディングしてコースへと復帰しました。165ラップを走り、41位で完走を果たしました。

  • 秋吉耕佑
  • ジョナサン・レイ
  • 手島雄介
  • 高橋裕紀
  • 清成龍一
  • 玉田誠
  • 亀谷長純

コメント

ジョナサン・レイ(優勝)|#11 F.C.C. TSR Honda「表彰台の上は感動的でした。僕は24時間耐久を走ったことがないですが、この鈴鹿8耐は、僕にとっては世界で一番タフなレースです。耐久であり、スプリントレースでもあります。燃費も厳しく、本当に大変なレースでした。なんとか15秒のアドバンテージを築き、秋吉さんに渡すことができたときは満足感を得ることができました。岡田さんは友人であり、先生であり、心強い存在でした。そして、なによりも秋吉さんに感謝しています。勝つことができ、とてもうれしく幸せです。大変なレースが終わってうれしい気持ちと、この感動を、もっと、味わっていたい気持ちの両方が心の中にあります」

秋吉耕佑(優勝)|#11 F.C.C. TSR Honda 「3月下旬の大たい骨骨折のケガから1カ月動けず、そこからの復帰レースが、この8耐でした。ここを目標にリハビリをしてきましたが、道のりは険しいものでした。それでも勝つことができたのは、岡田さんをはじめサポートしてくれるスタッフがいたからです。マシン、タイヤ、サスペンションとレースに必要な要素がうまく噛み合ったことが勝因です。優勝できて本当によかったです」

岡田忠之(優勝)|#11 F.C.C. TSR Honda「秋吉とジョナサンの2人のセットアップの助けになるように監督から頼まれました。優勝できるマシンに仕上げられてよかったです。本当にタフなレースで、ジョナサンは走行後に身体がつってしまうほどでした。スプリントが8時間続くレースは、走る側には厳しいものですが、ファンのみなさんにとっては魅力のあるものだと思います。これからも、こういった高いレベルのレースを提供できるようにしたいと思います」

藤井正和(優勝)|#11 F.C.C. TSR Honda監督「8耐ウイークの予選、トップ10トライアルも全ての走行を決勝のために使い、優勝のために過ごしてきました。決勝朝のフリー走行で、大きくマシンをふったら、それがうまくいきました。70%だった状況が90%に上がったように思います。優勝争いをしていたハルクが転倒してしまいましたが、あのアクシデントがなくても、十分に勝負できていたと思います。目的のために確実に進めた結果の優勝だと思っています」

山口辰也(2位)|#104 TOHO Racing with MORIWAKI 「8耐で2位になれるなんて……。『まさか』というのが正直な気持ちです。今年からJSB1000のチームを作り、8耐を大きな目標としてきました。8耐はなにがあるか分からないレースでもあり、確実に周回を重ねることで実現の可能性はあると信じていました。その目標に向かって一生懸命準備してきたからこその結果だと思います。裕紀(高橋)と雄介(手島)と組んで、一緒に表彰台に上がることができてうれしいです」

高橋裕紀(2位)|#104 TOHO Racing with MORIWAKI 「正直、うれしいです。Hondaさんも協力してくれて参戦が決まりました。GPで苦戦していたので、自分の力を証明したいという気持ちもありました。僕自身4年ぶりの8耐だったので、どんなレースになるのかと思っていました。なので、2位になったという充実感は大きく、やりきったという気持ちです」

手島雄介(2位)|#104 TOHO Racing with MORIWAKI「まさか、8耐の表彰台に戻ってこられるとは思っていませんでした。辰也(山口)さんが今年、チームを立ち上げた大事な時期に、レースでの自信を失っている自分が参加させてもらっていいのかと考えました。でも辰也さんが、裕紀や雄介のような若いライダーにチャンスをあげられるようなチームにしたいと、行動で示してくれました。本当にありがたくてうれしいです」

亀谷長純(25位)|#22 Honda Team Asia 「6月に計画が立ち上がり、7月から本格的に走り始め、8耐に向けて準備を進めてきました。シリーズ戦を戦っているチームとは違い、この8耐のために作ったチームで、ここまで戦えたことを誇りに思います。本当にみんなが信頼し合えたいいチームでした。トラブルがあって目標の表彰台には届かなかったことは残念です。今回の8耐の展開を見ると、可能性があったと思うので……。できれば、また同じチームで、同じメンバーで、8耐の表彰台に立ちたいです。来年も一緒にがんばりたいです」

アズラン・シャー・カマルザマン(25位)|#22 Honda Team Asia 「8耐に出ることができて、ものすごくハッピーでした。体力的にも問題なく、どの走行でも楽しんで乗ることができました。こんなにたくさん走れて、マシンセッティングやライディング、たくさんのことを学ぶことができました。本当にすばらしい経験ができて最高です。もし機会があったら、また、8耐を走りたいです。玉田さん、亀谷さん、支えてくれたスタッフに心から感謝しています」

玉田誠(25位)|#22 Honda Team Asia 「できれば表彰台に上りたいと、みんなで協力してがんばってきました。トラブルもあり、がんばりましたが、届かなかったことは残念で悔しいです。でも、アズランの成長という目的は果たせたかなと思っています。安定してラップタイムを出すことができていましたし、大きなマシンの経験がない中で、最後まで走りきれたことを自信にして、アジア選手権に生かしてほしいと願っています」

松山弘之(25位)|#22 Honda Team Asia監督 「チームの目的が、アジアのレースの活性化のために日本人ライダーとアズランが組んで8耐に挑戦するというものでした。その目的は果たせたと思っています。目標は表彰台でした。214周という周回数に届くように準備をしてきました。事前テストから、鈴鹿のスポーツ走行にも参加するなど、どこのチームよりも走り、テストを重ねてきました。トラブルが2度出てしまい残念です。入念に確認していても防ぐことができませんでした。継続は力だと信じて、来年はもっと、上を目指したいです」

本田重樹(41位)|#634 MuSASHi RT ハルク・プロ監督 「目指していたのは218周でしたが、219周のペースでレースが進んでいました。TSRと近年にない高速戦を繰り広げることになりました。し烈なトップ争いだったので、一瞬のミスが取り返しのつかないアクシデントを引き起こしてしまったのだと思います。ですが、ライダーたちは、とてもいいコンビネーションで自分たちの役割を認識し、きちんと仕事を果たしてくれたと思います。とてもいいペースでレースができていたので、悔いが残ります。この気持ちを晴らすために、必ずリベンジします」

リザルト

決勝
順位 No. チーム/ライダー マシン
1 11 F.C.C. TSR Honda
ジョナサン・レイ/秋吉耕佑/岡田忠之
Honda 215Laps
2 104 TOHO Racing with MORIWAKI
山口辰也/高橋裕紀/手島雄介
Honda +4Laps
3 94 YAMAHA FRANCE GMT94 MICHELIN YAMALUBE
D.チェカ/K.フォレイ
ヤマハ +4Laps
4 32 Moto Map SUPPLY
今野由寛/津田拓也/民辻啓
スズキ +5Laps
5 25 Honda鈴鹿レーシングチーム
徳留和樹/安田毅史/北口浩二
Honda +5Laps
6 71 Honda DREAM RT 桜井ホンダ
ジェイミー・スタファー/ウェイン・マックスウェル
Honda +6Laps
7 090 テルル&イー・モバイル★Kohara RT
辻村猛/野田弘樹/渡辺一馬
Honda +6Laps
8 390 Team Motorrad 39
寺本幸司/酒井大作/矢木清貴
BMW +7Laps
9 99 BMW MOTORRAD FRANCE 99
S.ジンバート/D.カドリン/E.ニゴン
BMW +7Laps
10 77 HONDA TT LEGENDS
キャメロン・ドナルド/ジョン・マクギネス/ジェイソン・オハローラン
Honda +8Laps
         
14 34 Honda 緑陽会 熊本レーシング
吉田光弘/北折淳/飯田将人
Honda +11Laps
16 75 Team EBATA
五十嵐明弘/里実/古川透
Honda +12Laps
17 66 DOGFISH オーテック・スズカ&プリージング
大内田実/斎木一樹
Honda +12Laps
21 112 Honda EG レーシング
栗林剛/本田恵一
Honda +14Laps
23 67 Honda DREAM RT 和歌山
西中綱/権随廉/三木章宏
Honda +15Laps
25 22 Honda Team Asia
亀谷長純/アズラン・シャー・カマルザマン/玉田誠
Honda +19Laps
32 85 Honda QCT 明和レーシング
安藤元之/西山尚吾
Honda +24Laps
36 40 Honda 浜松エスカルゴ&PGR&ホンダ学園関東
久保山正朗/中津原尚宏/野寄真二
Honda +33Laps
39 111 Honda向陽会ドリーム レーシングチーム
中村浩/海老沼孝志/倉山寿生
Honda +41Laps
41 634 MuSASHi RT ハルク・プロ
清成龍一/青山博一/高橋巧
Honda +50Laps
RT 41 Honda 狭山レーシング&オールホンダ合同チーム
山下広/大山翼
Honda +54Laps
RT 73 Honda DREAM高崎 B'WISE R.T & CLUB NEXT
清水郁巳/櫻井賢一/吉広敦
Honda +92Laps
RT 28 Team ホンダ学園
古澤基樹/児玉勇太
Honda +112Laps
RT 60 HondaブルーヘルメットMSC
泉名英男/栗田伸一
Honda +202Laps